5ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

【涼宮ハルヒ】佐々木とくっくっ Part74【変な女】 [転載禁止]©2ch.net

1 :この名無しがすごい!:2014/12/01(月) 00:00:21.53 ID:DW6VCVYk
                           .. -‐…‐- ..
                          . : ´: : : : : : : : : : :: ` : .
                        / : : : : : : : : : : : :\:. :. : :.\
                     . :/ : : : : : : : : i: : : : : \:.. :. :. :.
                   /: : : : : : : : : : :i: :|: : : : : : : V: i: :.‘,
                     /:/ : : : : /.:.i: : / : |\ : : : : : |:.:|i: : ‘,
                       /:/ : /: : /.:./|: / :/ l._\__ : i|:.:リ: : :.‘
                 /Y  /:i:|.: .:|: :_」_:/,ノイイ}:/´    \从イ:.: :.: :.i
             / /' /)ハ:. :i| ´ W `  ノ′  芹示_.:|rマ: :.乂
               / / ///.:ハ小 i ィ芹心      Vrソ .:.:.|) ソ: : i : ヽ
              ノ ム' /: /.: : : : :i }从 Vrソ         i: : : |f´: /:从 ハ}
             / マ 〉{ i.:ハ」_: : : :|i : : ヽ    '  , 、_ムイ :八ノイ ノ'  '
         / マ 〉 ゝ ´ ..イiY从: : :ト、:...   `    >‐彡イ
           /  ( イ   イ         \{ ヾ^ ≧  イ  ト(
       rく<     <            `ヽ ィr<!   ィ^',、
       |:∧ ` ーく_        ....‐…―ァ:.::ハ  ハ斥  /i::ヽ
       | : ::≧=圻7        /i ::::::::::::::/:::: |: :',∧:.:.:.:ハ//|:::::‘,`::.....
       |::::::::::::::::::/       / :l ::::::::::::/::::::::|: :ハ 〉:.〈   ': :! : :::i:::::::::::`::.、
       | : :::::::::::/    /::::::::::::::::::::/:::::::::::|: : ',l:.:.:.:レ: : : ::::::::::|:::::::::::::::::ハ
.       .:::::::::::::::::   / : :::::::::::::::::::/:::::::::::: |: . ∧/ : : : :::::::::::|::::::::::::::/:::|

・前スレ
【涼宮ハルヒ】佐々木とくっくっ Part73【変な女】
http://peace.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1392380146/
・佐々木とくっくっ避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/8130/
・佐々木とくっくっ避難所(携帯用)
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/movie/8130/

・佐々木SSの保管庫
Part1-10まで ttp://blog.goo.ne.jp/sasaki_ss
Part11以降  ttp://www10.atwiki.jp/sasaki_ss/

・涼宮ハルヒシリーズに登場するキャラクター、佐々木を愛でるスレです
 佐々木 = 例の変な女
 自称「キョンの親友」、中学時代はキョンの自転車に二人乗りで週二回、塾に行く間柄
 キョンとは学校内でつるむ回数がクラスメイトの誰よりも多かった
 キョンは否定するも傍からみるとどう考えても...
 古泉曰く「十人中八人が一見して目を惹かれる、実に魅力的な女性」
 恐るべきことに名実共にハルヒと対になる神的存在であることが明らかに!?

・次スレは>>970が立ててくれたまえ。立てられない時は遠慮せずに言うといい。
 このスレの住人は快くキミの代役に名乗り出てくれるだろう、くっくっ

・このスレは基本sage進行だ、間違えてageるならまだしも
 意図的にageるような行為は慎んでくれたまえ。

2 :この名無しがすごい!:2014/12/01(月) 00:01:13.87 ID:DW6VCVYk
・リンクを貼るときは直リンは禁止してくれると僕も助かるよ。
・スレタイは佐々木とくっつくではないのであしからず。
・荒らし、それに反応する人への対応は無視するのが一番と昔から決まっているんだ。
・キャラクターを貶めるような書き込みは、荒らし行為なので謹んでくれ。
・どうしてもそういった発言がしたい時は、専用のスレッドを立てて、そこで行うといい。
・妙な書き込みが多数あるときは、書き込み日時の右にあるIDを確認すれば、
同一人物による荒らしかどうかの判断の基準にできるだろう。

・次スレは立候補した人が責任を持って立ててくれたまえ。
 ただし、無理な場合はその所信表明を行い、次なる立候補者を集うべきだね。
・次スレへの誘導リンクが貼られるまでは今まで通り書き込みは控えるのが最良の手立てと僕は思う。

(現地人たちに一つ教えてやる。
 スレッドの最大許容量は512kbだ。ところが、500kbを超えた時点で書き込み不可能になる。
 容量が490kbあたりを超えたら、せいぜい急いで、次スレ移行の作業を開始することだな。)

あと、SS保管庫の中の人からこんなコメントをいただいている。
判断はみんなに任せるよ。くれぐれもこれで争うことの無いようにしてくれたまえ。
201    wiki [ sage ]  2007/08/26(日) 09:33:29 ID:lc10YmQU
 どーもwikiの中の人です。
 タイトルにSSってつける件ですが、個人的にはなくても無問題です。
 SSかどうかはみればわかるし。
 今までどおりでOK。
 それよりも、SSにはタイトル(名前欄でも文中でも)と長編なら通し番号をつけてもらえるとありがたいです。
 あと、未完成ならそれがわかるようにしてもらえるとなおよし。

3 :この名無しがすごい!:2014/12/01(月) 00:01:40.54 ID:DW6VCVYk
*ノベルキャラ板(旧文芸キャラ板)への移転についての議論の際の注意。
自治スレの方に、
各スレ内で話し合って決めてください。自治スレに持ち込まないでください。
と釘を刺されていますので、あちら様へこれ以上のご迷惑をかけないよう、お願いいたします

4 :1:2014/12/01(月) 00:36:30.36 ID:DW6VCVYk
*重要なお知らせ*

メール欄空にしてスレ立て書き込みをしてしまったため、スレタイには、デフォルトの[転載禁止]が表示されています
このことはスレ立て人の本位では無いことを、まず強調しておきます

また、この[転載禁止]表示は、2ちゃんねる運営の許容範囲を逸脱したまとめサイトへの転載を禁ずるという意思表明であり、
今まで通りのスレ住人によるスレ保管庫への保管、そしてマナーを守った上での引用を妨げるものではないと解釈しております

なので、ご自分の書き込みを、当スレ保管庫にまとめて欲し く な い 方は、ご面倒ですが、
その旨を表明するか、メール欄に[sagete]を入力した上で、書き込んで下さるとありがたいです

5 :この名無しがすごい!:2014/12/01(月) 03:55:10.62 ID:KPUrhoEd
>>1
乙!

6 : 【小吉】 :2014/12/01(月) 17:46:15.20 ID:moOpFPuY
>>1乙!
そして佐々木さん大吉を!!

7 : 【小吉】 :2014/12/01(月) 17:48:56.64 ID:moOpFPuY
早いもんで12月ですよ佐々木さん

8 : 【だん吉】 :2014/12/01(月) 17:51:11.62 ID:moOpFPuY
油断してたらあっという間に年末ですよ

9 : 【吉】 :2014/12/01(月) 17:53:25.62 ID:moOpFPuY
頑張らなきゃですね佐々木さん

10 : 【ぴょん吉】 :2014/12/01(月) 17:57:03.56 ID:moOpFPuY
大吉の確率は

11 : 【吉】 :2014/12/01(月) 17:58:58.36 ID:moOpFPuY
負けてられない

12 : 【中吉】 :2014/12/01(月) 18:01:14.42 ID:moOpFPuY
なっと

13 : 【ぴょん吉】 :2014/12/01(月) 18:02:46.90 ID:moOpFPuY
そろそろ

14 : 【中吉】 :2014/12/01(月) 18:04:24.31 ID:moOpFPuY
大吉…

15 : 【大吉】 :2014/12/01(月) 18:05:50.37 ID:moOpFPuY
もう一声

16 :この名無しがすごい!:2014/12/01(月) 22:26:24.67 ID:ZN+bhqlI
こんにちは。
佐々木メイン(多分)のSSを書いたので、まとめの方に投下します。
宜しくお願いします。

17 :この名無しがすごい!:2014/12/02(火) 20:43:57.87 ID:DLdLEaqK
>>16
読んできたよ乙ー


……避難所では偉そうなこと書いててごめんね(´・ω・`)
しっかり真面目に読んだ結果だから許して

18 :『ふらくら時間 確か13』:2014/12/03(水) 18:45:59.49 ID:mVi9OQlB
*驚愕のあのシーン。ハルヒでなく何故か拘束されているのはキョン

藤原とやらは、俺を拘束し叫んだ。
「さぁ、能力を移譲しろ!」
…あのな、ハルヒを人質に取って言うセリフだと思うぞそれは。ついでに谷口。お前いつの間にこのいけ好かない男の仲間に成り下がったんだ?朝倉も。
俺の視線に気付いたらしいパピヨングラスをかけた谷口が、俺に向かい叫ぶ…。
「フラグ建築士の能力を移譲するんだ、キョン!それさえあれば、俺達はモテモテに…!」
…すまん。何が言いたいのかさっぱり分からん。朝倉、日本語に直してくれ。下でドン引きしているハルヒでも、佐々木でもいい。佐々木が俺に向かい叫んだ。
「キョン!」
おお、助け船を出してくれるのか。渡りに船というやつだぞ、佐々木。
「フラクラを移譲する、と言うんだ!」
佐々木の言葉にハルヒが手を取り叫ぶ。
「そうよ、キョン!フラクラを移譲するのよ!」
フラクラ?何だそれは。朝倉を見るが、朝倉も分からない、と首を振る。
「フラグ…旗よね?取り敢えず旗を壊す事を移譲すれば良いのかしら?」
「どうでも良いが、やるなら手短に頼む。いい加減にこのゴルゴダの丘のキリストの状態から解放されたい。」
脱兎の如く、藤原と谷口が逃げる。が、あっさりと古泉に捕まり朝倉に引き渡された。朝倉は面倒くさそうに溜息を吐くと…俺に手をかざす。

光が三人を包み…俺は漸く解放された。
「古泉くんは、死亡フラグ?それを壊す能力を得たみたい。」
「それはそれは。」
古泉は俺のロープを谷口、藤原に巻き付ける。
「谷口くんは、恋愛フラグを壊す能力を…」
「おいいいいいいいい!」
「そこの未来人は、再登場フラグを壊す能力を得たみたいね。」
「なん…だと?!う、うわわ!き、虚無空間か!だ、誰か…!み、みくる姉さーん!」
…藤原とやらは、そう叫ぶと消えていった…。朝比奈さん(大)も、説明をする前に消えた藤原とやらにドン引きだ。
一体何なんだ?全く。状況を飲み込めぬ中、ハルヒ、佐々木の目が輝く…。
「フラクラ返上って事は、今からフラクラは無くなるという事よね…佐々木さん…」
「そうよね、涼宮さん…」
…お、おい。目が血走っていて、最高に怖いんだが?
「さぁ、キョン!フラクラ返上の時よ!ここまで立てたフラグを消化していくのよ!」
「キョン、僕に立てまくったフラグ、最早回収の時だ!」
「私という個体も、私という個体に貴方が築いたフラグの回収を望んでいる。」
ドヤ顔で立ち塞がる三人…って長門。いつの間にそこにいる?すまん。お前らが何を言いたいのかさっぱりだ。
首を捻る朝倉に、古泉が声をかける。
「おや、どうしました?朝倉さん。」
「…んー…どうもキョンくんのフラグ関連のものって、本人固有のものみたい。」
「と言いますと?」
「移譲は出来てもまた蘇る、って事?『幻想殺し(イマジンブレーカー)』ならぬ『旗殺し(フラグブレーカー)』かしら?」

その数刹那の後…朝倉が役立たずと長門に〆られ、ヌカ喜びをさせてくれた、とハルヒと佐々木からまで〆られたのは、また別の話だ。

『ふらくら時間〜♪』

END

おまけ。
「あれ?未来人がいないのです。何か二度と会いたくないのは気のせいなのですかね?」
「ーー虚無ーー」
「どうしてこうなったー!みくる姉さぁぁぁぁぁん!」

終われ。

19 :この名無しがすごい!:2014/12/03(水) 18:52:59.89 ID:mVi9OQlB
ポンジーいじめと聞いてw

主不在のきょっこ団なれど、傍迷惑ぶりは変わりませんね;^_^A
ナンバリングは確か13だったはずなので、ポンジーを悲惨な役回りにしてみましたw

20 :この名無しがすごい!:2014/12/03(水) 21:45:27.61 ID:uX8pWaH6
>>18 いいですね〜藤原ネタ。藤原は残念な方がより輝いていますね。

21 :この名無しがすごい!:2014/12/03(水) 21:56:18.65 ID:uX8pWaH6
  またSSが投稿できない状態です。どうなっているんでしょうか?

22 :この名無しがすごい!:2014/12/03(水) 22:27:30.67 ID:O8HvZamf
>>18
乙(´ω`)乙
相変わらず和みまする
これからはフラグクラッシュが再生するまでに回収させるスピード勝負になりそうですね……1回ごとに委譲対象(生贄)が必要ですがw

>>21
普通のレスは大丈夫だとしたら、分量や改行が多いとか?詳しいことはわからないですねー

23 :この名無しがすごい!:2014/12/03(水) 22:45:29.16 ID:e9vxCEOY
ここの掲示板ってタブーワードありましたっけ?
あとは・・一行字数が多すぎるくらいかな

24 :この名無しがすごい!:2014/12/06(土) 18:08:56.89 ID:lmXNsZ9Z
ここ最近洒落ならん寒さですね佐々木さん

25 :この名無しがすごい!:2014/12/08(月) 12:29:08.35 ID:UEGQhd2O
SS速報に佐々木さん
佐々木「サボテンの花言葉を知ってるかい?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1417959759/

26 :『クリスマス』:2014/12/11(木) 16:28:12.92 ID:8bztdetr
サンタ伝説を信奉しなくなったのは、いつの日の事か…。
とっぷりと曇った冬の夕暮れ。寒風吹き荒ぶ公園。そして目の前にいるのは我が親友。
「安く手に入って良かったねぇ。」
現在クリスマス。イブの主役を飾ったであろうケーキとシャンメリーは、見るも無残な捨値価格で売りに出されていた。
世の中需要と供給、一瞬でもスターダムにいた事を誇るべきかも知れんな、こいつらは。俺は佐々木が持って来たそれを、テーブルの上に広げる。佐々木は上機嫌に紙コップを用意し…。
「侘しくなるのは何故だ?」
「そうかい?僕としては身の丈に合ったクリスマスだと思うが。」
ニコニコしながら佐々木はシャンメリーを注ぐ。せめてもう少し世間並みというものをだな。俺の思考を読んだらしい佐々木は、溜息と共に言った。
「キミね。世間並みという事は、迎合に過ぎないんだよ。身の丈に合わぬ贅沢など、我々学生の本懐ではあるまい。」
ティファニーのアクセサリーや、グッチの財布、エルメスのバッグなど分不相応であり、学生のうちはお金で苦労し発想を磨くべきだ、と佐々木は言う。
その何れも持たぬ我々は、こうして公園にいるのではないかね。
寒風吹き荒ぶ中、ベンチに座るのは俺達だけだ。
すっかり冷めたケンタッキー。そして身も凍るようなシャンメリー。主役を飾るかつてのスター。
佐々木は俺の横に来ると、身を寄せた。…もう好きにしてくれ。
「…触れ合うと暖かいものだね。」
「ああ。そうかい。さっさと食っちまおう。風邪を引いては本末転倒も良い所だ。」
「くっくっ。」
紙コップの乾杯をし、シャンメリーに口をつけた俺に、佐々木は小さく言った…

『つれない事を言いながらも、鼓動は正直だねぇ。性差を感じて頂けて何よりだよ。』

「…寒いから、暖まる為に鼓動が早いのかも知れんぞ?」
顔に火照りを感じながら言った、せめてもの強がり。佐々木は面白そうにくっくっ、と笑いながら再び身を寄せてきた。
…シャンメリーって、微量のアルコールもあったんだっけな…。それでテンション上がったのかも知れねぇ…。お互いに。

酒の上の不埒だ。と開き直り、帰りにコートの裾の中に佐々木を入れたら、今度は佐々木が茹で蛸になったのはまた別の話だ。

END

27 :『クリスマス〜ポンジー編〜』:2014/12/11(木) 17:02:58.81 ID:8bztdetr
未来からの資金が途絶え、橘と共にケーキの売り子をする事になった。
糊口をしのぐ事は出来る位の額を手にし、僕は久々に公園の屋台のたこ焼きを食べるべく公園に向かう。
世間はクリスマスらしいな。僕には関係のない事だが。
橘は機関の男達との打ち上げ。そこにはみくる姉さんもいるらしいが目的を達成していない以上、会っても辛くなるだけだ。
…何?機関の男が怖い?そんな理由ではない。
寒風吹き荒ぶ中、僕は目的を達成すべく公園へ向かう。
公園には色鮮やかなパンジーが並び、この冬の寒さにも関わらず花を咲き誇らせている。
可憐な花々に癒されつつ、僕はたこ焼き屋に向かったわけだが…

現地人のコートの裾に包まれた茹で蛸がいた。

現地人のブレザーの胸の位置が膨らんでいる…。恐らくは茹で蛸が身を寄せているのだろう。
こ、こんな事は規定事項に無い…!
反射的に身を隠し、去って行く現地人と茹で蛸の後ろ姿を見送る…。
い、今から所謂お楽しみというものか…!
たこ焼きを買い、僕は晴れない気持ちのまま天を見上げた。
乱れている!橘も機関の男達と打ち上げと称し、乱れた一夜を過ごすのか!
未来も乱れている奴は乱れているが…ん?待て。確か打ち上げにはみくる姉さんが…!

「今日は皆さんと一緒に(パーティーを)やれて楽しかったのです!」
「たまにはこうして皆で楽しむのもいいわよね!古泉くんに(金銭的な)負担かけちゃったし、今度は古泉くんに(慰労的な意味で)サービスしようか。」
「…楽しかった。」
「キョンくん、参加出来ずに残念でしたよねぇ。」
「補習だから仕方無いわよ。不参加そのままは可哀想だし、同じく不参加だった佐々木さんにキョンを頼んだし、キョンはキョンで佐々木さんと楽しいクリスマスを…」
「乱交か!乱交なのかーッ!」
「「「きゃああああああああああああああ!!!」」」
「ユニーク。」

…機関の男に締め上げられ…「涼宮さんがそんな乱れた事を望むわけがないでしょう。彼女の倫理基準については御存知のはずです。拗らせるにも程があります。最も僕も未だ来ずですが。」と諭されるように言われたのは、また別の話だ…。

END

28 :この名無しがすごい!:2014/12/11(木) 18:10:10.15 ID:47JdMoVW
思わぬ反撃に真っ赤になる佐々木さんかわいいGJ
でもって恐らく薄暗い中、後ろ姿で佐々木さんの様子を察する藤パン何者!?

29 :この名無しがすごい!:2014/12/12(金) 00:57:45.03 ID:eQyrl27P
>去って行く現地人と茹で蛸の後ろ姿を見送る…。
はっはっは!どこへ行こうというのかねええええええええ!

30 :この名無しがすごい!:2014/12/12(金) 21:45:03.96 ID:UQh5gVQL
スケートで安定して滑る原理を頭では理解しているものの体がついていかない佐々木さん

31 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2014/12/14(日) 19:54:29.97 ID:1Kd7Kd2z
博多華丸大吉、円熟と言っても良い芸でしたよ佐々木さん

32 :『ダンガン佐々木』:2014/12/15(月) 00:45:45.79 ID:/UnamHy9
久々に会った親友と、SOS団皆と喫茶店で話す。俺達、平凡な高校と違い進学校はやはり違うのだろう、と思い、離れていた一年間について聞いてみる事にした。
佐々木は優雅にコーヒーを啜りながら言った。
「入学してから、非常に大変だったね。入学後にいきなり殺し合い生活だから。」
…はい?俺の隣に何故か居るハルヒもまた、目を丸くしている…。ドン引きしているハルヒというのもまた珍しいな…
「黒幕を突き止めるまで、半数以上が死んでしまった。皆、良い人達だったよ…」
佐々木が首を振る。
…すまん。お前が何を言っているのか、皆目見当もつかん。
「皆、超高校級の才能や能力の持ち主ばかりだったが、やはり所詮は僕も含めて高校生だった、という事さ。黒幕にいいようにやられ、最後には黒幕自身が自らの命を絶つという最低の結末だったよ。」
長門が俺の手を引き、耳打ちした。
「…彼女の言葉に嘘はない…。表沙汰になっていないだけで、全て本当…」
…なんてこった。
「佐々木さん、だっけ?その超高校級の集まりで、あなたは何が超高校級だったの?」
興味を引かれたらしいハルヒが、佐々木に身を乗り出す。
佐々木は優雅にコーヒーの香りを楽しみつつ…少し赤い頬をしながら答えた。

「超高校級の……フラグクラッシュ被害者……」

辺りが静まり返る。その被害とやらが見当つかんが、黒幕は絶望しただろうな。頭が切れるとはいえ、ほぼ一般人に一杯喰わされたのだから…。
ん?ハルヒ、長門…何故そんな冷たい目で俺を見る?古泉も何故そんな同情しきった目で佐々木を…
「今現在も、また被害を被っているのが超高校級の所以なんですね…」
朝比奈さんが佐々木の頭を撫でる。…そして全員が一様に俺の方を何故向く!?
おや?何か一体のぬいぐるみが…。片方が白く、片方が黒いぬいぐるみだが…
「うぷぷぷぷ。探したよ、超高校級の才能の持ち主。君、ウチの高校に転校してこないかい?」
「モノクマ?」
佐々木があからさまに警戒をする。
「生きていたのか…!キョンには手を出させないよ!」
モノクマとやらは、佐々木を無視し、俺に言った。

「超高校級のフラグクラッシャーとして、是非!」

次の瞬間…爆笑が響き渡る。長門まで笑い過ぎて涙目になる位のものだ。
俺がその申し出を断り、モノクマとやらを踏み潰したのは、当然の話だ。

END

33 :『ダンガン佐々木』:2014/12/15(月) 00:58:19.29 ID:/UnamHy9
ダンガンロンパみたいな推理物を書きたい気持ちはあれど、長門無双になりそうですw
未来の結末を知る者として、後半からみくる無双も面白そうですがw

佐々木さん、キョンがダンガンロンパ系に出演だと、誰かが言っていたように早めの退場か盛り上がりの退場か…どちらにせよ、優秀なストーリーテーラー扱いでしょうね。
ハルヒも似た扱いか、または補正バリバリか…。古泉は途中退場確実でしょうがw
稀代のギャグメーカーとして、きょこたん辺りがいても面白そうですねw

34 :この名無しがすごい!:2014/12/15(月) 07:23:53.62 ID:nYFwDOsV
おつおつ
佐々木さんが立てる生存フラグをギャグ補整で尽く破壊していくきょこたんとな

35 :この名無しがすごい!:2014/12/15(月) 12:39:05.62 ID:/UnamHy9
みくる(大)黒幕か、藤原黒幕か、くーちゃん黒幕か…
みくるなら、死人が出ないように配慮するでしょうが、藤原は未必の故意がありそうで怖いですねw
くーちゃんだと、皆殺しENDしか浮かばないし…きょこたんだと、正直過ぎて黒幕に向かない。
古泉辺りが裏で糸を引いても、良心の呵責に負けてキョンに重大なヒントを渡しそうですし…

36 :至誠、天に通ず1/3:2014/12/16(火) 01:21:18.54 ID:PSjWzwnv
ぱちーん、と。
人体が出すにしてはずいぶんと通りの良い音が響いて、どうやら口論が終わったようです。
隣のクラスから聞こえる声に耳をそばだてていたクラスメイト一同、やれやれとため息をついて帰宅の支度を始めました。
きっと私も同じ顔をしていることでしょう。
盗み聞きはよくないですけど、盗むまでもなくああも大声で叫ばれては仕方がありません。
私も人並みには、……ええ、思春期の女子中学生並には、人の色恋沙汰には興味があるのです。
「佐々木よ、何があったんだ?」
丁度トイレから帰ってきた我が親友が涼しい顔で尋ねてきました。
とぼけた表情に安堵していいのか、少し憎らしく思ってしまえばいいのか、わかりません。
「犬も食わない話さ。隣のクラスの野球部部長殿のカップルを知っているかい?」
「マネージャーとのカップリングという爆発して欲しいあの組み合わせか」
ふむ。キョンも人並みには嫉妬という感情があるのだろうでしょうか。
「爆発したよ。ついさっきね」
「ザマア見ろと言いたいところだが、どっちも蹴り飛ばしたいくらいベタ惚れじゃなかったか?」
「なかなか根深い問題だったようだよ。発端は彼の視線について彼女が文句を言ったことだ」
「あのマネージャーを相手にして、視線が向く先は決まってるだろう」
無遠慮に冷徹な事実を告げる親友がなかなか憎らしいです。
そう、彼女は同性の目から見ても、大変胸部の発育が先行した子でした。
「ボクが相手でなかったらセクハラで訴えられることは覚悟しておきたまえ、キョン。
 だが不本意ながらそれは事実だ。
 そして、大変不幸ながら、ね」
「胸だけでなく他のところを見ろとでも言ったか?」
自分のことでないとどうして彼の洞察力は素晴らしいのでしょうか。まったく。
「そうだよ。
 彼女が先のデートで精一杯着飾ってきたというのに、彼はほとんど服も靴も見てくれなかったとのことだ」
普段の身の回りの品を見る限り彼女のセンスはとても良いのです。
私服でのデートに彼女は精一杯努力したことでしょう。
それが報われなかったことが、人ごとながら憐れではあります。
「これを問いつめた彼女に対する彼の返答が酷くてね」
「どんなだ?」
「……俺はお前の服よりも中身の身体の方が好きなんだ、とのたまった」
「正直だな」
「性的なことに限って言えば正直は必ずしも美徳ではないよ。
 その報いがホームランとでも評したくなる平手打ちだ」
「酷いな」
「酷いね」
「いや、彼女の対応がだ」
彼の予想外の言葉に、私は首をかしげます。
その理由に思い至って、私はちょっと頭の筋が切れそうになりました。
「男子中学生として、君は彼の肩を持つ気かい?」
「おいこら佐々木、なんか殺気めいたものが出ていないか……」
「気のせいだよ。それよりも僕の質問に答えてくれないかな」
「肩を持つというか、あいつはそんなに悪いことを言ったか?」
「そうかい。男子中学生としてその嗜好その主義は正義だと言いたいんだね」
そうですか。男の子はそんなに大きい胸がいいのですか。
あんなもの、人体を構成する脂肪の集中点の一つに過ぎないというのに。
「待て待て待て待て!怖い!怖いから!
 違うだろ、アイツはいいことを言ったじゃないか」
「服よりも、胸がいいと言ったのに?」
「そうだ。俺は彼女が怒った理由の方が理解できんぞ。
 服なんぞただの外面、いくらでも取り替えが利くし他人でも真似できる程度の要素だろうが。
 そんなものよりも、彼女自身の身体がいいと言ったんだろうが。
 それは、服を褒めるよりも彼女を正当に評価しているじゃないか」
思わず、目を瞬かせてしまいました。
こういうのを、その発想はなかった、というのでしょうか。
男性側から見るとなるほどそういう風に見ることも出来るのでしょう。
「ふむ……、君の理性的な意見はよくわかった。
 では同年代の女子中学生としての弁護側意見を言わせてもらおうか」
「おう、拝聴しようじゃないか」

37 :至誠、天に通ず2/3:2014/12/16(火) 01:22:41.19 ID:PSjWzwnv
「君は、女子の服を替えが利くもの、真似できるものと評したがそれは女子側の現実知らずというものだ。
 自分をいかに綺麗に見せるか、自分が男と並んで如何様に見えるか、これらを自ら蓄積して研ぎ澄ました美的感覚に従って設定するのだ。
 従って、服とは外側にありながら、実は肉体よりも内面、精神と経験に依拠するものとなる。
 肉体的特徴など生まれながらに決定されて本人の努力ではどうにも改善しようがないが、服や髪型などは己の努力で積み重ねることができる。
 言ってみれば彼の言動は、彼女の努力や意識を丸ごと否定したも同じなのだよ」
「ほおお」
思わず熱く語ってしまった私に、キョンが感心するのをどう評価したものでしょう。
胸に偏見を持つ者も嫌いですが、そんな者を嫌う私自身を、私自身が好きではないのです。
でも、キョンには、その範疇に入っていて欲しくなかったのです。
まったく理性的ではない理由で。
「となると、お前も自分を評価されるときは、服を評価される方がいいのか?」
そんな私を知ってか知らずか、キョンがとんでもないストレートを投げてきました。
正気を保つのに苦労するほどの目眩を覚えました。
少なくとも、私はまるで自信の無いこの胸を世辞で褒められるくらいならば、まだしも服を褒められる方がいいと思っています。
でも私は自分の服のセンスに自信があるわけではないのです。
一人の男性のために精一杯のお洒落ができる彼女のようなセンスが羨ましいと思うくらいには。
せいぜい、私が自分に自信が持てるものといったら、読み漁ってきた読書歴くらいのものでしょうか。
色気がないにもほどがあって、この場では自己嫌悪を増すだけでした。
「……僕が何かを期待したからといって、君にそれを強制するつもりはないよ。
 君に世辞を言われてもかえって不本意だというものだ。
 率直に聞こう。君は僕をどう評価するつもりだい」
精一杯の強がりで挑戦的に言ってしまってから途方もなく後悔しました。
これでは、私のどこが好き、などと尋ねているようなものではないですか。
恋人になれない彼に尋ねていい質問ではありません。
「そうだな……」
それなのに彼は顎に手をやって大真面目な思案顔になって私の身体を見つめて来ました。
彼の視線をここまで絡みつくように感じたのは初めてです。
普段なら冗談めかしてセクハラだよと非難できる胸への視線を遮る口実がありません。
その視線が嫌なのではありません。
でも、でも、あまりにも恥ずかしいのです。
その場から逃げ出したくなる足を踏みとどまらせるのがやっとでした。
言い出したのは私です。止めることはできません。
いつの間にか他の生徒たちは部活へ行ったり下校したりしてしまったのか、教室には私たち二人の他には誰もいません。
もし……そんなことは万が一にも無いと思い込みたいですが……制服の中の私の貧相な身体をキョンが好きだと言ったら、私たちはどうなってしまうのでしょうか。
おそらくは一分にも満たない、でも私には永劫の執行猶予にも似た時間が流れた後、
「姿勢だな」
ぽつり、と、意外な単語がキョンの口から出ました。
「え?」
思わず、私は尋ね返していた。
「誰に対しても決して見下さず、力が足りないからといって卑屈にならない。
 教師のような年上でも、うちの妹のような年下でもまっすぐに正対する。
 その精神的態度を裏付ける、物理的な姿勢。
 そのお前が、なぜか自分のスタイルにだけは卑屈になるようだが、
 ……その、なんだ。つまりだな。
 お前のその姿勢は間違いなく美しいから卑屈にならなくていいぞ」

38 :至誠、天に通ず3/3:2014/12/16(火) 01:23:49.65 ID:PSjWzwnv
稲妻に打たれたような衝撃でした。
それが痛みではなく途方も無い歓喜であったと、一瞬遅れて私は気づきました。
さすがに言った言葉が気障の部類に属する自覚はあるのか、彼がちょっと恥ずかしげに明後日の方向を向いているのですが、
それはなおさら、彼の言葉が嘘偽りないことを示していました。
「……ありがとう……」
その一言に、万感の想いを込めながら、私は泣き出しそうになるのを、そして、
彼の胸に飛び込みたくなるのを、必死でこらえました。
そんなことをしたら、精一杯の誠意で答えてくれた彼の友誼を無駄にしてしまいます。
なんとか鼓動を鎮め、呼吸を落ち着かせて、いつもの私を取り戻してから、ようやく言葉を紡ぎます。
「その言葉、大変光栄だよ。親友。
 君の誠意あるアドバイスに従おう。
 僕は以後、肉体的な特徴で卑屈になることはないことを、君の賞賛に背くことがないことを、この場で誓おう」
「何をまた大げさな……」
いつもの冗談だと思ったのでしょうね。
その誤解をあえて解こうとは思いません。
でも、この誓いを私は決して忘れません。
貴方の言葉に救われた私の、それが、果たすべき誠意だと思うのです。


後に、私が朝比奈さんや涼宮さんといった輝かしい人々とぶつかることになったとき、私を支えてくれたのがその言葉だと、貴方は気づいていなかったでしょう。
貴方の横に立つときに、その言葉に背くことがないように、そうあれと願って生きていきました。
その願いが叶ってからも、その時から、共に歩みだした時も。




「お前は、変わらないでいてくれたな」
ずいぶんと、ええ、ずいぶんと長い時が経った後で、不意に貴方はそんなことを言いました。
「お前のその姿勢が、俺はずっと好きだった」
痛みを取り除く薬物の影響で少し夢現なのでしょう、横たわる貴方はどこか遠くを眺めている瞳でそう言ってくれました。
「ああそうか、俺は、そんなことを言ったか」
ええ、そんな私を支えてくれたのは、あの時の貴方の言葉なのですよ。
「お前の側にいられて、いい人生だった」
ずるいですよ。
貴方の側にいて、世界全てを天秤に掛けながら、世界全てよりも素晴らしい日々を過ごさせてもらったというのに、そんな言葉を告げるなんて。
でも、私はあのときの誓いに背くことなく生きてこられたようです。
あともう少し。
私は、あともう少し、その誓いを果たし続けて、その言葉に応えながら、最期まで生きることを、約束しますよ。



39 :この名無しがすごい!:2014/12/16(火) 01:52:54.48 ID:8jXRQPt+
>>36-38
乙〜。
佐々木さんの脳内語りは非情に難しいと思うのです。

40 :この名無しがすごい!:2014/12/16(火) 12:16:51.53 ID:EdgupMRy
うをああ凄いよキョンの評も締め方も
佐々木さんならずとも稲妻に打たれたような衝撃ですGJ!

41 :38:2014/12/19(金) 00:43:28.11 ID:NGKzULEc
>>39
ありがとうございます〜
佐々木さんの脳内述懐をどう書くかは、すっげえ難しいですよね。
いっそセリフと同じ口調の方が楽だとは思いますが、女の子らしさを出したいときは
やはり一人称「私」で書きたいです

>>40
絶賛いただき恐縮です。
キョンってみくるさんを絶賛すること以外は
妙なくらいに人の外観や姿に頓着してないと思い、
そんな彼が褒めるならば、ということでふっと出てきた批評でした。
納得していただける答えをお見せできたようで幸いです。

42 :この名無しがすごい!:2014/12/19(金) 17:31:40.06 ID:kwvksxrc
今朝の室温0゚c
帰宅時 1゚c
近年に無い寒さなのですよ佐々木さん

>>41
>キョンってみくるさんを絶賛すること以外は
>妙なくらいに人の外観や姿に頓着してない
だからこそキョンは心まで操作されてる疑いが晴らせないんだよね…

43 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉:2014/12/19(金) 23:52:14.92 ID:5fqSDKOV
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その10

「それじゃ講義が終わったら、いつものように学生食堂で」
 「了解」
 今日の講義は、私とキョンが理系教養1a,涼宮さんと古泉君が2aで、講義室は別々になる。
 講師の正面の位置より少し左側に寄った、前から5番目の席(一番見やすく、講師の視界より
微妙にずれた位置)に、キョンと並んで座り、前回の講義のノ-トを広げ、内容を確認し合う。
 ICレコーダ-を用意して置き、現在テキストとして使用している「合成素定に関する基礎」
という本も開き、準備完了だ。
 後、5分ほどで講義が始まるというとき、キョンの携帯の音が鳴り響く。
 「マナ-モ-ドを忘れていた」
 そういいながら、キョンは電話の主と話すために、講義室を出た。
 
 「佐々木さん」
 後ろの席から、私に声を掛けてきたのは、私達と同じく化学を希望している学生で、この前、
私にテニス同好会を見学に行かないかと誘った、田代さんと同じ寮生の、山川さんだった。
 「前から思っていたんだけど、――君と佐々木さん達は付き合っているの?」
 キョンの本名が彼女の口から出た時、久しぶりにその名前を聞いて、一瞬戸惑ってしまったが
、彼女が言わんとすることを理解して、私は首を横に振った。
 「ちがうわ。――君(この名前を私の口から言うのも本当に久しぶりの事だ)と私は中学時代か
らの親友なの。高校は別だったけど、大学は同じになったの。付き合っているとかそういう関係じ
ゃないわよ」
 「え、そうなの?すごく仲がよさそうだし、いつも一緒にいるから、てっきり付き合っているも
のだと・・・・・・結構そう思っている人は多いわよ」
 いつも一緒にいるのは涼宮さんではないかと私は思ったけど、よく考えれば、ここ(K大)では
、私とキョンは同じ希望課程を選択しているために、わずかではあるが、私といる時間の方が長い。
 「地元も一緒だし、昔馴染みだから話しやすいし、それに共通の友人がいるから、確かに一緒に
行動する時間は多いわね。でも、さっきも言った様に、親友関係で、付き合っているわけじゃないわ」
 ”それに――”
 彼には付き合っている彼女がいる、と言おうとしたとき、キョンが戻って来て、講師も講義室に入
ってきたので、山川さんとの会話はそこで終了となった。
 ------------------------------------------------------------------------------------------

 「キョン、講義が始まる前の、さっきの電話は何だったんだい?」
 講義の終了後、私は講義室を出るとき、キョンに尋ねた。
 「長東からの電話だった。伯父さんの所へ行く用事が土曜日にできたから、今日の夕方のYショップの
バイトの時間と変わってくれ、てさ」
 長東由希さんはキョンと同じアパ-トに住む専門学校に通うバイト仲間で、実家は有名な料理旅館だそう
で、キョンの料理が上達したのは、彼女がバイトを通じて、キョンに色々と料理を教えてくれたからだそうだ。
 彼女の伯父さんというのが、これまた慈照寺(銀閣寺)近くで有名な料理屋を営んでいる人で、彼女が料理の
才覚があるのもむべなるかな、という気もする。
 この前、キョンの部屋にお邪魔した時、ちょうど会うことができ、皆で自己紹介をしたのだけど、かなり気さ
くな感じで、私も涼宮さんも古泉君も、長東さんには好印象を持った。
 「ん?そうだとすると、キョン、君は今日の講義が終了した後は、時間があくという事かい?」
 「ああ。まあ、土曜日は何も予定をいれていなかったからよかったんだが、さて、今日は何しようか・・・・・・ハ
ルヒの奴は、テニス同好会だしな。古泉も付き合わされているし・・・・・・古泉にいつかお礼をしなきゃいかんな」
 キョンは少し困った様な顔をしていた。
 古泉君も別に無理やり涼宮さんにつき合わされているわけではない(それは古泉君がキョンに言っていた)の
だけど、高校時代からの様子を聞くと、キョンも古泉君も、涼宮さんにはかなり振り回されたそうで、それゆえに
、キョンは古泉君の事を気にかけているのだ。
 
 「キョン。古泉君には今度君が何か食事でもごちそうすればいいと思うけど、今日の夕方時間が空いたのなら、
買い物に付き合ってくれないか。さっきの講師の講義を受けて気付いたのだけど、今使っているテキストの基にな
る本を手に入れようと考えたんだ。後々で役に立つと思うんだけど」

44 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉:2014/12/19(金) 23:57:43.92 ID:5fqSDKOV
K大から少し離れたところにあるこの通りは、古書や古美術を扱う店が立ち並んでいる。
 観光客相手の商売、というだけではなく、地元の大学や好事家、歴史マニア、あるいは旦那衆の客も多いこの辺り
に並ぶ店の営業時間はそんなに長いものではない。
 聞くところによれば、夕刻の6時には古美術を扱う店の多くは閉めてしまうらしい。
 佐々木と入った古書店は、学術書専門の古書店で、ウチの大学や、他のトップクラスの教授、あるいは海外の専門
家たちが書いた学術書を格安で扱う店だった。
 少し初老の店主は、古都で商売する人間らしく、着物姿だったが、どことなくその風貌は学者の様にも見える。
 その店主が鎮座する店内に並べられている書籍は、人間が学び、発展させてきた知性の記録でもある。
 最新の研究はインタ-ネットで公開されているのも多いが、基礎となる学術研究はむしろ書籍で調べた方がいいこと
がある(これは日本では書籍及び資料の電子化が諸外国に比べ進んでいないという現状もある)。
 棚をいくつか見廻していたが、すぐに佐々木は目的の本を見つけたようだ。
 「あったよ。キョン」
 「早いな。もう見つけたのか?」
 「ああ。この本は大学の図書館にも置いてあるけど、あれは二冊しか置いてないし、借り出すのも不可能なんでね。ただK大
の出版物として出されたものだから、多分この店にあるんじゃないかと思っていたけど、大正解だ」
 「ん?K大の教授が書いたものだったのか?」
 「そうだよ。今習っている合成素定の考えの基礎になった研究に関して解説された物なんだよ。化学を学ぶ上でも応用でき
るすぐれものさ」
 そういう佐々木の顔は、どことなく満足げに見えた。
 元値の4分の一という、超お買得の値段で、二冊(佐々木と俺の分)手に入れた後、俺達は店を出た。
 途中で後ろを振り向くと、初老の店主はもう店じまいというように、表に出てきて、看板を中にしまいこんでいた。
 ---------------------------------------------------------------------------------------
 
 「そこでゆっくりしていてくれ。今からご飯を造るから」
 何度も皆でお邪魔しているキョンの部屋。
 いつもはここに涼宮さんと古泉君が加わっているけど、今日は私一人。
 古書店で目的の物を買った後、キョンと一緒にご飯を食べようと思っていたら、キョンが自分の部屋で一緒に食べないか、
と誘ってきたので、私はその通りにすることにした。
 いつもと違い、私とキョンの二人だけなので、見慣れた部屋が少し違ったものに感じられる。
 こまめに掃除しているという部屋は良く整頓されている。
 台所の方から、夕ご飯を準備する音が聞こえてくる。
 先程購入した本を開いて読んで待っていると、エプロンをつけたままのキョンが、出来た料理をお盆に載せて、いつも皆で食事する
時に使うテ-ブルの上に、料理を並べた。
 「へえ、季節感が良く出た料理だね」
 「ああ。グリンピースの豆ごはん、新じゃがと京筍のひき肉炒め、春若芽と薄あげの味噌汁。ひじきと蒟蒻と乾燥根菜の煮物。春か
ら夏に移り変る時期のおかずだそうだ」
 おそらくキョンのバイト仲間の長東さんにならったのだろう。
 「本当に美味しそうだ。早速いただこうかな」
 キョンと向かい合っていただきますと手を合わせ、キョンが作ってくれた、料理に箸をつけた。
 「うん、美味しい。いい味だね」
 「良かった。作ったかいがあるというものだ」
 「キョンの料理はとてもおいしいよ。涼宮さんや古泉君もいつも褒めているしね。最近は君の家で食事するのは、皆楽しみにしているからね」
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

45 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉:2014/12/19(金) 23:58:29.83 ID:5fqSDKOV
 美味しい料理を、キョンが作ってくれた料理を二人だけで食べる。
 それだけで、私は満たされた気持ちになる。
 中学時代、彼の背中を見ながら、彼の自転車に乗せてもらったあの時間。
 自覚無き淡い思い出。終わってしまった彼と私の繋がり。
 今、再びこの場所で、あの頃と同じような、心地よい時間を過ごしている。
 
 涼宮さん。
 私の親友、そしてキョンの彼女。
 心地よい感情の裏に、つねに付きまとう、彼女への複雑な思い。
 キョンの親友としての私。キョンの彼女としての涼宮さん。
 
 ”運命の相手、ね。果たしてどうなんだろうね”
 黄金週間(ゴールデンウィーク)に帰省した時に会った、国木田君の言葉が不意に蘇ってくる。
 国木田君はかなり含みのある言い方をしていた。それは私の複雑な思いに気付いていたのかもしれない。そしてあんな発言をしたのではないだろうか。
 昔なら笑って済ませたかもしれない。
 ”でも今の私は・・・・・・”

  ”迷える羊”
 そんな言葉が私の頭に浮かんだ。
 

46 :この名無しがすごい!:2014/12/20(土) 00:04:59.92 ID:dpQIy0Ta
>>32,33 >>36〜38 乙乙です。やっと書き込めるようになりました。
皆さんの作品をいつも楽しく読ませていただいています。

47 :この名無しがすごい!:2014/12/20(土) 14:53:23.05 ID:ZAJP0yW4
支援
キョンてば家事面の経験値爆上げですな
将来的に佐々木さん劣等感抱いたりしないか心配だw
でもって復帰おめでと

48 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2014/12/21(日) 14:11:52.47 ID:n2V2Ildy
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その11


古都も梅雨入りした六月。
 弱い雨が朝から降り続いている。梅雨らしいと言えば梅雨らしいが、洗濯物がすっきり乾かないのは、少々不満である。(まあ、乾燥機にかければいいのだが、電気代が跳ね上がる)
 去年よりはましだ、というのはおじさんの言で、去年は集中豪雨的に雨が降り、観光地も水害で被害を受けたのは記憶に新しい。それに比べると、今年は弱い雨が降り続く日が多いの
で、そこまで警戒しなくてもいいという事だった。
 「温暖化とかによる地球環境の変化が降りかかっているのかね」
 「そうだね。原因はいろいろあるだろうけど、ただその解決策の切り札として、僕らが今学んでいる化学変換や触媒技術が使えるだろうね」
 K大と三井化学の共同研究の一つに、二酸化炭素を触媒を用いて燃料に変える研究があるが、この前の教養講座の時にそれを教授から聞かされ、俺と佐々木は大いに興味を持った。
 化学という学問は、学べば学ぶほど面白く、無限の可能性を秘めているという事が、K大で学んでいると良くわかる。

 「キョン、お昼は何を食べようか」
 大学もバイトも休みの、雨降る休日、俺のアパ-トに、佐々木が来ていた。
 朝から来て、講義のまとめと復習をしていたのだが、すべて片付けると時計の針は、正午前三〇分を指し示していた。
 「そうだな。夕食はハルヒの所で食べるからな・・・・・・作ってもいいが、どこか食べに行くか。夕方まで時間もあるしな」
 今日、ハルヒと古泉は、テニスの練習試合で、他の大学に出かけている。同好会のくせに、あまりにも強いペアの存在が
話題になり、有名なスポ-ツ強豪大学のテニス部と親善試合を行うために出かけたのだ。
 ”雨の日でも試合ができる室内競技場があるんだって。スポ-ツ強豪校は違うわね”
 応援に行こうか?といったが、練習試合だからいいわよ、とハルヒは断ってきた。
 ”その代わり、今日の夕方、皆であたしのマンションに集合よ。夕食を一緒に食べるわよ”

49 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2014/12/21(日) 14:13:26.08 ID:n2V2Ildy
ミゼットUに乗り、雨の勢いが弱くなってきた街中に、佐々木と出かけることにした。
 もう少しすると、雨は止むかもしれない。空を見上げると、雨雲が移動しているのが見える。
 街中にも、傘を差した地元の人や観光客の姿が結構見受けられる。
 「雨で少ないかもと思ったけど、意外に多いかもね、お客さん」
 今俺達が向かっているのは、佐々木が入居している寮の学生から教えてもらった、地元の人が利用している、昔からある洋食屋で、値段も手ごろで、味も量も良いと評判のお店だった。
 大通りから二本ほど入った、少し細い道路を(この車だから余裕があるが)走り、寮生から教えてもらった目印である、煉瓦の装飾タイルの郵便局の所で右に曲がると、そこが目的の店だった。
 幸い空いていた駐車場に車を止め、店の中に入ると、お客さんは多かったが、俺達二人分の席は空いていた。
 窓際のその席に店員に案内され、俺と佐々木はその席に腰かける。
 外を見ると、雨が止んでいて、傘を差していた人たちが空を見上げて、傘を折り畳んでいた。
 「晴れてくれればいいんだがな」
 「確か天気予報では明日は天気が回復するとかいっていた気がするんだけど、当たったみたいだね」
 少し湿った空気にうんざりしていたので、それはそれでうれしいものである。
 
 休日だがランチがあるらしく、店員が持ってきたメニュ-を見ながら、俺と佐々木はしばらく思案した後、俺が牛カツとコロッケ、佐々木がハンバ-グランチを頼んだ。
 料理が運ばれてくる間、たわいのない会話を交わしていたが、そんなに待たずに料理が俺達の前に並べられた。
 「君のメニュ-も美味しそうだね。少し分けてくれないか。僕のハンバ-グも分けるから」
 「遠慮なくどうぞ。コロッケも食べていいぞ」
 そういいながら、俺達はお互いの物を切り分けてそれぞれの皿に載せた。
 「どちらも美味しいね」
 「寮生もいい店教えてくれたな」
 そうやって食事をしていたのだが、ふと気づくと店内の客の何人かが、佐々木と俺の方を見ては、ため息をついたり、声を潜めて何事か話していることに気付いた。
 ”佐々木に見とれているようだな”
 古泉も言っていたが、佐々木はハルヒと並ぶ超がつく美人である。大学生になって、大人っぽくなり、ハルヒと共に美人度がさらに増しているのだ。そりゃ人目も引くはずである。
 当の佐々木は、そんな視線を気に掛けることもなく、俺と話しながら食事を続けた。

50 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2014/12/21(日) 14:14:29.72 ID:n2V2Ildy
食事の後、佐々木の提案で、俺達は雨が上がった古都の街並みを散策することにした。
 今、俺達はこの町に住んでいるが、K大学で学ぶために来ている、所謂余所者であり、観光客とも地元民とも違う、ある意味中途半端な存在である。
 まだ大学生になって、さほど時間が経っているわけではないが、何となく俺は、卒業後はこの街に住むことはないのでは、という気はしている。それは俺だけではなく、佐々木も感じているらしい。
 「せっかく住んでいるんだし、学生時代の記念にいろいろ回るのもいいと思うよ。これだけ身近に観光スポットがある街も珍しいからね」
 
 俺達と同じように食事を終えた後と思しき観光客が行きかう、清水寺の子安堂に通じる坂道、所謂産寧坂(さんねいざか、三年坂ともいう)の古い街並みが軒を連ねる坂道を二人で並んで歩く。
 土産物が並ぶ店内を眺めていると、人目を引く細工物や数々の京都名物、定番のお土産物が目につき、思わず購入しようか、という気持ちになる。
 どうやら佐々木も同じようで、清水焼のお店の前で足を止め、店頭に飾られていた、兎と桜の絵が描かれたマグカップに見入っていた。
 値段を見てみると、一つ千円と、やけに格安だった。店主と思しき人間に尋ねると、季節商品で時期が外れたからという事だった。
 俺はそれを佐々木に買ってやることにした。
 --------------------------------------------------------------------------------------
 
 清水寺周辺を散策し、自分のアパ-トに戻ろうとしたとき、ちょうどハルヒから連絡が入り、今、古泉と戻ってきたという事だった。
 「ご飯の準備するから、キョン、あんたも佐々木さんを連れてすぐ来なさいよ」
 その言葉に従い、俺達はハルヒのマンションに直行することにした。
 マンションの地下駐車場に車を止め、携帯を鳴らしてしばらくすると、ハルヒと古泉が駐車場に降りてきた。
 「お疲れさん。親善試合、どうだった?」
 「もちろん全勝よ。まあ親善試合だから、そこまで向こうも真剣じゃなかったんじゃないの?」
 古泉の方を見ると、苦笑いを浮かべている。どうやら、今回も相手方はハルヒ達にコテンパンにやられたようだ。
 ”全くこいつらときたら・・・・・・”
 規格外はハルヒだけでなく、古泉にも当てはまるのかもしれない。
 古泉のアクセラに乗り換えて、俺達四人は、夕食の買い物に出かけることにした。

51 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2014/12/21(日) 14:16:10.64 ID:n2V2Ildy
 「で、夕食はハルヒ手作りのハンバ-グ、というわけか?」
 ひき肉と玉ねぎ、それと香辛料と豆腐を買い込んでいるのを見た時、何となく予想はしていたが、見事に今日の昼、俺と佐々木(おもに佐々木)が食べたものと重なる夕食となった。
 「まあ、キョン。確かにハンバ-グだが、昼に食べたものとは違うわけだし、涼宮さんの手作りなわけだ。また違った美味しさが味わえる」
 「そうよ。まずは食べてみてからよ」
 佐々木が納得しているならそれでもいいか、と思い、手を合わせて俺達四人はハルヒの手作りハンバ-グに箸を付けた。
 「美味しい。さすが涼宮さんね。とても優しい味がする」
 「あたしの愛情がたっぷりこもっているからね。どんどん食べてね」
 佐々木の言葉に、ハルヒは得意げな顔をして胸を張っていた。

52 :この名無しがすごい!:2014/12/21(日) 16:20:59.15 ID:vX2asgin
支援
今回はどうにもお腹が減る話だ

……ちょっと早いが炊飯器に活躍してもらおう

53 :この名無しがすごい!:2014/12/22(月) 18:46:34.98 ID:z+VnNSKr
冬至という言葉に引き摺られ南瓜じゃなく冬瓜を買ってきてしまった妹ちゃんを、キョンと一緒に慰めながら料理を手伝う佐々木さん

54 :この名無しがすごい!:2014/12/24(水) 23:40:17.15 ID:K+e1oJfS
今夜は留守の佐々木さんち

55 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2014/12/24(水) 23:43:10.76 ID:Ck7u1CRR
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その12

 
 7月の始めに、気象庁は去年より一週間ほど早い、古都の梅雨明けを宣言した。
 去年のような集中豪雨による災害も起こらず、去年の災害の事も記憶に新しい地元の人達は、胸を
なでおろしていた。
 と同時に、7月に入り、日本三大祭りの一つにして、古都最大のイベント、一月も続く祇園祭りが
幕を開け、街中に、地元の人々のどこか落ち着いた、それでいてその裏にあふれるような熱気が籠った
高揚感が立ち込めていた。
 それに伴い、古都を訪れる観光客も、当然の如く増えて行った。
 「最近、一段と観光客の数が増えてきたよね」
 「あたしのお店も府外のお客さんが増えてきたわ。さらに忙しくなってきたのよ」
 ハルヒがバイトする『嵐山瑞兆』のみならず、長東の実家の料理旅館や親戚の料理店もお客が多いらしく、
俺がバイトするおじさんお居酒屋もお客さんが増えていた。
 「うちのお店は完全に地元民のお店なんだがな」
 「今、観光に来る人の間では、観光客相手のお店だけではなく、地元民御用達のお店で地元の方々が食べら
れているものを味わうというのが一つの流れになっているようです。ネットの発達でそういう情報もすぐに
広まる時代ですし。貴方のお店もサイトに掲載されていましたよ」
 そういって、古泉はそのサイトを表示してくれた。
 「平均数値が☆5つのうちの3.58か。案外いい感じだな」
 「実はうちの親戚がお邪魔させてもらいましてね。貴方の作った料理を食べたそうです。生麩田楽の木の芽
味噌焼きとか言っていましたが、大変気に入ったそうですよ。さりげなく京都らしさが感じられると」
 この前、長東に習ったものを俺流にアレンジしたやつで、結構評判がいい肴である。
 「今度僕も食べてみたいですね」
 「なら、お前が勉強しに来たとき、作ってやるよ」
-------------------------------------------------------------------------------------------
  高校と大学の最大の違いは、夏期休暇、所謂夏休みの日程なのだが、K大では、7月後半から8月3日まで
が(一部学部により違う箇所あり)試験期間であり、8月6日から9月いっぱいまで休暇となる。
 7月に入ると同時に、俺達四人は試験のための復習と勉学に力を入れていた。
 四人で集まり、皆で討議したり、問題を解いたり、論文を組み立てたりするのだが、その会場となる場所は、
俺の部屋だった。
 バイトの関係で必ずしも四人が揃うわけではないが(ついでに書けば、ハルヒと古泉のテニス同
好会は、試験前という事で、活動休止中である)、ここ最近は誰かが俺の部屋にいる状態で、泊まり込む事す
らある(一応佐々木は寮生だが、門限を過ぎて帰れないときは、寮の管理人に連絡を入れればよい。外泊が禁
じられているわけではない)。
 それに伴い、最近は俺の部屋に他の人間の荷物が増えてきており、洗面台には四人分の歯ブラシとコップ、
風呂場にはそれぞれのコスメ用品、食器も増え、ハルヒにいたっては簡易箪笥まで持ち込み、佐々木と共に三
日は泊まりこめる着替えを入れ(古泉も俺の箪笥の空きスぺ-スに着替えを入れている)、ベットをハルヒと佐
々木が使用する時は、俺と古泉は寝袋、布団というありさまだ。
 そんなに皆、自分の住処から離れているわけではないが、何故か帰らず泊まり込むのはどういう事だ?と俺は
首をひねるのだが、
 「いや、貴方の部屋は居心地がいいんですよ。各自の部屋で一人でいてもつまらない感じがありますので。
それなら僕等四人でいた方が勉強も進むし、楽しいわけで、皆がここに集まるのは当然です」
 古泉のさわやかスマイル月の説明を聞いていると、何となくそんなものかな、と思ったりするのだが、まあ
この四人でいると楽しいのは俺も同じなので、この状況をずるずると受け入れてしまっていた。

56 :この名無しがすごい!:2014/12/25(木) 12:35:12.53 ID:kvbZGqoz
支援
さすがに女性陣下着類はその都度持参だよね
狙って置いとくという手もあるが

57 :この名無しがすごい!:2014/12/26(金) 22:23:21.67 ID:ymoLWMqq
>>56 もちろん勝負下着はおいています・・・・・・かな?
 古泉「すいません。それは僕のです」

58 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2014/12/28(日) 23:24:50.02 ID:wmUpCVi8
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その13

「息抜きに行くわよ!」
 試験を一週間後に控え、4人での合同勉強に打ち込んでいた休日の昼前。
 涼宮さんの一言で、私とキョンと涼宮さんと古泉君は、ちょうどこの日、祭りの見どころの一つである
前祭山鉾巡行が行われている,京の大通りへと出かけた。
 根詰めて勉強していたので、涼宮さんの気分転換の提案はちょうどいいタイミングだったと思う。勉強
は嫌いではないが、続けてやるとさすがに疲れる。
 午前9時から行われる前祭山鉾巡行を見るため、すでに大勢の観光客が街にあふれている。
 「これは、予想以上だな」
 京都名物、盆地の暑さもものとせず、祭りの熱気を共に味わおうとする人々の波に、私達も飲み込まれて
行く。
 -----------------------------------------------------------------------------------------------

 祇園祭。
 世界でも例を見ないほど長い期間続く祭り。千年以上も前より受け継がれるこの祭りの始まりは、実は「恐れ」
がその起源にある。
 華やかに見えるこの歴史の都は、度々自然災害や疫病に襲われ、多くの死者が出た。
 祇園祭は八坂神社の祭礼行事だけど、その八坂神社の祭神は牛頭天王。
 さまざまな説があるが、おそらくは平安初期、度々流行した疫病をつかさどる神であり、その神による災厄を
沈めるための祭りが祇園祭なのである。
 これと似た祭りは台湾の王爺信仰があげられるが、神々は幸せをもたらすだけではなく、災厄を運んでくる恐
ろしい存在でもあった。
 神々の災厄の力の前に、薬もワクチンもない時代、人々はなすすべもなく、無力な存在であり、祈るしか方法
はなかった。
 祭りの裏側に潜む、恐れの感情。人々は災厄を免れた喜びと恐怖が一体となり、一種の高揚感による入神状態
(変性意識状態、いわゆるトランス状態)となり、祭りに熱狂する。踊狂現象といわれるものの正体がこれだ
(踊狂現象を日本独自の物という人間がいるが、これは全く出鱈目の勉強不足であり、キリスト再降臨の時が来
ると言われた中世欧州においても度々見られた現象である)。

 祭りの熱狂の渦が、私達に迫ってくる。千年の時の間、人々に受け継がれた祭りの”気”が私達を包み込む。
 ---------------------------------------------------------------------------------------------------
 ”!”
 気が付くと、キョンや涼宮さん、古泉君の姿が見えない。
 ”みんな・・・・・・”
 人々の歓声が辺りに響く中、私の意識がまるで周囲から切り離されたような気分に陥る。
 昔、これに似た感覚を一度経験したことがある。
 私の名前が生まれた時の名字から”佐々木”の名前と変わった日。
 家を出て行った父の、私の方へ背中越しに顔を見せた父の姿を見送った、あの日、しばらく立ちすくんでいた玄関
出、私は今と同じような感覚に襲われた。

 ”キョン!”
 心の中でその名前を呼んで、思わず手を伸ばした。

 

59 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2014/12/28(日) 23:41:49.68 ID:wmUpCVi8
「佐々木」
 自分の名前を呼ぶ声に、はっとして我に返る。
 目の前にキョンの姿があった。
 「キョン」
 「大丈夫か?佐々木。何かぼうっとしていたぞ」
 「ああ。すまない。祭りの雰囲気にのみ込まれていたようだよ」
 「お前もか。俺ものみ込まれていて、気付いたら誰もいなくて、皆ばらばらになっているしな。
佐々木が近くにいたからよかったよ。多分ハルヒと古泉も近くにいるはずだ」
 キョンは安堵したような表情を浮かべた。
 「とりあえず、佐々木。俺の傍から離れるなよ。この人ごみの中じゃ、離れると捜すのも大変だから」
 「そうさせてもらうよ。そうだ、キョン。はぐれないように、君の腕をつかんでいてもいいかい?」
 「ああ。かまわないぞ」
 「それじゃそうさせてもらうよ」
 そういって、私はキョンの腕をつかんだ。

60 :この名無しがすごい!:2014/12/29(月) 08:52:22.39 ID:nn3PDZZy
支援
たまに見る赤熱した炭の上を歩く儀式の人達も似たような精神状態なんかな>トランス状態

61 :この名無しがすごい!:2014/12/30(火) 21:46:59.75 ID:a72qJD7e
キョンと二年参りの予定が悪天候のためお流れになりそうでしょんぼりな佐々木さん

62 :廃神が祈る:2014/12/30(火) 23:10:46.51 ID:3JTg1iYy
 特に大ヒットの歌謡曲があったわけでもないし、雪の女王は佐々木と一緒に見に行ったし、妖怪という歳でもない。
 結論。紅白歌合戦を最後まで見るまでもない。
 音楽業界の低迷を感じながらそろそろチャンネルを変えようかと思っていたときのことだ。
 佐々木から二年参りの誘いが来たとき、そんなわけでさして未練もなく俺はテレビの前から立ち上がった。
 そろそろ動きの鈍くなってきたシャミセンと戯れていたはずの妹も何故か一緒に動きが鈍くなってきているので、肩に毛布を掛けてやる。
 お前な、小学生の頃と変わらんのはどうかと思うぞ。
 ぼやきながらおふくろに一声掛けて出かける。
 誰と出かけるかは説明するまでもないので特に詮索もされない。
 この家で過ごす年末も今年限りだと思っていたのだが、おふくろとしては特に感慨も無いらしい。
 どうせ予定の新居が近くだからと思ってやがるな。
 事実だが。

 一足先に神社に着いたので、スマートフォンを取り出してしばし敵陣からポータルを取り返す作業に勤しんでいると、ほどなくして佐々木が来た。
「やあ、待たせたようだね」
「いいや、いま来たところさ」
「ポータルが染まり始めた時間はなかなか早かったようだけどね」
 まったく、どこにいてもやっていることがわかる時代というのは不便なものだ。ろくろく嘘も付けない。
 佐々木の右手を掴んでコートの左ポケットに押し込み、さっさと本殿に向かうことにする。
「照れ隠しならもう少し上手くやりたまえよ、くっくっ」
 やかましい、バレてることまで承知の上だ。

 ざわめきの中に遠く除夜の鐘が聞こえる中、とりあえずの目的を達成する。
 祈るべきことはいろいろあるんだろうが、家内安全、でいいだろう。
 来年は祈願が増えている可能性があるが。
 二礼二拍一礼を終えて横を見ると、佐々木が神妙な顔で拝礼していた。
「神が神に祈る、というのも不思議なものだな」
「……おや、懐かしい話題で来たね」
 瞑目していた瞳を開けて、佐々木が挑戦的というか悪戯そうな顔で笑った。

 甘酒をすすりながら緋毛氈の上で身体を寄せ合い、大量の参拝者の中でこっそりと不可思議な話に興じることにする。
「神、といっても定義が複雑すぎてね。日本の神と西洋のGodは違うという話はしたかな」
「多神教と一神教の話くらいは理解しているさ」
「だとしたら話は早いさ。情報統合思念体くらいになればそれこそ神にも等しいと呼ばれる存在かもしれないが、真なる創造主としてのGodとはやはり別物だ。
 そして、僕も涼宮さんも、部分的なクリエイターではあったけど、宇宙そのものの設計に関わったわけではない」
「閉鎖空間の創造では足りんか」
「それもこの世界をベースにした改変コピーにすぎないからね。クォークとレプトンとして僕らが読んでいる素粒子から創造した原初の設計者の功績をそのまま真似しただけのことだよ」
「結論から言えば、お前も多神教の神の一部でしかなかったということか」
「そのくらいに見下してもらえると有り難いね。旦那様に崇拝される家庭というのはあまり健全ではないし、個人的にも遠慮したい」
「そんなものでいいのか」
「そんなものでいいのだよ。もはや僕は神ではないし、なりたくもない。今しがた祈ってきたこの神社の祭神たちははるかな昔の人間だったはずだが、彼らも果たしてどこまでその環境を喜んでいるものかね」
「おい、初詣のご利益が型なしになるぞ」
「いいのだよ。君が祈ってくれることが僕には重要なのだから。ところで、先走って安産祈願などしなかっただろうね」
「来年はしてやるからな。覚悟しろ」
「ああ、楽しみにしているよ。僕は、人間でよかった」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
うん、しょんぼり佐々木さんがかわいそうで書けなかったんだ。許せ。

63 :この名無しがすごい!:2014/12/31(水) 06:40:18.64 ID:P9kwoTjH
乙乙なのです
作中時間から10年までは経ってないかな?紆余曲折を乗り越えた(であろう)二人の未来に幸多からんことを

最初寝ぼけ眼に廃神が魔神に見えてどんな話なのかとびくっとしたのは内緒w

64 :『ふらくら時間14』:2014/12/31(水) 21:28:55.96 ID:1QytCAPw
カップ蕎麦を咀嚼し、飲み込む。
こんなありふれた年の瀬。
コタツに向かい合い、どてらを着る程に心を許した関係。

本日は生憎の天気模様で、二年参りには行けず。
そんな私に、彼は言った。

「別に毎年晴れるわけでもあるまいし。」

彼が気を使う言葉を言う時。その大半は、私の顔が歪んでいる時だ。
やはり気落ちは付き物なのか。ポーカーフェイスには自信があったのだが…。
「お前は表情でなく、態度に出る。」
「そうかい。それは知らなかったよ。」
慇懃無礼な態度で照れ隠し。
そんな私も、貴方は気付いているのかしら。

除夜の鐘が響く中。

伝えたい事は山とあるけど。

「…どうした?寒いのか?」
「そうだね。キミの近くにいれば寒くはないと思うよ。」
「あぁ。シャミセンが膝の上にいるからな。」
「……。」

こうして貴方と過ごす、なんでもない年の瀬。

「…ん?電話?橘さん?え?二年参りに行って涼宮さん達に出くわした?」
「あ?橘、一体何を…」
「で、未来人が拷問されて、私がキョンの家にいると喋った?え?ちょ…」
「お、おい!俺の携帯の着信履歴が、ハルヒと長門で埋め尽くされ…!」

ふらくら時間〜♪

END

65 :『ふらくら時間14』:2014/12/31(水) 21:30:43.86 ID:1QytCAPw
佐々木さんのしょんぼりという事でw

また来年も宜しくお願いします*\(^o^)/*

66 :この名無しがすごい!:2014/12/31(水) 23:24:16.62 ID:P9kwoTjH
しみじみとした雰囲気がオチでワラタww乙乙
今年もたくさんSSありがとうございました、来年も良い年でありますように
良いお年を!

67 :この名無しがすごい!:2014/12/31(水) 23:43:43.99 ID:B8QNmtZC
ああ、見事にぶち壊しに……ww

常連の皆様、今年も一年ありがとうございました。
来年も引き続き素敵なSSを読ませて下さい。

68 : 【大吉】 【880円】 :2015/01/01(木) 08:51:08.48 ID:PsNqOxBT
あけましておめでとうございます
佐々木さんにハルヒちゃんで出番ありますように今年こそ声が付きますように

69 : 【犬】 【1303円】 :2015/01/01(木) 22:01:01.27 ID:WzhYS1P8
お年玉

70 :『ふらくら時間15』:2015/01/02(金) 23:18:03.05 ID:W1rsikCl
お正月。せめて松の内位、ゆっくりしていたいものであるが、やはり平穏とは程遠いのが我が定めのようだ。
新年会と称した、俺の財布にダメージのみを与える集まりがあり、禁酒を誓ったはずの蟒蛇は地に伏し…地獄絵図と化した我が家で、異様な位に陽気なのは、我が親友。
脳細胞がアルコールで焼き切れたのか、壁に向かい日頃の愚痴を溢す古泉に、その愚痴をシャミセンに向かい同意を求める橘。
轟沈した朝比奈さんを介抱しようとする、スケベ心全開の藤原を長門と周防が「ここは全年齢対象」と言い叩き伏せ…
「ん?キミのグラスは空いているようだが?」
と、半分酔い潰れている俺に親友は絡んできた。うむ。酒臭い。
「しかし、酔うとこうなるんだな…ハルヒのアホの癖の悪さは知っているが…。」
「ほぉう?キミは涼宮さんとアルコールを摂取した事があるのかね?」
…失言だったな。佐々木は睨めつけるような目で俺を見ると、幸せそうに眠りこけるハルヒを見た。
寒いのか、ハルヒは仰向けに倒れた朝比奈さんの元に這っていくと…
おもむろに特盛りに顔を沈めた。

「んにゃぁぁああ!」

…すまん。ここからは略すぜ。
驚いた朝比奈さんが、唐突な腹部の圧迫に…その、アレだ。お食事中の方はすまん。
汚れまくった二人を、長門と周防が連れ出す…。

古泉は壁に寄りかかり、ダウン。橘は尻を突き上げた格好でダウンし、シャミセンが頭を肉球で叩いている。
古泉。頼むからその位置から動くな。もしも横に倒れたら、橘の尻に顔を臥せるという悲劇が待っている。
そうなればフォローの言葉が思いつかん。
今日は橘はスカートでない事だけが最低限の救いだ。

「…キョン。下世話だが、どうなるか興味はあるね。」
佐々木はそう言うと、しげしげと橘の尻を見る。
「ほら、見てごらん。橘さんは今日は下着のラインが出ないようにTバックのようだよ。」
「見れるか!」
佐々木がくっくっ、と含み笑いをする。
「紳士だねぇ。リビドーに任せるお年頃ではないのかい?」
「酔っ払いは寝ろ!」
俺は乱雑に佐々木に毛布を掛ける。
佐々木は俺の手を引き…

「そうだね。大人はもう寝る時間だ。」

…と、身体を引き寄せた。

71 :『ふらくら時間15』:2015/01/02(金) 23:46:03.01 ID:W1rsikCl
「おい!俺は酔っ払いの相手なんてする気はないぞ!」
「くっくっくっくっ。そういったところで身体は…む?」
佐々木は、下を向く。
「…いかん。僕とした事が。」
漸く止まってくれたか、親友よ。さあ早く寝ろ。俺はゆっくり身を起こすが…
「キミの体調を考慮に入れてなかったよ。」
と、ある一部を見詰めながら言った。

…アルコールで不能になる奴もいるという話だが、俺はそのクチのようだ。

だが、知りたくない話だ。俺は佐々木のつむじにチョップを食らわす。
「酷いじゃないか!キミがアルコールによる一時的な性的不能で、欲求不満だからといって、僕に対する攻撃的気勢に走らないで頂きたい!」
「誰が欲求不満だと言ったーッ!」
佐々木は、よろり、と後ろに手をやる。
「という事は…他で満たしているのかい?!」
「満たせるか!冒頭で長門と周防が言っただろうが、ここは全年齢対象だとーッ!対象年齢を引き上げんな!ただでさえ際どいセリフや言い回しが多いんだぞ!」
きょとん、と佐々木は目を丸くすると…そそくさと俺の胸に来た。
「…分かった。止む無くだが我慢しよう。憤懣遣る方無いが、致し方無い…。是非も無し。」
…くどいぞ、親友。
「…代わりの提案をしよう。キミが僕に『愛している』と言えば、僕は大人しく床につこう。」
…お前は何を言っているんだ?
暫し躊躇していると、佐々木の目に涙が浮かぶ…。
「…オーケー。分かった。言ったら寝ろ。」
言葉一つで地獄から解放されるのならば安いものだ。…それに、酔った上の不埒だ!これは!
佐々木の目が輝く。何度も深呼吸をし、その言葉を小声で言ったその時…

…お約束の如く、親友は安らかな眠りについていた。

佐々木を横に寝せ、自己嫌悪にドップリと浸っていると、情報操作で汚れを綺麗にしたハルヒ達が戻ってきた。
「…佐々木◯◯を敵性と判定。」
長門が小さく呟いていたが、何の事かさっぱりだ。
狂乱の末に飲み会は終わりを迎えようとしていたが…俺はもう一人の馬鹿の事を忘れていた。その馬鹿は、極上の笑顔で皆に叫ぶ…。

「現地人が佐々木を襲ったぞ!」

…いや、襲われかけたのは俺だ!
そこからは理解出来るよな?わざとのように説明を遅らせた長門が止めに入るまで、俺はハルヒ達に叩きのめされ…
「…すまない。涼宮さんとお酒を飲んだまでは覚えているんだが…。キョン、本当の事を教えてくれないかい?」
という親友の言葉に、本当の事が言える訳もなく、途方に暮れた事が全てだよ!

『ふらくら時間〜♪』

「お前は二度と酒を飲むな!」

END

72 :『ふらくら時間15』:2015/01/02(金) 23:48:50.75 ID:W1rsikCl
未成年の飲酒いくない。

久々にエロ攻め佐々木が書きたくなったので、キョンには悲惨な役回りをして貰いましたw

73 :この名無しがすごい!:2015/01/03(土) 00:27:17.51 ID:ZkvDIQup
うわあ、フラグとは別のものが折れたああ!?w
しかし、その言葉を口にしたときには既に寝ていたのか、
それとも聞いて安心して寝たのかね、佐々木さん。


これがギリギリだとすると私が今書いてるのは完全にアウトなので
おとなしく18禁板に上げることにしよう。

74 :この名無しがすごい!:2015/01/03(土) 08:53:11.87 ID:QwrBMHJy
ワラタGJ!
阿鼻叫喚の地獄絵図……と感じるのはキョンだけというのがまた悲劇にして喜劇w
そういえば古泉は結局セーフだったのだろうか

>>73
その際は誘導お願いします〜

75 :この名無しがすごい!:2015/01/09(金) 18:47:03.32 ID:tJUwkp49
ようやく正月前の体重に戻った佐々木さん

76 :この名無しがすごい!:2015/01/14(水) 00:13:36.67 ID:S2J2jkSp
まとめwikiってアダルト禁止なんですね。当然か・・

77 :この名無しがすごい!:2015/01/14(水) 19:56:48.14 ID:pCPdo0rc
大先輩にあたるVIPのハルヒスレまとめはカテゴリ分けされた上での掲載だったけど、ルールが違うのか変わったのか

にしても最近鯖落ちばっかだね(´・ω・`)

78 :この名無しがすごい!:2015/01/16(金) 00:12:44.45 ID:TH+FuokK
エロパロ板の谷川流先生総合スレッドに佐々木さんSSを投下しました。
「今流行の異世界とやらに行ってみた」
というタイトルで、キョンと佐々木さんが異世界に行って
佐々木さんがひどい目にあいます。

それでも構わないという方向けのニッチなものになってしまいました。

79 :この名無しがすごい!:2015/01/16(金) 19:39:21.22 ID:9lkSx2HB
書き込めるかな?読んで来た乙乙
言うほどエロは無かったけどやっぱりあそこじゃなきゃダメなんかね
仮に佐々木さんが世界改変の力を行使したとしても、物理法則は変わらない派なのであの世界にはさほど違和感無かったです

80 :78:2015/01/19(月) 02:18:29.77 ID:T+dtItSy
>>79
ありがとうございます。
もう少し削ったらこちらでもよかったかもしれませんが突っ走りすぎました。

人体がそのまま活動できる時点で、当該世界におけるクォークとレプトンから構成される物理法則も元素は同じ、
なんてことまで佐々木さんに喋ってもらうつもりでしたが、
話が脱線しすぎるので書けませんでした。
でも、確かに改変したからといって重力法則とか電磁気学の法則とか変わらないんですよねえ、ハルヒも。
そうなると、宇宙法則から編み出した創造神ではない、という推論にいきつくわけでして。

81 :この名無しがすごい!:2015/01/19(月) 02:39:41.43 ID:1EnDKmVt
昔はVIPとかでも読めたのに…

82 :この名無しがすごい!:2015/01/19(月) 12:31:44.69 ID:w2jpYuBv
>>80
そこはまた解釈が分かれるところですね
ハルヒの場合は「変わったことに気付かない」派でもあるので
教科書どころか宇宙開闢からこっち情報全て書き変わってるのならどう足掻いても変化把握できませんし

83 :この名無しがすごい!:2015/01/19(月) 16:20:05.40 ID:ZBftUzHt
ハルヒのベース世界はひそかに阪神の暗黒時代が
「なかったことに」改変されている世界な気がする

84 :この名無しがすごい!:2015/01/20(火) 07:08:57.94 ID:UY1H37xi
親父に球場連れてってもらった年は下位だったから嫌な思い出として残ってたりして
佐々木さん転校も時期的にその頃?

85 :『暗黒期と黄金期』:2015/01/20(火) 15:58:07.92 ID:w1INGJYv
書いてみた。

プロ野球。今シーズン、我が地元の檻は何位かよりも、フランチャイズがお隣りにある球団の方が人気という何たるちあなこの状況。
ダメ虎だの揶揄されても、何だかんだファンがいる時点で十二分に愛されているというわけかね?
牛にしても頑張っているのにな。
庶民の足たる電鉄会社が球団を持っていたにも関わらず、うち一つは九州に移転。我が兵庫よりも大阪のほうが高校でも野球人気は高い。
これで北海道に移転した球団のファンだった、あの理屈好きは何と答える事やら。
体育の授業。持ち回りでピッチャーをやり、佐々木直伝のイーファスボールで谷口を仕留めた後、国木田は俺に声をかけてきた。
因みに佐々木直伝のイーファスボールについてだが…佐々木は所謂運痴であり、山なりのボールしか放れない事を伝えておく。つまりはそういう事だ。俺もあまり変わらん。
「ねぇ、キョン。今年は阪神のV9越えに期待がかかるよね。」
あぁ…ダメ虎の逆V9か?同じく千葉のダメ球団と逆日本シリーズでもやろうというのかね。
「エース藪も好調、川尻、メイ、船木の先発4本柱。どれも楽しみだよね!」
船木?奴は評判倒れの役立たずだった気が…。混乱する俺に、谷口が声をかけてくる。
「新庄、グリーンウェル、大豊の重爆クリーンナップに、坪井、今岡の成長…今年も盤石だよな!」
…おかしい。グリーンウェルは神のお告げで帰国して、今は遊園地で観覧車に乗りながら過ごしているはず…!時系列が合わない…!
そんな中、ハルヒが俺に飛び付く。
「球界ナンバーワンキャッチャーの木戸と、セカンドの和田と、今牛若丸の久慈!最高よね!」
…あ、頭がおかしくなりそうだ…。痛む頭を抑えつつ、適当に相槌を返すと俺は授業を抜け出して団室に向かい、パソコンを立ち上げた。
検索結果。

阪神、V9ロード驀進中。

そこが俺の限界だった。

86 :『暗黒期と黄金期』:2015/01/20(火) 16:28:21.82 ID:w1INGJYv
気が付くと、俺は公園のベンチに倒れ、佐々木の膝枕の上であった。
後に古泉に聞くと、唐突にハルヒの肩を掴み
「時系列に合わん!グリーンウェルは自打球で骨折して神のお告げだと言い、無理矢理建て替えさせたマンションを放置し、三億を持っていったクソ外人だし、久慈と大豊は同じチームになった事などない!」
と、懇々と語り…ダメ虎主義の朝倉、谷口、何故かそこにいた藤原、更には橘にまで制裁を受け、ズタボロにされて公園に転がっていたのだという。
佐々木が俺を発見した時…
ご丁寧にトランクスを半分脱がされて、頭の近くには丁寧に畳まれたブレザー一式が置いてあったそうだ。
…今はブレザーを着ている。佐々木が着せたというが…
…心なしか佐々木の頬が赤い。
「…まぁ、触っていると少しね。いやかなりね。単なる生理現象だ。僕は何も気にしてないよ、親友。」
口唇のあたりが湿っているが、一体何が何やら。兎に角、いまの話題はダメ虎だ。
「…成る程。確かに僕達が知る歴史からしても、荒唐無稽だね。」
佐々木はさっきから何枚もガムを噛んでいる。そんなに噛んだら腹下すぞ。
「まぁ…野球ファンとしては歯痒い結果だが、結果として野球人気が高まっているのはねぇ。見たまえ。」
…そこには、世紀末状態のような光景が広まっていた。
兎対虎…各地で小競り合い…最早何処かの国のフーリガンの集まりだ。
「まぁ、僕としては、アドバイス出来るのはただ一つ。この世紀末状態を止めてくれる事だよ。公の立場が無くなる。」
…やはりこいつも筋金入りの野球ファンか。
俺は佐々木に礼を言うと、学校へと走った。佐々木は穏やかに頷くと、赤い顔をして口唇に指をやり目を閉じた。…何なんだ?一体?

…公園の前。俺を迎えたのは…
仁王の如く立ちはだかるハルヒであった。
「心配して見に来てみたら、佐々木さんの膝枕とキス?良い身分ねぇ…?!」
「さ、佐々木とキスなんぞしとらんぞ!」
ハルヒの背後からドス黒いオーラが漂う…。だ、誰か…!

「待てぇ!暴力は良くない!あと、事実を捻じ曲げるのも良くない!」

それが俺の覚える限り、最後のセリフだったはずだ。

87 :『暗黒期と黄金期』:2015/01/20(火) 16:49:22.89 ID:w1INGJYv
…翌日。
「昨日は大変な御活躍だったそうで。」
嫌味の眩しい古泉。
「お陰様で寝不足ですよ。幸い今回はどうにかなったから良かったようなものの…」
くどくどと説教を受ける。
そんな中、長門は口を開いた。
「世界の一部は改変された。」
古泉が青くなり、長門に問うと…虎の記録が元に戻り、一試合だけ改変されたという。それは単に記録の問題であり、あまり影響もない些末な改変だったようだ。
記録を古泉と見てみると…そこには。
…正史より、ほんの少しだけ頑張った阪神の結果がついていた。
「恐らく、涼宮ハルヒは観戦に行った試合の結果のみを覆した。」
「んっふ…。楽しい思い出にしたかった、という事ですかね。」
…まぁそれでも大した改変だが。

学校ではハルヒが机に突っ伏していた。
席に座ると、下敷きを下に敷いて突っ伏しているようだ。

そこには恐らく、ハルヒにとってのヒーローの下敷きなのだろう。俺は苦笑すると、今年の兎が何位になるかを考え、背伸びをした。

神様も応援しているぜ。なぁ。

永遠の背番号3。

『代打の神様』八木。

…なお、昨日言い出した佐々木とのキス話は、夢でなく現実として捉えられており、団活時に吊るし上げに遭ったのは、また別の話だ。

「覚えていない事は、カウントにならんという事ではないのか?」
「アンタ、エンドレスエイトに喧嘩売ってんの?!」
「…ユニーク。」

END

88 :『暗黒期と黄金期』:2015/01/20(火) 16:59:42.22 ID:w1INGJYv
1001、ヤニキ加入後のFA阪神より、ダメ虎のほうが愛着ありました。
ハルヒ=虎でしたので、ダメ虎時代をベースに書きましたが、本当はベイスで話を作りたかったのですよ…

因みに。
グリーンウェル→95年引退
大豊→97年阪神に加入
久慈→97年中日へ移籍
です。

89 :この名無しがすごい!:2015/01/20(火) 17:31:53.48 ID:GIk/6GrW
乙乙

そして大豊さんの早すぎる逝去に涙……
あの10・8の四番で、その年のエース昌さんはまだ現役だというに……

ひーやんと新庄が「俺たち失策王争ってマースw 清原さん、三振王争いも負けへんでww」
とかやってた時代があったなあ。
いくらなんでも笑ってる場合か、と思いながら笑ってたが

90 :この名無しがすごい!:2015/01/20(火) 19:18:00.44 ID:UY1H37xi
ハルヒちゃんを思わせるカオスっぷり乙乙ww
どうせもう殴られたのだし、せっかくだから記憶に残るキスを佐々木さんにせがんでも許されると思うぞキョン

91 :この名無しがすごい!:2015/01/20(火) 22:16:18.03 ID:NePodwV8
乙です。いつも楽しいSSありがとうございます。

92 :この名無しがすごい!:2015/01/20(火) 22:23:09.17 ID:NePodwV8
このスレッド、時々おかしくなりますよね。今見ている状態では投稿した
作品が消えています。どうなっているのでしょうか?

93 :この名無しがすごい!:2015/01/20(火) 22:34:10.75 ID:fqcxfVsD
>>87
覚えているか覚えていないか、それが問題だ。
……うん、問題だ。特にハルヒ作品全般ではなあ。
大阪人のわい、東の某球団みたいなFA阪神なんぞみとうなかったわい。

>>92
失礼ながら、お姉さまか御弟君ですか?
2ch.netではなく ○. sc の方に連載が書き込まれてる形跡があったもので。

94 :この名無しがすごい!:2015/01/21(水) 22:04:03.75 ID:kWPmgDej
>>93 はい、そうです。2chと○. sc と二つあるんですか?とりあえず
そちらをみてみます。教えていただきありがとうございました。

95 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/01/21(水) 22:16:29.11 ID:kWPmgDej
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その14


 祇園の祭りが終わり、夏期試験も終えた八月の初旬。
 大学は長い夏期休暇に入ったが、俺達四人はすぐには地元には帰らなかった。それぞれバイトや課題の為に京都に残っていたのである。
 研究やクラブ活動の為に大学に来ている生徒も多く、一部を除いて、大学は少なくはない数の生徒を見ることができた。
 とはいうものの、講義がない分は時間があるわけで、通常よりも気分的にはのんびりしたものである。

 「おはようございます」
 いささか眠そうだが、さわやかスマイルは忘れずに起きてきたのは古泉だった。
 昨日、例の如く、バイトを終えたハルヒと佐々木、古泉が遊びに来て我が部屋に宿泊したのである。
 夜少し遅かったので、俺が目を覚ました時間(八時半)には誰も目を覚まさず、俺は先に起きて朝食の準備を始めた。
 「手伝いましょうか?」
 古泉の申し出に、
 「じゃあ、すまないが桃を切っておいてくれないか」
 そう頼むと、古泉は包丁を取り、昨日俺がおじさんからもらった、大きい白桃を切り始めた。
 ハムエッグを造り、コ-ヒ-を入れ、並行して古泉がパンを焼いていると、出来上がりに合わせたように、ハルヒと佐々木が起きてきた。
 「おはよう」
 「おはよう、キョン」
 本当に寝起きという様な表情で起きてきたハルヒと佐々木は、朝食が並べられた席に腰かける。
 「いただきます」
 四人で手を合わせ、食べ始める風景は,もはやわが部屋の定番である。

 ――――――――――――――――――――――――――――------------

 食事の後片付けは、ハルヒと佐々木がやってくれた。
 「つくってもらって後片付けまでやらせるのはいくらなんでも礼儀に反すると思うからね」
 佐々木はそう言ったが、ハルヒの奴は、昔付き合う前(すなわち高校時代)は平気でそれに類することをやっていた。付き合うようになって
からは、そういう行為はしなくなったのだが。
 「ところでいつ皆さんは地元に戻られますか?」
 ハルヒと佐々木の様子を眺めていると、古泉にそう尋ねられた。
 「そうだな……バイトの関係もあるし、一応16日以降だろうな。盆の時期は別に家で集まって何かする予定はないからな。混雑は避けたいし」
 「あたしもそれぐらいかしら。嵐山瑞兆のバイトが15日までは入っているから。佐々木さんもそうよね?」
 「ええ。家庭教師のアルバイトが14日までは入っているから、私もそれ以降ね」
 「そうなると、僕の方もそれぐらいにしましょうかね」
 古泉はアルバイトはしていない。古泉の言によると、今ハルヒと古泉が住んでいるマンションの管理(親父さんの持ち物の一つだそうだ)を手伝っ
て(管理人は別にいる)いるが、それがバイトらしいといえばバイトらしい。ただ、こいつはデイトレ-ダ【株取引】もしているので、そちらからの収入も
ある(高校在学中に始めていた。古泉の愛車である」アクセラもその利益で購入したものである)。
 「17日に皆さんと一緒に帰りましょうか?もちろん僕が運転させてもらいますよ」
 「それはありがたいんだが・・・・・・いいのか?黄金週間(ゴ-ルデンウイーク)の時もハルヒが世話になったし、いつもお前に頼りっぱなしだから、気の毒だ」
 「いいんですよ。僕の方こそ、こちらに来て貴方に、今もですが、こうしてお世話になっているわけですから」
 「すまない。俺のミゼットUじゃ、4人は無理だしな」
 「よければ僕のアクセラをお貸ししましょうか?」
 以前古泉に借りたことはあったが、
 「いや、いいよ。運転に自身はあるけど、万が一の時はコトだしな。お前に頼るとするよ」
 俺の言葉を聞いて、古泉はさわやかスマイルで大きくうなずいた。

96 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/01/21(水) 22:22:55.78 ID:kWPmgDej
「そういえば、ハルヒ。テニス同好会は合宿とかしないのか?」
 K大は体育会系サ-クルの活動も盛んで、この休暇中に夏期合宿とかと称し、体力強化に努めているサ-クルも多い。
 「うちはあくまでも同好会だから、そんなものは行ないわよ。あくまでも楽しみでやっているの。セミプロ化して
いる大学の体育会系サ-クルじゃないんだから」
 まあ確かにある意味において、大学の体育会系サ-クルは、箱根駅伝や大学野球の例を見てもわかるように、大学の
広告塔の役割を果たしており、本来のアマチュアという大学スポ−ツの性格から少し離れているのが現状だ。
 「だけど、その同好会に大学のテニスサ−クルがやられているからな。他の大学の連中、気が気じゃないんじゃないか」
 京都にある大学のテニスサ−クルとも試合をよく行っているが、ハルヒ・古泉ペアに勝てたところはまだ現れていない。
 「涼宮さんと古泉君のペアに挑戦したいと思っているサ−クルも多いんじゃないかな」
 「最近はあんまり申し込みはありませんね。最初の頃は割合多かったのですが、今ではほとんどないですね。ただ、再戦
の申し込みは案外ありますよ」
 「自分達を鍛えるにはいい相手だと思われてるんだろうな」

 -------------------------------------------------------------------------------------

 皆がそれぞれ自分のすみかに戻った後、夜の居酒屋バイトまで時間があったので、俺は時間をつぶすため、出かけることにした。
 最近、俺が気に入っているのが、京都にある大学に併設されている博物館や、美術館、図書館などの施設を回ることだ。
 俺達が通うK大の博物館は、一般人でも入場料(400円)を払えば、K大が保有する膨大な研究資料・展示物を見ることができ
る。その量は半端ではなく、一日で見れるものではなく、しかも定期的に入れ替えがある為、訪ねるたびに新たな楽しみがある。し
かもK大の博物館は、レストランや喫茶店も備えており、かなり長い時間滞在できるような仕組みになっているのだ。
 聞くところによれば、この点で京都の各大学は連携しており、展示物の貸し出しや情報交換を行っていて(講師と学生によるボラ
ンティア)、各大学の施設を巡る観光コ−スまであるというから驚きだ。
 今日、俺はK大の博物館ではなく、京都工芸様式大学に併設してある工芸資料館に来ていた。
 昨晩、佐々木から教えてもらったのだが、現在ここで「画家による広告美術の展覧会」という催しが開かれていて、ロ−トレック
やモ−ザンといった洋画家や東郷青児や北野恒富といった日本の画家によって製作されたポスタ−の展示が行われているという事だった。
 ”京都工芸様式大学の歴代の講師達が収集してきたもので、かなり貴重なものばかりだそうだよ。美術の時間で習った画家たちのポス
タ−というのは案外残っていなくて、広告という事で、一段価値が下がって見られることがあるそうだよ。ただ、そういうのも含めて、僕
は画家の価値というものを評価すべきと考えているからね。今回の展示はいいものだと思うよ”
 京都に来てから、俺は(多分佐々木やK大出学んでいることの影響だと思うが)多くの事を見てみたい、多くの事を学びたいという欲求
が強くなってきた。佐々木の話を聞いて、それを見てみたいという気持ちになったのである。
 装飾タイルに彩られた立派な建物の入り口にある受付で200円を払い、中に入る。
 夏休みのせいか、一般人やこの学校の生徒に混じり、中学か高校生ぐらいの見学者の姿も見受けられ、そこそこお客さんがいた。
 美術の時間に習った画家たちが請け負った、広告という仕事の中で、彼らの美意識がどんな絵を描いたのか、そこら辺の心のひだが見えて
くる。一つ言えることは、力量のある画家たちは、広告でも自らの美意識と宣伝という目的を果たすための様式を見事に融合させているとい
う事であり、俺は思わずうなった。

97 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/01/21(水) 22:25:46.03 ID:kWPmgDej
 
 「――キョン?」
 自分を呼ぶ、聞きなれた声を聴いて、おもわず振り向くと、そこにいたのは、数時間前まで俺の部屋にいた佐々木だった。
 佐々木は一人ではなく、連れがいた。中学生か高校生と思しき女の子だった。
 「ここに来ていたのかい」
 「昨日話をお前から聞いてから行ってみようという気になったんでな。バイトまで時間があるし。お前、帰ってからすぐに来たのか?」
 「うん。実は、今日、この子とこの展示会を見に行く約束をしていたんでね。紹介するよ。家庭教師として教えている立花さんだ」
 一瞬、その名前に、高校生の時のあの「橘」を思い出したが、佐々木が教えているというその女の子は、ツインテ−ルではなく、ロングヘア−だった。
 
 「初めまして。立花香織といいます。貴方が先生がいつも話されているキョンさんですね」
 初対面の女の子は、にこやかに俺のあだ名を言った。

98 :この名無しがすごい!:2015/01/21(水) 22:28:26.16 ID:kWPmgDej
二重投稿になってしまいました。スレッドの皆さん、無駄遣いしてすいません。

99 :この名無しがすごい!:2015/01/22(木) 18:36:25.06 ID:pDnI1b2p
支援
長門に続いてきょこたんの(名前が)そっくりさん登場とな
どう物語に影響してくるのやら

100 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/01/23(金) 01:06:03.81 ID:9c9v+A6L
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その15
 
 京都工芸様式大学は、京都の重要産業であった繊維を初めとする産業育成の為に設立された、いわゆる
殖産興業のための国立大学で、俺と佐々木が通うK大とも関係が深い。
 佐々木と一緒にこの展示会を見に来た、佐々木が教えているという立花香織の家は、京都の伝統産業と
も言える西陣織を祖業とし、今では少なくなった純国産アパレルメーカ-として、かなり最近注目されている
メ-カ-の娘で、高校一年生という事だった。
 「ここには何度も来ているのか?」
 「はい。両親の仕事の関係で、昔からこういうの、好きなんです。ここは服飾関係の資料も多いし、色使いに
関するデザイン画や実物展示も多いので」
 そういえば、ポスターを見た後、この子は染色生地や織物の展示資料を熱心に見学していた。おそらく将来は
自分の家に関わる仕事をするのだろう。
 ”高校一年生か”
 当時の自分やハルヒと比較してみると、かなりしっかりと自分の目標を持っているように感じられる。
 ふと佐々木の方を見ると、佐々木は朱色の、おそらくは清水焼ではないかと思われる、展示してある器を熱心に
見ていた。

 -----------------------------------------------------------------------------------------------------

 京都工芸様式大学の近くに喫茶店と甘味処が合体したような店があった。
 立花のお気に入りのお店だそうで、佐々木は一度この娘に連れられて、ここにきたようである。
 この季節、京の人々が食べる名物といえば、葛きりである。
 本葛粉で作られ、黒蜜を掛けられた葛きりを食べながら、冷たいお茶でなくむしろ熱いお茶を飲むと、体感温度が
下がり、冷房器具に頼らない”涼”を感じることができる。
 葛きりを食べた後、佐々木は追加の注文を出した。
 暫くして運ばれてきたのは、少し黄みがかったクリ-ム色の、楕円形のお菓子だった。
 「檸檬ケ-キか?」
 「その通り。久しぶりに食べてみたくなってね」
 檸檬ピ-ルのかすかに甘い香りが、俺の鼻孔をくすぐる。
 「半分どうだい、キョン」
 口元に微笑を浮かべ、檸檬ケ-キを黒文字で半分に切り、俺に薦める。
 「じゃあ、お言葉に甘えて」
 葛きりを入れた容器のふたに載せてもらい、俺は檸檬ケ-キを口に放り込んだ。
 「うまいな、これ」
 そういいながら、俺はあることに思い当たった。
 「佐々木、これを選んだ理由、ひょっとして梶井基次郎の『檸檬』にひっかけたのか?」
 「ご明察、その通りだよ、キョン。あれはこの街が舞台だからね。それにしてもよくひらめいたね」
 「中学時代の事を思い出したんだよ。国語の授業に出たよな。あの時意味がいまいちわからんで、お前に塾で教えて
もらったのは覚えているよ」
 出うちのない、どこか鬱屈した想いを抱えた青年の心理、それと対比させる檸檬の鮮やかな色彩。
 そして檸檬を爆弾に見立てるという破壊衝動。
 佐々木に教えてもらったことを思いだして、俺はふとあることに気付く。
 ハルヒの”神人”。ハルヒの心象風景の具現化である存在は、梶井基次郎の”檸檬”と同じようなものだったのでは
ないのだろうか(ただし、梶井基次郎の檸檬はあくまで想像の産物だが、ハルヒの”神人”は現実世界にとんでもない
影響を与える代物だったが)。
 

101 :この名無しがすごい!:2015/01/23(金) 18:28:19.30 ID:YwqmhJ/t
繋ぎ回てとこかな?支援

102 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/01/27(火) 16:13:48.30 ID:3nhWLBwW
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その16

 ”そういえば”
 佐々木は”ハルヒと対を為す存在”であり、ハルヒと同じ閉鎖空間を生み出す力の持ち主でもあった。
 ただし、佐々木の閉鎖空間に”神人”はいない。佐々木の閉鎖空間に、超能力者・橘京子と入った時、
橘は佐々木の閉鎖空間の特徴である”穏やかさを強調していたが、それは、あの時の佐々木の心象そのも
のだったのだろうか。
 落ち着いていて、知的で美しい俺の親友にも、今は閉鎖空間なんてものは、ハルヒ同様存在しない。
 そんな佐々木にも、”檸檬”のような破壊衝動があるのだろうか?
 そんなことを考えながら佐々木の方を見ると、横顔は微笑みを浮かべたままだった。

 ---------------------------------------------------------------------------------------------

 「佐々木がさっき見ていたあの朱色の大皿、あれは清水焼なのか?」
 「そうだね。あれは明治初期の京焼だと書いてあったよ。あんなに鮮やかな朱色の焼き色があるのも珍し
い。カップや器をいくつかこの街で購入したりしているけど、あそこまではっきりとした色使いは初めて見
た」
 「先生が見ていらしたのは、辰砂(しんしゃ)の京焼、清水で焼かれたものですね」
 俺達の会話を聞いていた立花が口を挟んできた。
 「辰砂、て硫化水銀の事か?」
 「焼き物に使う辰砂釉は銅を釉薬【うわぐすり】に溶かして、還元焼成したものです。陶芸の世界では、
”辰砂は身上(しんしょう)を潰す”といわれていて、扱いがすごく難しいんですよ。あの展示物みたいに
色鮮やかに仕上げている作品はなかなかないんです」
 「詳しいんだな」
 立花の知識に俺は驚きを隠せなかった。
 「叔父が陶芸家なんです。小さい頃から器だけでなく人形とかも焼成してくれるので、興味を持っていて
。・・・・・・それに器も、造形だけでなく、色彩というのもとても大事な要素なんです」
 「被服と陶芸、分野は違えども、重要なことは共通するという事ね」
 そういえば、俺に料理を教えてくれる長東も「料理は味付け、盛り付けが重要だけど、素材の色合いも
重要な要素の一つ」と言っていた。
 ”色々と考えさせてくれるな”
 何かを知るという事は、何かに気付くことなのだろう。全く関連のないと思われているものが、実は共通
の要素を持っていたり、別の方向から見ることで、それまでとは違ったものが見えてくる。
 ”それが何かを学ぶという事の意味合いなんだろうな。”
 -----------------------------------------------------------------------------------------------
 「ちょっとトイレに行ってくるよ」
 そういって佐々木が席を外した後、席には俺と立花が残された。
 すると、立花は、何故か俺の方を見て、笑みを浮かべていた。
 「?」
 俺が首を傾げていると、
 「本当に佐々木先生とキョンさんて、仲がいいんですね」
 とても楽しいという様な口調で、立花はそういった。
 

103 :この名無しがすごい!:2015/01/27(火) 17:24:00.35 ID:4Woq3fYh
支援
辰砂とか初めて知ったよ
スラっと出てくるあたりこのキョンも相当に博識だね

104 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/01/28(水) 00:42:48.30 ID:mYfhzgvE
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その17


「先生から話は聞いていたんですけど、キョンさんて思っていた通りの人ですね。先生が”親友”とキョン
さんを呼ぶわけが解りました」
 高校時代に再会した時、ハルヒに俺との関係を紹介した時、佐々木は俺の事を”親友”と呼んだ。
 あの世界が二つに分かれた事件の後、佐々木に俺が呼びかけた言葉は”親友、また会おうぜ”だった。
 月日は過ぎて、K大に入学し、俺と佐々木は再び再会した。
 そして今は中学時代と同じような感じで、俺達は同じ時間を同じ町で過ごしている。
 「先生とキョンさんの話している姿を見ていると、すごく息があっているというか、文字通り会話がかみ合
っているんですよね。キョンさんの疑問に先生は的確に答えて、キョンさんは先生のいう事をすぐに理解して
いる。私も仲がいい友達はいますけど、先生たちみたいにはいかないです」
 まあ、高校時代の空白という時間はあるが、K大で再会した後、その空白の時間などなかったように、俺と
佐々木は昔のような付き合いを続けている。
 「本当にうらやましいです。お二人は、とてもお互いを信頼されているんですね」
 立花にそういわれて、俺は何かこそばゆい気持ちになった。

 -----------------------------------------------------------------------------------------------
 「今日はありがとうございました」
 立花は満足したような笑顔を浮かべて佐々木にお礼を言っている。
 「私も貴重な展示物が見れてよかったわ。誘ってくれてありがとう」
 そういって、佐々木も立花に微笑みを返した。
 「先生、今度また、キョンさんと先生と私の三人で、出かけませんか?府立植物園とか、行かれた事あり
ます?」
 「評判は聞いているけど、まだ行ったことはないわ」
 「それじゃ、先生たちが休暇から戻ってこられたら、ぜひ行きましょう」
 「いいわよ。キョン、君はどうする?」
 俺の方へ顔を向けて佐々木が聞いてきたので、とりあえず、俺は「いいよ」と答えた。
 「良かった。私、楽しみに待っています」

 ------------------------------------------------------------------------------------------------

 その日の夜。
 バイトを終えたそのすぐ後、佐々木から連絡が入った。
 『やあ、キョン。昼間は世話になったね』
 いや、俺の方こそいい情報を教えてくれてありがとう、だ。
 『キョン、立花さんはかなり君の事を気に入ったようだよ。あの後、いろんなことを僕に質問してきた』
 佐々木の事も相当気に入っているような感じだったな。
 『熱心に勉強してくれるし、呑み込みも早くて、僕が教えている生徒の中では一番優秀な生徒だね。教え
がいがあるというのか、目的意識も高くて、将来が楽しみだよ」
 確かに話を聞いていると、中身はかなりしっかりした娘だと思った。
 『あの子にとって、いい褒め言葉だと思うよ』
 正直、俺があの子の時と同じ年の頃(つまりは高校一年生)、あんなふうに自分の未来の事をしっかり考えて
いたことはない。
 二年生の中盤から、ハルヒや古泉、国木田の応援もあって、俺は受験勉強に真面目に取り組むようになり、よ
うやく3年生になって、俺は目標が定まり、K大を受験して合格し、そして今に至っている。
 これから先の事はまだわからない。今はとりあえず、自分が希望した理系化学を勉強し、将来どのような職に就くか、
とかいうことはもう少し先の話である。
 佐々木が昔言った言葉を借りるなら、ある種の猶予期間(モラトリアム)といえるかもしれないが、ただ、最近は競争
は激しく、そんなに悠長にしている暇はない。
 ”だからこそ”
 立花の様に、ある種の目標を早めに設定しておいて、これからの学生生活を送るべきなのかもしれない。
 佐々木と話しながら、俺はそんなことを考えていた。

105 :この名無しがすごい!:2015/01/28(水) 12:25:57.87 ID:vvovWvUw
支援
徐々に外堀が埋められていってますな
キョンと佐々木さんどちらの堀かは知らないがw

106 : 【中吉】 :2015/02/01(日) 14:01:09.00 ID:/fwlwupM
2月ですね佐々木さんに大吉を!

107 : 【凶】 :2015/02/01(日) 14:03:08.67 ID:/fwlwupM
どうだ

108 :この名無しがすごい!:2015/02/01(日) 14:05:48.96 ID:3O4s32xx
おはようございます

109 : 【吉】 :2015/02/01(日) 14:07:13.89 ID:/fwlwupM
次っ

110 : 【だん吉】 :2015/02/01(日) 14:08:27.72 ID:/fwlwupM
まだまだ行くよ

111 : 【小吉】 :2015/02/01(日) 14:11:34.98 ID:/fwlwupM
なかなか反映されないから確認に手間取る…

112 : 【末吉】 :2015/02/01(日) 14:12:35.40 ID:/fwlwupM
うりゃ!

113 : 【だん吉】 :2015/02/01(日) 14:14:42.78 ID:/fwlwupM
そろそろお願い

114 : 【大吉】 :2015/02/01(日) 14:16:05.70 ID:/fwlwupM
なかなか出ないな

115 :この名無しがすごい!:2015/02/03(火) 23:19:16.38 ID:Nr6SxL44
気がついたら節分らしいこと全くしなまま2月3日が終わろうとしている佐々木さん

116 :棒状の物体に何を想像しましたか:2015/02/03(火) 23:57:22.21 ID:ktJ8djxc
そうと言われてSS無しに節分を終わらせてたまるかい!というわけで即興。
***********************************

「おや、奇遇だね」
「……まったくだ」
高校を出てからそれなりの頻度で顔を合わせているとはいえ、こんな商店街でばったり佐々木と顔を合わせることは珍しい。
しかも、定食屋が何故か気合を入れてミニ屋台まで繰り出して全力販売促進活動中の恵方巻き売り場でとは。
サンタクロースなど初めから信じていなかった俺が、今更恵方巻きなんぞを買いに来ているのは、もちろんミーハーなおふくろと妹に頼まれた……もとい、命令されたからにほかならない。
「ふむ……そうだね。おじさん、済みませんが追加でこれを二本いただけますか」
「あいよ、まいどありー!」
くい、と笑顔の佐々木が商店街の片隅に設けられた休憩所を指さす。
紙コップの自販機にテーブルと椅子が置かれているだけの簡素なものだ。
喫茶店でもよかろうにと思ったが、なんとなく佐々木の考えが読めたので付き合うことにする。
自販機で熱い爽健美茶を二つ買って、一つを佐々木に勧める。
コーヒーや紅茶にコーンスープとかだらけで、恵方巻きに合いそうなものがこれくらいしかなかったのだ。
「ありがとう、キョン。最近ずいぶん気が利くようになったじゃないか」
「言ってろ。さすがにお前の思考くらい読めるようになる」
「それは嬉しい言葉だね」
佐々木は笑いながら、追加で買った恵方巻きを取り出して一本こちらに差し出してくる。
最初からそのつもりだったので、断ることもなく受け取る。
細巻きなので、オヤツというには少し重いが夕食に差し支えるほどではあるまい。
「こんなものがよく流行るようになったな。俺がガキの頃はそれなりに古式ゆかしい節分だったぞ」
今年の恵方はこちら!なんて書かれた商業主義丸出しのシールが貼られた包装紙を呆れながら眺める。
「元は広島にあるとあるコンビニの一店で始めたキャンペーンだったそうだね。
 それがわずか20年足らずでここまで流行るとは大したものだよ」
「恵方の意味をわかって食ってるやつがどれだけいるもんかね。」
呆れながらかぶりつく。黙って食えとのことだが知った事か。
佐々木はめずらしく相槌を打たないと思ったらこちらは真面目に黙って食っていた。
……その、これはなんだ。
普段は大口など開けることが無い佐々木が、細巻きとはいえそんな棒状のものを咥えているという光景は……
いかんいかん、思わず先日のことを思い出してしまった。
ごまかすように茶を煽るが、いかにも不自然な動きになってしまった。
それなりに品の良さを失わずに食べ終わった佐々木は、そんな俺の挙動の意味するところを正確にお察しのようで。
「先日の何を想像したのかな。キョン。くっくっ」
黙秘権だこのやろう。白昼商店街でやる会話じゃねえ。
「そうだね、いたずらはこの辺にしておこうか」
「商業主義に毒されたあげくにこんな会話なんかゴメンだ。
 どいつもこいつも、ハロウィンだの恵方巻きだの、二十年前にはなかった祭りを
 さも昔からのイベントでございとやってるんだから始末が悪い」
「おや、今月の14日にある商業主義の権化はお嫌いかい?
 僕としては戦後日本でお菓子業界が奇形的に発達させたものとはいえ、祭りの意図するところは大いに賛同したいと思っているのだけど」
ぐぬ……、それを断れる男がいると思うのか。
「くっくっ、君のその顔を見られて満足だよ。
 この日本のおおらかさに感謝しようじゃないか。
 恵方は漠然とした幸いを、14日には恋を、八百万の神々にでも頼むと思えばいいじゃないか」

まったく、その神様になりかかったお前に言われたんじゃ納得するしかないじゃないか。

117 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/02/04(水) 00:32:20.43 ID:nTeKUOea
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その18


 大学生の夏期休暇――すなわち夏休みは、中学高校とは大分違う。
 8月も後半を過ぎたころ、中学生、高校生は、「もうすぐ休みも終わりか」と、いささか切ない気分になり、
「まだ夏休みが続いてほしいな」なんて思ったりする(不思議な力で終わらせなかった奴を一人知っているが)。
 だが、俺達が通うK大、国木田が通う東大に限らず、大学の夏休みはまだ半分も終わってはいない。
 地元に帰ってきて、俺は大学の予習・復習をして、バイトをして、時々家の手伝いをしながら、この夏休みを
過ごしていた。

 「キョン君、この問題、どうやって解くの?」
 今、俺は妹の部屋にいる。
 妹に勉強を教えることは、昔からやっていたが(得意科目だけ)、K大生になってから、全科目の家庭教師を
帰省した時に(あるいは無料通信ソフトをつかい、質問して来たりする)やっている。
 教えるようになって気付いたことだが、わからない人間に理解できるように説明するというのは、かなりの技術が
いる。
 こういうことを言うと怒られそうだが、俺が大学受験の時、ハルヒや古泉、国木田に大分助けてもらったが、一番
教えるのが上手いのは国木田で、ハルヒよりもわかりやすかった(出そうな問題を予想するのは圧倒的にハルヒがすぐ
れていたが)。
 国木田に近い教え方をするのが佐々木で、佐々木は現在、京都の方で家庭教師のバイトをしているわけだが、家庭教
師先で気に入られているのもわかるような気がする。
 妹に勉強を教えるときは、俺は国木田や佐々木の教え方を参考にしている。そのせいかどうかわからないが、妹の成績
は、かなり伸びたそうだ。

 「お兄さん、この問題はどうやれば解けるのですか?」
 妹の部屋には、妹と、俺と、もう一人の人物がいた。
 「この問題はだな、さっき教えた公式の応用だ。文章をよく読んで考えてみるんだ」
 ミヨキチこと吉村美代子。
 妹の親友であり、俺にとっても昔からよく知った仲である。
 妹が、俺の家庭教師で成績を随分伸ばしたことを知り、「私にも教えてください」と言って、ここ最近、うちに来て勉
強しているのである。
 まだ小学生の時から美人だったが(朝比奈さんの対抗馬になれると昔思った)、中学生になって、ますます美人になり
、妹の話だと、交際してくれという奴が後を絶たないそうである(ちなみにわが妹も、少しは成長しており、そこそこ人
気があるようである)。
 そして、今、ミヨキチは、同年代向けのファッション誌に見いだされて、モデルとして活動しており、それから先の話
、すなわちその方面へ進むという方向性で話が進んでいるそうだ。
 中学を卒業したら、ミヨキチは芸能界で活躍する子が多く通うという高校へ進学するらしい。ということは、妹とは別
の道を歩くということだ。
 ”少しさみしいな”
 友人の成功を喜ぶ一方、妹は俺にそう心情を吐露したことがある。
 ”大丈夫だよ”
 妹に俺はそういった。
 ”離れていても、ミヨキチはお前の親友だよ。それは変わることはない”
 ”そうかな?”
 ”ああ。ほら、俺を見てみろよ。佐々木とは高校は別だったけど、今は昔みたいに親友として付き合っているからな。
お前とミヨキチだって大丈夫だよ”

 俺のその言葉に、妹は納得したようにうなずいていた。
 

118 :この名無しがすごい!:2015/02/04(水) 00:39:28.65 ID:nTeKUOea
>>116 即興SS、乙です。我が家の場合、恵方巻きよりも稲荷寿司の方が好きなので、
弟がたくさん買ってきてくれました。

119 :この名無しがすごい!:2015/02/04(水) 12:28:24.54 ID:r2vHkA/V
>>116乙乙
やっぱり日本の神様は懐が深いですな
仏教道教インド神話といろんなとこの神様も受け入れてて……だいぶ魔改造されてたりもしますがw
世が世ならハルヒや佐々木さんもその列に並んでたりして

>>117支援
ミヨキチまで登場とは罪作りな男め!
また表面上はともかく果たして妹ちゃんはどこまで「親友」を信じているのやら

120 :この名無しがすごい!:2015/02/05(木) 00:29:58.73 ID:rBmSn3Vo
>>117
ミヨキチって色んな意味でワイルドカードですよねえ。
驚愕以降の展開がもしあるのなら彼女がキーパーソンになる気がしてならないです

ハルヒを始めとする面々の教え方の違いにいろいろ納得。

121 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/02/10(火) 23:07:26.73 ID:WjwKNMsQ
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その19


  正午を告げる行政放送のサイレンが鳴り響く少し前に、妹とミヨキチの本日の分の勉強は終了した。
 「良かった、これで夏休みの宿題は全部終わったよ!」
 「お兄さんのおかげです。いつもぎりぎりまでかかっていたから、今年は早く終わってほっとしました」
 まあ、俺も中学・高校時代、本当にぎりぎりまで課題を終わらせていなかったから(その事に関し、強
烈な思い出があるが)、ミヨキチ(モデルとしての仕事も忙しいのもあるだろう)の気持ちはよくわかる。
 「キョン君、お腹すいた。お昼ご飯食べようよ」
 宿題を終えて気が楽になったのか、妹が空腹を訴えてきた。少し起きるのが遅かったので、朝食を軽くしか
食べていないのだ。
 「そうだな。何か作るか?」
 家に帰っても、俺は食事の準備を手伝っており、休みの間の妹の食事は、ほとんど俺が作っている。そして、
妹は俺の作る料理をおいしいと言って、残さず食べてくれるので、作り甲斐がある。
 「う〜ん、そうだね・・・・・・キョン君の料理もいいけど・・・・・・そうだ、キョン君、ご飯食べに行こうよ、ハルヒさん
も誘ってから、皆で。あたしもミヨちゃんもあんまり今年は遊びに行けなかったから、キョン君が運転して、どこか
連れていってよ」
 (最近では妹はハルヒの事を「ハルヒさん」、佐々木の事を「佐々木お姉さん」と呼ぶようになっているが)妹の
提案に、
 「まあ、それはかまわないが、ミヨキチ、お前、予定は大丈夫なのか?仕事とか入っていないのか?」
 「はい。9月まではモデルの仕事はお休みです。だから今日一日、大丈夫ですよ」
 「そうか、なら、ちょっと待てよ、ハルヒに連絡してみるか」
 そうつぶやきながら、俺はハルヒに連絡を入れる。
 「もしもし、ハルヒ?すまないな、突然電話して。実はだな・・・・・・え?今、外出している?お袋さんと
?親戚の・・・・・・そうか、なら今日は無理だな。いや、妹が一緒にご飯を食べようと言ってきたんでな。わかっ
た。すまなかった。気を付けて帰って来てくれ。それじゃ、な」
 「どうかしたの?キョン君、ハルヒさんに何かあったの?」
 「いや、ハルヒは親戚の人のお見舞いに行っているそうだ。少し体調を崩しているらしい。今日帰って来る
にしてもかなり遅い時間になりそうだ、とか言っていたな。ハルヒを誘うのは今日は無理だ」
 俺の言葉を聞いて、妹は残念そうな表情をするが、すぐに別の人物を思い出したようだ。
 「なら、キョン君、佐々木のお姉さんはどうかな?」
 「佐々木か?う〜ん、どうかな、あいつも用事があるかもしれんが・・・・・・駄目もとでかけてみるか」
 佐々木に連絡を入れると、呼び出し音を一回鳴らすか鳴らさないうちに佐々木が出た。
 「佐々木か、俺だ。突然ですまないが、実はだ、今から昼ご飯を食べに行く予定なんだが、妹がお前も誘って
一諸に行こうと言いだしてな、今日は何か予定入っているか?無い。そうか、え、ハルヒ?ハルヒは今日は用事
があるから無理だと言っていた。ああ。そうだな、あと10分もすれば出ると思うが、家に?いいよ。迎えに行
くよ。それじゃ」
 電話を切ると、俺は妹の方へ顔を向ける。
 「佐々木、行けるってさ」
 「よかった。それじゃ、早速行こうよ」
 「その前に、どこに行って、何を食べるか決めておかないと。夏休みの昼時だから、どこも多いだろうしな」
 「確かにお兄さんのいうとおりですね。何を食べましょうか?」
 「とりあえず、車の中で考えるとしようか」
 

122 :この名無しがすごい!:2015/02/10(火) 23:35:24.80 ID:psKCSYw2
支援
端から見たら両手に華だろうなあ
更にもう一輪加わるわけで

123 :この名無しがすごい!:2015/02/12(木) 14:26:08.10 ID:tp7P2Cfv
「おねえさん」という日本語には「お義姉さん」という漢字も当てられるんですよ!

124 : 【中凶】 !:2015/02/13(金) 18:25:32.76 ID:oOtv/LVI
おみくじ

125 :この名無しがすごい!:2015/02/13(金) 19:42:14.11 ID:9Eyrh4Zb
佐々木さんはいくつチョコ用意したのかな

126 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/02/15(日) 23:27:59.79 ID:RVIF+t9Y
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その20


 日が沈むのは少し早くなってきたが、それでもこの時間はまだまだ明るい。
 「潮風というのも悪くはないね」
 俺の横に立っている佐々木が、海上面を眺めながらそう言った。
 「確かに悪くはないな。思ったよりべたついた感じがない」
 今、俺と佐々木、妹とミヨキチは、アイランド港を拠点として、海峡大橋まで観光する、海上遊覧
船に乗っていた。
 船はゆっくりと桟橋を離れ、静かに黄昏時が近づいた海を進んでいく。
 所要時間は二時間ほどの船旅だ。
 関西一の巨大都市がその威容を海の向こうにあらわしている。反対側には本州と四国を結ぶ世界一の
巨大なつり橋が見える。その橋が少しずつ青い光に包まれていく。どうやらライトアップの準備らしい。
 周囲を少しずつ宵闇が包み込み、その中に人間が作りだした光の景色が浮かびあがってきた。
 ------------------------------------------------------------------------------------------------

  父親の車は、基本的にはあまり使われていない。
 トヨタ・ヴィッツとスズキ・ワゴンR(タ-ボ)が我が家の車だが、父親の愛車である、トヨタ・ヴィッツは、妹が
中学に進学して以来、休日での出番は減っていた。
 家族での外出が減ると、通勤には車を使うことはない父親の車は出番が減るので、父親は最近中古者業者に
売却しようかと考えていたそうだが、とりあえず、今日は俺が使わせてもらっているわけだ。
 京都で使っているミゼット2に比べれば、ずいぶん広く感じられる。あの車で佐々木と京都から帰省したときは、
かなり狭くて、佐々木に窮屈な思いをさせたので気の毒だったが、今日は助手席に佐々木をのせても安心して運転できる。
 何を食べようかという俺の問いかけに、妹は「神戸牛のステ-キ!」とかのたまい、0.1秒で俺が却下し、佐々木を加
えて相談した結果、神戸牛でもそこそこの値段で食える店を佐々木が知っていたので、結局そこに行くことにした。
 行列が多いという話だったが、幸運にも四人分の席を確保でき、俺達四人は神戸牛の旨さを堪能した。
 途中、店内にいる男どもがやたらと視線をこちらの方へ向けていたが、まあ、佐々木とミヨキチが一緒にいれば、当然の
反応かもしれない。
 食事を終えた後、俺達は男どもの視線を無視し、さっさとその場を離れた。
 --------------------------------------------------------------------------------------------------------

 レストランを出て、そのまま帰るわけはなく、(予想通り)妹とミヨキチが買い物に行きたいと言いだし、俺は車を
元町通りの方へ走らせる。
 神戸の中心地であり、観光客がイメ-ジする神戸の風景は、神戸大丸を核とするこの辺りが基本になっている。
 K大に通い、京都の街で学んでいるうちに、俺はこういう街が作り出す人の流れと風景を好奇心を持ってみる癖がつ
いている。K大の教養課程は理数学分野だけでなく、社会分野などの幅広い学問も教えているが、それは思考の硬直化、
言い換えれば、学問における視野狭窄を防ぐためでもあり、「何事も好奇心と思考を忘れるべからず」という学長の方針
にかなっている。
 色々なお店により、多くのものを見て回ったが、そのたびにミヨキチが妹にアドバイスをしている。さすがは現役ファ
ッションモデルであり、洋服にしても小物にしても、なるほど、妹によく似合いそうなものを選んでいた。
 「キョン君〜これ買って!」
 請求は全部俺にまわって来るのはいささか疑問符が付くが。

 「キョン、これはどうかな?僕に似合いそうかい?」
 妹たちがファッション選びにいそしむ中、俺と佐々木もそこまで来ている秋に会わせる洋服をんでいた。
 少し控え目な色遣いだが、佐々木が選んだ秋物の洋服は、秋のイメ-ジを強く感じさせていて、とてもよ
く似合っていた。
 

127 :この名無しがすごい!:2015/02/15(日) 23:57:09.95 ID:Y8Jh0dfH
>途中、店内にいる男どもがやたらと視線をこちらの方へ向けていたが、
当たり前だー!
なんて羨ましい光景。

キョンを相手に洋服の印象を聞く佐々木さんの聞き方が、控えめながら彼女らしくて好きです。

128 :この名無しがすごい!:2015/02/16(月) 12:12:19.60 ID:Fei+KcUg
支援だ

>>127
美少女2人に美女1人侍らせてそりゃ男共の嫉妬買いまくるわなww

129 :この名無しがすごい!:2015/02/16(月) 21:13:34.34 ID:Fei+KcUg
ガラケー絶滅しかねない騒動が持ち上かってるみたいで恐怖なのですよ佐々木さん…

130 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/02/17(火) 23:55:15.48 ID:kONhnUD1
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その21


 買い物を終えた後、今度はミヨキチの提案で、海上遊覧船に乗ることになった。
 「そういえば、地元なのに、一度も乗ったことがないな」
 「地元だからこそだよ、いつでも乗れる、あるいは乗らなくてもいい、という 気持ちがあるからね。観光客になったつもりで乗るのも
いいかもしれない」
 確かに、地元の人間というのは、案外自分たちが持つ観光資源に関しては、興味を示さないものだ。俺らが住む京都ですらそういう風潮
がないとは言えない。
 港の駐車場に車を止め、停泊している海上遊覧船へ乗り込む。真っ先に妹が駆け出し、ミヨキチが後に続いた。
 チケットを船員に渡し、他の乗客が乗船するのをしばらく待つ。
 15分程して、出港の時間を過ぎた。短い船旅に俺達は出ることになった。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――----------

 高校二年生の時、私は私に告白してきた男の子と、少しの間付き合ってみることになった。そして、その時、彼がこの遊覧船に誘ってくれた。
 彼は(自分が言うのも変な話だが)少し浮かれていたように見えた。
 だけど、船から見る景色は美しかったが、あまり私は感慨を覚えなかった。
 それから程なくして、私は彼と別れた。
 あの時と同じ様な景色。違うのは、今、私の隣にいるのはキョンであるという事だ。
 キョンは船の上から景色を眺めている。その傍らに私がいて、あの時と同じ様な景色を眺めている。
 だけど、胸に感じる物はまるで別物だ。
 あの時から時間が過ぎて、私は一つ気付いたことがある。
 本当に想いを寄せる人以外の存在から好意を掛けられても、心には何の響きも生まないという事を。

 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 お兄さんと出会ったとき、私はまだ小学生だった。
 昔から私はこの外見のせいで、大人びて見られることが多く、周りの人も他の友達たちと違った感じで扱われていた。
 そのことが、時には誇らしかったが、半面苦痛を感じることもあった。
 そんな私をお兄さんは、ありのままに、時には少し背伸びしたい気分も受け止めて、接してくれた。
 お兄さんの妹、私の親友とお兄さんはとても仲が良く、一人っ子である私は、優しいお兄さんを持つ彼女がうらやましかった。
 
 お兄さんの周りには綺麗の人が集まることが多い。
 お兄さんの彼女であるという涼宮ハルヒさん、高校時代は長門さん、朝比奈さんという人がいたと親友から聞いたことがある。
 そして今は、佐々木さんという人が傍に居る。
 お兄さんの中学時代の”親友”だそうで、何度かお兄さんの家に来たことがあったそうだ。高校は別だったけど、今は涼宮さんと同じように、
お兄さんと同じK大に通っているそうだ。
 ”キョン君の周りに、いつもハルヒさんや佐々木お姉さんみたいに綺麗な人がいるのは不思議なことだよね?”
 親友はそういって、首を傾げていたけど、私には朧けながら、その理由はわかるような気がする。
 お兄さんの傍に居る佐々木さんは、何か安心したような、楽しそうな表情を浮かべて、海上に浮かび上がる景色を、お兄さんと一緒に眺めていた。

131 :この名無しがすごい!:2015/02/18(水) 07:28:36.94 ID:BLcd+ykG
支援
ミヨキチにも内面描写入って更に混迷の度合いが高くなってゆく……?
もとい、ミヨキチから見て今一番キョンに近い女性はもう佐々木さんなのね

132 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/02/21(土) 22:43:34.34 ID:yO0fZPOG
         カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その22

 海上遊覧船が巨大つり橋に近づいていく。
 つり橋はライトアップされ、青い光が橋全体を包み込み、暗い海上を照らしている。
 橋の光は季節により変化し、今は夏の季節であるので、青い光でつり橋のライトアップされているのだ。
 もうすぐ八月、すなわち夏の季節は終わりを告げる。来月からは別の色の光でつり橋は彩られるのだ。
 船がゆっくりとつり橋の下をくぐりぬけていく。
 真下から見える橋の巨大さに、俺は圧倒されそうになった。

 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 季節の変化に伴い、橋を包む光は変化する。
 10代最後の夏。名実ともに大人になる年齢は、もうすぐやってくる。
 キョンと出会った時は、中学生だった。あれからいくつかの歳月が過ぎ、再び同じ学校に通い、あまり変わらない様に見えて、
それでも私達の関係は、あの時とは、少し違っている。
 ”だけど”
 今のこの時間だけは、昔と変わらない、心地よい気持ちで、キョンの傍に私は立っている。
 闇夜の中で、海上遊覧船の汽笛が、鏡面の様に光を反射する海面に鳴り響いた。

 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 今年の夏はもうすぐ終わろうとしている。そしてまた、私は大人へと近づいていく。
 中学生としての時間もあっというまに過ぎてゆくのかもしれない。長いようで、短い、今、この時だけ存在する少女としての
私の時間。
 その時間が過ぎれば、私は生まれ育った地元を離れることになる。
 モデルとして働き出してから、私を取り巻く環境は激変していて、時々戸惑いを覚えることがある。
 所属する事務所の社長は、私をファッションモデルで終わらせるつもりはないと、常々公言している。
 次のステ-ジを目指すべき、と私に言っていて、そのために必要な準備を着々と進めていた。
 モデルとしての仕事はとても楽しい。忙しいことは忙しいけど、それを上回る楽しみも多く、やりがいがある。
 次のステ-ジへ。
 その言葉は、まだ見ぬ未来への扉を開く鍵。先へ進んでみたいという、私の願い。
 ”だけど・・・・・・”
 親友と過ごした時間、優しいお兄さん、地元の友達、同級生。
 私の大事な人達と離れたくないという気持ちもある。
 二つの気持ちに揺れながら、私は前に進んでいくのだろう。
 だけど、たとえ、どんな道を選んでも、親友やお兄さんは、変わらず私を迎えてくれるだろう。
 夏の光に彩られたつり橋から、海上遊覧船がゆっくりと離れていく景色を眺めながら、私は小さく”さよなら”の言葉を
つぶやいていた。
 
 
 
 
 

133 :この名無しがすごい!:2015/02/21(土) 23:40:12.64 ID:n1knG+Q1
支援
ミヨキチ精神的にも大人だなあ
妹ちゃんも内心ではもうかなり大人っぽかったりするんだろうか

134 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/02/22(日) 01:36:48.16 ID:KNM21Co0
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その23

短い船旅を終えて、陸に上がると 、妹が「お腹すいたよ、キョン君。晩御飯食べようよ」と言いだしたが、
俺も佐々木も、そしてミヨキチも晩御飯はそんなに食べない(ミヨキチの場合はモデルとしての体型維持のた
めだが)生活習慣が大学生活の中で身についていたので、何を食べようかと思案した挙句、行くことになった、
神戸で古くから営業していて、洋食メニュ-が有名な喫茶店に行くことにした。
 少し高台にあり、海と都市の夜景が見えて、コーヒ−も料理もおいしいと評判のお店だそうだが、「まだお店開
いているかな?」(案外個人経営の喫茶店は閉めるのが早い)と内心思いながら、車を走らせると、店はまだ営業
中だった。
 駐車場に車を止めて、店内に入ると、お客さんがかなりいて、しかもよく見ると、女性客の姿が多い。
 連れが佐々木、妹、ミヨキチと女性ばかりではあるが、女性客が多い店というのは、何かアウエ−感を感じる。
まあ、昼間のお店と違って、男どもの視線をぶつけられることはないので、こちらが気にしなければいいだけだ。
 外のテラス席と海が見える窓際の席が空いていたが、俺達は窓際の席に座った。
 「外の席も悪くはないけど、虫が多いからね」
 確かに佐々木の言うとおりで、おしゃれな印象があるかもしれないが、夏のこの時期、テラス席に座るのは、実
は得策ではない。何故なら、照明の光に虫が集まって来るからだ。
 席に座った妹は、早速メニュ−表をめくり、少しの間思案していたが、「キョン君、私、これにする」と言って
選んだのは、ボリュ−ム満点の「長崎風新神戸方式トルコライス」といささか?といいたくなるような名前を名付
けられた、料理だった(写真を見ると、サフランライスにカレ―、とんかつ、ナポリタン、エビフライ、ミニハン
バ−グ、ポテトサラダが乗せてある)。
 「量が多いな、食べきれるのか?」と俺が聞くと、「大丈夫、問題ないよ!」と自信満々に答えたが、いささか
不安だ。いざというときは俺が食う羽目になるかもしれない。
 「僕は軽めにしておくよ」
 そういって、佐々木はロールパンサンドセットを、ミヨキチはオムレツ野菜サラダ付(単品)を頼んでいた。
 俺は少し考えた後、佐々木と同じものを注文することにした

 --------------------------------------------------------------------------------------------------

 「さすがにお腹いっぱい」
 車内でそうのたまっているわが妹だが、結局、あの量を一人で平らげてしまい、さすがに俺も驚いた。
 「これからの成長に必要だからね。ミヨちゃんみたいに私も綺麗になりたいから、しっかり食べておかないとね」
 ミヨキチに追いつけるかどうかは怪しいと思うが、まあ成長するには確かに栄養は必要であろう。
 ”しかし妹の奴、こんなに食べるようになったのかよ”
 、ミヨキチに比べるとあんまり変わっていないかなと思っていたが、わが妹もやはり少しずつ変化はしているようだ。
 ”まあ、だけど・・・・・・”
 ミヨキチとの友情は変わってほしくはないな、と後ろの座席に乗っている妹とミヨキチの姿を見て、俺はそう思った。

135 :この名無しがすごい!:2015/02/22(日) 06:54:29.40 ID:44Qva9f1
支援
妹ちゃん…まだまだですかね?

136 :この名無しがすごい!:2015/02/22(日) 07:58:22.25 ID:rWTJU38b
妹ちゃんの食べる栄養がちゃんと彼女の望む箇所の「成長」にいくかどうか。

もっとも、そうなったらそうなったで佐々木さんの立場はー・・・・・

137 :この名無しがすごい!:2015/02/28(土) 18:12:42.35 ID:E7VPTT+7
先週末に引き続き明日も雨…昨年の悪夢を思い起こさずにいられないのですよ佐々木さん

138 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/01(日) 02:05:00.63 ID:Kxed5z+U
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その24

 
 夏が終わり、街が日に日に秋の景色に変貌していく中、基本的に勉学とバイトと実家の家事手伝い、それに妹の家庭教師に励みながら、時々ハルヒや佐々木、
古泉と息抜きに出かけ、あるいは国木田や、こちらに残った谷口達と旧交を温めながら、大学の長い夏期休暇を過ごしていた。
 高校以下の学生の夏休みが終わったためか、観光地や、それからSC(ショッピングセンタ-)なども人は少なく、少しは余裕を持って行動できた。いわゆる
シ-ズンオフという事だろう。
『でも京都(こっち)の方は、今からが多くなるよ』
 先日連絡してきたバイト仲間の長東由希の話によれば、暑い夏が一段落し、秋の風情に彩られつつある京都は、これからが観光シ-ズン本番を迎える。おじさん
の居酒屋も、長東の実家や親せきのお店も忙しくなるのだろう。
 俺は9月いっぱいは実家にいるが、それから先は京都(向こう)の方でまた忙しくなりそうだ。
 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 「おまたせ」
 「いや、大して待っていません。つい先ほど僕も来たばかりですし」
 高校時代、僕達がよく集まっていたあの喫茶店で、僕は涼宮さんと待ちあわせをしていた。
 「とりあえず、何か飲まれますか?」
 「そうね、コナ・コ-ヒ-でも頼もうかしら」
 「では僕はコロンビア有機コ-ヒ-を頼みますか」
 店員を呼び出し、とりあえず注文する。
 しばらくして、二つのカップが運ばれて来て、僕らの前に並べられた。
 コーヒ-に口を付けた後、僕は話を切り出した。
 「それで、あの件、どう対応されますか?」
 「テニス同好会を大学公認の正式なサ-クルにする、なんてほかのメンバ-からでているけどさ、そんな気はないわよ。あくまでも”楽しむ”のが目的なんだ
から、公認サークルになった途端、面白くなくなるのは目に見えているわ。もしどうしてもやりたければ、そのメンバ-だけでサ-クルを造ればいいだけよ」
 「涼宮さんの言ううとおりですね。そういう風に連絡しておきましょう」
 涼宮さんの抜群の運動神経ゆえに、もはや京都で僕等に勝てる大学サ-クルのテニス選手はおらず、そのために知名度は一気に広まり、それを受けて、一部の
同好会のメンバ-が正式なサークル昇格を考えていたらしいが、中心人物である涼宮さんが首を縦に振らなければ、この話はなかったことになる。
 こちらとしても体育会系のノリにはついていけないので、涼宮さんの発言を聞いて、少しほっとした気分である。
 コーヒ-を口に含むと適度な酸味と柔らかい甘味と香ばしい香りが感じられ、気持ちがさらに落ち着く。
 そのあと、カップをテ−ブルに置き、涼宮さんへ視線を向ける。
 
 「ところで、涼宮さん、僕に話したいことがあると言われておられましたが、一体どういう話でしょうか?」
 
 
 

139 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/01(日) 02:06:45.84 ID:Kxed5z+U
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――---------------------------------
 
 テニス同好会の話など、電話でやり取りするだけで十分である。
 涼宮さんから話を聞いてほしいと連絡を受けた時、僕は何かあったのかな、と思った。
 ”多分、『彼』に関することだろうな”
 涼宮さんは色々と誤解されそうな行動と言動があるが、根は普通の女性である。『彼』に関することとなると、他の女性と同じように、いろいろ思うことがある
ようだ。
 「うん、実はね・・・・・・」
 
 「なるほど、そういうことがあったんですか」
 8月の終わりごろ、涼宮さんは”彼”と”彼”の妹さんに食事に誘われたそうだが、涼宮さんは用事があって行けなかったらしい。それで代わりに佐々木さんを
誘ったそうで、後日、埋め合わせではないが、”彼”は涼宮さんを遊びに連れ出してくれたそうだ。
 「何か最近キョンとすれ違いが多いのよね。タイミングが悪いというか。キョンはいつも気を使ってくれるけど」
 「あんまり気にされることはないかと思います。”彼”は気にされているわけではないでしょう?ちゃんとそのあとのフォロ−もしてくれるわけですし。涼宮さんが
忙しいのは”彼”もご存じなわけですから」
 そういいながらも、昔の涼宮さんを知るこちらとしては、いささか驚きを覚える。そういうことを気にするような人ではなかったかと思うのだが、やはり”彼”と
付き合いだしてから、涼宮さんも変わったのだろう。
 ”ここまで思われる『彼』がうらやましい限りですよ”
 
心の中で僕はそうつぶやいていた。

140 : 【豚】 :2015/03/01(日) 07:52:03.73 ID:w8+Wx8rt
支援
古泉意外と慎重なんだね
すれ違いをもっと内心嬉しがってるのだと

141 : 【中吉】 :2015/03/01(日) 07:53:58.50 ID:w8+Wx8rt
3/1

142 : 【中吉】 :2015/03/01(日) 07:56:29.88 ID:w8+Wx8rt


143 : 【中吉】 :2015/03/01(日) 07:59:33.27 ID:w8+Wx8rt
なりました

144 : 【大凶】 :2015/03/01(日) 08:02:08.46 ID:w8+Wx8rt
もしかしたら最後になるかもだから

145 : 【末吉】 :2015/03/01(日) 08:03:19.51 ID:w8+Wx8rt
是非とも佐々木さんに大吉を!

146 : 【大吉】 :2015/03/01(日) 08:04:32.32 ID:w8+Wx8rt
てい

147 :この名無しがすごい!:2015/03/02(月) 21:00:26.18 ID:bne0uQCl
これ佐々木さん?
ttp://2d.moe.hm/2d/img/2d113700.jpg

148 :この名無しがすごい!:2015/03/02(月) 21:48:21.13 ID:NMW7sC9a
そうみたいだけど保存しません
佐々木さんの───を見ていいのはキョンだけ

149 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/05(木) 00:43:26.17 ID:QZr+vybp
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その25

自分の時間と他人の時間が合わないなんてことは珍しくもなく、むしろそれが当り前だろう。正直に言えば、それを気にしすぎると、単なる
束縛になる可能性がある。いくら親しい仲(恋人や親友)でも,ある程度の”間”は必要なのだ。
 ”その意味においては”
 ”彼”はうまく涼宮さんとの程よい”間”を持っていると思う。
 だから時間のすれ違いは涼宮さんが気にする程のものではない。
 ”気を付けなければならないのは・・・・・・”
 
 心のすれ違いなのだ。
 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 人を結びつけるもの
 色々あるが、一番重要なのは心の結びつきではないだろうか。
 そう考えるとき、いつも思う二つの事がある。
 一つは”彼”と長門さんの事。もう一つは僕自身の事だ。
 
 ”彼”の、おそらく涼宮さん以上に”彼”を愛した長門さんに対する”彼”の思い入れは、おそらく”彼”が思う以上に半端なものではなか
った。一見するとそこまで情熱的には見えないが、”彼”の内面には”熱い”ものがある。そして、それこそが”彼”が女性を引き付ける理由
なのだろう。
 僕らが北高を卒業する時に、長門さんは彼女が元にいた場所へと帰って行った。(涼宮さんは知らないが)その時、長門さんと”彼”との間
には強い結びつきが出来た。
 心の結びつき。絆。恋人である涼宮さんですら入ることができない、”彼”と長門さんの想い。
 人を結びつける、儚く見えて、最も強いもの。
 長門さんの痕跡がこの地球上になくても、”彼”の心には長門さんの存在があるのは間違いない。その点では、”彼”のアルバイト仲間という
長東由希という女性はいささか気になるところではある。
 
 
 「古泉君、どうかしたの?」
 涼宮さんに声を掛けられて、僕は我に返る。
 「あ、少し考え事をしていまして……すいません」
 「めずらしいわね、古泉君がそんな姿を見せるなんて。キョンは結構話している途中に考え事をしてたりすることがあるけど」
 少し楽しそうな笑顔を浮かべ、”彼”の事を話す涼宮さんを見ていると、涼宮さんの”彼”に対する気持ちがよくわかる。
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ”結局あなたは涼宮さんの事が好きなのね”
 高校を卒業する直前まで、僕には付き合っていた女性がいた。
 大学に合格した日、僕はその女性に呼び出され、そういって別れを告げられた。
 ”いろいろあったけど・・・・・・最初の出会いも含めて・・・・・・貴方の事を好きだったし、尊敬もしていた。私に優しくしてくれたし、一緒にいて楽しかった
けど、でも、貴方の心にはいつも涼宮さんがいるのよ”
 彼女のツインテールが少し揺れていて、僕から視線をそらしながら、彼女はそういった。
 ”古泉さん、私は貴方の心をとらえることが出来なかったけど、いつか貴方の想いが涼宮さんの心に届くことを願っているわ”

 

150 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/05(木) 00:58:28.21 ID:QZr+vybp
 
 あの時、僕は彼女に何も言うことが出来なかった。僕が彼女と正式に付き合いだしたのは、”彼”と涼宮さんが
恋人としての関係を深めていった時期に重なる。
 僕は自分の気持ちを誤魔化したかったのかもしれない。彼女が寄せてくれた好意に僕は甘えていたのだ。
 そのことを彼女に見透かされていたのだろう。
 -----------------------------------------------------------------------------------------------
 
 喫茶店の外に出ると、残暑の暑さは和らぎ、秋が近づいていることを示す涼しい風を感じることが出来る。
 季節が変化するように、僕の気持ちも変化をしていくのだろうか。それとも巡りまわって、再び同じ季節が
来るように、僕の想いもまた涼宮さんに戻るのだろうか。
 涼宮さんと並んで歩きながら、僕はそんなことを考えていた。
 
 

151 :この名無しがすごい!:2015/03/05(木) 17:58:57.53 ID:OCIB7LEK
支援
やっぱり長門のそっくりさんは何か本物と関係あるのかね
推測すれどネタ潰しになりかねんので自重

152 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/10(火) 22:00:20.64 ID:6XeUQ745
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その26

 
 夏期休暇も終わり、京都に戻った俺達は、K大生としての生活を再開した。
 古都は観光シ-ズンを迎えており、色濃く秋の気配に覆われつつある街に、多くの観光客が訪れていた。
 
 普段は地元客が大半のおじさんの居酒屋やコンビニも観光客の姿が増えており、俺とバイト仲間の長東はかなり忙しく働いていた。
 「寿海のお燗酒を3番のお客さんに、澤屋まつもとの冷やを5番のお客さんに」
 「はい」
 「すいません、注文ええですか?」
 「はい、少々お待ちください」
 「兄さん、エレベ-ター、いっちょ頼むわ」
 「はい、お受けしました」
 地元客と観光客では、お酒の注文の仕方が違うので、案外見分けやすい。今日は常連客の数は少ないようだ。
 大ぶりの薄あげを焼いて、大根おろしと削り節、ちりめんといりごまをふりかけ、昆布だしで割った醤油をかけたのが”エレベ-ター”
で、これは常連客がよく注文する肴である。京都では案外有名な肴で、うち以外でも多くのお店が出しているが、最近では府外の人にも
知られるようになって、注文する人も増えていた。
 「7番席に聚楽菊の小瓶一つお出しして」
 「はい、わかりました」
 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 客が多かったせいか、オーダ―ストップがいつもより早く、営業終了もずいぶん早かった。
 長東と食器を洗い、お店の掃除と片づけを終えて、上がったのはまだ10時前だった。
 「今日も忙しかったな」
 「やっぱり余所のお客さん増えているみたいね」
 「そうだな。いつもと出る酒の種類が違ったしな」
 そんなことを話しながら、店の入り口に鍵をかけ、明かりを落とす。
 「お疲れ様です」
 おじさんに挨拶をして、二人で裏口から出て、居酒屋の上にある、それぞれの部屋へと戻る。
 「じゃあ、長東もお疲れ様」
 声を掛けて自分の部屋に入ろうとした時だ。
 「あ、キョン君、ちょっと待って」
 そういいながら、長東は自分の荷物を入れているバックから小さなタッパ-を取りだした。
 「これ、新しく作ってみたんだけど、よかったら食べてみて」
 「新作か?これは何だ?」
 「狐ちらし。お稲荷さんに使うお揚げさんの破れたものを、ちらしずしにしてみたの」
 うちの居酒屋で意外に人気があるのが手作りの稲荷寿司で、甘い味付けではなく、ちりめん山椒(おじゃこさん)を混ぜた寿司飯を
くるんだものだが、揚げを炊く時、破れる物が出る。それらはまかない飯の時、炊き込みごはんに使ったりするのだが、それを長東は
ちらし寿司にしたようだ。
 いつもながら、長東の料理のセンスには感心させられる。
 「ありがたくもらうよ。いつもすまないな」
 「ううん。この前キョン君からお土産もらったから、そのお礼も兼ねて・・・・・・今日はお疲れ様、お休みなさい」
 「お休み」
 長東が階段を上がっていくのを見送って、俺は自分の部屋の扉を開けた。
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――--------------------

 「

153 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/10(火) 22:02:03.07 ID:6XeUQ745
 
 「今日はお弁当ですか?」
 「ああ。いいものもらったんでな。それに自分で作ったものを付け加えてみたわけだ」
 秋の陽気な日差しの中、ハルヒが「外で食べるわよ!」と言いだしたので、いつもの面子の四人(俺、ハルヒ、佐々木、古泉)は大学内
にある、食堂近くの、芝生の広場に腰かけていた。
 俺は、昨晩長東からもらった狐ちらしと合鴨肉を中心としたおかずを広げて、芝生に腰かけていた。
 俺を除いた三人は、食堂で注文し、トレ-に載せて広場へやってきた。
 俺達以外にも多くの学生が、芝生の広場で昼飯を食べたり、寝転がっていたりしている。日差しのおかげで空気も暖かく、心地よさを感
じる程だ。
 「狐ちらしか。キョン、君のバイト仲間の長東さん?食材を無駄にしないあたり、いい料理人になると思うよ」
 「キョン、あたしに一口頂戴」
 一口といいながら、ハルヒは半分ほどとりわけ、自分の皿に載せ、口に放りこんだ。
 「へ―、いい味つけじゃない。とてもおいしいわ。キョン、今度、これ、あたしに作ってよ」
 その言葉を聞いて、佐々木や古泉までもが
 「僕にもぜひ作って欲しいな。それと僕にも少し分けてくれないかな」
 「僕も食べたいですね、ぜひ一口」
 とか言い出したが、
 「ちょっと待て。俺が食べる分がなくなってしまうんだが」

 
 そういうわけで、結局俺が食べた狐ちらしの量はわずかだった(その分三人が自分のおかずを俺にくれたが)、ハルヒが言った様に、とてもいい味で、
作り方をぜひ長東に習いたいと思った。
 「楽しみにしているわよ、キョン」
 近いうちに、俺の部屋で、皆で食卓を囲んで狐ちらしを食べることは、どうやら規定事項になりそうである。
 
 

154 :この名無しがすごい!:2015/03/11(水) 12:42:30.91 ID:4NNli0Q3
書き込めてるかな?支援
昼食後で良かった、夜中に読んでたら間違いなく空きっ腹抱えて寝る羽目になってたw

155 :この名無しがすごい!:2015/03/13(金) 20:41:33.79 ID:XA9KtEUL
ザッピングしながらかぐや姫やってるらしい日テレにチャンネル合わせること4回、すべてCM中で見る意思完全になくなったのですよ佐々木さん

156 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/14(土) 00:30:11.46 ID:CBhAK37F
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その27


 日曜日の朝9時前5分。
 本日も秋晴れという言葉がぴったりの天気であり、観光客が大喜びすること間違いなし、と断言できるほどおだやかな暖かさ
に包まれた古都の一角。
 「おはようございます」
 「おはようさん」
 「おはよう、立花さん」
 俺と佐々木は今日、佐々木の家庭教師先の生徒である立花香織と共に、以前誘われた府立植物園に出かけることにしたのだ。
 今日のこの日を、立花はかなり楽しみにしていたらしい。
 「それじゃ、二人とも車に乗り込んでくれ」
 今回、おじさんが自分の車であるスズキ・ハスラーXターボを貸してくれたので、わが愛車のミゼットUで、狭い思いをしな
くても済む(それ以前に三人乗るのは現時点では不可能)。
 パッションオレンジ ホワイト2トーンルーフの車体の色は、何となくだが、秋の行楽シ-ズンにふさわしいような気がする。
 「そういえば、キョン、あれを持ってきてくれた?」
 佐々木が言う”あれ ”とは、この前、長東から分けてもらい、その後、作り方を教えてもらった狐ちらしである。
 皆が俺の部屋へ遊びに来たとき、早速ふるまったのだが、実に評判が良くて、特に佐々木はえらくお気に召したようだった。
 今回三人で出かけるに当たり、狐ちらしだけではなく、甘辛二つの味の稲荷寿司も俺が作り、佐々木と立花がおかずを作って
持ってくるように分担したのである。佐々木はずいぶん大きな風呂敷包みを持っていたが、どれだけ作ったのだろうか。
 助手席に佐々木が、後部座席に立花と荷物を載せて、車を発進させた。
 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 府立植物園は府立大学の近くにあるが、総面積24万平方mとかなり広い面積を誇る。敷地内は大きく北と南に分けられ、南側
には熱帯植物が観賞できる観覧温室やバラを中心とした洋風庭園などがあり、北半分は自然林を生かした、からぎの森や植物生態
園などがある。
 一般人と高校生は有料(二〇〇円〜一五〇円)だが、中学生以下は無料という事で、以前から立花はよくここへ来ていたらしい。
 「花の色合いというか、自然が作り出す色彩は見てて飽きないんです」
 さすがは染色家を母親に持つだけのことはある。
 今の時期は秋桜子(コスモス)、サルビア、薔薇、マリ―ゴ-ルド、あるいは金木犀等が咲き乱れ、温室ではパパイヤの花が鑑賞
出来る。
 「本当に綺麗だな」
 花々が生み出す美しさを見ていると、思わずそんな言葉が自然に出る。
 「春夏秋冬、それぞれの季節に咲く花によって、景色が変化するんです。ほら、この洋風庭園の薔薇の群生は、比叡山を借景と
しているんです」
 薔薇が咲き乱れる庭園を見下ろすようにそびえている、大きなヒマラヤ杉の後ろに、京都の北方を守護すると言われる比叡山が
姿を見せている。
 「まさに京都人が作り出した植物園なんだね」
 佐々木が感心したようにうなずいた。
 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

  

157 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/14(土) 00:40:45.70 ID:CBhAK37F
園内を一通り廻った時、時計の針は、ちょうど正午を指示していた。
 俺達三人は、園内観賞の中央分岐点として位置づけられている大芝生地で休憩、昼ご飯とすることとした。
 K大でもそうだが、こういう芝生の大広場は開放感があり、何か心地よい気分にさせてくれる。
芝生の上にシートを引き、持ってきた弁当を広げる。
 「これはうまそうだな」
 佐々木が持ってきた二つ重ねの重箱には、二人の力作のおかずががいっぱい詰まっていた。
 揚げ物は少なく、煮物・焼き物を中心に、彩りを考えて、食べるのが惜しいほどきれいに敷き詰められていた。
 長東も料理の色彩を大事にするが、立花はさらに深化させたように、素材の色合い生かした盛り付けをしていた。
 「キョンさんのお稲荷さんと狐ちらしもおいしそうですね」
 「それでは早速いただくとしようか」
 まずはこの月から出回り始めた蓮根を使った金平から箸を付ける。
 「いい味付けだな。しゃきしゃき感があって、少しピリ辛なところがいい。これを作ったのは佐々木か?」
 「ご明察。君のちりめん山椒稲荷寿司もいい味だよ。甘い方と交互に食べると、止まらなくなりそうだ」
 「キョンさん、これを食べてみてください。合鴨がお好きだと先生から聞いたので、合鴨ロース煮を作ってみました。先生もどう
ぞ。結構自信があるんですよ」
 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

食事をした後、すぐに横になると牛になるとか言われるが、美味しいものをたらふく食えば、人間、横になりたくなるものだ。
 ましてや暖かい陽気な昼下がりならば、芝生の上に手足を伸ばして、寝転んでみたくもなる。
 「本当にいい天気だ」
 秋晴れの空を見上げながらしみじみと俺はつぶやく。風に乗ってほのかに香る花の匂いが、俺の鼻孔をくすぐる。
 「色々な花を見れたが・・・・・・やっぱり秋桜子(コスモス)が一番印象に残ったな。佐々木は?」
 「そうだね、僕は水引草とかホトトギス(杜鵑草)が気に入ったね。秋桜子(コスモス)や薔薇も素晴らしかったが、ああいう花はまた
違った趣がある」
 「水引草は私の母親も好きなんです。知り合いにお茶の先生がいますが、茶室を飾るのによく使われています」
 「立花の好きな花は何なんだ?」
 「季節ごとに色々ありますけど、秋だったら、私は萩の花が好きです」
 「”萩の花尾花葛花撫子の花 女郎花 又藤袴朝顔の花”だね」
 「ん?どこかで聞いたな、その言葉。それもお前から聞いたような気がするんだが」
 「山上憶良のが万葉集で読んだ、秋の七草についての歌だよ。古来、萩の花は秋を象徴する花として愛され、万葉集で一番詠まれた
花は萩の花なんだ」
 「思い出した。中学の時、お前から教えてもらったやつだ」
 歌にどういう意味があるのか、どういう背景があるのか、「ただ、花の名前並べただけじゃないのか」と思った俺は、佐々木に尋ね
たのだ(中学時代、俺はわからないことがあれば佐々木に聞いていた)。
 「万葉時代の人々は、男女とも萩の花を手折って、髪にさして、想いを伝える文を、荻の花の小枝に結び贈りあっていたそうです」
 「萩の花を髪にさしての男女交際とは、古代人は風流だな」
「そういえば、萩の花言葉には”想い”とか”前向きな恋”とかいう意味があるんです」
 「へえ、何かぴったりくるな」
 「それともう一つ」
 そこで、立花は何故かいたずらっぽい微笑を浮かべた。
 
「先生がさっき気に入ったと言われたホトトギス(杜鵑草)の花言葉、あれには”秘めた恋”と”永遠にあなたのもの”という意味が
あるんですよ」
 
 

158 :この名無しがすごい!:2015/03/14(土) 07:33:19.70 ID:9hqWGiZ7
支援
寝転がり方は佐々木さん真ん中にした川の字か、それとも某桃太郎金太郎浦島が出てくるCMみたいな形なのかな
立花さんは空気読める子だからさすがにキョン真ん中で小の字はないはず
でもって花言葉、もはや打ち合わせしてるのではないかと思わせる援護射撃w

159 :この名無しがすごい!:2015/03/16(月) 10:28:18.03 ID:uHiBwY23
伏見稲荷だと思ったら意外な所に。関西在住なのに京都府立植物園を知らなかったよ。
ガールズトークに花言葉は必携ですよね!
……オレわかんないけど。
中学時代にその話をキョンに告げたときの佐々木さんの心境を思うともうね、たまりませんよ。
素晴らしい。


某アニメで某キャラが平方根を暗算で算出した話から、開立法って存在を今知りました。
知ってたら前のSSで佐々木さんに立方根を算出してもらったものを……

160 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/17(火) 22:44:10.26 ID:Moag6P5k
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その28


  しばらくそうやって、いろんなことを話していたが、ふと気が付くと、時刻は3時を過ぎていた。
 「時間が過ぎるのは早いんだな」
 「楽しい時間程、過ぎるのは早く感じられるものだね。さて、これからどうしようかね。そのあとの予定を決めてはいなかったしね」
 「稲荷寿司ついでに、伏見稲荷にでもいくか?まだ帰るには少し早い気もするな」
 「大社だけならともかく、稲荷山に登るなら時間がないと思うよ。ここから行くのも時間がかかりそうだ」
 そんなことを話していたのだが、
 「先生、キョンさん、良かったら私の家に来ませんか?実はお二人に会わせたい人がいるんです」
 立花の申し出に俺達は顔を見合わせた。
 「ファッションデザイナ-をしている私の叔母なのですが、お二人の事を話したら、興味を示しまして、時間がある時に会ってみたいと
言っているんです。先生たちがよろしければ・・・・・・」
 「まあ、別に時間はあるしな」
 ファッションデザイナ-が、何故俺達に興味を示しているのかはわからんが。
 「キョンがいいというなら僕も構わないよ」
 佐々木も同意する。
 「良かった、ありがとうございます。すぐに叔母に連絡します!」
 少し興奮したような感じで、立花はその「叔母」に連絡を入れた。
 3分ほど話して、立花は電話を切った。
 「それじゃ、すいません、キョンさん。私の家までお願いできますか?」
 「ああ、わかった」

 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 立花の家は、いわゆる西陣(行政名称ではなく通称。上京区、北区にまたがる一帯)の、古い街並みが軒を連ねながらも、いわゆる町家
利用の再開発(renovation-リノベーション)により、伝統と革新が融合して、人を呼び込んでいる地区の一角にあった。
 明治初期に流行した擬洋風建築を改築したらしい店舗があり、それに隣接した、広い庭を持つ、立派な数寄屋造りの家。
 それが、立花の自宅であり、その横の店舗は、立花の親父さんの会社のアパレルメ-カ-が出している自社ブランドの販売店舗だった。
 佐々木は家庭教師として、ここには来ているから慣れたものだろうが、初めて見る俺は、少し驚いた。
 「相当なお嬢さんだったんだな・・・・・・」
 「そんなことはないですよ。祖父から受け継いだものを少しだけ大きくしただけですし、税金も馬鹿になりませんから」
 そういって、立花は謙遜したが、それにしても立派なものだ。
 門を潜り抜け、敷地内に入り、来客用の駐車場(何と地下!)に案内され、車を止め、俺達は車から降りた。
 「こちらからどうぞ」
 立花が案内してくれた扉を開けると、それは横の店舗に繋がる階段だった。
 階段を上がり、そこにあった扉を開けると、そこは店舗の一角にある部屋のようだった。
 「いらっしゃい。待っていたわよ」
 モデルのような長身で、スタイルが良く、見たところ20後半か30前半ぐらいの、ショ-トカットの、少しハスキ―ボイスで、某宝塚
出身の女優を思わせる美人が、俺達を出迎えた。
 「私の叔母の、立花遥子(たちばなようこ)です。先生も会われるのは初めてですよね」
 「私の方は何度か見かけたことがあるわ。香織が世話になっているわね」
 「いえ、私の方こそ」
 「いつも香織が話してくれるんで、会って話すのを楽しみにしていたのよ。そして、そちらが噂のキョン君、ね。初めまして」
 立花は、一体どんなことを話しているんだろうか?と思いながら、俺は挨拶を返した。
 それから、しばらく立花の叔母さんである遥子さんは、俺と佐々木に交互に視線をやっていたが、
 「なるほどね。香織、あんたの言うとおり、二人ともイメ-ジにぴったり来そうだわ。”雅美(みやび)”と”静夜(せいや)”の組み
合わせをうまく表現できそうね」
 「そうでしょう、遥子さん。先生とキョンさんは、息もぴったりなのよ」
 親戚で盛り上がっている二人をよそに、俺と佐々木はどうも話が見えず、首を傾げる。
 「すいません。お話しされている途中で悪いのですが、俺達は一体何をすればいいのでしょうか?」
 「あ、ごめんなさいね。実はね。あなた達二人にモデルをやってもらいたいのよ。私たちの会社が展開しているファッションブランド、
女性向けの”雅美(みやび)”と”男性向けの”静夜(せいや)”のモデルを」
 

161 :この名無しがすごい!:2015/03/17(火) 22:51:40.46 ID:Moag6P5k
>>159 伏見稲荷はまた別の機会にと考えていました。あそこには、あるアイテムがあって、
話のネタに使えそうなので。

162 :この名無しがすごい!:2015/03/18(水) 07:53:24.24 ID:qRNPL758
伏見稲荷のことは今後のためにも敢えて調べない方が良いかな?支援

163 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/21(土) 01:00:44.66 ID:ACnSxHlV
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その29

 ファッションモデル?この俺に?
 立花の叔母・遥子さんの話を聞いて、俺は目が点になる。
 ミヨキチがそのファッションモデルとしてまさに活躍中だが、俺にはどこか別の世界の出来事の様に感じられる。
 ましてや、自分がモデルになるとは、今までの人生で、全く想像がつかない。
 「私達の会社のブランドである女性向けの”雅美(みやび)”の概念(コンセプト)は、同性からの視点で見た、輝く女性のための
ファッションなの。洗練された知性、統制された理性。その二つを併せ持ち、優雅であり、本当の意味での自立した女性のためのブラ
ンド。それが”雅美(みやび)”。そしてそれと並列し、その女性を輝かせる、”真の優しさ”を持つ、女性のパ-トナ―である男性の
ためのブランドが”静夜(せいや)”。それぞれ単独でも高いファッション性を保ちつつ、二つが一緒に存在すると、その相乗効果が
何倍にも広がるようにデザインされている。その出来栄えには自信があるわ。だけど問題はそれを着こなせるモデルがなかなかいなかった
ことよ」
 そういいながら、遥子さんは、再度俺と佐々木に交互に視線を走らす。
 「佐々木さん、あなたは”雅美(みやび)”が想定する女性のイメ-ジにかなり当てはまっているみたい。そしてキョン君は、”静夜(せ
いや)”の概念である”女性のパ-トナー”にぴったりだわ。それに、なかなか上背もあるし」
 「しかし、佐々木は確かにふさわしいと思いますが、俺はそこまでのレベルの人間ではないですし、ちょっと・・・・・・」
 「謙遜しなくてもいいわよ。香織からある程度の事は聞いているわ。あなたは、自分に自信を持っていいと思うわよ。佐々木さんの”親友”
なんですってね。女性にその言葉を言わせることが出来るのはすごいことよ」
 まあ、佐々木が”親友”といってくれるのは、俺としてもありがたい気持ちではあるが。
 「キョン。何でも経験してみるのも悪くない。何かえらく高く評価されて、少しこそばゆい気分ではあるけど、君とならこのモデルを引き受
けてもいいと思う。どうする?」
どうやら佐々木はやってみる気があるようだ。
 かつて古泉が評したように、佐々木は10人中8,9人は間違いなく美人と評価し、人目を引く美人であり、ミヨキチのようにモデルをやって
みても間違いなく通用するだろう。
 その美人が、そして俺の親友でもある佐々木が、俺と一緒にやってみてもいいとまで言ってくれている。
 少し間をおいて、俺は遥子さんに「よろしくお願いします」と頭をさげた。
 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 

164 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/21(土) 01:04:11.53 ID:ACnSxHlV
 立花のお店の店員たちは、実はただの販売員ではなく、いわゆるスタイリストであり、衣装だけでなく、髪形やアクセサリ-、あるいはメイクも
手がける、総合的な才能の持ち主であり、その技能を生かして顧客に提案するというやり方を採用しているのだ。
 この京都のお店だけでなく、他にもいくつかある支店、あるいは別ブランドによる店舗においても同じやり方を採用しているそうだ。
 俺と佐々木がモデルを務めるのは、晩秋から冬の期間に販売する衣装であり、最大の狙いはクリスマスから新年にかけて行われる冬のセールの
目玉とするものだった。
 「本当は秋の始まりぐらいには準備しておかなければならなかったんだけど、”雅美(みやび)”と”静夜(せいや)”の組み合わせのイメ-ジ
に合うモデルが見つからなかったの。片方だけだったら難しくはないけど、両方のブランドの相乗効果を狙ってのものだから、妥協はできなかった
の。何とかぎりぎり間に合いそうね」
 
 一時間後。
 「うん。いいわね。すごくいい!期待以上の出来ね。まさにイメ-ジ通り。私が意図したとおりの相乗効果が出来ているわ」
 店員によるメイクや衣装合わせを終えた俺と佐々木を見て、遥子さんはかなりご満悦の様子だった。
 「佐々木さんは”雅美(みやび)”のイメ-ジする女性そのものだし、キョン君はそれにふさわしい”静夜(せいや)”の男性になっている。
ここまであなた達二人が組みあわせの世界を表現してくれるとは思わなかったわ。恵ちゃん、すぐに撮影の準備をして」
 遥子さんは店員の一人に指示を出した。どうやら今から撮影を行うらしい。
 「先生とキョンさん、すごく似合っています!格好いいです!」
 立花も俺達の姿を見て、少し興奮気味である。
 淡い色使いではなく、少し強めの配色の組み合わせを基本とし、”かわいい”系の要素を排し、今まさに大人の女性へと変貌する佐々木の年齢に
合わせた、洗練されたデザイン(背伸びするのではなく、成長による変化を生かすという高度な構成)を持つ衣装は、なるほど冬の季節の景色の中で、
その個性を強く見せることができる。
 俺の衣装は、落ち着いた色合いを基本とし、一見シンプルだが随所に”こだわり”があり、チャラさを一切排し、佐々木同様の洗練されたデザイン
でもって全体の調和を図り、”大人へと変化していく男性”を表現したものだった。
 
 「キョン、君によく似合っているよ。その服は」
 「佐々木の方こそすごく似合っている。本当にプロのモデルみたいだよ」
 もともと美人だが、その美人度が普段の10倍以上も増している佐々木を見て、お世辞抜きで俺はそう思った。
 

165 :この名無しがすごい!:2015/03/21(土) 08:23:39.13 ID:ivDgmonY
支援
キョンと佐々木さんだからこうなったけど、古泉とハルヒだったらどんな会話になってたのかね
イメージと違うからコンセプトの説明と宣伝だけで終わってた?

166 :この名無しがすごい!:2015/03/21(土) 11:26:16.86 ID:a3eNNLwO
はるか昔、上杉達也が南と写真撮ったシーンを思い出したよ。

167 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/22(日) 01:57:49.20 ID:GqGfwBcf
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その30


 撮影が終了し、一通りの事が片付いた後、遥子さんは店を閉め、俺と佐々木、立花を連れて、夕食をごちそうしてくれることになった。
 辻通りから少し入った、もとは割烹だった建物を改装した、伏見の酒造会社が経営している「鳥極(とりきわ)」は丹波地鶏、合鴨を使った鳥料理が名物で、
西陣の旦那衆、女将さん御用達ともいえるお店だが、値段は手ごろで、遥子さんは個人でも会社でも、よく利用しているそうだ。
 「今日はお疲れ様」
 真新しい、青い畳の個室に入り、注文は遥子さんにお任せした。
 生ビ-ルが一つ、ウ−ロン茶が三つ、ジョッキに注がれて俺達の前に並べられた。
 「いい仕事ができて、本当によかったわ。それじゃ、乾杯!」
 遥子さんの音頭でジョッキを合わせ、それぞれ喉を潤す。
 合鴨のサラダ、鳥チャ−シュ-から料理は始まり、次々と料理は運ばれてくる。
 「美味しいですね。この胸肉の一枚焼きは。歯ごたえもあるけど、元の味がしっかりしている」
 「キョン。この自家製フォアグラパテも美味しいよ。味が濃厚だけど、臭みとかがないね」
 料理のレベルの高さに俺は思わずうなった。ハルヒや古泉、長東を連れて来たら、あいつらもきっと気に入るだろう。
 「どんどん食べて頂戴。満足できる仕事の後の食事は、格別に美味しいから」
 遥子さんはジョッキをからにした後、すぐに二杯目を頼み、それもすぐに飲んでしまい、そのあと、お気に入りだという、ここを経営している酒造会社の純米酒
のお燗酒に切り替えていた。
 立花を見ると、結構早いぺ−スで、焼き鳥や串焼きを平らげている。
 「へえ、卵焼きもあるんだね。出汁巻きみたいだね。それにしても大きいな。キョン。半分食べてくれないか?」
 「ああ。遠慮なくもらうよ」
 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 メインの、鶏の骨から取った出汁をつかう取りのすき焼きを食べ終えたころには、俺も佐々木も腹いっぱいになった。
 以前にも話したように、俺達は夜はそこまで食べないようにしているから、今回はいささか食べ過ぎのように感じたが、遥子さんと立花は、まだまだ平気
な様子である。
 「デザ−トもあるからね」
 遥子さんはそういったが、これ以上腹に入るかどうか疑問である。
 そんなことを考えていると、俺の携帯電話が鳴り響いた。
 「ハルヒからだ」
 発信人を確認し、いったん、俺は電話を切る。
 「佐々木、ちょっと外で話してくる」
 そう断って、俺は部屋の外へ出た。
 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 「佐々木さん」
 キョンが部屋を出た後、遥子さんは私に話しかけてきた。
 「今日は本当にお疲れ様。無理をさせてしまってごめんなさいね。あなた達二人には本当に感謝しているわ」
 「いえ、私達の方こそ色々お世話になりました。でも本当に私がモデルでよかったのですか?」
 「ええ。自信を持って答えられるわ、あなた達二人を選んだことは間違いない、とね」
 そういわれると、少しだけ不安を感じていた心が落ち着く。
 
 「それと佐々木さん、さっきキョン君が電話をかけると言っていた”ハルヒ”さんは、キョン君の”彼女さん”なの?香織から名前はちらりと聞いてはいるん
だけど」
 
  
 
 
 

168 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/22(日) 01:58:58.44 ID:GqGfwBcf
そう私に尋ねる遥子さんの表情が、何故かいたずらっぽいような顔つきになっている。
 「あ、はい。キョンの彼女ですね。高校の時からキョンと付きあっていて、大学は一緒に受験して合格したそうです」
 「貴方の友人でもあると聞いているけど、そうなの?」
 「はい。とても頭が良くて、行動力がある女性です。彼女から学べることは多いですよ。一緒にいて楽しい人ですね。それにすごい美人ですし。私より、彼女
の方がモデルをやった方がよかったかもしれません」

  ”なぜなら涼宮さんこそ、キョンの彼女、パ−トナ―なのだから”
 
 「佐々木さんがそこまで言うのだから、相当の美人なんでしょうね。でも多分、”雅美(みやび)”のイメ−ジには合わないと思うのよね」
 「え?どうしてですか?」
 「その”ハルヒ”さんは、スタイル的にどう?ちょっと変な言い方になるけど、そうね、男性が好むグラビアアイドルみたいな感じ?」
 キョンの部屋に皆で泊まる時、涼宮さんと一緒にお風呂に入ったことがあるけど、確かに涼宮さんのスタイルは抜群で、”出るところは出ている”と表現でき
る。こういう言い方は適当ではないのかもしれないけど、多くの男性が夢中(キョンも含めて)になるスタイルかもしれない。
 「撮影の前に言ったみたいに、”雅美(みやび)”の概念(コンセプト)は”同性からの視点”を第一に考えるの。つまり男性の目を引きやすい、肉体的な特徴
を強調するのに力点を置くんじゃなくて、理知、すなわち女性の内面を魅力として引き出すことが、”雅美(みやび)”の商品価値だから。佐々木さんもスタイルは
悪くないどころか、とても均整がとれていると思うけど、”雅美(みやび)”のモデルとして求めたのは、スタイルではなくて、あなたのもつ知性と理性の輝きなのよ
。そして自立した女性に一番必要なものは、その二つだと私は思うわ」
 

169 :この名無しがすごい!:2015/03/22(日) 16:43:51.01 ID:IaBn6YqX
ハルヒだと華美あたりが相応しい感じになるのかね
支援

170 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/22(日) 22:30:35.82 ID:GqGfwBcf
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その31

 
 ここまで遥子さんの話を聞いていて、私はあることに気付いた。
 「だとすれば、”雅美(みやび)”の顧客は、かなり限定されたものになりませんか?」
 「その通りよ。着る人を選ぶのが”雅美(みやび)”というブランドだといってもいいわ。ユニクロらH&M,ZARAのファストファッション
とは対極の位置づけなの。だからの組み合わせである”静夜(せいや)”も、着る人を選別するの。”雅美(みやび)”の女性たちのパ-トナ―に
ふさわしい男性の魅力を引き立てる為に」
 ”服に着られる”といささか揶揄を込めた様な言葉があるが、価値ある者は持ち主を選ぶという。遥子さんは、自分がデザインした服に、そのよ
うなメッ-セ-ジを込めたようだ。
そんなことを考えていると、また室内に携帯音が鳴り響いた。
 「はい、立花です」
 今度は遥子さんのスマ-トフォンだった。
 「あら、千秋君。元気にしている?ええ。モデルの件?それが丁度いいモデルが見つかったのよ。”雅美(みやび)”と”静夜(せいや)”
の概念を表現できるモデルが。そうね、来週までには・・・・・・ええ。お願いするわ。それじゃあね。あ、そうだ、よかったら近いうちに食事に
行かない?時間を合わせて。ゆっくり話したいこともあるし。うん、それじゃ」
 電話の相手はかなり遥子さんと親しい人物のようだ。どうやら男性のような気がするが。
 「遥子さんの一番大事な人なんですよ」
 こっそりと立花さんが私に耳打ちする。
 「香織、佐々木さんに変なことを教えないの」
 遥子さんには聞こえたらしい。
 「だけど、千秋さんはいつも遥子さんの事を気にかけてくれているじゃない」
 「千秋君は私の友人だからよ。彼はとても友達思いだから。私にだけ気を使ってくれるわけじゃないわ」
 遥子さんの言葉に、立花さんが何か含みのあるような笑みを浮かべる。
 「そうね。千秋さんは遥子さんの”親友”だものね」

 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 「今日は御馳走様でした」
 お店を出て、キョンが遥子さんに頭をさげてお礼を言った。
 「私の方こそ世話になったわね。それに香織にも付き合ってもらってから。本当にありがとう」
 「いえ、どういたしまして」
 「またあなた達二人にモデルを頼むかもしれないから、その時はお願いするわね」
 「へ?」
 キョンはハトが豆鉄砲を食らったような表情になる。
 「それじゃ、さよなら。私は寄って行くところがあるから。香織も早く帰るのよ」
 そう言って、遥子さんは手を振って私達に別れをつげて、呼び出していたタクシ―に乗り込んだ。

   

171 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/22(日) 22:31:38.91 ID:GqGfwBcf
とりあえず、立花さんを自宅まで送ることになり、3人で車に乗り込む。
 「先生、キョンさん、本当にお疲れ様でしたね。今日は私もとても楽しかったです」
 「まさかモデルをやる羽目になるとは予想していなかったけどな」
 キョンが苦笑する。
 「でも、お二人ともとても似合っていました。あの企画は遥子さんがかなり力を入れていた企画だったんで、先生たちがモデルになってくれた
から、ホッとしたと思います」
 橘さんの言葉を聞いて、私はある考えが浮かんだ。
 
 「ねえ、立花さん。遥子さんがイメ-ジした、”雅美(みやび)”と”静夜(せいや)”の組み合わせのイメ-ジ、あれは遥子さんと千秋さんの
関係を表しているんじゃないかしら」

 「ん?誰だ?その千秋さん、て」
 「あ、そういえば、さっきキョンさんはあの場にいませんでしたね。遥子さんの大事な人で”親友”です。遥子さんが離婚した時も、いろいろ
相談に乗ってくれて助けてくれた人なんです。それと仕事上でも取引があって、うちの会社のブランドや製品を高く評価して扱ってくれているんで
、遥子さんも頼りにしているみたいなんです」
 「え、遥子さんは結婚していたの?」
 「あ、これ言っちゃ行けなかったんだった、まあいいです。遥子さんと千秋さん、遥子さんの元旦那さん、それと千秋さんの奥さんは、昔から
の友人なんです。結婚は早かったんですけど、旦那さんが浮気して離婚しちゃって・・・・・・その時、ずいぶん助けられたそうです。ちょうど千秋さ
んの奥さんが病気で亡くなられた時期で、千秋さん自身も大変だったそうですけど、色々力になってくれた、て。遥子さん、家でお酒が入ると、
いつも千秋さんの事ばかりしゃべるから、私も覚えてしまって」
 「その千秋さんも、今は奥さんがいないのなら、遥子さんと付き合うのには何の支障もないんじゃないかしら?遥子さん、友達だとか言っていたけど、
話しているときの表情とかが、すごく嬉しそうに見えたから」
 「千秋さん、奥さんの事をすごく大事にしていたから、再婚とかする気はないみたいなんです。遥子さんは千秋さんの気持ちをよく知っている
から、その気持ちを尊重したいと言っていました」
 「なかなか男らしい人だな、その千秋さんて人は」
 「見た目は平凡な感じですけどね。でもすごい努力家で、仕事も出来る人だって、遥子さんもうちの父も高く評価しているんですよ」
 「だけど、遥子さん、自分の気持ちを伝えたいでしょうね」
 「遥子さんが言ったことがあるんです。”私は彼の友人でいい、て。だって恋愛関係よりも友人関係の方が長く続けられるから。一度私は失敗している
し。恋愛より友情、恋人より親友よ”て」
 「それは本音じゃないよな。失礼な発言だと思うが、気持ちをごまかすために言っているようにしか聞こえないぞ」
 「私もそう思います」

 キョンと立花さんの言葉に、何故か私の心がざわついた。

172 :『世界ふかし話』〜偉人伝〜:2015/03/23(月) 00:01:01.69 ID:+TUqeQkh
「ねぇ、佐々木お姉ちゃん。グーテンベルクってどんな功績がある人なのかな。」
「グーテンベルクかい?そうね。」

昔々ドイツに、キョンテンベルグという男がいました。
キョンテンベルグは、グータラベルグとも言われる位に怠惰で、働く事が大嫌いでした。
やむなく金属加工業務をし、日銭を稼いでいましたが…今日もキョンテンベルグは、妻の料理を食べながら言いました。
「働いたら負けだと思っている。」
「…度し難い男だね、キミは。」
勤労の尊さ、お金の必要性は、いつの時代も変わりませんが…そんな二人に転機が訪れたのは、キョンテンベルグが聖地の巡礼者に対する観光業や大帝の遺品の展示をする事となり、出資者から借金をしてしまった事でした。
「お金が返せない?ならば身体で払ってもらいましょうか。」
「やめたまえ!僕はキョンテンベルグに操を立てた身だ!」
「何か勘違いされているようですね。身体で払って頂くのは貴女ではありませんよ…?んっふ。」
「……」
身の危険を感じたキョンテンベルグは、出資者にとある秘密を教え、難を逃れました。
「…言ってみたまでは良いが、なんのアイディアも浮かばん。」
「…キミは、金属加工業だよね。ならば、印刷等は出来ないだろうか。」
それから四年の年月をかけて作られたのが、活字の金型を用いた活版印刷でした。
キョンテンベルグは、聖書を印刷し、出資者を募り、会社を作りました。
「及ばずながら、僕も投資します。」
こうしてキョンテンベルグと妻は成功を収めましたが…好事魔多し。
「返済の意思のないお金を、利子つけて払って頂きます。」
キョンテンベルグは、出資者から訴えられたのです。
「(んっふ。こうしていけば、僕は彼をゲット出来ますね。)」
キョンテンベルグは敗訴し、手持ちのお金が足りず、キョンテンベルグは印刷工場を手放します。
「分かった。足りない分は好きに使えば良いだろ。」
「身体をですか?」
「印刷工場だ。くれてやる。」
「……」
それからも、印刷業を続け…紆余曲折はありましたが、キョンテンベルグとその妻は印刷業のパイオニアとして宮廷に召し出され、その数年後、ひっそりと息を引き取りました。
お墓は戦乱で壊され、現存はしていません。

「…というお話だよ。必要とあらば人は働くという見本だね。」
「へぇー。キョンくんがそこで寝てるのは、必要ないからかなー。ねーシャミー。」
「偉人ディスってんじゃねぇ!」

END

173 :この名無しがすごい!:2015/03/23(月) 00:09:56.49 ID:+TUqeQkh
出資者がハルヒやポンジー、長門、国木田あたりだと、お互いに絡ませると生々しくなるので、古泉にしましたw
きょこたんでも良かったのですが、きょこたんはそこまで気が回らないと思い除外w
みくるあたりでも良かったのですが、それだと話が成立しませんのでw

174 :この名無しがすごい!:2015/03/23(月) 18:23:26.56 ID:0auoS20h
>>170-171支援
葛藤してるみたいね佐々木さん
そろそろ素直になるべき

>>172
乙ー…なのだが今回はオチも含め全体的にちょ〜っとネタが弱い印象(-_-;
上から目線ごめんなさいお前が書けとか言わないで

175 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/24(火) 21:41:27.06 ID:2gxoUOGL
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その32

 
 「今日はいろいろとお世話になりました。先生とキョンさんに迷惑を掛けまして、すいません」
 「いや、俺も楽しかったし、いい経験が出来たよ」
 「私も楽しかったわ。夕食までごちそうになって」
 立花さんの自宅の前で車を止め、そこで彼女を降ろした。
 「また3人でどこか行きましょう。いろいろお二人をご案内したいですし、それ以外の所にも」
 「よろしく頼むよ」
 「それじゃ、立花さん、おやすみなさい」
 「おやすみなさい」
 車内から手を振り、そしてキョンが車を発進させた。
 ----------------------------------------------------------------------------------------------------
  「門限には間に合いそうだな」
 キョンが時刻を確認しながら車を走らせる。私の住む寮には門限があるからだ。
 「すまないね。だけど、安全運転で頼むよ」
 「おう。大丈夫だ。お前に怪我させるような真似はしないから」
 街の明かりは華やかで、地元の人や観光客が混じって、夜の喧騒を作り出しているようだ。
 「ところで、キョン、先程の涼宮さんからの電話、一体何だったんだい?」
 食事の途中、涼宮さんからの電話がかかってきて、キョンは席を外したのだが、かなり長電話だったようで、戻って
来たのは、結構時間が過ぎた後だった。
 「ああ。来週のバイトの時間帯を聞いてきたんだ。今度買い物に行きたいと言っていたんで、時間の都合を合わせる
つもりだったんだが、今日のファッションモデルの件に話がなってな。状況を説明したのはいいんだが『あんた、佐々
木さんに恥をかかせるようなことしてないでしょうね。ちゃんとモデルとかできたの?』とか聞いてきたんで、『スタイ
リストが全部やってくれたよ。振付のままやっておいたさ』と返事したら、根掘り葉掘り聞いてきて、しまいに『まあ、
プロがついているんなら大丈夫でしょ。あんたが粗相しても』とか言いやがった。ひどい言い草だよな』
 キョンは苦笑しながら、それでも楽しそうに話す。
 「涼宮さんの心配は杞憂だね。君と一緒に撮影したから成功したと遥子さんもお墨付きを与えたわけだし」
 「まあ、でも俺もハルヒの言うとおり、内心はびくびくものだったな。佐々木の足を引っ張っているんじゃ
ないか、と思ったよ。佐々木と遥子さんの言葉を聞いて一安心したけどな」
 「自信を持っていいよ、キョン。それは僕も保証するよ。君がいたから撮影は成功したんだ」

 そんなことを話しているうちに、車はK大寮の前に到着した。時刻を確認すると、門限十五分前だった。
 「間に合ったようだな」
 「余裕でね」
 私は助手席から降りる。
 「それじゃ、キョン。また明日」
 「お疲れさん、また明日、な」
 「お休み。気を付けて帰ってくれ」
 「ああ。お休み」
 窓を閉め、キョンは私に手を振りながら、車を発進させ、闇夜に消えて行った。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------
それから一週間が過ぎ、私とキョンがモデルを務めた、”雅美(みやび)”と”静夜(せいや)”の広告が、店舗やファ
ッション雑誌、ネット広告などに掲載された。
 ”雅美(みやび)”と”静夜(せいや)”はそれほど多くの店舗を展開しているわけではないが、広告に関しては、かなり
の反響を呼んだようだった(電話をくれた立花さんと遥子さんはかなり興奮していた)。
 最も、私もキョンも一応広告は見て、それから涼宮さんも古泉君もそれを見た(二人はかなり高く評価してくれた)が、そ
れ以上、あまりこのことを気にかけずいつもと変わらない学生生活を送っていた。

 ただし、この出来事は、気付かないうちに、漣を起こしたようで、私達の学生生活に少しずつ変化をもたらすきっかけになっていた。
 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
後年、私はこの時のことを思い出して、考えることがある。
 私とキョンと涼宮さんと古泉君の関係は、この時から、小さな変化を起こしていたのではないかと。
 この時、私達四人はそのことに全く気付いてはいなかったのだ。

176 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/03/24(火) 22:02:52.49 ID:2gxoUOGL
>>172 乙です。こういうクスっとくる短編が書ければいいんですけど。ふかし話
楽しみです。

177 :この名無しがすごい!:2015/03/24(火) 22:23:02.28 ID:/Xi6aC4K
支援
ハルヒがさほど嫉妬してるように見えないのも変化の兆しなのかねえ

178 :この名無しがすごい!:2015/03/28(土) 23:42:18.11 ID:CsIKtpkl
  涼宮ハルヒちゃんの憂鬱10巻購入しました。招き猫佐々木さんいい感じ。
笑顔成分多くていいです。長門有希ちゃんの消失もいよいよアニメ放映です。
涼宮ハルヒの憂鬱の3期をやってほしいです。そうすれば確実に動く佐々木さん見れる
と思うんですが・・・・・・

179 :この名無しがすごい!:2015/03/29(日) 06:43:01.25 ID:sqGxJkpx
消失は映画でやったから2クールあれば足りるかな?
俺達の戦いはこれからだエンドだといいなあ

180 :『スルースキル』:2015/03/30(月) 00:31:19.94 ID:Hq6aAs87
ー楽屋裏ー

「消失がアニメ化か。」
「うむ。どこまでやるか分からないが、僕も遂に声が付くのか。まぁまた悲劇のヒロインではあるが、そこは致し方ない事であろう。」
「あぁ、そう言えばお前の仲間も声が付くんだな。」
「確定ではないがね。そうあれば良いよ。序でに第3期のハルヒがあるとなお良いが。」
「コンテンツとしては、モンスターコンテンツだからな。最近作者にやる気が無いみたいだが。」
「親友、カート・コバーンの言葉を贈るよ。意に反してメジャーになっていく事について『まるでレイプされているようだ』と語っている。」
「そういえば、ジョン・レノンも言っていたな。アーティストである事なんて、ちっとも楽しくない、と。」
「僕達凡夫には分からない苦しみもあるのだろう。気長に待つとしよう。ゴドーを待つようにね。」
「来ないかも知れん、という所がリアル過ぎて笑えんぞ、親友。」
「ふくくっ…僕はもう来れないんだが…僕の扱いはどうなるのか答えろ。現地人。」
「ハルヒちゃんも、ある程度の尺があるんだし…深夜に流すのも良いと思うんだがね。キミはどう思う?」
「そうだな、僕としては、僕とみくる姉さんが出られるならどちらでも…」
「それをやると、消失での特典が無くなるだろう。」
「あとは、第3期の特典もか。難しいものだね。」
「……。」
「朝比奈さんの中の人の健康状態も心配だな。」
「あぁ。声優といっても人間。やはり健康を害す事もある。」
「ふくくっ…僕は涼宮ハルヒの中の人の評価が…」
「命に関わる大病を患う場合もあるし、本当に心配だな。若くして亡くなられた方もおられるし。」
「あぁ。一部の声豚には本当に自重して欲しいね。声優も人間。病気にもなれば彼氏も作る。」
「だな。声優は、お前だと誰になるのかね。」
「僕としては、キミと因縁ある沢城さんになって欲しいねぇ。」
「中の人ネタはやめろ。」
「くっくっ。失敬。多少いじめたくてね。」
「この野郎。」
「……」
「さて、親友。そろそろ戻るとするか。」
「そうだね。親友、悪いが長時間座っていて足が痺れた。抱えてくれないかい?」
「甘えんな。」
「つれないねぇ。…おっと。」
「…親友、俺の胸に飛び込む理由付けにも程がある。」
「そんな訳は無いだろう?足を触ったら恨むぞ?」
「よし、触りまくってやろう。」
「……やめたまえよ?本当に?……きゃあーッ!」
「……」

ぱたん。
ー楽屋の外ー
「…地雷を踏み抜きにわざわざ行かれたのですね。」
「あの空間に自ら進んで行くのは、愚か。」
「み…みくる姉さぁーん!」

END

181 :この名無しがすごい!:2015/03/30(月) 08:07:39.69 ID:+fcJSNvg
乙(´ω`)乙
キョンが攻めに回ると佐々弱い佐々木さんは

かわいい

182 :この名無しがすごい!:2015/03/31(火) 01:34:03.65 ID:79/92GCu
ハルヒちゃんの「くっくくぷー」って笑い方ツボ

183 :この名無しがすごい!:2015/03/31(火) 17:08:31.70 ID:2f4KJX/8
ハルヒちゃん佐々木団で一番出番少なく空気なのが当の佐々木なのが解せぬ

184 :この名無しがすごい!:2015/03/31(火) 18:08:46.60 ID:SciMhZ3V
森さんや国木田みたく変に弄られて酷い目に遭わないよう守られてると考えるんだ

185 :この名無しがすごい!:2015/03/31(火) 18:21:21.79 ID:MkF0hQzz
佐々木さん関東はもう桜が咲いて暖かくなってきましたよ

186 :この名無しがすごい!:2015/03/31(火) 21:38:26.38 ID:SciMhZ3V
キョンとお花見デートのはずが妹ちゃんにミヨキチまで付いてきてがっくりな佐々木さん
が、お弁当の出来で年長者の威厳を見せつけ溜飲を下げる佐々木さん
(日曜日に菜の花・桜・チューリップまで堪能したなんて言えない)

187 :この名無しがすごい!:2015/04/01(水) 18:26:50.86 ID:5hzUqTg6
ぽかぽか陽気と満開の桜楽しんできた
桜が舞う卒業式に佐々木さんがどんな想いでキョンと別れたのか考えると1日じゃ足りない

188 :この名無しがすごい!:2015/04/01(水) 18:36:46.47 ID:5hzUqTg6
そういえばもうすぐ長門有希ちゃんもアニメ化するね
久しぶりのハルヒアニメ化がすごく楽しみ

189 :この名無しがすごい!:2015/04/01(水) 18:46:35.10 ID:ucXr5B4p
まさかこっちでも放送してくれると思ってなかったから嬉しいのですよ
佐々木さん登場まではさすがに望み薄?

190 :この名無しがすごい!:2015/04/02(木) 08:34:51.61 ID:YXmFIshk
今日明日に >>186からの流れのネタをまとめておく。

拙SSの『モーターヘッド』の設定を引き継ぐので、一読してから読んで頂けると幸いです。

191 :この名無しがすごい!:2015/04/02(木) 12:54:52.08 ID:+Vomh/u/
佐々木さんは無理だろうなあ
本編より先にパロで声優決めたり出来なさそうだし

192 :この名無しがすごい!:2015/04/02(木) 18:03:28.26 ID:cV46/4nn
>>190
期待してますつ

193 :『桜の木の下で』:2015/04/02(木) 23:52:28.65 ID:YXmFIshk
「じゃあ、またな。」
「ああ、親友。またどこかで。」
そう言い、去りゆく背中を見送るだけだった、桜並木の下。

強く、強く握り締めた掌から。
沢山の今が零れ落ちた。

中学校の、卒業証書授与式。
まだ咲ききれない桜の木の下。
夢のようにひとりぼっちを感じた、昼下がり。

「もし僕がここに垂れ下がるとしたら、キミは、桜を見上げてくれるだろうか。」
「益体もない上に、縁起でもない。」
高校は春休みに入り、私達は菜の花畑を目指して、プチツーリングを楽しんでいる。
途中、山桜があり…その雄々しい姿に見惚れていた時に、ぽろりと口から出た言葉。
何も自殺願望があるわけでなく、単に口から出た言葉であったが、親友は実に不興げにしている。
山桜の香りと、我がパステルカブ達の排気ガスの匂いが入り混じり…良い匂いなのか、悪い匂いなのかも分からない。
「…桜も蕾から、満開の手前か。」
我が親友は、カブを乱暴にUターンさせた。
「お前と中学校の卒業式で別れた時は、まだ蕾だった気がする。」
よく覚えておいでで。キミの記憶力は侮れないものがあるね。
「ああ、あの時は桜の香りなんて、感じなかったが。」
香りのイメージを持つには弱い、冬と春の境目。冷たい外気に触れていくにつれて、心まで冷ややかになった事をよく覚えているよ。
「…ふん。」
親友は、カブの遠心クラッチを乱暴に繋ぎ、後輪を滑らせて山桜から離れた。ほんのジョークだったが、彼には非常にお気に召さないものだったらしい。
いじけたように、薄緑のカブが走る。
先行するキョンは、時折ミラーで後ろを確認し、私が着いてきているかを見ているようだ。
こうした素直でないところが、実に可愛らしいのだが…大体こんな時はヘソを曲げている。頼りない排気音を響かせ、田舎道の河川敷を走るパステルカブ達。
「キョン。菜の花が道脇に咲いてるよ!」
「……。」
キョンは、こちらを軽く見ると…ペースを落とした。のんびり走ると、風に吹かれた菜の花の香りを感じる。
狭い空間だと、単にきつい香りの菜の花だが…このような外では、実に幽玄に香るものだ。
この朴念仁に、そんな感性は求めないが…何か感じるものがあるのか、ペースはより遅くなった。
「……」
何かを言いたげにしているキョンに、私は「この春の陽気で、ついに呆けたのかい?」と聞いてみた。キョンは…より機嫌を損ねたようで、赤い頬をしながらカブを急発進させた。
からかいが過ぎたよ。くっくっ。

194 :『桜の木の下で』:2015/04/02(木) 23:53:14.11 ID:YXmFIshk
片道30キロも走ると、郊外に出るものだ。
市街地では見られない、麦畑が広がり…一角には色とりどりのチューリップが咲いている。
カブを止め、チューリップ畑に見惚れていると。畑の横に菜の花が咲いているのが見えた。
「綺麗な風景だね。まさに景勝といって良い。」
「…しかし、女ってもんは花が好きだな。」
キョンの惚けた声に、思わず吹き出してしまった。
「キミは、美しいものは嫌いかい?」
「…花は、あのいけ好かないのを思い出す。」
キョンは忌々しげに花を見ると、やれやれ、と首を振る。
「あの未来人か。そういやそんなのもいたね。」
舌打ちと共にキョンは…
「違う。昔の俺だ。」
と言うと、遠くを見つめた。
「…卒業式の後、遠くなっていく背中を見送るしか出来なかった俺だ。足下にある花が、矢鱈と憎々しく見えてな。」
「ほう。」
「…お前は気付かなかっただろうが。」
「馬鹿かね、キミは。」
今度は私が溜め息を吐く番だった。
「こっちを見たまえ。」
キョンはあくまでこちらを見ない。
「見ないなら、無理に向かせるよ?」
「何しやがる!」
キョンの首筋に掴まる私を、キョンが振り払おうとし…やはりというか、私達は畔に転び、私がキョンを押し倒す形に倒れた。
「…ったく。人の話を聞こうとしないからそうなる。」
皮肉の一つをくれてやると、キョンはやれやれ、とジェスチャーした。
「キミねぇ。あの時、僕もキミの後ろ姿を何度も見ていたよ。」
私の言葉に、キョンは…真っ赤に頬を染め上げた。
「…何か他に言葉はあるかね?」
キョンは、少し笑うと…
「空が綺麗だ。菜の花とチューリップに実に映える。」
と言うと…私を引き寄せた。

…此処からは少し略しても良いかな?
花と春霞の空に見つめられた、私達のファーストキス。
零れ落ちた時間が戻った瞬間。
お互いに感極まり、涙ぐんだのを話すのは、恥ずかしいから。

来週に、満開の桜を見に行こう。
そう約束し、別れ…翌週となる。

195 :『桜の木の下で』:2015/04/03(金) 00:12:10.37 ID:qomRTLzV
お花見で、手弁当持参。
気持ちを通じ合わせた後のデートというものは、何故こうも浮き立つのだろうか。
おにぎりに、ひじきの炒め煮、唐揚げ、菜の花のおひたしなどなど…
母からの手習いの品が並ぶ。
あとは、これをカブの後部のバスケットに入れて…いざ行かん、満開の桜の待つ市民公園へ。

…よく昔から『好事魔多し』という。
愛しのパステルカブが前方から来る時、私は後部に人が乗っている事に気付いた。
「佐々木お姉ちゃーん!」
…すまないが、思わず二度見し…幻覚でない事を確かめる。だが、それは紛れも無い現実だった。

「…すまん。見つかった。」
「キミって奴は…!」
はしゃぎ回るキョンの妹君。お友達も一緒らしく、妹君は至極ご機嫌である。
「…あいつらの場合、花見よりは花見られだな。」
「同感だよ。彼女らは、花に見られているような気がする。」
お弁当の時間となり、妹君達までも私のビニールシートに来た。
容赦無く食い尽くされる、彼の為のお弁当…。あんまりな展開に、溜め息を禁じ得ない。
「お前は少し遠慮しろ。」
キョンが妹君を小突く。
「だってぇ。私のお弁当、こんな綺麗じゃないもん。」
どうやら、妹君のお手製らしい。
そこにあったのは…うん。冷凍食品のオンパレード。まぁ年頃としてどうしようもあるまい。
少し溜飲が下がり、最後に熱いお茶で締める。
また、再度遊びに走る妹君達。

私達はベンチに腰掛け、桜を見上げた。
「…桜が好きになりそうだな。」
「これまでは、大嫌いだったが。」
顔を見合わせ、思わず笑う。
咲ききれない桜は、満開となり…泡沫の夢のように舞い散る。

桜なんか咲かなければ良い、と思った中学校の時。今は。桜が咲いて良かった、と心から感じる。

「…また来年も、桜を見よう。」
「ああ。そうだな。」

桃色の喝采の中、私達は少しだけ前に進んだ。

END

196 :『桜の木の下で』:2015/04/03(金) 00:18:45.95 ID:qomRTLzV
一話完結のラブコメにしようとしたら、プロット時点で春のプチツーが頭に浮かんだのです。

皆様も、お昼に田舎道を歩いて菜の花の香りをお楽しみください。

197 :この名無しがすごい!:2015/04/03(金) 15:01:34.46 ID:NqKh6Iky
前作から見直してきました。改めてにやにやさせられた後に今作を拝読。
だるまさんが転んだじゃあるまいに、
わずかでもタイミングがずれていたらと思うお互いの遠ざかる背中が、実にこの二人の卒業式として胸に来ますわ。
桜を見る思いの時を経た違いがしんみりくるよい読後感でした。

しかし、妹ちゃん・・・・・・・・・・・・・自重しる

198 :この名無しがすごい!:2015/04/03(金) 17:35:00.81 ID:nrZSYGEn
良い雰囲気ですな乙乙
数年前のお花見で、同じく花見にいらしてたご年配の夫婦に写真を撮ってと頼まれ撮影した事を思い出しました
願わくばキョンと佐々木さんも、あのご夫婦のように仲良く人生を歩んでいけますように

199 :この名無しがすごい!:2015/04/03(金) 22:20:23.88 ID:UEHpnSZU
春らしい雰囲気が素敵です。乙です。こちらは風と雨が強くて、桜が散ってしまい
そうです。弟や友達と花見に行っておいて正解でした(少し飲み過ぎて、頭が痛か
ったです)。

200 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/04/07(火) 23:31:09.86 ID:Py0RCf2d
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その33


 月に二度程、私は「モデル」という仕事の他に、別の仕事が入っている。
 駅に直結する巨大なファッションビル「リュシア」にある、ファッション雑誌「T-P!」が運営するファッション&カフェのお店での接客だ。
 私と同じ、ファッション誌「T-P!」あるいは「NL」に登場するモデルの女の子たちが接客するお店の二号店(一号店は東京)には、私を
と同じ、西日本出身のモデルの女の子たちが、大体月に二〜四度くらい出勤し、十代向けの女の子向けのファッション雑誌である「T-P!」や
「NL」の愛読者と交流するという仕事なのだけど、土、日祝日はすごい数のファンがお店にやってきて、時には行列待ちをしてもらう事もある。
 東京店よりもこちらのお店の方が、モデルとファンの垣根が低いとの評判が立っているせいか、かなり遠くから来てくれる(私と同じくらいの
年代の女の子達)ファンも多い。

 そのお店で行われているイベントの第一部が終了し、休憩室に入ると、さすがに皆疲れた表情をしている。
 「ミヨちゃん、お疲れ様」
 モデル仲間からは私―吉村美代子は「ミヨちゃん」と呼ばれている。
 「お疲れ様です」
 先輩や皆に声を掛け私は椅子に座りこんだ。
 「今日のイベント、何人ぐらいお客さん来ていたのかな?」
 「お店と、協力店舗、第二イベントホ-ルも使っていたから・・・・・・それでも入場制限かけてたし、軽く三千人ぐらい来ているんじゃないかしら」
 「まだ多いと思うよ。佐伯さんと嶺香ちゃん、それにリ-ファちゃんに即席イベントをやってもらっているけど、それでもファンが並んでいるん
だって」
 「『T-P!』と『NL』のモデルが、ほとんど、それも西だけじゃなく東のモデルも半分は来ているからね、ファンが来るはずだわ」
 「第二部は何時からだったけ?」
 「二時間後よ。今のうちに御飯食べておこう」
 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 「リュシア」の十階にあるレストラン街は、十代の女の子達には敷居が高いかな、と思わせるようなお店が多いけど、それだからこそ、私達
モデルが食事するには、うってつけの場所ともいえる。
 私達が今食事している「星花亭」は、京都の洋食屋の支店だそうだが、慣れしたんだ料理が多く、気を張らずに食事することが出来そうなお店
のようだ。
 京都出身のモデルの子が教えてくれたお店だが、京都と聞いて、私はふと”お兄さん”の事を思い出した。
 お兄さんは九月までは地元の方に居て、私に勉強を教えてくれたりしたが、十月になると、大学が始まったので京都に戻って行った。
 ”元気にしているかな”
 そんなことを思いながら、私は頼んだメニュ-を待つ。
 隣では先輩モデルで私より三つ上の「NL」モデルの相馬さんが雑誌を眺めている。二十代の女性、それも「カッコいい女性向け」のファッション誌
と位置付けられている、「NL」を卒業したモデルの先輩も活躍する「&Eacute;clair」だった。
 実を言えば、私もこの雑誌は大好きで、この雑誌を見ると将来はこんな雑誌で活躍するモデルになりたいと思う。
 先輩モデルが、熱心に記事を読んでいるぺ-ジがふと目に入り、そこに掲載されていた広告ポスターに、私の目は釘づけになった。

  ”雅美〜いまファッション誌の編集者が本当に一番推したいブランド〜”
  ”女性を輝かせるファッション〜相棒(パートナ-)と共に〜静夜〜”

 
 

201 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/04/07(火) 23:32:15.38 ID:Py0RCf2d
 少し強めの配色の組み合わせを基本とした、私達が着る”かわいい”系の要素はほとんど見当たらず、知性にあふれた女性が着こなすようなファッション。
 そのモデルは、夏休みにお兄さんと一緒に出掛けた時、お兄さんの横にいた女性、佐々木さんだ。
 そしてその佐々木さんの横にいる、まさに”相棒(パートナ-)”というにぴったりな雰囲気を醸し出す男性モデルはお兄さんだった。

 「モデル SK」
 写真の下に小さく書いてある名前を、思わず声に出して読んでしまう。
 「ミヨちゃん、”雅美”に興味あるの?」
 「あ、初めて見るんですけど、でも、とても素敵な服だなと・・・・・・それのモデルの女性も美人で格好いいなと思って」
 「そうね。私もそう思う。初めて見るモデルだけど、外見の美しさだけじゃなくて、すごく頭が良さそうな感じがする。この服にぴったりのモデルさんだよね
。それにこの”相棒(パートナ-)”の男性。写真だけだけど、このモデルの女性が、すごくこの男性を信頼しているような表情を見せているのが解るの。本当に
”相棒(パートナ-)”て表現がぴったり」
 先輩モデルの言葉に、私は夏休みの時に船上で感じた、お兄さんと佐々木さんについての事を思い出した。
 「それにしても変ね。『SK』て、多分この女性モデルの事だと思うのだけど、男性モデルの方は名前もないなんて」

 ”Sは佐々木さん、Kはお兄さんのあだ名である『キョン』だろう。この『SK』の意味は、二人で一つの組み合わせ、という意味だ。
 つまり、この広告ポスターを造った人は、佐々木さんの”相棒(パートナ-)”はお兄さんだけといっているに等しいのではないだろうか。
 

202 :この名無しがすごい!:2015/04/08(水) 09:48:55.28 ID:lOcQ1L4A
こういう形で目にするとかえってダメージ大きそうなミヨ大丈夫か。

一方で、外堀が埋まりつつある感がじわっとな。

203 :この名無しがすごい!:2015/04/08(水) 17:48:51.78 ID:u9uYjFZ2
支援
佐々木さんの迸る知的オーラ
どこぞのなんちゃって眼鏡アイドルとは格が違いますわ

204 :この名無しがすごい!:2015/04/11(土) 00:12:41.25 ID:NHmd0pMP
長門有希ちゃんの消失のスレを除いて来たら、さすがに現在放送中で色々盛り上がって
いますね(賛否両論)。ぜひ佐々木さんの漫画も欲しいところです。ツガノ先生の連載も
終了したことですし、出来ない物でしょうか。絵柄的にはぷよ先生の佐々木さんが好きですが。

205 :この名無しがすごい!:2015/04/11(土) 07:44:19.68 ID:TjyYedHQ
佐々木さんのクロスオーバーが作られるとしたら
佐々木さんの憂鬱
佐々木ちゃんの憂鬱
どっちが良いかな?

206 :この名無しがすごい!:2015/04/11(土) 11:43:08.81 ID:yjKYzBt4
佐々木ちゃんの驚愕でよくね?

207 :この名無しがすごい!:2015/04/11(土) 14:48:40.19 ID:TjyYedHQ
よし、ならば佐々木さんをびっくりさせよう
妹ちゃん急成長!

208 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/04/11(土) 21:36:43.93 ID:NHmd0pMP
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その34


 秋の気配はいよいよ深まり、その一方で、冬の足音がかすかに近づいていた。
 僕が通う東大駒場Tキャンパスの銀杏並木は日差しを浴びて、黄金色に輝き、、冷たさを含む晩秋の風に葉っぱを散らし、
地面に色付いた絨毯を敷き詰めていた。
 北高を卒業し、友人たちに別れを告げ、僕はこの街にやってきた。
 自分が住んでいた街の何倍も大きいこの街に、最初は戸惑ったけど、友人も出来、少しづつなじんでいった。
 だけど、北高の友人達、キョンや谷口、古泉君や涼宮さんといった面々、それに中学時代の同級生、佐々木さんの事を、ふと
思い出したりすることもある(キョンと佐々木さん、古泉君と涼宮さんは東京大学のライバルとも言われるK大へ進学した)。
 そして何より、地元には僕の大事な思い人・鶴屋さんがいて、彼女の事を毎晩考えたりしている。

 
 休日のある日、僕は買い物に出かけていた。
 昨夜、鶴屋さんから連絡があり、いつ地元に帰って来るのかを聞かれたのだけど、実は今年から東大のカリキュラムは大幅に
変更されていて、その影響は休暇に関して顕著に表れている。
 4ターム制といって、学部により大まかに二つに分かれるのだけど、教養学部(東大では一年生と二年生前期の生徒全員)は
夏期休暇は8月の一月分だけだが、冬期休暇は12月23日から4月10日と長くなっている(その代わり、土曜・祝日授業があり、
授業時間も長くなったのだけど)。
 僕が今度地元に戻るのは、クリスマス・イブの日だ。
 鶴屋さんへのクリスマスプレゼントを、早めに選んでおこうと僕は想い、僕が入っているサークルの先輩である理学部の女生徒に
お奨めのお店を教えてもらい、そのお店があるという百貨店にやって来たのだ。
 休日という事もあって、店内はお客さんで込み合っていて圧倒されたけど、目的のお店はすぐに見つけることが出来た。
 ”雅美ていう純国産のアパレルブランドなんだけど、すごく大人っぽくて、キャリアウ-マンや意識高い系女性に人気があるんだよ。
コンセプトは理性と知性の輝く女性に、だって。私の友達もお気に入りなのよ”
 他のコ-ナに比べると、落ち着いた雰囲気があり、お客さんもその手の雰囲気をまとった女性が多いようだ。
 ”鶴屋さんは何でも着こなしてしまいそうだけど、この服は似合いそうだ”
 そう思いながら、中に入り、服を選ぼうとした時だ。

  ”!”
 店内に展示されていたポスタ-を見て、僕は唖然となった。
 ”佐々木さん?それに横にいるのはキョンじゃないか!!”
 
 『雅美〜知的に輝かせるファッション〜相棒(パートナ-)と共に〜静夜〜』
 ポスタ-に書かれたキャッチコピ-。
 佐々木さんにふさわしいとしか言いようがない、商品のコンセプトを見事に具現化したポスタ-の中で、この組み合わせしかないとでも
言うように、”相棒(パートナ-)”としておそらくその”静夜”の衣装に身を包んだキョン。
 中学時代、僕は二人に少し鎌を掛けたことがあるけど、その時キョンは否定し、その後、二人は別々の高校に行き、少しの再会の時はあ
ったけど、また別の道を歩み始めた。
 その後、キョンは涼宮さんと付き合い、一緒に進学したけど、そこに何故か佐々木さんも進学(まったくの偶然)していて、キョンと佐
々木さんの道は繋がった。
 ゴールデンウイークの時、佐々木さんは、キョンと涼宮さんを”運命の二人”と呼んだけど、僕はそれに疑問を呈した(少し僕自身酔って
いたと思うけど)。
 ”運命の相手なんているのかどうか。神様がいるのかどうか。それと同じことで 最終的には、言葉の遊びみたいなもので、単なる幻想じ
ゃないのかな、て思うんだ。自分のその時の選択、それこそが個人の未来を決める要素で、その過程で男女が結ばれる。それは運命じゃなく
て、選択の結果にしか過ぎない”
 あの時、僕の言葉を聞いて、佐々木さんはどう思ったのだろう。

 『モデルSK』
 ポスタ-の下に記された名前。
 ”佐々木さんとキョン”
 それが何か意味があることの様に僕は思った。
 
 

 
 
 

209 :この名無しがすごい!:2015/04/11(土) 22:58:44.26 ID:TjyYedHQ
支援
ごく普通に女性徒から情報を得てる国木田は童顔だしいろんな意味でモテてそうだ
谷口だとこうはいかない

210 :この名無しがすごい!:2015/04/12(日) 01:52:15.24 ID:a0KiP3qG
おう。こんなとこまで。
広告ってのは恐ろしく「広く告げる」ものなんですよねえ……
これは拡散というよりも、彼の背中を押すことになる?

あと、大変僭越ながらお願いが。
広義での「生徒」は学徒全般を指すこともあるようですが
「生徒」は中高生を指し、大学生は「学生」という方が法令上の扱いになってます。
表現をご一考いただけると幸いです
東大のカリキュラムとか深く掘って描写されているのにそんなところが気になって申し訳ありません

ttp://ja.wikipedia.org/wiki/在籍者_%28学習者%29

211 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/04/12(日) 10:27:51.18 ID:PhQfo9Zb
>>210 教えていただきありがとうございます。そこら辺の違いが分かっていないので、
助かります。

212 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/04/12(日) 23:32:15.55 ID:PhQfo9Zb
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その35


  買い物を終え、僕は駒場キャンパス近くの、商店街の一角にある喫茶店に入った。
 僕が住む(この辺では格安)の築40年(途中改装)のアパ-トからも近いこの喫茶店は、実は僕が所属するサ-クル「近江会」が経営するお店である。
 「近江会」はいわゆる近江商人の理念である、【売り手よし】【買い手よし】【世間よし】をもとに、地域社会活性、途上国支援などを組み合わせる、
いわゆるソーシャルビジネスのサークルであり、現役学生だけでなく、OBや留学生(こちらの方が大きい)のつながりを生かして、現実社会の中で活
動するサークルだ。
 サークルの仲間たちが何人かここで働いていて、僕に”雅美”のお店を教えてくれた理学部の女学生も良くここにきている(ここで彼女と会うことも
多い)。
 この喫茶店はかなり昔から東大の学生に利用されていたお店で、学生だけでなく、教授達もよく利用していたという歴史がある。
 経営者である店主夫妻が亡くなられてお店はしばらく閉店していたが、「近江会」の創立メンバ-でもある、現経済学部の教授が、実践の場と白羽の矢を
立てたのがこの場所だった。
 天井や一部の窓に使われた大きなステンドガラスと、頑丈な、でも座りごこちが良い、家具職人が作ったテーブ−ルや椅子の席が並べられた、落ち着いた
雰囲気のお店のカウンタ−の端の席に腰かける。
 現店主は、東大の学生食堂で働いていたという女性で、気さくで面倒見がいいと評判だ。
 「東ティモール有機栽培フェアトレードコーヒーのセットBを一つ」
 注文してしばらく待つと、熱いコーヒ−と、清見のピ−ルとフェアトレードチョコを生地に練り込んだ、ミニデニッシュパンがセットで運ばれてきた。
 雑味がなく、さわやかな味のコ−ヒ−と甘味のあるパンを味わいながら、僕は”雅美”の店舗で見た広告ポスタ−について考えていた。

 昔、といっても、そんな昔の事でもない、北高の2年生の春の事だ。
 キョンと佐々木さんが再開した時の事で、その後何か色々あった後の事だ、
 僕はキョンにこういったことがある。
 ”君と涼宮さんは似た者同士にしか見えないよ。どっちも+か同じ曲なんだ。その属性は本来なら反発する物だと思っていて、僕はすぐに関係性も瓦解する
と思っていたんだ。だってあまりにも同じ過ぎだからね。その印象は今も揺るがないよ。しかし、キミと涼宮さんはもうちょっとやそっとのことでは引き離せ
ないところまで来ている”
 キョンと涼宮さんを結びつけた、目に見えない、人間的な結びつき力。
 それはキョンと涼宮さんがいたSOS団の、古泉君や長門さん、朝比奈さん達という仲間達がいたからこそ生まれた結びつきだったと思う。
 やがて、キョンと涼宮さんは付き合い始め、恋人同士となり、キョンは猛勉強して、一緒にK大へ進学した。

 ”SOS団ってのは今や一つの原子核みたいな構造になっているような気がするよ・・・・・・その安定バランスを崩そうとしたら、それぞれの要素に
相互作用する物質をぶつけることしかないけど、そんな人間がめったにいると思えないしね”

 自分で言っておいてなんだけど、僕は一つ忘れていたことがあった。
 ”相互作用する物質”に値する人間。
 涼宮さんとある意味において、どことなく似た感じをかすかに漂わせながら、でも対極に位置づけることができる女性。
 何を”軸”に対極とするか?言うまでもない。キョンの事だ。
 SOS団はもう存在しない。古泉君はいるけど、長門さんや朝比奈さんは二人の傍に居ない。
 キョンを軸とし、涼宮さんの対極に位置し、そして相互作用する女性。
 そう、佐々木さんだ。

 あのポスタ-に写った姿は、所詮は広告。いわば作り物、虚像でしかない。
 佐々木さんとキョンがまるで本当に、最高の組み合わせである相棒(パ−トナ―)の様に見えるといっても、それは広告の中だけの話なのだ。
 ”だけど・・・・・・”
 物事は変化していく。盤石だと思っていても、それが変わっていくことはざらにある。
 ”まして人の心は・・・・・・”
 移ろいゆく季節の様に、想いも変わるのだろうか。
 窓の外を眺めると、冷たい晩秋の風に、色付いた木の葉が舞うのが見えた。

213 :この名無しがすごい!:2015/04/13(月) 12:20:44.35 ID:uFBFH8Qs
支援
岡目八目的な見解だね
同じくちょっと離れて見てた鶴屋さんの意見もかなり影響してそう

214 :210:2015/04/14(火) 02:02:25.53 ID:zHX/Dr8m
失礼なお願いをお聞き下さりありがとうございます。

電磁気力を上回る力で、電子核を結びつける「強い相互作用」でしたっけ。

でも、安定だと思われていた原子核が、自己崩壊性であった例もあるんですよね。
さあ、どうなる。

215 :『猫の森には帰れない』:2015/04/17(金) 19:37:39.68 ID:AXXlGwZi
『猫と桜』

桜色の絨毯が茶色く変色し、季節は初夏に向かう。
となると、猫の恋の季節だ。
外では猫達が雌を巡り、戦いの最中。私はこの季節は極力出歩かないようにしている。
種の保存には反するが、私とて家猫。御主人に余計な心配はかけたくない。そして。
猫は、発情期を迎えた雌には必ずプロポーズしなくてはならない。
それが猫の掟だ。
私とて若い頃の失敗はある。
肘鉄を受けたからこそ、燃え上がるものもある。とは理解しているが…流石に今の私に妻や子を養える甲斐性は無い。
御主人の膝の上のスペースを取られるのは、何よりも耐え難い事だとたいう事もあるが。
あまり外を出歩きたくないが、そろそろ縄張りのパトロールをしなくてはならない。
猫のコミュニティに所属する以上、私が所属する群れ…近隣の家猫や野良…達との関係は、麗しいものであるに越した事はない。
御近所付き合いというものは、猫にもあるのだ。

恋の季節というだけあり、外は至る所でプロポーズと、喧嘩が繰り広げられていた。
私は公園に行き、木陰で一休みしていたが…

『おい、そこの三毛…って、オスかよ!』
唐突に喧嘩を売られた。
『オスで悪かったな、ゲロ野郎。私には御主人に頂いたシャミセンという名前がある。三毛と読んだ事を訂正しろ。』
『家猫かよ。ケッ、ぬくぬく生きて発情期だけ出歩くのか?お嬢様?』
『高値で買うぞ、その喧嘩。』
『やってみやがれ!』

…結果のみを書こう。
負けた。以上だ。

ボロボロにされ、木陰に隠れる。
敗者たる私だが…縄張りの皆が来てくれて、不法者を追い払ったようだ。
『じっとしてろよ、シャミセン。傷が癒えるまで動くな。』
ボスはそう言うと去っていった…
周りの雄猫達は、これでライバルが一猫減った、と態度に出していたが…流石にボスはひと味違う。
感嘆した私の頭上から、聞き覚えのあり過ぎる声がした。

「さ、佐々木さん!猫が血だらけなのですよ!」

久しいな、猫又…。番いの呼称を呼ぶという事は、番いも近くにいるのか。やれやれ。無様な姿を晒してしまうな…。

216 :『猫の森には帰れない』:2015/04/17(金) 19:53:25.46 ID:AXXlGwZi
「キミも喧嘩をするんだねぇ。」
番いは私を膝に乗せ、蓬を磨り潰して私の傷に塗り込む。
…凄まじく痛いのだが?
「どこの雌猫を巡って負けたんだい?くっくっ。それとも勝ったのかな?」
治療もそこそこに、番いは私を抱え上げる。
「佐々木さん、血が付くのです。」
猫又が私の憂慮を説く。番いはくっくっ、と笑うと
「勇者の名誉の負傷よ、橘さん。それにシャミセンとは旧知の仲だし、気にはしないわ。」
と言い…猫又も納得したように頷いた。
…いや、単に喧嘩をしただけだ、とは言い辛い雰囲気となり、番いは私の頭を撫でる。…面映ゆいな、こういうのは…。

暫くすると猫又と番いが別れる。
…どうでも良いが、あの猫又。発情の匂いが最も強いのだが?
番いや、御主人位の年頃だと、大なり小なり発情の傾向がある。だが、あの猫又の発情の具合は逸脱し過ぎている。
だが、我が御主人や、かの愚者と対面している時は、発情の傾向は感じられない。
このような客観的事実から、多情だとあの猫又を断ずる事は出来まい。

「ひでぇ格好になったなぁ、シャミセン。」
御主人の第一声はそれだった。
「公園で喧嘩をしたらしいね。今は猫の発情期だ。雄猫の気が立つのも分かるよ。」
慣れた様子で番いはベッドに腰を下ろし、バッグの中から何やら桜色の米を取り出す。

217 :『猫の森には帰れない』:2015/04/17(金) 20:10:43.87 ID:AXXlGwZi
「桜餅か。」
「くっくっ。まさか、この桜の葉の塩漬けがシャミセンに役に立つとは思わなかったよ。」
番いは桜の葉を私の傷に貼り…
「桜の葉の塩漬けは、殺菌作用もある。化膿止めに暫くつけておくんだね。」
と言うと、私を解放した。
桜の香りが鼻腔を擽る。うむ、悪くはない。

「桜餅、うまいな。」
「そうだね。緑茶というチョイスもキミにしては上出来だよ。」
御主人と番いは、のんびりと肩を寄せ合っている。そろそろとお互いに口唇を寄せ合っているのは、進歩の証であろう。良き哉良き哉。うむ、邪魔をするのは本懐でない。
御主人、御武運を。

「キョンくーん!シャミが怪我した、ってお母さんが…」

そっと部屋を出ようとした私に、勢いよく開かれたドアが直撃した。
薄れゆく意識の中、私が見たものは…口唇を合わせたまま固まる御主人と番いの姿であった…。

…猫の恋の季節は、人をも惑わすようだ。それとも、この葉桜の香りがまた人を恋に誘うのか。
分析を前にKOされてしまい、レポートとしては半端になるが…こちらを今回のレポートとしたい。

END

おまけ。
「…シャミセン、やたらと本に匂いを擦り付けているな。」
「さぁ?我々には分からなくとも、匂いというものは、重要な情報のファクターらしいよ。」
二人が去った部屋。侵入した人物は本を持ち上げ、匂いを嗅ぎ…無表情のまま呟いた。
「…ユニーク。」
シャミセンのレポート。それを読む人がいるのかどうかは、定かでない。

END

218 :この名無しがすごい!:2015/04/17(金) 21:49:31.45 ID:3g0T0dV6
乙乙
洗濯するためというキョンの家で服を脱ぐ大義名分を得た佐々木さん
尤もその必要は無かった、もとい無駄になったけどw

219 :この名無しがすごい!:2015/04/17(金) 22:02:20.84 ID:dKlneVcv
乙乙

帰る道だって覚えてない

220 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/04/19(日) 15:09:51.89 ID:rgcO9/RW
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その36


 12月に入り、気温は一気に冷え込んできた。
 京都はその地形ゆえに、よく寒いとは言われるが、足元から冷えるという感じがするが、そこまで大げさに言うほどでもない。
 「私の地元は雪が多いから、寒さには慣れているの。でも京都 は街中でも結構が雪が降るのよ」
 バイト仲間の長東由希の地元は、花背・美山の郷だが、確かにあそこは雪深い所と、地元の人からもよく言われている。
 ただ、山里に限らず、春夏秋冬、季節の境目がはっきりと感じられ、息づいているのが京都という土地の特徴なのだろう。
 
 「5番テ-ブルのお客さんに寿海の熱燗一本、14番テ-ブルに城陽のぬる間一本ね」
 バイト先の居酒屋でも、お酒の注文が、体を温めるお燗酒・お湯割りが増えてくる。この季節なら湯豆腐や小鍋仕立ても人気だ。
 寒さで冷えた体を、酒とつまみで温めて、楽しそうに語らう常連客達の姿は、眺めていて実に気分が良くなる光景であり、おじさんに言わせると、これもまた
、冬の風物詩という事になる。
 -----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 「今日もお疲れさん。おかげで、”雅美”と”静夜”の売れ行きはすごぶる順調よ。貴方たちのおかげだわ」
 佐々木の家庭教師先の生徒・立花香織の叔母さんで、ファッションデザイナ-の遥子さんに誘われて、俺と佐々木は京料理のお店に来ていた。
 俺と佐々木のバイト、”雅美”と”静夜”の、今回のモデルとしての仕事は、二月のバレンタインに合わせたものと、春先の広告、それと立花の親父さんの会社の
関連会社である和服、着物を扱う呉服屋の宣伝用の写真だった。
 「着物もいいが、何となく、若旦那というより、馬鹿旦那という感じだった気がする」
 着物などそんなに切る機会がないので、どうもしっくりこなかったのである。
 「そんなことはないよ。とても君によく似合っていたよ」
 佐々木はそういってくれたが、それにしても佐々木の着物姿は良く似合っていた。どこぞの若女将といった風情で、ほんとに京都のお店に居ても違和感は全くあるまい。
 「京都の女にとって、着物というのはビジネスス-ツみたいな物だったのよ」
 ぬる間の酒を飲みながら、遥子さんはそういった。
 「京都の街を支えてきたのは、京女の力が大きいの。旦那を立てながら、家を守り、子を育てて、苦労しながら商いをしてきたのが京都の女なのよ。元祖日本版キャリ
ア-ウ-マンてとこかしら。その女性たちが、誇りと美しさを求めて身にまとったのが着物といえるわね」
 京都の女というのは凄いものである。ん?だが待てよ、旦那、すなわち男どもは何をしていたんだろう?
 「謡、句を詠み、料亭巡り、お茶屋遊びの、趣味収集、風流三昧、ほんとボンボンて、ところかしら」
 なんじゃそりゃ。ダメ人間じゃね-か!
 「ただ、京都の文化を支えたのはそのボンボン旦那衆なの。遊びのなかから数々の文化が生まれ、京の街を彩り、そこからさらに多くの文化が生まれた。”雅美”のコンセ
プトには、もう一つ核があって、京文化の、繊維産業に限らず、象嵌に代表される治金技術や陶芸を応用した装飾品の開発というのもあるの」
 そういえば、着物の撮影の時、佐々木が飾り付けた髪飾りは、兜をイメ-ジしたつくりの、表面に鈴蘭をあしらった、象嵌細工だった。
 「鈴蘭の花言葉は”繊細、優雅、意識しない美しさ、純愛、”なんだけど、佐々木さんとキョン君のおかげでいい絵が取れたわ。着物や細工にぴったり合っていたし」
 「そういえば、鈴蘭はイギリス王子の結婚式の時にも使われていましたね。愛する人に贈る花だとか。”幸福が訪れる、希望、愛の告白”という意味もあるんだとか」
 立花香織は得意そうな笑顔を浮かべてそう言った。
 -----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 

221 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/04/19(日) 15:11:02.21 ID:rgcO9/RW
料理の〆は紫色の、短冊形に切られた御菓子だった。
 「何だろうね、これは?」
 佐々木が首を傾げる。
 「”さなづら”だ」
 「”さなづら”?」
 「秋田にあるお菓子だが、山葡萄の汁を寒天で固めたものだ。この前、長東が作ってくれて、うちの居酒屋でも出している。花背・美山の郷に自生している山葡萄を改良して
栽培している人がいるそうだが、そこからもらって、秋田の菓子を参考にして作ってくれたんだ。他の地区でも栽培が始まっているそうだが、多分これはそこのだろう」
 「よくご存知ですね」
 俺達の会話を聞いていた料理人が、驚いたように声を上げる。
 「キョンさんも博識ですね」
 「佐々木の方が俺の何倍も博識だよ。たまたま知っていたというだけだ」
 「君もずいぶんいろんなことを知っているようになったよ。すぐに追い越されそうな気がするね」
 「それはないと思うけどな」
  晩秋の名残を閉じ込めた山の恵みの御菓子を口に含みながら、佐々木は楽しそうに笑った。
  
 「話は変わりますけど、先生たちは、冬休みはいつからなんですか?」
 立花の質問に、俺はK大生がほとんど持つといわれる電子手帳を取り出す。
 「12月23日から1月7日までだな」
 「私達と変わらないんですね。もう少し長いかと思っていました」
 「夏休みが長いからな。春休みは2月終盤から3月一杯なんだけどな」
 「お二人とも帰省されるんですか?」
 「そうね。京都も悪くないけど、やはり親には顔を見せておかないとね」
 俺の場合は、家族に顔を見せる以外に、ハルヒとの約束”クリスマスは二人で遊びに行くわよ!”があるからだが。
 「22日にはまたこの前の帰省の時みたいに、買い物に行かないとね。母親が京都の菓子は美味しいて喜んでくれて、また頼まれたし」
 「古泉も何か頼まれたらしいな。皆で買い物に行くとするか」
 「それがよさそうだね」
 「先生、キョンさん、こちらに戻ってこられたら、三人で、この前みたいに遊びに行きましょう」
 「ああ、いいよ。行き先は立花に任せていいかな?」
 「任せてください。お二人をいいところへ案内します」
 
 

222 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/04/19(日) 15:13:57.74 ID:rgcO9/RW
>>215〜217乙乙です。そういえば、しばらく近所の猫がやかましかったです

223 :この名無しがすごい!:2015/04/19(日) 15:37:05.05 ID:P4ZwoxBk
支援
葡萄の果汁だけ見ると緑がかってるけど、山葡萄は果汁も紫色なのかしらん?それとも“さなづら”なる菓子には皮もある程度入ってるのかね

>>222
昨晩あたりウチでも喧しかったですw

224 :この名無しがすごい!:2015/04/19(日) 21:07:56.34 ID:rgcO9/RW
>>223 さなづらは秋田の方言で山葡萄を差す言葉ですが、お菓子は山葡萄の
果汁のみを使うそうです。

225 :この名無しがすごい!:2015/04/19(日) 22:13:22.48 ID:P4ZwoxBk
>>224
色はどうやって付けるんでしょうね
あ、調べてとねだってるわけではありませんのでご安心を
いつか答えに巡り合うかもしれないその時まで謎のままにしておきます

226 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/05/01(金) 20:47:46.83 ID:1hMxSSG8
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その37


 食事を終えて、遥子さんは「約束があるから」と言って、俺達の食事代を払い、先に帰って行った。
 「千秋さんと飲みに行くらしいです」
 仕事上の良き協力者であり、遥子さんの想い人であり、親友の千秋さんとは、立花の話だと、少しずつではあるが、以前に比べて
進展しているそうだ。
 「前の奥さんの思い出もあるでしょうから、簡単には進まないとは思いますけど」
 それでも、立花は少しでも自分の叔母さんの想いが伝わるといいな、と願っている。
 「”男は思い出を保存し、女は思い出を上書きする”、て教養課程の講師が言っていたけど、男の方が過去や思い出に囚われやすいの
かもしれないな」
 自分も男だから、それに当てはまるとは思うが。
 「何事にも例外はあるだろうけど、案外それは当てはまるのかも知れないね。ただ、立花さんから僕が話を聞く限り、遥子さんと千秋
さんはうまくいくような気がするんだ」
 佐々木の言うとおり、俺も二人の仲がうまくいくことを願いたい。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 あの、キョンと再会した、高校時代の春先の、少しだけ不思議なことを共有した出来事の後。
 私は、私に告白してきた男の子と少しだけ付き合ってみることになった。
 結局、私と彼との間には、何かズレがあり、思い出に上書きすることもなく、私達は程なくして別れた。
 今、キョンが言った言葉は、私には当てはまらない。
 キョンとの思い出を保存したまま、私は高校生活を終え、K大学へ進学し、そこでキョンと再会して、現在進行形でキョンとの新しい
思い出をたくさん作っているのだ。
 ”これから先”
 どういう風な未来が来ようとも、この思い出を、私は上書きするのではなく、保存して胸の奥に秘めておく、そんな気がするのだ。
 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
  
 ”和”の本場ともいうべき雰囲気が強い京都でも、さすがにこの時期は、街のあちらこちらでクリスマスが近づいてくる気配が感じられる。
 クリスマスの本来の意味など、この日本では忘れ去られているのではないかと思うのだが、京都は京都ノートルダム女子大学などに代表
されるようなキリスト教系の学校や教会もそれなりに存在し、本来の意味でのクリスマスの雰囲気も味わえ(もちろん日本的なクリスマスも)
るのだ。
 「まあ、俺はケーキ屋の宣伝が増えてくるとクリスマスが来たという感じがするけどな」
 「確かに君の言うとおりだね。僕も小さい頃、ケーキの広告が急に増えてくると、クリスマスが近づいてきた,て思っていたけど」
 「妹なんて、昔から俺に”ケ-キ買って”て言うけど、今年も、早速クリスマスのケ-キを買ってね、なんてメ-ルをよこしてくきたからな」
 「だけど、帰省するのは23日だろう?結構買うの大変じゃないのかい?」
 「自分で選んで、すでに予約してあるんだとさ」
 「しっかりしているね」
 「まあ、だけど最近、この街で暮らしているせいか、洋菓子よりも和菓子が良くなってきたんだよな。この前佐々木がハルヒと俺の部屋に来た時、
持ってきてくれた、あの『やきいも』、あれは旨かったな」
 「寺町通りの小松屋のものだね。立花さんに教えてもらったけど、僕も気に入っているよ」
 「このまえ古泉も土産に持ってきてくれたんだが、あいつブランデ―を少し垂らして食べていたな。”こうするとさらに美味しくなるんですよ”とか
言っていたが」
 「興味深いね、その食べ方。今度君の家にお邪魔する時、持ってきて確かめてみようかな」
 
 そんなことを話しているうちに、車は立花の家の前に到着した。
 「キョンさん、先生、お世話になりました」
 ハスラーから降りて、立花は頭をさげた。
 「いや、世話になっているのはこっちの方だし。それじゃ、お疲れ様」
 「立花さん、また後日連絡するよ」
 「はい。それじゃ、おやすみなさい」
 「お休み」
 車の窓を閉め、立花に手を振って、俺は車を発進させた。

227 :この名無しがすごい!:2015/05/01(金) 21:46:44.96 ID:xePImV6y
人のことは言えないけどお久しぶり支援
布石はとうに敷き終わった感がありますね、あとはキョンを囲い込むのみ

ちょっと前に京都の人は日本一パンを食べてるみたいな話をTVでやってたような…
生まれついての京都民と憧れを持って移住してきた人は違うってことにしよう

228 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/05/01(金) 22:31:54.60 ID:1hMxSSG8
 
 冬の空気はさすがに冷たいけど、車の中は暖房が利いていて、そして、何よりキョンが隣にいて、
親しい人たちと共に楽しい時間を過ごしたことで、身も心も温かい。
 いつも私は思うのだ。
 キョンと二人で並んでいる時間が少しでも長く続いてほしいと。
 だけど、楽しい時間ほど、過ぎていくのは早く感じられるのだ。
 程なくして、私が住んでいるK大学の学生寮が見えてきた。
 「今回も間に合ったようだな」
 門限があるので、キョンから送ってもらう時、いつもキョンは時間を確認して車を走らせる。
 キョンの思いやりに感謝すると同時に、少しだけ切ない気持ちになる。
 寮の入り口の少し手前で車を止めてもらい、私は車から降りた。
 「キョン、いつもありがとう。本当にすまないね」
 「何、気にすることはない。親友として当然のことだ」
 「それじゃ、また明日大学で」
 「ああ、また明日な」
 「お休み。気を付けて」
 「お休み」
 キョンは笑顔で私に手を振り車を発進させた。
 ----------------------------------------------------------------------------------------

 車が見えなくなるまで私はそこに立っていた。
 空を見上げると、冬の星座が京の夜空に瞬いている。
 クリスマスを待つ冬のメロディが風に乗ってかすかに聞こえてくる。
 そして、もうすぐ今年も終わる。
 去年の今頃は、何をしていたのだろう。
 まだわからない未来をつかむために、心にいくばくかの不安を抱えて、必死に勉強をしていたような気がする。
 その時からあっという間に時間はすぎて、また新しい一年をむかえる。
 来年はいよいよ私は、そしてキョンも名実ともに大人になる。
 ”キョンと再会したように、来年はまた何か大きな変化がおとずれるのかしら?”
 私は白い息を吐き、そして冷たい息を吸い込んだ。
 もう一度、キョンが帰って行った方へ視線をやり、私は寮の門をくぐった。

229 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/05/01(金) 22:35:47.37 ID:1hMxSSG8
>>227
お久し振りです。仕事が姉弟ともども忙しくて(両方とも異動が重なりました)
書き込めなかったです。
「長門有希ちゃんの消失」のスレみたいに多くの人に書き込んでもらいたいです。

230 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/05/01(金) 22:56:55.51 ID:1hMxSSG8
そういえば、私達が大好きなボロニャ-のパンも本社は京都だったですかね?
 京都はコーヒー好きも多いですし、美味しい洋菓子屋もたくさんあって、和洋
どちらも洗練されたイメ-ジがあります。

231 :この名無しがすごい!:2015/05/01(金) 23:00:15.83 ID:xePImV6y
春はなにかと忙しいですからね
長門有希ちゃんはアニメ板でしょうか?一部のキャラスレしか追ってないのですが、みくるの中の人が大丈夫そうでちょっと安心w
円盤特典で佐々木さんに声が付いたりしないかな〜

232 :この名無しがすごい!:2015/05/02(土) 02:19:47.66 ID:WnmSxJ+d
>>228
お待ちしておりました。
ゆったりと、しかし確実に何かが迫ってる予感。
心地よい時間が嵐の前の静けさのようですが、さてさて。

大阪在住ですが、京都はやはり別の気配が漂っていると感じます。
和の雰囲気だけではないのは、明治以降に帝が東京に移ったからですかねえ。
帝と貴族が欠けたところを埋めるように新島襄らが頑張ったようにも思います。

233 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/05/07(木) 22:43:52.05 ID:ayXdZ/gD
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その38

 
 新しい年が明け、俺は朝から家族で雑煮とおせちをつついた後、自分の部屋で、こたつに入っていた。
 新年最初の天気は、実にすばらしい快晴で、空気は澄んでいた分、少し冷たさが強く感じられたが、その空気を深く吸い込んだとき、
俺はその冷たさがとても心地よく感じられた。
 「キョン君、年賀状が来てるよ〜」
 正月早々からご苦労さんです、と言いたくなる郵便配達人が配達してくれた、俺宛の年賀状を妹が整理して持ってきてくれた。
 バイトで稼いだお金の一部を、妹にお年玉としてやったせいか、やけにサ-ビスがいい気がする。
 最近はメ−ルで新年の挨拶を済ませるという人も多いが、大学生になって初めて受け取る新年の年賀状は、いつもの仲間、かつての同
級生、京都で知り合った友人達など、多くの人が俺宛に出してくれていた。
 一番上にあったのはハルヒからの年賀状だった。
 この前のクリスマス・イブに二人で出かけた時に撮影した写真を年賀状にプリントしていて、その下に直筆で定番の挨拶が記されていた。
 「今年もよろしく」
 写真のハルヒに向かって、俺はそうつぶやいた。

 二枚目は佐々木からのものだった。
 ハルヒの様に写真はプリントされてはいないが、実に流麗な、佐々木らしい美しい文字で新年の挨拶が記されていて、「今年も、そして
これからもよろしく」と添えられていた。
 「こちらこそよろしく」と、おもわずはがきに向かって頭をさげてしまった。
 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 古泉や国木田、谷口や鶴屋さんといったおなじみの面々からも来ていたが、ふと、その中にあるはずのない名前を探してしまう自分に気付
き、思わずため息が出る。
 
 長門有希。そして朝比奈みくる。
 あの二人に会うことはこれから先、二度とないだろう。二人はそれぞれ本来の場所に帰って行った。
 だけど、最後の日に、長門有希が俺に告げた言葉と思い出は、俺の胸に残り続けるだろう。
 ”それだけでいい。貴方の思い出に生きるだけで”

 そんなことを考えていたが、一枚の年賀状に俺の手が止まった。
 ”長東由希”
 長門によく似た名前の、京都での俺の友人でバイト仲間からの年賀状だった。
 裏を見てみると、着物姿に身を包んだ、長東が、これまた着物姿の女性と一緒に打つた写真がプリントされていた。

 ”キョン君、明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。バイトでいつも助けてもらってありがとうございます。
今年もよろしくお願いします。一緒に写っているのは、長姉の恵美と次姉の遼香です。キョン君の事を話したら、ぜひうちに遊びに来るように
言いなさいと言われました。よかったらいつかうちの家に遊びに来てください”
 いつもより少しおしゃれをした長東が写真の中で微笑んでいた。
 その写真を見て、俺の口元が知らず知らずのうちにほころんでいた。
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 

234 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/05/07(木) 22:45:06.18 ID:ayXdZ/gD
時計が九時半の時刻を告げようとする5分前。
 「とりあえず全員集合というところかしらね」
 正月らしくあでやかに、紅白の梅の花模様の着物に身を包んだハルヒと、これまた色鮮やかな着物に身を包んだ鶴屋さんが辺りを見回しながら、
満足げにうなずいた。
 「正月らしいな、その格好は」
 「でも、キョン、この中では、あんたが一番目立つわよ」
 ハルヒの言葉に、いささか照れくさいような気持ちになる。
 「だけど、キョン。あの時も言ったがよく似合っているよ、その姿は」
 「まさか貴方がその格好で来るとは思いませんでした」
 「キョン、京都に行って、ずいぶん土地に染まってきているんじゃないかい」
 俺は京都でモデルのバイトをしたときに、特別にもらった着物を着てきたのだ。
 そして、佐々木もその撮影の時にもらった着物を着てきていた。
 女性の着物姿はそんなに珍しくないが、男の着物姿はほとんど見かけない。
 古泉も、そして国木田もいつもの格好とそんなに変わらない、カジュアルな服装に身を包んでいた。
 ゆえに俺はこの集団の中で、妙に目立つ羽目になっていた。
 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 初詣にこの面々で行こうと連絡してきたのは国木田だった。
 俺達と同じ日にこちらに帰省して来た国木田にクリスマス後に会い、正月に皆で初詣に行こうという話になり、ハルヒも佐々木も異存はなかったので、
元日の朝九時半に集合というふうに決めて、皆で集まったわけである。
 行き先は地元の名宮・全国の恵比寿様の総本社であるえびす宮総本社――ではなく(めちゃくちゃ人出が多いという理由でハルヒが却下した)、県内
一の格式を誇る、旧官幣大社として名高い広田神社だった。
 地元の野球球団が毎年必勝祈願をすることで特に有名で(の割には地元球団はお家騒動などをよくおこし、強いのか弱いのかいまいち判断が付きかねる)
、人出も多いとはおもうのだが、鶴屋さんもその案に賛成し、俺達は広田神社に行くことにした。
 「それじゃ、皆、とりあえず車にのるっさ」
 何と、今回、広田神社まで俺達を車に乗せて運転してくれるのは、鶴屋さんだった。
 トヨタ・ヴェルファイアの運転席に鶴屋さん、助手席に何故かハルヒ、後部座席に俺と佐々木、国木田と古泉が乗り込んだ。
 「おい、国木田。お前が助手席でなくていいのかよ」
 何といっても国木田は鶴屋さんの彼氏なのである。
 「大丈夫だよ。僕はいつも鶴屋さんの横だし」
 さいですか。
 「そんじゃ、出発〜」
 鶴屋さんは力強くアクセルを踏み込んだ。

235 :この名無しがすごい!:2015/05/08(金) 12:29:09.15 ID:nxadXyq2
支援
長東家からも狙われてる…?
(一応建前では彼女の)ハルヒや佐々木さんのことどこまで知ってたっけ

236 :この名無しがすごい!:2015/05/12(火) 01:52:19.55 ID:mVHl7m6O
佐々木さん最近やっと受験勉強始めたけど死にそうです
俺も佐々木さんに勉強教わりたい

237 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/05/13(水) 21:38:55.88 ID:S5qnx4NC
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その39


 よく考えれば、結構すごい光景なのかも知れない。
 あでやかに着飾った美人が、ミニバンの運転席で結構大胆なハンドルさばきを見せて、助手席にはこれまた着飾ったとびっきりの美人がいて、
後ろの席に着物を着た男女と、普通の服装をした男二人。
 いくら正月でも、こんな光景はそうみられるものではないかもしれない。
 一応ナビはついているが、鶴屋さんはお構いなしに裏道などを走らせ、実に巧みに渋滞をさけて、目的地に到着させた。
 「ついたっさ」
 駐車場も車が多かったが、まだ駐車できるスぺ-スがあり、出やすさそうな場所を選んで鶴屋さんは停車させた。
 県内で一番の格式を誇るだけあって、さすがに人出は多い。
 ただ、最初に行こうと考えていたえびす宮総本社はTVの影響で、初もうでに来る人は”芋の子を洗う”というくらい多いようだが、こちらは
多いのは多いが、そこまで込み合ってはおらず、人の流れもスム−ズだった。
 六甲山を背負う、緑が多い神社の参道を上がり、社務所の前を通り、本殿へと上がる石段を上る。
 「速いな、あの二人は」
 ハルヒと鶴屋さんの歩みは早く、普通着物を着ていたら、動きは遅くなるのだが、あの二人には関係ないようだ。
 二人に追いつきたいのだが、人のながれもあり、俺もあまり慣れない着物姿だから、そんなには早く進めない。
 「佐々木、足元に気を付けろよ」
 俺の隣に佐々木がいて、間を少しおいて、古泉と国木田がついてくる。
 この人ごみの中でも、ハルヒと鶴屋さんはやはり目立っている。あれだけの美人で、美しい着物姿ならなおさらだ。
 ”その意味では、いくら人が多くても、見失うこともないな”
 ハルヒの事だ。拝殿で参拝した後、授与所でおみくじを引くのは目に見えている。そこで皆で合流すればいいだけである。
 後ろを振り向くと、古泉と視線が合い、”百も承知”といった具合に俺を見てうなずいた。
 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 鶴屋さんと涼宮さんのコンビというのは、ある意味において、最強のコンビかもしれない。
 鶴屋さんという人は本当に規格外の人で(僕が強く惹かれたのもそこだけど)、涼宮さんもまた、常識ではとらえられないようなところがあ
る(キョンと付き合いだしてからはずいぶん落ち着いたとも言われているけど)。
 二人はどこに居ても目立つし、現にすれ違う男たちの視線が二人に釘づけだ。
 そのことは密かに誇らしく感じるし、同時に鶴屋さんと交際しているという事は、こちらもふさわしい人間いならなければ、という気持ちになり、
気が引き締まる。
 ただ、二人が相当な視線を集めているといったけど、もう一組、それなりに視線を集めている人たちがいた。
 僕と古泉君の少し前を行く、キョンと佐々木さんだ。

 キョンと佐々木さんは、二人とも着物姿だ。女性の着物姿は珍しくもないけど、男性の着物姿は少ない。
 キョン達とすれ違った人の中には、キョン達を見て、「お似合いね」とか「夫婦連れかしら?」とか言う人もいた(キョンと佐々木さんには
聞こえていないけど)けど、僕が見ても二人の姿は本当に親しげな、男女の仲に見える。
 去年、僕が鶴屋さんにクリスマスのプレゼントを買いに行ったとき、立ち寄った店に展示されていた広告が思い出される。
 ”キョンの横にいるのは・・・・・・”
 いつもいるのは涼宮さんのはずだ。
 でも時々思う。
 ”本当にそうなのかな?”

  キョンの横に並んで歩く佐々木さんの表情は、とてもいい笑顔だった。

 

238 :この名無しがすごい!:2015/05/13(水) 21:52:14.25 ID:KsagVuBM
支援
ハルヒ自らがキョンを振り切ろうとしているようにも見える

先行するハルヒ鶴屋さんでなんか一人足りない?と思ってしまった自分はきっと長門有希ちゃんの消失の影響を多分に受けてます

239 :この名無しがすごい!:2015/05/14(木) 01:23:19.32 ID:f3AsgjIv
なるほどね、これは暗喩している姿が今後の展開にそのままいきそうですね
しかし、夫婦か。
夫婦か。
・・・いいなあ。

>>238
>自分はきっと長門有希ちゃんの消失の影響を多分に受けてます
同志よ。

240 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/05/14(木) 23:02:52.75 ID:iaMWb9DJ
カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その40


  本殿に参拝した後、授与所に向かうと、案の上、ハルヒは鶴屋さんとおみくじを引こうとしていた。
 「遅いわよ、キョン」
 「お前が早いんだよ。よく着物姿であれだけ早く進めるな」
 「だって、バイト先じゃ着物姿だから、。慣れているのよ」
 そういえば、ハルヒのバイト先の嵐山瑞兆は、女性従業委員は(料理人を除いて)、皆着物姿だった。
 そんなことを話していると、古泉と国木田も参拝を済ませて授与所にきた。
 「みんなそろったことだし、おみくじを引こうかね」
 「新しい年を占う意味で、気合入れて、いいくじ引くわよ!」
 いや、気合を入れてもおみくじの結果は変わらんと思うのだが。
 ハルヒの言葉を聞いて、佐々木は楽しそうな笑顔を浮かべている。
 とりあえず、鶴屋さんとハルヒの言葉にならい、おみくじを全員で引くことにした。
 御神籤箱とよばれる、円柱形の筒状の箱を振り、、筒から出た小さな棒を取り出し、それを巫女さんに手渡し、巫女さんは棒に記載された
数字を見て、籤棚(みくじだな)と呼ばれる授与所の中にある棚からおみくじを取り出し、引いた人に渡すのだ。
 
 「一斉のせ!」
 鶴屋さんかけ声で、もらったおみくじを同時に開く。
 「あたし大吉ね!」
 「あたしも大吉っさ」
 「私は吉だわ」
 「僕は中吉ですね」
 「僕も中吉だ」
 何かえらくみんないい感じのくじを引いたな。
 それにハルヒと鶴屋さんの結果には少し驚いた(二人とも大吉とは)が、まあこの二人なら平気で大吉をあてるなんざ造作もないことの
様な気がする。
 「ところで、キョン。あんたのくじは何が出たのよ」
 ハルヒに聞かれ、俺は自分のくじの結果を見せる。
 
 ”末吉”

 「・・・・・・まあ、キョン。新年最初からあんまり多くを望まなくてもいいわよ」
 「そうだよ、キョン。君の事だ、最初は末吉でも、徐々に良くなっていくよ」
 ハルヒと佐々木に慰めの言葉をもらったが、何か複雑な気分である。

 「ところでお姉さんは少し気になることがあってね。ちょいとみんなのくじを詳しく見せてくれないかな?」
 そういって、鶴屋さんは俺達のくじを集めて、何かくじに書いてあることを読んでいる。
 「鶴屋さん、何を見ているんですか?」
 「恋愛運のところっさ。お姉さんのくじに、非常に気に入ったことが書いてあってね。実に正月からいい気分なのさ」
 そういって、鶴屋さんはくじを見せてくれた。
 ”その人以外無し”
 国木田の顔が少し赤くなっているのに気付いた。
 「どれ、他のみんなは何が書いてあるんだろうね」
 ハルヒののくじには、「運命の人、すぐ傍らにあり」
 佐々木のくじには、「想い、必ず叶う」
 古泉のくじには、「心報われること、間違いなし」
 国木田のくじには、「最良の人と共にあり」
 と、それぞれのくじの結果同様、良い文面が書いてある。
 
 で、俺はというと、
 「山あり谷あり、前途不明。しかし先は明るい」

 ・・・・・・どういう結果だ。

241 :この名無しがすごい!:2015/05/14(木) 23:32:19.65 ID:lBCzqrcb
支援
まだハルヒの力が働いてるみたいな結果w
全部正しいとしたらやっぱり古泉はハルヒになるんかねえ

242 :カルチエ・ラタンの迷い子達〜キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/05/17(日) 00:57:13.04 ID:5a7LaPiK
 とりあえず、微妙な結果が出たおみくじを、皆のおみくじと並べてみくじ掛に結び付けて、次々と参拝客が
訪れている広田神社を後にして、俺達は駐車場に戻った。
 今度は助手席には国木田が座り、ハルヒと佐々木が一緒に、古泉と俺が一番後ろに座った。
 これから鶴屋さんのお屋敷にお邪魔して、昼食をごちそうになる予定だったが、少し時間があるので鶴屋さ
んが「ドライブでもするかね」と言って、正月の地元を、鶴屋さんの気持ちにまかせてめぐることにしたので
ある。
 地元を離れて、京都で暮らし始めて、まだ一年も経っていないのだが、自分が生まれて育ってきた街を、車
に乗ってドライブすると、なぜか違った感じがする。

  ”俺の街は、こんな感じだったけ?”

  受験生だった一年前とは違う俺がいて、大切な彼女や親友がいて、別の街で暮らしながら、時々は帰ってきて、
これから先の事はまだわからなくて、戸惑いと、先に進む高揚感が混じり合った様な、不思議な感情に囚われな
がら、俺は車窓から外の景色を眺める。

  運転席を見ると、鶴屋さんと国木田が楽しそうな表情でおしゃべりをしている。
 国木田は三月いっぱいまで休み(東大のカリキュラムはK大とはずいぶん違うのだ)だそうだが、今月の8日に
は東京に戻り、自分の所属するサ-クルの関係で、一月ほど海外に行くという事だった。
 ”いろんなことを経験し学びたいんだよ。これから先の人生に必ず役に立つはずだから”
 K大の教授も良く言う言葉だが、”現場に行け、学び舎だけに閉じこもるな。見分を広めろ、経験しろ”は自分が
学ぶことをより深く身につくものにする。
 ”国木田もいろいろ考えているんだな”
 友人を称賛すると同時に、俺も負けられないな、という気持ちが湧き上がってきた。
 鶴屋さんが運転する車は、俺と佐々木と国木田が通った中学校の前を通り過ぎる。
 
 その時、、ハルヒと話していた佐々木が車窓の外に視線を向け、「懐かしいわね」と小さくつぶやいた。
 

243 :この名無しがすごい!:2015/05/17(日) 01:00:15.00 ID:xl6PUlVi
げリップ
わほねぬね

244 :この名無しがすごい!:2015/05/17(日) 06:50:01.63 ID:lHPswtsB
支援
一応まだ親友より先に彼女が出てくると見るべきか、それとも同列に並んでると見るべきか

245 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/05/22(金) 15:57:40.76 ID:IQ8BawDQ
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その41


一月は行ってしまう、二月は逃げてしまう、三月は去ってしまうとか俗にいうが、その言葉通り、新年を故郷で迎えた後、時間はアッという間に過ぎていき、
学生時代より長い春休みを過ごした後、俺たちは進級した。
去年の今頃、俺たちは長い受験勉強期間を終え、K大へ合格して、晴れてこの学園の学生としての一歩を踏み出した。
それから一年が過ぎ、新しい学生も入学し、キャンパスは同じように見えて、しかし前年とは違った景色に彩られていた。
俺たちにとっても、実は二年生に進級するというのは、進路上大きな節目を意味している。
すべての学生が学ぶ教養課程を終えて、どの専門課程へと進むのを決めるのが、二年生の終わりにあるのだ。
基本的に受験した学部に進学する学生が多いが、ここで学ぶうちに進路を変更する学生も少なくはない。転部試験を必要とする学部(医学部など)も存在する
が、学生にとっては自らの進路を熟慮できるシステムとして人気が高く、K大を志望校とする理由の一つとして、このシステムを上げる学生もいる(これと似
たようなシステムをとる大学は、後は国木田のいる東大のほか、日本全国探しても一桁ぐらいしかない)。
「うちの大学とK大はその点では学ぶ人間にとってはありがたいシステムだね」
この前、3か月の長い休みの間に、海外へボランティアに出かけていた国木田は、何か思うことがあったらしく、自分が受験した学部からの変更を考えていた。

「国木田君もいろいろ考えているようだね」
桜の花びらが少し強い春の風に舞い散る中、佐々木の家庭教師先の生徒であり、俺と佐々木にとって、モデルとしてのバイト先でもある立花香織に誘われて、俺
と佐々木は花見に来ていた。
立花も二年生になり、そろそろどこかの大学を目標に設定して勉強に取り組まなければならない。ただ、立花はすでに進学先に具体的なイメ−ジを持っていた。
「先生、キョンさん。どんどん食べてください」
俺と佐々木と立花で分担して、お花見弁当を作り、桜の名所が多い、京都の中でも穴場だという場所に立花に案内してもらい(穴場だと立花が言うだけあって、確
かに花見客は少なかった)、敷物を敷いて九分咲きの桜を眺め、(いささか手前味噌になるが)うまい弁当を食べながら暖かい春の日差しを浴びていると実にいい
気分になる。
“これで酒でもあればな”
とは思うものの、一応おれたちは未成年だし、まして車で来ているので飲酒運転で塚松森は毛頭ない。
“そういえば”
今年、俺も佐々木も、そしてハルヒや古泉、国木田も成人式を迎える。
18歳への選挙権の引き下げ等、成人をめぐる議論が行われているが、今のところ、成人はまだ20歳である。それは名実ともに、俺たちが大人へとなることを意
味していた。


後でこの年のことを考えたとき、俺たちは大きな転換点に立っていたのだと思う。
俺だけでなく、佐々木やハルヒ、古泉や国木田だけでなく、俺たちの周囲の人間もまた、それぞれ変化の年を迎えていたのだった。

246 :この名無しがすごい!:2015/05/22(金) 16:07:25.11 ID:IQ8BawDQ
 ワ−ドでつくった文章を転載したらへんな感じに……読みづらくてすいません。

247 :この名無しがすごい!:2015/05/22(金) 18:20:20.33 ID:E6urb3Km
支援
成人年齢が引き下げられたら、その年は18〜20歳が一斉に成人式に出席となるのかね?

248 :この名無しがすごい!:2015/05/22(金) 23:46:31.78 ID:haCIxNWn
この大学入学と成人とが微妙にずれている
矛盾のようなモラトリアムのような時期って、いろんな作品の根底にあるよね。
それが消えると、待ち合わせのジレンマが携帯によって消えたみたいに
一つの概念がフィクションの世界から消えるのだろうなと思う。

ああ、俺もK大に行きたかったよ・・・・・・

249 :この名無しがすごい!:2015/05/26(火) 18:12:33.99 ID:jTJRhRjP
⌒(;´д`)⌒<まだ5月とは思えない暑さなのです…

250 : 【末吉】 :2015/06/01(月) 16:47:55.19 ID:9aHS50iu
今月の佐々木さんの運勢

251 :この名無しがすごい!:2015/06/01(月) 17:55:19.28 ID:M5cdPy0I
佐々木さんに大吉を捧げよう

252 : 【大吉】 :2015/06/01(月) 17:57:01.44 ID:M5cdPy0I
肝心のおみくじ忘れてた

253 :この名無しがすごい!:2015/06/04(木) 19:28:19.89 ID:bM9NzfCt
大吉が出ている

254 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/06/05(金) 14:25:12.89 ID:l2IA3evN
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その42


「7番席のお客さんに寿海の冷やを、8番席のお客さんに招徳の濁りをぬる燗で」
「京姫の霞み酒を一本、筍と牛肉の土佐煮を一つ、山菜の天ぷら二つ」
バイト先のおじさんの居酒屋も、出される酒とアテ(つまみ)に春の息吹を感じられるものが増えてきた。
「それが京都の居酒屋の矜持さ。季節を感じさせ、人様を感心させる料理を出す。料亭だろうが居酒屋だろうが同じことだ。それができない店は商売する資格などない」
少しだけ、おじさんが自慢げにそういった。
「うちの実家も、父さんや母さん、姉さんたちが毎日山菜取りや野菜の収穫に筍堀り、合鴨肉の加工とか味噌作りとか、豆腐づくりとか、いろいろ忙しいと思う。春は特にお客さんが多いから」
長東由希からもらった年賀状に印刷されていた、彼女の二人の姉さんの顔が思い出される。長東の話によれば、先祖代々、そうやって長東の家は家族や親族で、料理旅館としての味や料理を受け継ぎ、
食材も自ら栽培、収穫してきたのだそうだ。
長東の家のように、京都にはそうやって受け継がれてきたもの、食材や技術、そして心意気が多く残っている。それを「伝統」というのである。

「そういえば、長東は来年の春には専門学校も卒業だよな。卒業したら、地元に帰って、お姉さん達と一緒に家を手伝うのか?」
お客が帰った後、店内を掃除しながら、俺は長東に聞いてみた。
「ううん。すぐには帰らない。卒業したら――調理師免許試験に受かってからの話になるけど、叔父さんのお店で2年間手伝いながら、料理の修業をするの」
長東の叔父さんは、銀閣寺の近くで、有名な料理店を経営している。その人のもとで、長東はさらに腕を磨くつもりらしい。
「卒業したら、叔父さんの家に下宿させてもらうから、ここにいられるのも後一年くらいなの。本当は、高校卒業したら、叔父さん達は自分たちの家に一緒に住めばいいって言ってくれてたんだけど、私
が一人暮らししてみたかったから、親戚筋に頼んで、ここに入居させてもらったわけ」
なんとなく、長東の気持ちはわかるような気はした。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

以前にも書いたが、一、二年の学生たちは、基本的にはすべて教養課程を受講するので、ハルヒと一緒の講義を受ける時間も多いが、二年生になると、やはり自らが選択した専門課程(俺が化学、ハルヒ
が物理)に関連する選択教養科目を受講する時間が増えるので、別々の時間が少し増えてきた。

「それじゃ、キョン、第五講義室へ移動しようか」
佐々木は俺と同じ専門課程なので、佐々木と俺は同じ講義を受けることになる。
「それじゃ、キョン、佐々木さん、後でね」
「おう。食堂で」
俺と佐々木は第五講義室へ向かい、ハルヒと古泉は第三講義室へ向かった。
歩きながら、ふと俺は昨夜の長東との会話を思い出していた。
長東は学校を卒業すれば、いよいよ社会人としての一歩を踏み出す。それは、長東の周囲の環境が大きく変化することを意味している。
俺もまた、教養課程を終え、いよいよ専門領域へと学ぶ段階を深めていく。俺と一緒の佐々木はともかく、ハルヒや古泉とは同じ大学にいながら、別々の領域で学ぶのである。
大学で学部が違うのは、それこそ別の学校で学ぶようなものだ。
理数系の研究棟は、ほぼ隣接・集合しているため近いとはいっても、K大ほどの規模となれば、学生の数、建物も相当な数なので、学部が違うとなると顔を合わせる時間はかなり減るだろう。
“来年からは俺たち四人の学ぶ環境も変わるわけだ”
 一体どういう風になるのだろうか?
 そんなことを考えながら、俺は佐々木とともに、第五講義室へ入っていった。

255 :この名無しがすごい!:2015/06/05(金) 18:18:36.82 ID:DYKC6oVh
支援
周りからはこの4人普通に2組のカップルにしか見えないだろうね
事実に追認されるのはいつになるかな

256 :この名無しがすごい!:2015/06/07(日) 18:58:59.26 ID:CPTCCMAn
⌒(;Д;)⌒<昨日73円で買った商品が今日50円で売ってたのです…

257 :この名無しがすごい!:2015/06/07(日) 22:22:12.83 ID:am/1sNWv
支援

258 :この名無しがすごい!:2015/06/15(月) 23:20:29.92 ID:kEjD13tH
誰か変態佐々木シリーズ持ってない?
サーバーが停止したらしくて見れないんだが

259 :この名無しがすごい!:2015/06/15(月) 23:25:00.66 ID:Fd/IHnBt
エロパロ板のだっけ?残念ながら私は無理です

260 :この名無しがすごい!:2015/06/19(金) 09:15:42.63 ID:+0V6MzoD
総合まとめしてる保管庫の谷川先生区分その5にありましたな

261 :この名無しがすごい!:2015/06/21(日) 01:42:04.56 ID:/AgU7AiM
ようやく仕事に一区切りです。それで長門有希ちゃんの消失を貯めどりしていたのを
見ていますけど・・・・・・この感じでは佐々木さん登場あるような気がします。

262 :この名無しがすごい!:2015/06/21(日) 07:54:44.55 ID:ZoqQ875/
Σ(゚Д゚)!?
ついに佐々木さんに声が…!

263 :この名無しがすごい!:2015/06/21(日) 19:49:49.19 ID:bJ5nITg3
佐々木出るのか?

264 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/06/21(日) 22:16:34.10 ID:Gia1KA4A
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その43

  花背の郷の山道を車で走っていると、鮮やかな紫色と、わずかに黄味がかったように見える白い色の藤の花があちこちに咲いているのが
目についた。
 かつては俗世の秘境とも称されたこの地は、道路が整備された今でも、自然豊かな風景が残り、それが街の生活に疲れを覚えた人々をひきつけ、
この地に別荘を持ったり、あるいは移住してくる人もいるという。
 「少しでも人が増えてくれればいいのだけど」
 後ろの座席に乗っている、この土地生まれの長東由希は自分の故郷を案内しながらそう言った。
 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 大学二年生の生活になじんできた頃に黄金週間が始まり、今年は前半は全員こちらに残り、後半に地元に一緒に帰省する予定だった。
 「それだったら、皆でウチに遊びに来てください」
 長東の地元、花背の郷に誘われた俺達は、長東の好意に甘えて、一泊二日の予定で長東の実家の料理旅館に宿泊させてもらうことになった。
 「だけど、黄金週間中ならお客さんが多いのでは?」
 「実は、今度実家の隣の古い民家を改築して、離れとして使用することになったんで。改装は終わって周囲を整備するのが残っているけど
他は使えるので、お試しということで使ってもらおうかと」
 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 古泉が運転するアクセラの助手席に俺、後部座席にハルヒ、佐々木、長東の女性陣が乗車し、車内はかなりにぎやかだった。
 何度もウチに遊びに来るうちにハルヒも佐々木も長東と顔を会わせる機会も増え、今ではすっかり仲良くなっていた。
 「あ、条暁寺が見えてきた。もうすぐ私の実家だよ」
 かなり古いが、趣のある、三重塔の寺院が見えてきた。
 石造りの仁王像が山門に立っていたが、この辺りは神社仏閣も多いが、この石仏もかなり多い。古い参道や脇道にその姿を見ることができ、
俗世の秘境と称された雰囲気を生みだしていた。 
 「いかにも古都の山里らしい」
 一年生の時に、初めてこの地に、長東に薦められてきたのだが、俺達はすっかりその雰囲気に魅せられていた。
 条暁寺を通り過ぎ、少し道が細くなり、小さな集落を抜けると、前方に美しく手入れされた庭木に囲まれた、数寄屋造りの、落ち着いた雰囲気の
建物が姿をあらわした。
 『東郷(あずまざと)〜川山荘(せんざんそう)』と刻まれた石碑の前で、古泉はアクセラを停止させた。

 

265 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/06/21(日) 22:17:27.35 ID:Gia1KA4A
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 俺達4人が宿泊させてもらうのは、本館の隣にある、茅葺屋根の民家を修復し、改築した建物だった。
 長東が言った様に、庭が整備中だったが、それ以外は完成しており、素朴であり、落ち着いた雰囲気を持つ、どこか茶室を思わせるような建物だった。
 室内は綺麗に掃除されていて、畳も新しく、かなり太い柱も磨かれていて、そして、囲炉裏があった。
 「これ、いいじゃない!」
 ハルヒは目を輝かせていた。
 「これを使った料理を出すという事ですかね」
 「結構火加減の調節が難しいとは思うんだが」
 「だけど、たしか竈に比べると、薪や枯れ枝の使用量がはるかに少ないと聞いたことがあるよ」
 「換気はどうなのかしら?」
 「上を見てみろ、きちんと煙を外に出すように排煙管と換気扇がつけてある」
 「そこは近代文明のようだね」
 好き勝手なことを言いながら、俺達は荷物を置いて、周囲を散策することにした。
 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 本館である川山荘(せんざんそう)と俺達が泊まる去来庵(という名前を付けているそうだ)の横には紅葉や桜の並木道があり、その向こうに小さな川(疎水)
が流れている。
 川のせせらぎと鳥の鳴く声、風が木々を揺らす音が、やけにはっきりと聞こえる。
 視線の少し先に、俺達が通ってきた条暁寺の三重塔が見え、去来庵と似た様な家々が立ち並ぶ集落が見える。
 『もともとうちの家は、条暁寺のお客さんをもてなすために始められたお宿だったの』
 長東が言うには、条暁寺が建立されたのが平安も末期、長東の先祖が(条暁寺の庫裏、すなわち台所で働いていたらしい)お宿を開いたのが江戸初期だそうだ。
 「京都の歴史の長さには敬服するしかありませんね」
 長東の話を来た古泉は感心したようにつぶやいた。
 おそらく、俺達がいま見ている景色は、ここがたてられた当時と、そこまで変化しているわけではないだろう。
 
 ”時がいくら過ぎても、変わるものがあり、変わらない物がある。人も景色も”
 風景を眺めながら、俺はそんなことを考えていた。
 

  👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)


266 :この名無しがすごい!:2015/06/21(日) 23:17:11.74 ID:ZoqQ875/
支援
長東の姉も出てくるだろうし穏やかには済みそうにないな〜
去来庵の名はキョンが来るにも掛けてあるのかね

267 :この名無しがすごい!:2015/06/22(月) 18:33:15.46 ID:n84V6MAh
支援

268 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/06/27(土) 21:21:39.69 ID:QGduCH/v
長門有希ちゃんのアニメは全部で16話。原作と照合すると佐々木さん
登場は微妙?・・・・期待したいです

269 :この名無しがすごい!:2015/06/27(土) 21:56:16.54 ID:ijlzwgA4
残りはOVAらしいですからねえ…
せめて後ろ姿だけでも見たい

ところでsageが全角と名前欄

270 :この名無しがすごい!:2015/06/27(土) 22:57:36.56 ID:QGduCH/v
>>269 失礼しました。

271 :この名無しがすごい!:2015/06/27(土) 23:40:13.30 ID:OXUUf3Pd
残りはOVAなの?

272 :この名無しがすごい!:2015/06/28(日) 06:26:48.50 ID:WhGY2Gho
吉野健太郎の危険ドラッグ薬事法違反の刑事裁判の判決は7月1日に福井地方裁判所で言い渡される

273 :この名無しがすごい!:2015/06/28(日) 09:22:18.58 ID:4YlMfH3o
どうでもいい話かもしれないけど、以前ここにとあるSSを投稿した者です
プロの小説家になりました
その時は小説書きなんて目指している訳でもなく楽しそうだったから
参加していただけなのですが、始まりの一つはここなので感謝の意味も込めて報告

274 :この名無しがすごい!:2015/06/28(日) 13:56:22.60 ID:IHWQfudw
>>274 おめでとうございます。素晴らしい。下手なSSを投稿させてもらっていますけど、
プロになられる方が出てこられたのは、とても嬉しい気分です。頑張られてください。
もう本は出ているんですか?

275 :この名無しがすごい!:2015/06/28(日) 14:09:09.33 ID:/mqfnavc
>>273
おめでとうございます!
すごい。
佐々木さんのような素晴らしいキャラクターを見せてくれれば嬉しいです。

276 :この名無しがすごい!:2015/06/28(日) 14:14:41.33 ID:gapuzOIc
>>274
ID違うと思いますが>>273です
もう出てますね
ラノベではなく一般からデビュー、かなり硬派な作風です
でも小説の書き始めはこのスレからなんです
まとめwikiにもまだ僕が書いた「卵の殻」というタイトルの長編SSが
稚拙ながら掲載されてました
とても懐かしかったです

277 :この名無しがすごい!:2015/06/28(日) 14:19:05.74 ID:gapuzOIc
>>275
ありがとうございます!m(_ _)m
意識してませんでしたが、佐々木さんみたいなキャラはいますねw
クールだけどお喋りな女性キャラ
結局、自分の好みのタイプなのかもしれない

278 :この名無しがすごい!:2015/06/28(日) 15:11:53.90 ID:DvzRAdKA
>>273
おめでとうございます。
結構初期のスレの作品ですね。

なんというか佐々木SS書きからこういう方が出てこられたというのは感慨深いです。

279 :この名無しがすごい!:2015/06/28(日) 15:46:18.62 ID:7VmMqIFu
おめでとう!久々に背筋が震える話題です
鷹が日本一になった時より嬉しいwこれからのご活躍期待してます

280 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/06/28(日) 16:03:57.63 ID:IHWQfudw
              カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その44

 夕食までまだかなりの時間があるので、俺達は、この近くに住むある人物を訪ねることにした。
 ”花背の郷に行かれるのだったら、ぜひ訪ねてみてください。母の友人で、花背の郷に工房兼自宅を持たれていて、そこで
色々なものを制作されています”
 佐々木の教え子・立花香織が俺と佐々木が皆で花背の郷へ行くと言ったら、知り合いを紹介してくれたのだ。
 「すいません。この方の工房は、ここからどれぐらい離れていますか?」
 この旅館にお邪魔した時、真っ先に俺達を歓迎してくれた、長東の一番上のお姉さん・長東恵美さんに工房の名前を見せたところ、
「竹雀(ちくじゃく)先生のおうちね。あの集落の端の方の家だわ。でも、キョンさん、竹雀先生とお知り合いなの?」
 (すでにこの人にも「キョン」と呼ばれている。長東がいつも俺の事を話しているらしいので、「キョン」で認識しているらしい)
 「私の家庭教師先のお母さんと友達だそうです。この花背の郷を訪れたら、ぜひ訪ねてみてくださいと言われていたので」
 「そうなんですね。あの方はすごい人ですよ。何でもお作りになられる方ですから」
 「色々なものを制作されるとは聞いていたんですが」
 「ええ。器から蔓細工、日本画に書、象嵌に染色と何でも手がけられておられるんですよ。うちで使う器や花飾り、敷物なんかも竹雀
先生に頼んでます。どれも一級品ですよ」
 「まるで光悦ですね」
 江戸初期の、京都が生んだ偉大な芸術家・本阿弥光悦に例えた佐々木の言葉に、俺もうなずく。
 「ええ。今光悦なんていわれる方もおられるくらいです」
 余程の人物のようだ。
 
 それで皆で行こうとしたのだが・・・・・・
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 「ハルヒの奴、起きないのか?」
 「ええ。全く」
 「涼宮さん、涼宮さん……駄目だ、ぐっすり眠っているよ」
 「昨日までバイトがあったからな。客がかなり多かったと言っていたけど、さすがのハルヒも疲れていたんだな」
 風通しがよく、木陰が日の光を遮り程よい程度の空気を醸し出す中庭に面した去来庵の一室に、いつの間にかハルヒは体を大の字に
広げて、寝ていた。
  一度寝るとハルヒは自分が満足するまではなかなか起きない。
「どうしようか?」
 「とりあえず休ませておきましょうか。あちらも用事があるでしょうから、明日に見学の日付を変えるというわけにもいきませんし」
 恵美さんに、俺達が訪問すると連絡を入れてもらっていたのだ。
 「仕方ないな。次回ここに来たときにハルヒは連れて行くとするか」
 わずかな滞在時間でここがすっかり気に入った俺は、多分またここに来ることになうだろうと思っていた。
 「後から何か言われるかもしれませんよ」
 「俺がなだめておくよ。罰金とか言われるかもしれんが」
 俺と古泉の会話を聞いて、佐々木がおかしそうに笑っていた。
 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 

281 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/06/28(日) 16:05:18.04 ID:IHWQfudw
川山荘の手前の集落を東郷(あずまざと)といい、宿の名はそこから来ているそうだ。
 その集落は以前は空家が多かったそうだが、近年は別荘やアトリエとして改装され、住んでいる人も増えたそうだ。
 『ただ、竹雀さんはそれ以前からここに引っ越してこられて創作されているんです。他にも作家の方とかが別荘兼仕事場として使わ
れたりされていますけど、あの人がはしりみたいなものです』
 恵美さんの話によれば、昔から長東家と親交があり、三姉妹をかわいがってくれたそうだ。
 
 集落の端に、なるほど、いかにも芸術家というか創作家が好みそうな、どこか銀閣寺にも通じるような渋さと風格を兼ね備えながら、
良く整えられた家と庭、そして窯があり、落ち着いた雰囲気に包まれている。
 小さな門をくぐり、玄関まで行くと、何故か大きな臼が傍らにあり、それが郵便受けとして使われていることに、ここの住人の感性
を感じることが出来る。
 「ごめんください」
 佐々木が声を掛ける
 「はい」
 家の奥から、返事が返ってきて、住人が姿を現す。
 ”!”
 俺だけでなく、佐々木も古泉もおそらく同じ気持ちを抱いたのではないだろうか。
 この家と同じく、落ち着いた雰囲気をまとい、作務衣に身を包みながら、気品を漂わせた、年齢的に言えば30代にも見える、かなりの美人だった。
 「川山荘さんから紹介してもらいました、佐々木です。初めまして。立花さんの家で家庭教師をさせてもらっています」
 「初めまして。笹木野竹雀、笹木野涼音(ささきのすずね)です。ようこそいらっしゃいました。立花の家庭教師、ということは香織ちゃんの?」
 「はい。いつもお世話になっています」
 さすがの佐々木も、この芸術家・笹木野竹雀こと笹木野涼音のもつ雰囲気にいささか飲み込まれたようだ。
 「どうぞ、皆さん、靴を脱いで上がられてください」
 その言葉に従い、俺達は中にお邪魔することにした。

282 :この名無しがすごい!:2015/06/28(日) 16:07:55.35 ID:IHWQfudw
>>276 すいません、また間違い・・・・・・最近失敗が多いです・・・・・・でも本当に
おめでとうございます!

283 :273:2015/06/28(日) 16:59:43.52 ID:jbJqxMH7
皆様、ありがとうございます。
ある意味、佐々木さんに改造手術を施され、
人生の行き先が思わぬ方向へと向かいました。
面白い物語をたくさん発表できるよう、
これからも頑張って書き続けます。

284 :この名無しがすごい!:2015/06/28(日) 17:02:40.37 ID:7VmMqIFu
支援
おお、ついに佐々木さんの(名前が)そっくりさんまで登場とは
ハルヒと出会わないのは何か意味があるのかと深読みしてしまう

285 :この名無しがすごい!:2015/06/29(月) 00:56:30.65 ID:iHjUn6WY
>>283
遅ればせながら、おめでとうございます!
佐々木さんに魅せられたことで人生を変えられた貴方が
まるでキョンのようで羨ましくもあり、
また、積み重ねられたであろう努力に尊敬を抱きます。

何年ぶりかでもう一回拝読してきますわ


>>281
んんんええええ!?
どうなるのかまったく読めなくなってきました。
長門に似ている女性の存在だけじゃなくて、この人は今の世界をどう暗示してるんだ……!?

286 :この名無しがすごい!:2015/06/29(月) 07:28:08.55 ID:CA7HDloX
佐々木スレから小説家が生まれるとか快挙ですなあ…

287 : 【小吉】 :2015/07/01(水) 20:50:57.21 ID:WvOpwUhi
今月の佐々木さんの運勢

288 :この名無しがすごい!:2015/07/07(火) 19:21:54.97 ID:UM7Bmuez
七夕ですね佐々木さん
絶賛雨降り中ですが

289 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉:2015/07/12(日) 01:33:49.85 ID:D7PWh0wz
        カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その45
 
 
 展示室【ギャラリ−】に展示してあるのは、すべて竹雀こと、笹木野涼音さんの作品であるが、その多様さに、皆圧倒されていた。
 手ひ練りの楽茶碗、白磁、辰砂、蔓細工、漆器、象嵌、日本画、書、彫刻、篆刻・・・・・・
 そのすべてが製作者の並々ならぬ技量を示しており、この人物の多彩な、まさに天才としか言いようのない才能の持ち主であること
を表していた。
 「今光悦といわれることだけのことはありますね」
 古泉がいつものさわやかスマイルではなく、心底感心したような表情でつぶやいた。
 「本阿弥光悦も多彩な人だったけど、現代に残っているすべての作品が、光悦の手がけた仕事とは限らないと言われている。でも」
 「これを一人で手掛けたのなら、光悦以上じゃないのか?」
 俺達の会話を聞いていた芸術家は微笑みながら、首を横に振った。
 「光悦に例えられるのは京の地に生きる作家としては光栄の至りだけど、私はまだ光悦には遠く及ばないわ。光悦はてすさび(遊び
、趣味)との体現として数々の作品を生み出したけど、私は『仕事』でこれらの作品を作っている。あの境地にたどり着けるのは
いつのことになるのかしら」
 その言葉に、俺達は絶句せざるを得なかった。
 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 「お茶をどうぞ」
 笹木野さんの勧めに従い、縁側に設けられた席に座った俺達に、冷茶を出してくれた。
 「これは美味しいですね。こんなお茶は初めて飲みました」
 冷茶を口に含んだ古泉が感嘆したように声を漏らす。ここにきて、古泉はいつもの古泉と違い、驚きぱなっしで、素直に感情を
表していた。
 「僕もこんなに美味しいお茶は初めて飲んだ。キョン、これが何かわかるかい?」
 佐々木の問いに俺はしばらく考える。
 「――玉露と煎茶を氷水で旨味と甘味だけとりだし、合わせたものじゃないかな」
 果たして答えは?
 「正解。貴方、すごいいい味覚をもっているようね」
 「いや、実を言えば、友人――長東から似た様なお茶の入れ方を教えてもらったことがありまして、それでわかったんです」
 「川山荘の?由希ちゃんかしら、そのお茶の入れ方をあなたに教えたのは?」
 「はい。バイト仲間で俺に色々料理を教えてくれるんです」
 「ああ、それじゃ、貴方が”キョン君”なのね」
 初対面の人間の口から、まさか俺のあだ名が出てくるとは思わなかったので、俺は妙な表情をしていたに違いない。
 ふと俺の横に座っている佐々木を見ると、口元を抑えて、楽しそうに笑っている。
 「あそこの家とは、ここに引っ越してきて以来の付き合いだから、三姉妹も遊びに来たり、私の方もお邪魔することが多いのよ。
それで由希ちゃんが帰省した時に、向こうでの生活をよく話してくれるけどその時よく『キョン君』の話が出るので、会ってみたい
とは思っていたけど、立花家ともつながりがあるなんて、本当に『縁』は不思議なものね」
 確かに彼女が言う通りだと思う。
 「私は結婚もしていないし、子供もいないから、由希ちゃん達や香織ちゃんの事は娘みたいで気にかけているけど、あの由希ちゃんが
男の子の事を楽しそうに話している姿はあんまり想像できなかったわ」
 「そうなんですか?俺は長東はとても親しみやすいと思っているんですが」
 「小さい頃はそうでも無かったわ。結構引っ込み事案で、お姉ちゃんの陰に隠れているようなところがあったから。大人になったと
いう事かしらね」
 今の姿しか知らない俺にとって、笹木野さんが語る長東の様子は意外な気がする。
 「人は変わる者よ。ましてや女性は特に、ね」
 確かに笹木野さんの言う通りかもしれない。
 俺と古泉は同時にうなずいていた。
 

290 :この名無しがすごい!:2015/07/12(日) 06:52:01.23 ID:bKcx3JAO
支援
佐々木さんに名前が設定されてれば、紛らわしいから名前で呼んでイベントがあったろうに
あ、そうなると古泉からも呼ばれてしまうか

291 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉:2015/07/14(火) 23:29:51.25 ID:PW6UrtNM
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その46

「いつから造形作家になろうと決められたんですか?」
 キョンの質問に、笹木野さん(私と名前が似ているので、少し戸惑いを感じる)は何かを思い出すように、少しの間、首をひねり、
 「そうねえ、いつかははっきりしていないのだけど、ただ、決めるきっかけになった出来事はよく覚えているわ」
  冷茶を口に含んだ後、笹木野さんはその出来事を話し始めた。

 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 「私の実家は古代裂(こだいぎれ)、古い染め織物の端切れのことを言うのだけど、それを扱う専門店で、幼いころからそれを身近に見て育ったの。
古代裂で骨とう品や茶器、陶器や美術品を包む袋を作ったり、着物を屏風に仕立てたりするのが生業で、自然と美術品や陶器に触れあううちにそれらに
興味を持ち始めた。小学校の入学前から親戚に色々習い始め、中学生になる頃には、自分でいうのもなんだけど、お世辞抜きの、ある程度の評価を受け
られる作品を生み出せるようになったの。でも、そのころから迷いも出始めた。自分は何をしたいのか?何になりたいのか?何が本当は出来るのか?
そんなことを考えているうちに、しばらく作品が作れなくなって・・・・・・中学二年生の七夕の日に、気分転換に祇園の祭りを見ようと思って、堀川通りの方に
友達と遊びに行って、そこで一人の男の子に出会ったの。西陣織の展示物をやけに熱心に見ていて、メモや写真までとっていたわ。同年代ぐらいの男の子が
そういうのを熱心に見ているのが珍しくて、思わず声を掛けたの」
 笹木野さんの表情が、自然とほころんでいる。
 「色使いに興味がある、その男の子は言ったわ。私の実家の事を話したら、名前は知っていて、そして私の事も噂には聞いていたと言っていた。私の作品も
実物を見たことがある、て言って賞賛してくれたの。いろいろ喋るうちに仲良くなって、私はその男の子を実家に案内した。古代裂を長い時間見ていたわ。そ
れから後で、私の作品を見せた。すごく感激してくれたわ。それからいろいろ質問された。話しているうちに、私の悩みまで話してしまってね。彼はこう答え
たの。”何でも作ればいい、なりたいものになればいい、何でも出来るんだよ”、て。ほんと単純な答え。答えにもなっていない答えだった。でも、不思議と
私はそんな答えで嘘みたいだけど、悩んでいるのが馬鹿らしくなって、吹っ切れた。自分で限界を、自分で作っていたことに気付かされたのよ」
 昔の事を思い出して、本当に楽しそうに、フフフと笹木野さんは微笑った。

 「それから私達は友人になった。彼の名前は立花貴洋(たかひろ)て言って、西陣で着物や洋服を製造している会社の息子さんだった。そう、立花香織ちゃ
んのお父さん。最初の出会いがそれだった」
 一息ついて、冷茶を飲み、笹木野さんは話を続けた。
 「学校は全く別で、中学二年だったけど、彼が通っていた学校は勉強熱心なところだったので、受験勉強を早くから取り掛かっていて、そんなに頻繁には会
えなかったけど、時間が空いたときはお店に来て古代裂や美術品、私の作品を見て行ったわ。やがて私も3年生になり、受験勉強が始まり、作品を作りながら、
勉強した。卒業して、春に高校生となって、入学した高校で、私は驚かされることになった。彼がその高校にいたから。彼の受験先なんて聞いていなかったし、
私も言わなかったから、同じ学校に入学したのは、本当に偶然だった」

  笹木野さんの話を聞いていて、私は何となく、キョンと私――K大学で偶然再会した私達に重ねていた。
 
 「高校で私はもう一人友達が出来た。彼の中学時代からの親友で、春日野晶(かすがのあきら)という女の子だった」
 その名前に私は聞き覚えがあった。
 
 染色家、立花晶。立花香織さんの母親だ。

292 :この名無しがすごい!:2015/07/14(火) 23:33:27.39 ID:f29dn0ZQ
這い寄れ佐々木さん

293 :この名無しがすごい!:2015/07/15(水) 01:09:56.11 ID:qBU/u/Iq
「偶然の一致」が重なりに重なる。
物語の真相はまだ見えないけど、そろそろ見せ札は揃ってきた感じ?

294 :この名無しがすごい!:2015/07/15(水) 06:59:00.05 ID:+Ci3Tswe
支援
偶然なんてない、あるのは必然だけみたいなセリフはHolicだったっけ
偶然と必然が複雑に絡みあうこの世界は誰が何の意図をもって創ったのか

295 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉:2015/07/16(木) 00:21:17.68 ID:KE9lylGe
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その47


 「春日野――晶の家は普通の会社員の家だったけど、親戚に陶芸家がいたりして、彼女もそういう方面に興味を持っていた。
彼女が染色に興味を持ち始めたのは、彼の――立花君の影響だった。立花君は絵が得意で、私と同じ日本画だけではなく、西洋画
も得意なんだけど、色使いへのこだわりは、私も舌を巻くくらいだった。作家を目指していたわけではなかったけど、趣味の世界
にしては、そんなレベルじゃなかったわね。二科展で史上最年少で、日本画の部門で特選を取るくらいだったから」
 立花さんのお父さん――笹木野さんが言う”彼”には、何度も立花さんの家でお会いしているが、やり手の経営者であることと、
家族思いの人だという印象は受けたが、そんな一面を持っていたとは知らなかった。
 「晶は親戚に陶芸家がいるとはいえ、染色に関しては全くの素人だったけど、立花君の知り合いに染色の仕事をしている人がいて、
そこでバイトをさせてもらいながら、色々自分でも学ぶうちにどんどん上達していったの。今ではその道の第一人者と称されているわ」

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 
 笹木野さん(どうも言いにくい。佐々木と名前が似ているせいだろう)の話を聞いていて、俺は、ふと気づいたことがあった。
 二人の天才。
 俺の身近に天才は二人いる。言うまでもなく、ハルヒと佐々木だ。
 ただ、二人は違うタイプの天才で、ハルヒがインスピレ―ションが強い、いわゆる天才らしい天才に対し、佐々木は多くの事を学び、
それを自分のものとして、そこから新たな発想を生み出す、努力型の天才だ。
 
 笹木野涼音と春日野晶。
 偶然にも佐々木とハルヒに似た名前の二人の天才芸術家。だけど、笹木野さんに似ているのはハルヒで、立花の母親、晶さんに似ているのは、
佐々木の方だ。
  
 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 「私と晶が作家になるきっかけを与えてくれたのは、彼のおかげだった。私達三人はいつも一緒にいたわ。高校と大学の七年間、私達は親友で
あり、ライバルであり、かけがえのない仲間だった」
 そこまで話して、笹木野さんは一休みして、また冷茶を口に含んだ。
 「そんな関係がいつまでも続いてほしいと思ったこともあったけど、彼と晶が恋人になったことで、私達の関係も変化した。二人を祝福したけど、
後悔する気持ちが少しあったのも事実ね」
 ため息交じりの、少しさびしそうな表情を一瞬だけ、笹木野さんは浮かべた。
 
 「立花さんを好きだったという事ですか?」
 おもわず、私の口からそんな言葉が漏れた。
 そしてそのことに、自分がそんなことを言ったという事に、私自身が驚いていた。
 一拍おいて、うなずきながら、笹木野さんはそういった。
 「そうね。自分の気持ちを私は誤魔化していた。今思えば、何でそんなことをしてたのかしらね。自分の気持ちに素直になればよかった。
受け入れられなくても、彼にきちんと気持ちを伝えらなかったことへの後悔は、いまでも心の奥に、少しだけ残っているわ」
 そういって目を伏せ、そしてまた開いて言葉を続ける。
 「ただ、彼は、今も私にとっては変わらぬ良き助言者であり、親友であり、私の創作活動を支えてくれる支援者なのよ。私の作品を販売するル−トも
彼の伝手によるものだし、このアトリエを紹介してくれたのも彼だしね」
 「本当に親友なんですね」
 「ええ。私にとって、彼は最高の親友よ」
 一瞬見えた翳りのような表情は消え、笹木野さんはまた微笑みを浮かべてそう言った。
 

 

296 :この名無しがすごい!:2015/07/16(木) 00:36:26.18 ID:jsa1ufHD
うわあ・・この最高の親友、は突き刺さる

297 :この名無しがすごい!:2015/07/16(木) 18:30:21.93 ID:q6wdscBi
支援
晶=アキラは佐々木さんの名前候補筆頭、それを考えると佐々木さんとハルヒの名字と名前もシャッフルされてるしぃ
微妙はバランスで成り立っていたものが今にも音を立てて崩れそうな雰囲気怖い

298 :この名無しがすごい!:2015/07/19(日) 01:11:52.08 ID:BlQyPGzi
遅れ馳せながら…私も、後に続けるように頑張るのです。

最近はちょっとゲーム形式のスレと、リアル投稿に比重を置いているので、なかなかこちらに顔を出せませんが…。

299 :この名無しがすごい!:2015/07/30(木) 14:21:32.59 ID:cnOZCvgT
ほしゅ

300 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉:2015/08/02(日) 23:08:01.02 ID:BGEX6Z8q
      カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その48

 それからしばらく色々なことをしゃべっていたが、気が付けば、かなりの時間が過ぎ、夕方に近くなっていた。
 「そろそろ戻らないと」
 古泉君に言われ、私達はこの場を辞することを決めた。
 「すいません、お忙しいのに、お邪魔して」
 「気にしなくていいわ。いつも黄金週間中は仕事を休むの。だから時間はいくらでもあるから。今日は貴方達が来てくれてとても楽しかったわ。
何か、学生時代の事を思い出すわ」
 彼女と彼女の親友と、そして想い人と過ごした時の時間。
 二度と戻ることがない、それでいて、笹木野さんの心にいつまでも鮮やかに残る思いで。
 「またいらっしゃい、いつでも歓迎するわ」
 「ええ。その時は、是非」
 笹木野さんは玄関先まで出てきて、私達を見送ってくれた。
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 「しかし、何か不思議な感じがする人でしたね」
 「立花のお母さんと同級生というから、四十は超えていることになるが、とてもそうは見えないな」
 「立花さんのお母さんも若くてきれいな方だけどね。あの人はさらに若く見える」
 「京という土地柄のせいでしょうかね。あの人が話に出てくる妖しの様にも思えましたよ」
 「ここは山里だからな。山姫とかその化身てところか」
 「そういわれてもおかしくないような気がするよ。本当にここは不思議な土地だからね」
 結構勝手なことを言いながら本日のお宿である、去来庵に戻って来ると、さすがにハルヒは起きていた。
 俺は最初、ハルヒをおいていったことで、ペリカン口のハルヒ特有の膨れ面をされるかと思っていたが、ハルヒは意外にも上機嫌だった。
 「何かここって心地いい気分いなれるのよね。寝ていて起きたら、何故かすごく気分がすっきりして、体も軽いのよ」
 「山里の自然の効果か?」
 「まあ、わかんないけどさ。おかげで今日の夕食、すごく楽しみだわ」
 妙に張り切っているように見えるハルヒに、俺は苦笑を浮かべた。
 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 

301 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉:2015/08/02(日) 23:09:05.62 ID:BGEX6Z8q
食事の前にお風呂に入り(鉱泉の沸かし湯を使ったかなり広い檜風呂で、ハルヒと佐々木が先に入り、俺と古泉がそのあと入浴した)後、
いよいよ本日のメインイベントである夕食の時間が始まった。
 「長東遼香です。皆さんの料理を担当させていただきます」
 長東の二番目のお姉さんが頭をさげる。
 宿泊客に出す料理のうち、いくつかをお客さんの目の前で調理し、提供するというシステムは、長東の三姉妹が考えたという事だった。
 囲炉裏に火がともり、まな板の上に食材と切れ味のよい包丁が置かれていた。
 
 まずは前菜が提供される。うるいとよばれる山菜に、囲炉裏であぶった焼き海苔を巻いたもので山菜のぬめりと歯ごたえ、海苔の香りが一体となり
実にうまい。
 「これは期待できそうね」
 ハルヒのつぶやきに、皆がうなずき賛同した。

 手を変え品を変え、合計22品目の料理が出て、遼香さんの包丁さばきに魅せられ、その味を堪能し終えた時は、さすがに腹いっぱいになった。
 大食漢のハルヒも満足したようで、えらく満ち足りたような表情をしていたのが実に印象的だった。
 「全く素晴らしい料理ですよ。料理を食べて感動するというのは久しぶりの経験です」
 古泉も感心したようにつぶやく。
 「長東さんの料理の腕は素晴らしいと思っていたけど、納得だね。これだけの技術が彼女の背景にあるわけだ」
 「創意工夫の精神もあるからな、長東の場合は。いい料理人いなるのは間違いないな」
 俺達の口からは、賞賛の言葉しか出なかった。
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――-------------------------
  
 食事に満足したせいか、ハルヒと佐々木、古泉は早々と眠ると言いだし(たしかハルヒは夜中に遊ぶためと称して何か持ってきていたようだが、
出番はないようだ)、まだそこまで夜中でもないにかかわらず、さっさと布団に入ってしまった。
 ”めずらしいことだな”
 そんなことを思いながら、眠気が来ない俺は、夜の散歩でもしてみようかという気分になり、眠るにはいった皆を起こさないように、静かな足取りで
外に出ることにした。
  
 街中と違い、街灯もなく、集落の明かりがかすかに浮かぶ程度で、月と星の光が静かな闇を照らしている。
 聞こえる音は自然の音だけ。そよ風の音ですらここでは大きく聞こえる。
 夜空を見上げると、星の瞬きがはっきりと見える。
 俺の心にある人物の顔が浮かび、思わず夜空に手を伸ばす。
 ”長門・・・・・・”

 「キョン君?」
 突然、後ろから声を掛けられ、俺は心臓が飛び出そうなくらい驚いた。

302 :この名無しがすごい!:2015/08/02(日) 23:33:37.93 ID:fMvrhh+k
支援
刃物と来て名前を確認……納得

303 :この名無しがすごい!:2015/08/03(月) 00:46:03.38 ID:m3HiPqUm
>>302が指摘してくれなかったら気付かずスルーするところだった。そういうことか・・!

全体的に特異点かね。
ハルヒがさっさと寝るのは怪しすぎる。

あとキョンよ、いくらなんでも乙女に「大食漢」とは、いやまちがっていないが・・

304 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉:2015/08/18(火) 22:02:13.32 ID:/SZydUex
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その49

驚いて後ろを振り向くと、そこにいたのは長東だった。
 「どうしたの、キョン君?」
 「あ、いや、眠れなくて、ちょっと散歩を、な」
 心臓が飛び出るぐらい驚いたことを誤魔化しつつ、俺は長東に返事を返す。
 「まだ眠るには早すぎるような気がするけど・・・・・・皆寝てしまったの?」
 「ああ。いつも起きている連中が、何故か今日に限って早く寝てしまっているんだ。山の精気にあてられたのかな?」
 「そうかもしれないわね。花背の、東郷(あずまざと)は京の街中とは違うから。うちに宿泊するお客さんがよく言うけど、ここは別世界だって。
普段は感じることがない自然の息吹を強く感じられる。この場にいると、その息吹を受けて、自分の内面まで違ったものになりそうだ、なんて言う人
もいるくらい」
 俺は軽い冗談のつもりで言ったのだが、長門の返答を聞いて、何となくそれもありだな、という気分になった。
 「花背は京の北方浄土、隠れ里とも称される土地。昔からこの地に来る人は、ここで世俗のしがらみを落とし、新たな自分となって、また現世へ帰
っていく。条暁寺や神社仏閣は、人々の背負う現世のしがらみを浄化し、すべてを無に帰すために存在する、て昔聞かされたことがあるの」
 この地に存在する神社仏閣は、遠く離れた都(みやこ)の人々の深い信仰を集めたと以前い長東から聞かされたことがあるが、が、何となくわかる
ような気がする。
 昔も今も、人の心の在り方はそう変わらないのかもしれない。
 -----------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 「キョン君はよく星を眺めているよね」
 月と星の光が周囲を照らしているだけの夜空の下で、長東としばらく話していたが、ふいに長東がそんなことを言った。
 「え、そうか?」
 自分であまり自覚がなかったので、長東に言われ、少し意外感を覚える。
「さっきも夜空をを眺めていたけど、ベランダから星空を眺めている姿は、よく目にするよ。バイトの後なんかも、お店の外にでて眺めているし」
 「・・・・・・そうなのか?あまり自覚無くてな」
 「誰かを探しているみたいな、そんな表情に私には見えた」
 その言葉に、思わず俺は黙り込んでしまう。
 しばらく沈黙が続き、俺は口を開いた。
 「・・・・・・当たっているかもしれないな。時々思い出すんだ。もう会えることはないかもしれないだろうけどな」
 「友達?」
 「そうだな。それだけの言葉じゃ表せないかな。俺にとって、いや、俺だけじゃなくて、俺の仲間にとって大切な存在だったよ」
 「遠くにいるの?」
 まさか宇宙の果てにいるとは言えない。それにそのことを知っているのは、ごくわずかな関係者だけだ。ハルヒですら、”彼女”は外国
に留学(というよりも移住)したと思っている。
 「遠い、な。気軽に行ける距離じゃない」
 「そうなんだ・・・・・・」
 そうつぶやいて、長東は夜空を見上げる。
 「でも、キョン君がその人を大切に思っているのなら、いつか必ず会えると思うよ。たとえ今は離れていても、本当に大切な人とはまた巡り
合うようになっている、て私は思っているの」
 「・・・・・・そうかもしれないな」
 長東の言葉に、俺は小さくうなずいた。
 
 

305 :この名無しがすごい!:2015/08/18(火) 22:40:37.21 ID:Tl8H8zBY
支援
なんかの拍子にパスが繋がってしまいそう

306 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉:2015/08/18(火) 23:56:04.48 ID:/SZydUex
           カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その50
 
 
 それからしばらく話していたが、花背の宵闇が深まっていき、明日も仕事の手伝いがあるという長東の言葉を聞き、俺も休むことにした。
 「それじゃ、おやすみなさい、キョン君」
 「ああ。お休み」
 長東に軽く手を振り、俺は本日の寝床である去来庵に戻ろうとした時。
 誰かが俺の前に立ちふさがる。
 「こんばんわ」
 かすかな月明かりの下でも見間違うことはない、さわやかスマイルを浮かべた古泉がそこにいた。
 「……寝ていたんじゃなかったのか?」
 「いや、さすがにちょっと早かったようで、目が覚めてしまいました。それで、散歩を、と思いまして」
 「ハルヒと佐々木は寝ているのか?」
 「ええ。お二人ともよく休まれています。涼宮さんは昼間も寝ておられたようですが、こんなに早く休まれるのは珍しいことです。山の
精気にあてられたのでしょうかね」
 俺と全く同じことを言う古泉の言葉に、思わず笑いそうになったが、「そうかもな」と俺は同意を示しておくことにした。
 
 「ところで、なかなかいい雰囲気で話されていたようですが」
 一瞬、古泉の言葉の意味が解らず、すぐに気付いて、俺は古泉を軽く睨みつける。
 「・・・・・・どこから聞いていたんだ」
 「星空を眺めている辺りからです。ですが、聞こうと思って聞いたわけではないですよ。先ほど言った様に、散歩に出かけて、偶然聞こ
えただけです」
 さわやかスマイルを全く変えることなく、古泉はそううそぶく。
 長い付き合いで、古泉のさわやかスマイルの裏にある感情をある程度は見抜くことができるようになった俺だが、嘘は言っていないのは
わかる。
 「貴方が長門さんの事を大切に思われているのはよくわかります。貴方だけではありませんよ。涼宮さんも”あの朝比奈さん”も思いは同じ
です。共に一緒の時間を過ごしたものにとって、長門さんの存在は大きいものでしたから」
 古泉の言うとおりだ。
 「僕等は高校生としての時間を共に過ごした、大切な仲間です。涼宮さんによって北高に集められた、僕等の時間の密度は濃いものでしたから。
それを忘れることはないでしょうね。貴方の心にも、僕の心にも焼き付いている」
 「そうだな。ハルヒに会えたことも、お前に会えたことも、すべて大切な事だよ」
 「そういっていただけると光栄ですね。僕は貴方の事を大切な親友と思っていますし。ただ、時々思うのですが、もし僕らが北高で出会わなかったら
、一体どういう高校生活を送っていたのでしょうかね」
 古泉の言葉に、高校一年生の時、あの冬の出来事、そしてあの世界の長門の事が、不機嫌な顔のハルヒ、そしてあの世界の古泉の事が思い出される。
 「・・・・・・一度お前に話したよな、俺が改変された世界に迷い込んだ時のことを」
 「そういえば、ありましたね。そんなことが。いや、正直なところ、確かに僕等は高校時代、涼宮さんが起こす不思議な出来事というか、非日常の
世界にいて、先程言いましたように、記憶に焼き付いているはずなんですが、あれから1年ちょっとしか過ぎていないのに、あの時間は本当に現実のもの
だったのか、と思う時があるのですよ」
 「俺だってそうさ。非日常の世界にどっぷりつかっておきながら、ハルヒの力が消滅した今、不思議なことは消え、普通の大学生生活を送っていると、
あの時間は確かにあったはずなのに、何か別世界の出来事だったような錯覚を覚えるときがあるんだよな」
 「まあ、しかし、その非日常生活があったからこそ、僕等は一緒にK大学へ進学し、再び一緒の時間を過ごしているわけですしね」
 「確かにお前とハルヒがいなければ、俺がK大に進学できるわけはなかったろうし、佐々木とも再会することはなかったろうな」
 「貴方がK大学に合格したのは、貴女自身の実力があったからこそだと僕も涼宮さんも思っているんですが、もし先程の、僕と涼宮さんが北高に来て
いない世界の場合でも、あなたとは多分K大で会うことにような気がするんですけどね」
 

307 :この名無しがすごい!:2015/08/20(木) 06:07:10.77 ID:t1V8Aw1t
やっと読めた支援
古泉も何かに気付いてる雰囲気だね

308 :この名無しがすごい!:2015/08/22(土) 18:55:45.72 ID:ibwHbZvW
高校野球を見た後のイメージでプロ野球を見たら、守備範囲の広さに驚愕を隠せません
やっぱりプロって凄いと実感したのですよ佐々木さん

309 :この名無しがすごい!:2015/09/04(金) 13:20:53.45 ID:thqPGoHG
こ、このタイトルはwww

脱走した?キョン、南房総で大繁殖…駆除進まず
ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150904-00050029-yom-soci

佐々木さんが南房総に出かけそうだw

※シカ科の外来種らしい

310 :この名無しがすごい!:2015/09/04(金) 18:05:40.51 ID:SoHlzU6x
そういうのはハルヒに任せて、自分はキョン(本物)と部屋デートしてる方が佐々木さんらしいと思うのです

311 :この名無しがすごい!:2015/09/05(土) 12:48:40.23 ID:wT/XYpOt
⌒('A`)⌒「先手必勝なのです。涼宮さんがSOS団の皆さんを招集する前に佐々木さん!」

312 :この名無しがすごい!:2015/09/07(月) 23:35:29.59 ID:U1bWiiYn
実際
ハルヒの願望でキョンが人間に改変されたのが
あのキョンなのかもしれない

313 :この名無しがすごい!:2015/09/08(火) 23:31:43.29 ID:0rDVKQjA
ご無沙汰してます
今日のハルヒワンドロのお題が佐々木さんだったので
色々描き足りないところがありますが…

http://0bbs.jp/tkr62/img111_1

314 :この名無しがすごい!:2015/09/09(水) 00:46:29.04 ID:WFnwiVk5
うおおみょんさんお久しぶりです!

315 :この名無しがすごい!:2015/09/09(水) 01:53:02.15 ID:J4hNWMzC
お久しぶりです!
素晴らしい……やはり十人中八人や九人ではなく全員が美しいと同意するよ!

316 :この名無しがすごい!:2015/09/09(水) 05:53:41.73 ID:xj+SoHoO
お久っす!こんなん即保存に決まってるでしょーが

317 :この名無しがすごい!:2015/09/09(水) 21:49:01.82 ID:3zm3zGPL
みょんさん、お久し振りです。いつも素晴らしいイラストをありがとうござい
ます。保存させていただきます。

318 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/09/09(水) 23:15:46.01 ID:3zm3zGPL
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その51


 古泉の言葉に,俺はしばらくの間考え込んだが、
「いや、やっぱり無理だろうな。お前とハルヒが俺の事を買ってくれるのはありがたいが、俺はお前たちが俺に教えてくれたからこそ合格
できたのだと思う。お前たちがいなけりゃ大学も行けたかどうか怪しいもんだ」
 おそらく全く別の人生を俺は送っていたことだろう。ハルヒや古泉と交差する人生はなかった可能性の方が高い。
 そう思ったのだが、
 「僕らがいなくても、多分佐々木さんが教えてくれることになったと思いますよ」
 古泉のこの言葉に 、俺は?という気分になった。
 「古泉。佐々木は北高には来ていないぞ。あの世界ですら、佐々木は北高にはいなかった。いたとしても勝手な推測になるが、多分、あの
世界のお前たちがいた光陽園の方だと思うんだがな」
 「これは僕の推測ですが、おそらく涼宮さんが北高に来なければ、多分佐々木さんが北高に通うことになっていたことと思います」
 「・・・・・・どういう意味だ?」
 問い返した俺の言葉に、古泉はさわやかスマイルを消し、引き締まった表情になり話を続ける。
 「涼宮さんが北高に来るきっかけになったのは、未来の朝比奈さん、貴方が朝比奈さん(大)と呼ぶ存在による歴史への介入による結果
です。貴方は中学時代の涼宮さんと出会い、涼宮さんが北高への興味を持つきっかけを作った。しかし、よく考えれば、それは本来ありえ
ない歴史の時間軸です」
 朝比奈さん(大)の話をする時の古泉の口調には、わずかではあるが嫌悪感に近いような、負の感情が籠もっている。
 未来人が歴史に介入するのは、彼らに取り、最善であるべき未来への時間軸を生み出すためであるが、過去に生きる人間からすれば(特に
古泉から言わせれば)、余計なお世話という感じではある。
 「その出会いがなければ、多分貴方と涼宮さんが出合うのは、おそらく高校ではなくずっと後、多分、ここ、すなわちK大でだと思います」
 「古泉、確かにお前の言うとおり、多分、朝比奈さんのいろいろな工作がなければ、俺とハルヒは、北高では出会わなかった可能性は高いと
思うんだが、しかし、それと佐々木が北高に来る可能性とどうつながるんだ?」
 「佐々木さんという存在の意義に関して考えると、その可能性が高いと言えますね。北高での2年生の時の、春先のあの出来事の時、おそらく
気付かれていたと思いますが、僕には橘京子、朝比奈さんには藤原さんとやら、長門さんには周防九曜という、所謂対になるべき存在という
者がそれぞれいました。涼宮さんの対になる存在は言うまでもなく佐々木さんです。ただ、ここで一つ忘れていることがあります」
 古泉の言葉に俺は首を傾げる。
 「何を軸に存在するかという事です。その軸は何だと思います?」
 「ハルヒの”力”だろう」
 「表面的にはそうですが、真の意味での軸は貴方ですよ」
 「俺が?しかし、以前、お前は俺の事を徹底的に調査したはずだ。そしてお前自身が俺に言ったよな。俺は普通の、平凡な人間だと」
 「ええ。その通りです。しかしですね。蟻が象の全体を見れないのと同様、所詮人間でしかない僕が、世界のすべてを見通せるわけではあり
ません。涼宮さんの”力”に関しても、結局本当の事は何もわからなかった。なぜあのような”力”が生まれ、それが涼宮さんだけでなく、他者にも
移すことができ、行使できたのか。その原理はわからないまま”力”は消滅した。ただ、一つだけ確信していることがあります。あの”力”は貴方という
存在がいなければ使えない。明らかに貴方とあの力は不可分の関係にある。そしてその力の受け皿になりうべき存在は必ず貴方の傍に居る。涼宮さんと佐
々木さんです。涼宮さんがいなければ、佐々木さんが貴方の傍に居たのは間違いないと思いますね」

319 :この名無しがすごい!:2015/09/10(木) 05:51:21.45 ID:JGZMFhPR
支援
自分もハルヒの介入がなかったら佐々木さんも北高説を支持してます

320 :この名無しがすごい!:2015/09/11(金) 00:03:52.47 ID:ebYa/xGl
あー……確かに。
笹の葉で因果律が狂ってるけど、そもそも佐々木さんが進学時に
キョンと離れるのが不自然なんだよな。
本編そのものに直結する意味でも納得ですわ。

321 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/09/17(木) 00:09:07.09 ID:LSUI5AWp
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その52

「お前の説が正しいとして、長門が改変した世界に佐々木の存在がなかったことに関してはどう説明する?」
 「実はそのことが僕の考えを裏付ける一つの証拠だと考えています。エラ−を起こした長門さんが行った世界改変
において、涼宮さんは北高には進学していなかった。そういう風に長門さんが改変したのは、”力”の行使者であり
器である涼宮さんを、貴方から遠ざけることにより、再度の世界改変を阻止したかったからでしょう。その世界改変は
、この世界での貴方の記憶が残る、きわめて中途半端――というかそれも長門さんの意志ですが――なものでしたが、
佐々木さんもまた涼宮さんと同じ”器”であり、”力”の行使者としての資質を持っています。先程貴方が言われましたが、
改変された世界においては、佐々木さんもまた、あの世界の僕らがいた光陽学園にいる可能性が高いですね。つまり、彼女も
遠ざけられたという事です」
 
 再び改変されたあの世界の出来事が思い返される。
 宇宙人ではなく、普通の女の子で、一人部室に寂しそうにいた長門。解決策を求めて走り回り、ハルヒに出会えた嬉しさ。
 あの世界を去る時、震えていた長門の姿。世界をもとに戻すべく奮闘し、朝倉に刺されて意識が遠のいていった事。
 気が付けば病院のベットの上で、その傍らで寝袋の中にいたハルヒ。
 すべては確かに存在し、しかしまるですべてが夢の中の出来事だったような、北高での不思議な出来事。

 「・・・・・・ハルヒじゃなくて佐々木が北高に来ていたとしたら、どんな高校生活になっていたんだろうな」
 ハルヒはいない、古泉もいない、長門も朝比奈さんもいない。国木田や谷口、鶴屋さんはいるかもしれないが、SOS団は
存在しない俺の高校生活は、先程古泉が言った様に、北高で出会わなかったら、一体どういう高校生活を送ることになるのか
今となっては想像することも難しい。
 「そうですね。僕に関してはわかりませんが、貴方に関しては、不思議なことはないかもしれませんが、案外充実した学生
生活を送っていると思いますよ」
 「お前たちがいないのにか?」
 「僕と涼宮さんと出会うのは、まあ同じ市内ですからあるかもしれません。さっきK大でと言いましたが、何かの拍子に
高校時代に会うことになるかもしれませんね。ただ、長門さんはいるような気はしますね。宇宙人ではなく、ただの北高生の
長門さんが。貴方はその長門さんと佐々木さんと共に学生生活を楽しんでいるかもしれませんよ」
 そういった古泉の表情は、真剣に話していた先程の表情から、いつものさわやかスマイルに戻っていた。
 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------

  

322 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/09/17(木) 00:10:25.23 ID:LSUI5AWp
 
 あたりの闇はいよいよ深くなり、風に揺れる草木のざわめきの音、星の瞬きは鋭敏に感じられる。
 「今僕らが生きる世界も、ある意味において、改変された世界なのかもしれません。いくつかの勢力がこの時間軸の空間に介入し
たことにより、本来の時間の流れは変化してしまった。ただそのことにより、貴方や涼宮さんと共に学生生活を送れたのは悪いこと
では無いのかもしれません。しかし・・・・・・」
 古泉は言葉を切り、そして話を続けた。
 「世界はそんなに軟な存在なのでしょうか?未来人達がさまざまの時間軸及び空間に置いて、介入していることは事実ですが、それを
継続しているという事は、変更した世界をを固定化する作業は相当困難な事なのではないでしょうか。病気の治療でもそうですが、薬を
投与すると必ず副反応というものが出ます。時空間の改変を重ねるという事を繰り返しているといつか反動が来ると思うのですが。いや、
ひょっとして、もう出ているのかもしれませんね」
 「どういう事だ?」
 「今僕らがこの時間を過ごしているのは、実は本来あるべき流れが、改変される前の姿を取り戻している表れではないかと思っているん
ですよ。過ぎた時間を巻き戻すのは不可能でしょう。しかしあるべき姿に近づけるのは可能です。時間のズレは生じるでしょうが、上書き
されるように本来の流れに修正されている、そんな気がしてならないんですよ」
 「しかし、そうなるとまた未来の勢力はこの時空に干渉してくるんじゃないのか?」
 「その可能性は低いと思います。朝比奈さんが望んだ未来への流れを決めるポイントは、涼宮さんが”力”を持っていた時点で起こった
数々の出来事――あなたもずいぶん動かれたと言われましたよね――の時期にあるのでしょう。”力”がいずれ消失することは未来人達は
知っていた。その正確な時期もです。それが固定されれば、そのあとの歴史は微妙に変化しようとも、おそらくは彼らの未来に繋がっている
分けですから、一番重要な時点、すなわち北高時代が変化しなければ、出てくる理由もないでしょう」
 
 

323 :この名無しがすごい!:2015/09/17(木) 06:53:47.59 ID:gaAPAFm6
支援
歴史の復元力という言葉はたまに出てくるね
未来からの介入はバタフライ効果によって指数関数的に膨れ上がっていくはずなのに、だいたい似たような世界に落ち着くっていう

324 :この名無しがすごい!:2015/09/19(土) 17:19:16.21 ID:z+2Ifyj3
夏用のままじゃ寒く感じるようになり毛布をクリーニングに出したのですが、戻ってきた頃には涼しさに慣れ必要性をあまり感じないという…
タイミングって難しいですね佐々木さん

325 :この名無しがすごい!:2015/09/20(日) 18:42:50.56 ID:4nI7jlDs
禁則事項です

326 :この名無しがすごい!:2015/09/20(日) 19:04:45.66 ID:hnsxqhPK
朝比奈さんに言われてしまっては佐々木さんも納得せざるをえないですね

327 :この名無しがすごい!:2015/09/27(日) 06:18:31.09 ID:KyzEuS7l
>>313
ひゅー!

328 :この名無しがすごい!:2015/09/29(火) 21:01:28.59 ID:dc5cLVak
 俺にとってSOS団の活動は最悪だった。なんのかんのと理由を付けられて金をむしりとられる。
 ハルヒ以外のメンバー──朝比奈さん、長門、小泉は学生におごらせるほど頭はおかしくなかった。出費は経費として、また報酬に上乗せして支払われた。
 つまる所がハルヒのお友達を演じるバイトである。
 今週のバイト代を小泉から受け取った俺は駅前の喫茶店に向かった。
「遅いよキョン」そう言って俺を待っていたのはマイスイートハニーの佐々木だ。
「ああ、すまん」
 あ、うんこしたくなった。
 佐々木の顔を見てほっとしたのだろう。俺はカレーを頼むとトイレに向かった。

329 :この名無しがすごい!:2015/09/29(火) 21:11:45.58 ID:dc5cLVak
 もりもりと盛りだくさん出してきた俺を佐々木は呆れ目で見ていた。
「なんだ?」
「待ち合わせの度にトイレに駆け込むキョンを見ていたら、なにかしら嫌がらせではないかと疑ってしまうね」
 そう言われても俺の体調はどうにもならない。おそらくはハルヒにつきあわされる神経性だとは思う。
 店員が大盛カレーを俺のまえにおく。
「それとトイレの後は必ずカレーだ」
 なにがおかしいと言うんだ。
「俺の好物だからな」
 スプーンに手をのばすと佐々木はまたため息を吐いていた。
「お前も食べるか?」
「いらないよ」
 変なやつだ。だからこそ好きになったと言えるが。
 出したあとのカレーは最高だ。

330 :この名無しがすごい!:2015/09/29(火) 21:23:30.16 ID:dc5cLVak
 カレーを食べ終わり、今日のうんこについて語っていると佐々木はため息を吐いた。
「これさえなければまともなのに……」
「なんだ、聞いてないのか?」
 彼女にスルーされるほどむなしいことはない。
「聞いてるよ。……聞きたくないけどね」
 後半、なにやらぼそっと呟いている。でもここでつっこむと面倒だ。
「それで卒業後は兵役があるから祖国に帰らないといけないんだ」
 兵役逃れは非国民だ。
「帰化する気はないのかい? 君一人ぐらい、養ってあげるのに」
 日本人妻と結婚し帰化する何もおかしくはない。だが俺は偉大な大韓民国の国民。祖国は裏切れない。
「すまんな」
 このまま在日の方がなにかと都合が良い。
「いずれこの国は我が祖国に併合される。その時こそ統一祖国の旗のもとで一緒になろう」
「嬉しいよキョン」

331 :この名無しがすごい!:2015/09/29(火) 21:38:43.97 ID:lSgHFZWb
…………ノーコメント

332 :この名無しがすごい!:2015/09/29(火) 21:47:54.90 ID:dc5cLVak
「──ってプロポーズされる夢を見たんだ」
「佐々木、俺は朝鮮人ではないぞ」
 乙女の妄想といっても朝鮮人扱いされるのは勘弁して欲しかった。それはなんてサムシングだ。
「それに大をした後にカレーを食べたいとは思わないぞ」
 佐々木は結婚したら庭付き一戸建てで犬を飼いたいとか言っている。俺はそれより、今すぐ金がほしい。
 ハルヒに罰金扱いでたかられたのが痛い。あいつ、マジで一度殴らないと理解しないだろう。糞女め。鬼女板で相談してみるか?
 俺がハルヒをシバくとこまるのはあいつらで、ここは未来人、超能力者、宇宙人から経費として請求してやろう。

333 :この名無しがすごい!:2015/09/29(火) 21:56:10.04 ID:dc5cLVak
 佐々木に相談した俺は少額で済む簡易裁判に訴える事にした。
「二人の幸せのためだね」
 ノリノリな佐々木がかわいい。
 抱き締めてキスをしてると携帯電話が鳴った。
『キョン君、ごめんなさい』
「へ?」
 それは朝比奈さんからの電話だった。
 次の瞬間、喫茶店の窓をぶち破ってトラックが突っ込んできた。
 跳ねられた佐々木を助け起こそうとした俺の視界に、朝比奈さんの姿が映った。

334 :この名無しがすごい!:2015/09/29(火) 22:22:30.35 ID:dc5cLVak
 体をねじって倒れた佐々木はサーカスに出てくる奇人変人のようだ。
 サーカスと言えばダ・カーポだがあの商売は汚いと思う。そんな風に現実逃避しても佐々木は助からない。
 救急車で病院に運ばれた佐々木はその日、帰らぬ人となった。
 すべてはハルヒの為。
 小説家になろうから無様に逃げた浜松春日ではない。あれはカスがと読むそうだ。
 涼宮ハルヒ。あの女の機嫌を取るために佐々木は殺された。
 何が神だ。世界なんか知らねえ。
 おれはコンバットナイフ、ダガーナイフ、サバイバルナイフ、レンジャーナイフ、ククリナイフ、ペーパーナイフ、バヨネットと市販で買える武器を揃えるとハルヒを殺すべく動いた。

335 :この名無しがすごい!:2015/09/29(火) 22:38:19.83 ID:dc5cLVak
 翌日、学校に登校すると小泉に呼び出された。
「貴方に涼宮さんを殺させるわけにはいきません」
 小泉の右手に黒光りする9ミリ拳銃。飛び道具とはなんて卑怯なんだこいつは。
「いいのか、俺を殺すとハルヒが暴れるんじゃないのか」
「涼宮さんを失い世界が滅ぶよりはましです」
 フリンジやジェイソンVSフレディで危ないやつは薬漬けにして眠らせていた。こいつらも怖いならそうすべきだ。畜生め!

336 :この名無しがすごい!:2015/09/29(火) 22:52:54.74 ID:dc5cLVak
 体をねじって倒れた佐々木はサーカスに出てくる奇人変人のようだ。
 サーカスと言えばダ・カーポだがあの商売は汚いと思う。そんな風に現実逃避しても佐々木は助からない。
 救急車で病院に運ばれた佐々木はその日、帰らぬ人となった。
 すべてはハルヒの為。
 小説家になろうから無様に逃げた浜松春日ではない。あれはカスがと読むそうだ。
 涼宮ハルヒ。あの女の機嫌を取るために佐々木は殺された。
 何が神だ。世界なんか知らねえ。
 おれはコンバットナイフ、ダガーナイフ、サバイバルナイフ、レンジャーナイフ、ククリナイフ、ペーパーナイフ、バヨネットと市販で買える武器を揃えるとハルヒを殺すべく動いた。

337 :この名無しがすごい!:2015/09/30(水) 18:22:54.47 ID:Vz6lpnQk
 小泉に眉間を撃ち抜かれた俺は死んだ。
 だが気づくと入学式が終わった教室で自己紹介するあいつがうしろにいた。
「この中で──」
 悪夢だ。
 下校時に携帯を確認して佐々木に電話した。
『どうしたんだい』
 彼女の声を聞いて、会いに行って夢でないと実感できた。
 佐々木を抱き締めながら誓った。今度はクサレマンコのハルヒにはかかわらない。俺は佐々木を守る。
 その為に先手を打つことにした。
 ハルヒを守るやつらの始末だ。

338 :この名無しがすごい!:2015/09/30(水) 19:32:24.18 ID:Vz6lpnQk
 文芸部の部室を放火した。長門の力で元に戻される可能性もあったが部室を奪う前なら目立たない。ハルヒの髪型も突っ込みをいれなかった。
 小泉の機関を凌ぐ力を手に入れるには金がいる。それよりも暴露する方が良い。真実はいつか明るみに出るとデビットドゥカブニーも言っていたしな。
 まずはネットでハルヒやSOS団関係者の異常性を広める事にした。社会的に抹殺してやる。

339 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/09/30(水) 23:25:39.52 ID:sL52QNNO
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その53


古泉の言葉を頭で反芻してみるが、どうもこんがらがってくる。時間移動、時空変換の仕組みというのはかなり難しい
ところがあり、体験した俺ですら悩むところはある。
 古泉に視線をやると、僕も同様です、というような表情をして首を振った。
 「これ以上考えてもわからんな。まあ、でもお前の言葉が正しいとすれば、一つ言えることがある。俺達の未来は俺達の
意志で決めるという事だな」
 「そうですね。それが本来の歴史のある姿ですよ」
 古泉の言葉に俺は深くうなずいた。
 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 差し込んでくる夜明けの太陽の光で、俺は目を覚ました。
 時刻を確認すると、午前5時40分。
 ”少し早いかな”
 しかし、二度寝するのもいささか中途半端ではある。
 昨夜、古泉と色々話した後、宿に戻り、俺は眠りについたのだが、かなり深く眠ったようで、夢すら見なかった。
 そのせいか、何故か体が軽くなり調子がいいような気がする。
 ”この土地は不思議な土地だな”
 そんなことを考えながら、俺は、隣の布団でまだ眠っている古泉を起こさないように、静かに部屋を出て洗面所へ向かう。
 顔を洗い、葉を磨き、さわやかな気分で洗面所を出ると、ちょうど起きてきたらしいハルヒと、そして佐々木と出くわした。
 「おはよう、キョン!」
 「キョン、おはよう。昨夜は眠れたかい」
 「ああ。おかげさまで。ハルヒ。お前、昨日はずいぶん眠っていたようだが、大丈夫なのか?」
 「大丈夫よ。おかげで本当、体が軽くなった感じがするのよ。あれだけゆっくり眠ったのはほんと久しぶりだわ」
 いつもと違う様子だった感じを受けていたので、ハルヒの言葉にいささかほっとした気分になる。
 「そうか。ならいいんだがな。バイトで無理しているんじゃないか、と思ったんでな」
 「まあ、最近忙しかったのは確かだけど、心配してくれてありがとう。大丈夫よ」
 
 そんな俺達のやり取りを、佐々木が興味深いとでもいうような表情で聞いていた。
 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――------------------

 朝食の時間までまだ少し時間があったので、俺は散歩に出かけようとしたのだが、ハルヒと佐々木もついてくるとか言い出して、
結局三人で出かけることにした。
 花背の山里は農村地帯であり、そのせいかそこに住む人も朝早くから起きて、農作業をしている人の姿も多くみられる。
 空気は澄んでいて、朝の風の心地よさを感じられるが、その中に初夏の気配が少し混じっていた。
 田畑を潤す清涼な小川の近くまで来たときに、
 「あら・・・・・・」
 俺達と同じように朝の散歩をしていた女性は、俺達を見て声を上げた。
 「おはようございます。昨日は大変お世話になりました」
 俺と佐々木はその女性に向かって頭をさげた。
 笹木野涼音さんは笑みを浮かべて挨拶を返してきた。。
 

340 :この名無しがすごい!:2015/09/30(水) 23:45:16.90 ID:Vz6lpnQk
「こんにちはぼくドラえもん。ってなんでやねん」

341 :この名無しがすごい!:2015/10/01(木) 01:06:29.13 ID:zyw9eZzv
>>339
白状します。
>俺は、隣の布団でまだ眠っている古泉を起こさないように、
この一節を二度見しました。多分私はココロが踏み外してるんだ

342 :この名無しがすごい!:2015/10/01(木) 02:03:32.37 ID:Se/MCPOb
国語で習ったと思うけど文章の頭で「の時は空けなくていいぞ

「うんこしたい」←正
 「うんこしたい」←誤

 うんこを食べた。←地の文章は一文字文下げる。
「うっめえ!」←会話文は下げない。

うんこを食べた。←誤
 「うっめー!」←誤

343 :この名無しがすごい!:2015/10/01(木) 06:55:06.75 ID:0h4TayQ+
支援
いろんな因果を感じさせる人物がついにハルヒと初会合…

344 :この名無しがすごい!:2015/10/01(木) 19:02:12.51 ID:0h4TayQ+
寒冷前線が絶賛通過中なのです⌒((;゚Д゚))⌒

345 : 【大凶】 :2015/10/01(木) 23:51:01.14 ID:Ct8qZ1TG
佐々木さんの今月の運勢

346 :この名無しがすごい!:2015/10/08(木) 00:33:55.79 ID:baSx3RrT
角川系二次創作は公式サイトに集約されることになるんでしょうか。
ttp://kaku-yomu.kadokawa.jp
当面はこのままでしょうが、このスレの雰囲気が好きなので今後どうなるのか心配です。

347 :この名無しがすごい!:2015/10/08(木) 06:57:10.68 ID:d+HzBiSr
>>346
住み分けできてるとこに今さらしゃしゃり出てこられても…という感じ
自由にさせてほしいなあ

348 :この名無しがすごい! 転載ダメ©2ch.net:2015/10/13(火) 23:16:05.15 ID:SRkKUZAw
ざまああwwwwwwwメシウマ
権利侵害にに天罰ですな

349 :この名無しがすごい!:2015/10/31(土) 18:19:56.38 ID:0v+w68D+
クリスマスに続き魔改造されたハロウィンについて佐々木さんに聞いてみたい

350 : 【吉】 :2015/11/01(日) 14:55:49.08 ID:i9MNc39r
今月の運勢

351 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/11/01(日) 23:24:04.33 ID:qff5O9+F
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その54

 昨日の昼にお邪魔した時は、縁側でお茶をごちそうになったが、今、俺達は、笹木野さんの家の離れである小さな茶室みたいな部屋
に案内されていた。
 俺達と同じく朝の散歩をしていた笹木野さんと、偶然小川の畔で会った後、笹木野さんはお茶に誘ってくれたのである。
 「アーリーモ―ニング・ティ―といったところかしらね」
 ハルヒはそういったが、まあ。ここで出るのは紅茶ではなく緑茶である。
 囲炉裏があり、そこに小さな熾火があり、鉄瓶から湯気が出ている。
 この家の主である笹木野さん自ら俺達に出してくれたのは、少し濃いめだが、苦みはそれほどなく、むしろ旨味と甘味と調和した感
じの、お茶の旨味を感じさせるものだった。
 「本当に美味しいです」
 「とても美味しいわ」
 「昨日いただいたときも美味しいと思いましたが、今日のお茶もとても美味しいです」
 淹れる人によってお茶はうまくもまずくもなるとはよく言うが、本当にこの人が淹れてくれるお茶の旨さを、俺達は素直に称賛した。
 「それにしても、この茶碗、これはひょっとして、楽焼、それも光悦風の白楽ですか?」
 自分が飲み干した後の御茶碗をしばらく眺めていた佐々木が、笹木野さんに尋ねる。
 「ええ。私が焼いたものなの」
 そういわれて、俺とハルヒも自分たちの茶碗を見る。
 「そういえば、嵐山瑞兆の会長さんもこれにそっくりの御茶碗を持っていたわ。光悦の作品だとか言っていたけど」
 「楽焼の作品の特徴はろくろを使わず、手捻りで形を作ることだが、光悦の作品にはもう一つ特徴があって、刀で削った様な直線的な
形が見受けられるんだが・・・・・・これは光悦の作品と言われてもわからないぞ」
 佐々木と、佐々木の教え子・立花香織のおかげで、最近俺はある程度焼き物の事もわかるようになってきたが、笹木野さんが作った茶碗の
出来栄えに、舌を巻く思いだった。
 「でも、それはすべて失敗作というか、売りに出せない品物なの。焼いていると、やはりいくつか窯傷が生じたものが出てくるから、家で
使ったり、繕いをして、近所で使ってもらったりしているのよ」
 「これが?」
 笹木野さんに言われて俺は改めて、見てみたが、なるほど、ひびが入った所を金粉漆によって修繕した後が見えるが、しかし、それがまた
違った味を出していて、むしろ失敗作というよりは趣のある作品に見える。
 今光悦と呼ばれている人だが、本家光悦の作品にもこのような作品があり、改めてこの人の力量を見せつけられた様な気がした。
 -----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

352 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/11/01(日) 23:24:58.88 ID:qff5O9+F
]それにしても、長東の家と言い、笹木野さんの家と言い、茶室、あるいは茶室風の建物を好んでいるようだけど、やはり茶道の本家がある所
だからな?」
 「嵐山瑞兆のお店の敷地にも茶室はあるわよ。結構使われているみたいだけど、やっぱり伝統と和の雰囲気を大切に、て事かしら」
 「それだけでもないような気がするんだけどね」
 俺達の会話を、笹木野さんは、微笑みを浮かべて聞いていたが、
 「おもてなしの心というのも間違いではないけど、茶道の神髄は、安土桃山時代に来日した宣教師が記しているように、俗世のしがらみを断ち切り、
自分を無の境地にし、新たな自分に生まれ変わって、また俗世に戻るというものなの。闘茶という、いわば一種の賭け事遊びより始まったものが、全く
違ったものへと変質していった過程は興味深いけど、戦国時代の影響があるのかもしれないわね」
 「そういえば、昨日長東が似た様な事を言っていました。"花背は京の北方浄土、隠れ里とも称される土地。昔からこの地に来る人は、ここで世俗のしがらみを落とし、新たな自分となって、また現世へ帰
っていく。条暁寺や神社仏閣は、人々の背負う現世のしがらみを浄化し、すべてを無に帰すために存在する、て昔聞かされたことがある",と」
 「そうね。由希ちゃんが言うとおりなのかもしれないわね。、花背の郷もまた自体が巨大な茶室なのかも。私がここへ来たのも、しがらみを、過去を断ち切りたかったからかもしれないわね。あんまり
断ち切れていないようだけど」
 一瞬、その言葉をつぶやいたとき、笹木野さんの表情が自嘲気味に見えたような気がした。
 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 昨日、俺と佐々木は笹木野さんの作品を見せてもらったのだが、ハルヒは昼寝をしていて、ここにきていなかったのでギャラリ−で作品を見せてもらうことになったのだが、その作品にすっかり
魅了されたらしく、古泉から「もうすぐ朝食の準備ができるようです」との連絡が来ても、なかなか動こうとはしなかったが、今度また連れてくると俺が約束をして、何とか納得し、宿に戻る
事にした。
 「いつでも遊びにきてどうぞ」
 そんなハルヒの様子を、笹木野さんは微笑んでみていた。
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――----------------------------------------------------------
 
 帰り際に、昨日と同じように笹木野さんは私達を玄関まで見送ってくれた。
 「貴方達三人を見ていると、昔の自分達を思い出すわ。立花君や晶と一緒にいたころの時を」
 お礼を言ってその場を去ろうとしたとき、笹木野さんは私達を見て、懐かしそうな表情を浮かべて、そうつぶやいた。
 

353 :この名無しがすごい!:2015/11/02(月) 07:43:44.35 ID:N/zFLBHS
支援
ここにみくるも居たらなあとちょっとだけ思ってしまう
きっと誰より真剣にお茶の淹れ方教わったに違いない

354 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/11/10(火) 21:20:26.94 ID:yg1jXolG
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その55

世の中は自分の思い通りにはいかない。
 自分の選択がはたして正しいものだったか。人は生きているうちに、幾度も悩み、自問し、何か釈然としない気持ち
を抱えながらも前に進んでいる。
 だけど、心の奥底に、何か滓のようなものを抱えて生きているのだろう。
 花背の東郷(あずまざと)を訪ねる人々は、その心の滓を浄化し、白にして、また日常への世界へと変えるという。
 茶道の神髄もまた同じだと笹木野さんは言った。
 立花さんのお父さん、同級生であり、最高の親友である立花貴洋さんへの想いをいまだに抱いて、笹木野さんは生きている
のだろうか。その想いが消えることはなく、むしろその想いをいだいたまま、この花背に住んでいるのだろうか。
 人を好きになる。
 人から好きになられる。
 その思いが人を動かし、歴史を紡ぐ。
 紡がれることがなかった歴史は、幻として消えていく。

 ”私の思いは・・・・・・”
 一度あきらめた想い。叶わなかった淡い夢。
 ”けれど・・・・・・”
 歴史がいくつもの物語を紡いできた土地・京の地で、私は再会した。
 途切れた時間が再び繋がり、新たな物語を紡いでいく。
 ”今度は・・・・・・”
 心に滓を貯めることなく、私はまたこの花背の郷を訪れてみたいと思った。
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――-----------------------------------
 
去来庵に戻ってきたとき、すでに朝食の準備は出来ていた。
 俺達の嘲朝食を準備してくれたのは長東の一番上のお姉さんの恵美さんだった。
 最初に出されたのは、自家製梅干しを使った梅葛湯と手作りの朧豆腐。
 「何というか・・・・・・普段食べている豆腐とは別物ですね」
 古泉が一口食べてしきりに感心している。
 「これだけ旨い豆腐には早々お目にかかれないね」
 「斯の豆腐だけでも来る価値があるわ」
 俺達の賞賛の言葉を聞いて、恵美さんは笑顔を浮かべていた。

 朝食後、俺達は長東の案内で花背の郷を散策することにした。
 「条暁寺は清水寺のモデルになったと言われているお寺で、歴代の住職は清水寺で修業するのが慣わしになっているの」
 「人里離れた山奥の古刹と知名度抜群のお寺が繋がっているのは何かすごいな」
 「花背は北方浄土とも言われていた土地だと昨日聞いたけど・・・・・・浄土というと何か日常生活とかけ離れた印象があるけど、
昔の人間にとって、生も死も表裏一体で、日常的なもので、それこそ化野や羅生門の話を出すまでもなく、人々は死を身近なものとして
意識していた。浄土はどこか遠くの別の場所にあるんじゃなくて、この世と繋がった近くに、日常の身近にあったんだろうね。この世の寺
が清水寺で、浄土の寺が、条暁寺ということだろうね」
 佐々木の推測に俺達は、なるほどとうなずいた。

 条暁寺の横の登山参道を登りきると、その頂上から、花背の郷が見下ろせる。
 眼下にのどかな風景がひろがり、京の都とは違う時の流れが流れているような気持ちになる。
 「ホント、心が洗われるような景色だわ」
 ハルヒはその景色を見て満足げにつぶやく。
 「また来てみたいですね」
 「ああ。確かに。でも、今回は長東の好意で泊めてもらったけど、次回は実費だな」
 「しっかりバイトしなければいけないね。家庭教師や他のバイトを増やさなきゃならないね」
 「なかなか煩悩にまみれた現世とは縁が切り離せないという事ですかね」
 古泉の言葉に、皆が声を立てて笑った

 
 

355 :この名無しがすごい!:2015/11/10(火) 22:04:46.84 ID:S2Fu+E28
支援
最後のやり取りが身に染みる
やっぱりお金も大事だねぇ…

356 :この名無しがすごい!:2015/11/15(日) 19:34:18.73 ID:54w2DS1V
未だにホホジロザメという呼び方に慣れないのですよ佐々木さん
図鑑ではホオジロザメで載っていたのでそれで覚えてるのですが、いつ頃からテレビ等での呼称が変わったんでしょうか

357 :この名無しがすごい!:2015/11/23(月) 18:46:01.68 ID:sKATa6JK
マイナンバーのアレが来ちゃいましたよ、ほぼ行政の一利のために百害あること確実なアレが
今後どうなっちゃうんでしょうね佐々木さん

358 : 【大吉】 :2015/12/01(火) 23:46:45.07 ID:6FzYZYRB
今日の運勢

359 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/12/08(火) 21:46:01.08 ID:ec+Pg6sB
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その56

「それでは、お世話になりました」
古泉のアクセラに乗り込み、見送りに来てくれた長東3姉妹に俺達は頭をさげる。  
長東は黄金週間が終わる直前までは花背の故郷に残るそうだ。
「それじゃ、長東。休み明けにまたな」  
 「うん」
  俺の言葉に長東が大きくうなずき返事する。
 「キョン君、いつでも遊び人来てくださいね。何なら休みが終わるまで滞在してもらって構わないわよ。その方が
妹も喜ぶから」
 「お姉ちゃん、変なこと言わないで!」
 仲の良い姉妹の絡みを見ていると何故かこちらもほのぼのとした気分になった。
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――--------
 帰り道、車は笹木野さんのアトリエの前を通った。
 私とよく似た名前のその人の姿が一瞬だけ見えた。
 ”私がここへ来たのも、しがらみを、過去を断ち切りたかったからかもしれないわね。あんまり 断ち切れていないよう
だけど”
 今朝の笹木野さんの言葉が私の脳裏によみがえる。
 車の前の席で、キョンは古泉君と話していて、その会話に涼宮さんが聞き耳を立てては、時々口を挟んでいる。
 ”貴方達三人を見ていると、昔の自分達を思い出すわ。立花君や晶と一緒にいたころの時を”  
 何となく、立花さんのお父さんとお母さん、そして笹木野さん達が、私達と重なるような、そんな気分になる。
 後ろを振り向くと、笹木野さんの家はもう見えなくなっていた。
 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------
 自然豊かな花背の郷から千年の都・京の地へ戻って来て、それからあまり間をおかず、俺達は自分達の地元に里帰りした。
 ミヨキチが勉強を習うために家に来たりしたが、基本的には黄金週間後半は実家でだらだら過ごしていた。
 花背の郷で精神のリフレッシュを行い、実家で学生生活の疲れを取り、大学に戻る時には、心身共にこれ以上ないというほど
調子が良かった。
 「それは良かった。またK大で勉強に集中できるということだね」
 今回も花背の時と同様、古泉が行きも帰りもアクセラで送ってくれるというので(俺のミゼット2では無理がある)、その好意
に甘え、俺、ハルヒ、佐々木は駅で待ち合わせ、そこへやってきた古泉の車に乗り込んだ。
 ハルヒも佐々木も俺と同様、花背と地元で心身をリセットし、また始まる学生生活に向けて気合を入れていたようだ。
 
 「しばしの別れだ、わが故郷」  
 少しふざけた口調で俺がうそぶき、古泉がアクセラを発進させた。
 

360 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/12/08(火) 21:52:59.92 ID:ec+Pg6sB
 
 五月の連休が終わり、長東も戻って来て、慣れ親しんできたK大の学生としての日常が再び始まった。
 あと少し時間が経てば、梅雨が来て、そして暑い夏がやってくる。
  大人になるにつれ、時間が過ぎるのが少しずつ早くなっていくような気がする。
  ”少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずるべからず”の意味が最近、身を持って実感できるようになってきた。 
  学ぶ事、考えることの大切さ。
 自らの進路を決めるうえで大事な専門課程へ移行する為の下準備を、そろそろしておかねばならない。
  そういう時に、佐々木が俺と同じ専門課程を選んでくれているのは正直ありがたかった。  
 
 「ここはこういうことだね。おそらくこれは僕らが進む学科では必修の部類に入るだろうから、これはもう少し掘り下げて履修 する必要がありそうだ」
 「図書館で調べてみるか?確か教授が書いた本があったはずだ」
  「そうだね、昼食を食べた後に行ってみよう」 
 
  そんな感じで、最近の俺は、このK大キャンパスにおいては、必然的に佐々木と一緒に行動する時間が増えていた。   

361 :この名無しがすごい!:2015/12/08(火) 22:41:34.37 ID:aPhCKmja
支援
長東姉め公式な彼女が側にいるのにそんな台詞を吐くなんて度胸あるどころじゃないw

362 :この名無しがすごい!:2015/12/08(火) 23:17:47.68 ID:ER3oZ6UZ
支援したい

363 :この名無しがすごい!:2015/12/13(日) 09:40:41.41 ID:MZXw5OCS
⌒(`Д´)⌒<天気予報に裏切られたのです!確率10%だったのにガッツリ雨が降ってるのです!!

364 :佐々キョンAA 原点回帰?:2015/12/13(日) 20:27:50.44 ID:arzrDDKV
>>363

 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| くっくっくっ                           |
| この突然の雨、あのときのことを思い出すね         |
| なぜだか、この冷たい雨も、心地よくなってきたよ     |
| キョン、すまないが、途中君の家に寄らせてもらいたい.|
| シャワーと着替えと僕の成長を/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
 \__  _________| 安心しろ、もうあのときの俺じゃない |
|      ∨      i        | こんなこともあろうかと          . |
  i        |i       l  l      | 傘ならちゃんと持って来たぞ。2本. .|
 i  |i       li       |   \__  ____________/
 |        |     l     |i     |/     li
    i  |i         i      |l      l        |i  |
 l        , -‐- 、      ,. ‐-ー- 、         |i  li
  li       ,'. /  ト、 ヽ  ノ /    ヽ  |i     l    |i     |  i
  |   l   i. ((从ソ 从〉. ノハハハハハ !
l          l. (|┳ ーi!l  !|─ ─ ,iリ)!   i  ll  l      ゴブサタ
  l   il  ハNiヘ'' ー ノハ!  ’ 、-  ノルrュュ       |i     シツレイ デアル
      i   (')"ー'゙i).    <'}i´|iY|iつ{ii}ii}  |i        l   ∧∧
 il          ソュュュュゝ     'ヽ´T.i  YY     |  |    i  (-x- )
    il     ノ_,ハ_,>  i  l <_,ヽ__〉   l  i  i   i  l    w  )〜





   ! | |! !|! |: : ! !!  | !:|! |! | |! !  ! |  ! |!:    ! | |! !|! |: : ! !!  | !:|!
:  !   ! ! |   !:._ _ _ !    ! !   !:! ! !l  :  !   ! ! |   !: l   | !
i√i¨} !=、 ○   __ィf=== i === i ==ト丶    .! ! : !| !!! :l  !! :   |  !! ! |! |!!
: .i|:i}  ー 、 {辷ア' |i ¨¨! ¨¨¨|¨¨¨}i}\丶 :|! !! |! !: ○ !! | !:    | |! | |!  !!
: . i|:i |/i | i}イ.|/i} |! {i/i}  }i}//\} .!! |! |!! !!:  !   |! ! |  !: l   !
\i|:i} i/i ii },ri|  {i/i}  i {i/i}  }i}//}¨  .! | :|! ,r.it、 ! !! | ! !!| |!| |! !| ! !! | ! !!|
、 .ムi l!  ,ィ升f、 i!   ┌i  i!  ┌i 込、/}=ri|  |  i}|圦 !!! | r=i   _ _|-‐ i!¬冖宀≠
 乂i}_!_/  /乂}  |i   ¨   i!  ¨  r‐t辷*。__!_i}/i}  `i、 !:| !| イ,少'´  ̄¨ l !  !! l!
 /}、込ム__//iillム-|‐冖宀|¬'¨||   l! |\_i!_斧'i} i!  }   | /i  |i| ! | : :|! !! : |!
 !|.\彡ヘ/_/i| ! | : :|! !!  .......i|  | |乂_}}イ'    i}   /..{/ ,.zー‐- 、、 :|! !!! | | /}
    }、//}、_/  |  ! |!:|! !! ! ............i|  | |i/\ i!\=‐、i}¨i_/. / ノバ  ; ヽヾ!! | l //
    iト、/ム !|   ! : !| !!! :l  ! | |{ li / ̄ ̄ヽi!_ノフ7劣! ハミ((ノノリ从)ゝ | /イ_l!__
    / i}斧ム  |!  |!   l i..|...!..i|  | |i\/:.:.:.:.:.:./i}/ ̄ ̄|i | i(| -- (::; |!| ‐'./   /
       i}、州i}\ |! !  i ...........li.....i|  |i. |≧=‐-≦「_イ´ ̄ ̄¨¨Nトリ、|| ヮ||ノ'!| _.ィ....l!...../
       ≧=≦ム==f宀 冖、i, 冖¬'¨¨ ̄ 、i,  ,、     r‐ュ    /{_;}{\}_;} メ  ´ ̄¨ ¨ ¨
      /厂≧=‐\  、i ,   ,    ゜             とく;'_U_i,ンJ
                                   /|
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
                    | 師走の雨と 佐々木さん空間完徹は 応えるのです… |
                    \______________________/

365 :この名無しがすごい!:2015/12/13(日) 20:49:02.66 ID:TJHpcXnq
久々にAAの人! AAの人じゃないですか!
相変わらずのフラクラさんw

366 :この名無しがすごい!:2015/12/13(日) 22:01:15.85 ID:MZXw5OCS
素晴らしひ、そしてネタに使ってくれてありがとー!!
きょこたんも浮かばれまする

367 :この名無しがすごい!:2015/12/13(日) 22:51:37.88 ID:gwLRY/hV
 |        |     l     |i     |i     li
    i  |i         i      |l      l        |i  |
 l        , -‐- 、      ,. ‐-ー- 、         |i  li
  li       ,'..#  ト、 ヽ  ノ /    ヽ  |i     l    |i     |  i
  |   l   i. ((从ソ 从〉. ノハハハハハ !
l          l. (|;;;;;;;;;;;i!l  !|へ へ ,iリ)!   i  ll  l      ゴブサタ
  l   il  ハNiヘ'' ー ノハ!  ’ 、-  ノルrュュ       |i     シツレイ デアル
   .≪≫===⊂)"ー=======⊂}i´|iY|iつ{ii}ii}  |i        l   ∧∧
 il          ソュュュュゝ     'ヽ´T.i  YY     |  |    i  (-x- )
    il     ノ_,ハ_,>  i  l <_,ヽ__〉   l  i  i   i  l    w  )〜

368 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/12/15(火) 23:03:23.76 ID:3eyio69E
   カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その57

梅雨の時期に入り、雨の日が多くなってきた。
 ただ、今年の梅雨は、最近多い豪雨型ではなく、そこまで強くない雨が降り続いた後、何日か晴れ間が見れる、
どこか穏やかな感じの梅雨だった。
 今朝も雨が降ったが、夕方には止んで、雨雲が薄くなっていくのが薄闇の中に見えた。
 俺は、今日は居酒屋の方でなく、Yショップの方のバイトに入っていた。
 時計を確認すると、時刻は午後7時を過ぎていた。
 店内にお客の姿はなかったので、俺はある作業に取り掛かる。
 売り上げ管理システムが組み込まれたタブレットを使い、店内の商品の賞味期限を確認し、期限が近づいた
商品に割引シ−ルを貼る作業である。
 その中の商品の一つを、俺は陳列棚から外し、籠に入れる。
 時計の針が午後自粉を過ぎたころ、一人のおばあさんが店内に入ってきた。
 「いらっしゃいませ」
 そういって、俺はそのおばあさんに頭をさげる。
 レジの前に値引き商品のいくつかを並べているのだが、おばあさんはその中の一つ、半額になったあんぱんを
手に取り、さらに居酒屋で手作りしている、半額になった「お昼弁当」を手に取った。
 「合計355円になります」
 実はこの人は近所に住む常連さんで、ほぼ毎日やってきて、安くなった商品を買って行ってくれるので、俺とも
顔なじみであり、俺も長東もこの人の好みを覚えているので、商品を確保して、おばあさんが必ず買うことが出来
るようにしている。
 一人暮らしで(息子さんは宇治にいるそうだ)、動けることは動けるが、ス−パ−は少し距離があるので、近所
であるうちのYショップを利用するのだそうだ(まあ、おじさんの方針と努力で、コンビニにしては、うちはお買
い得ではあるので、スーパ−に行くよりも合理的なのかもしれない)。
 ”だけど、老人が買い物に行くのも大変なことではあるんだよな”
 K大の教養課程の中に社会公共福祉学(これは全学生必修)というものがあるが、つい先日、買い物困難者の問題
という議題で講義があったのだが、高齢者の事故の増加に伴う、あるべき交通システムの在り方、それを実現するために
どういう技術を開発・実用化させるかというテ−マで、それぞれ自分達が学ぶ、あるいは選択する専門課程をどのように
活かすかという討議(ディスカッション)があったのだ。
 そんなことがあったばかりなので、頭をさげて店を出ていくおばあさんの姿をしばらく見送っていた。
 -----------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

369 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/12/15(火) 23:04:12.07 ID:3eyio69E
梅雨の中休みの如く、空が晴れ渡り、夏の到来を感じさせるような強さを感じさせる日差しから守るように、大樹の影が
落ちる、大学構内の外のカフェテラスで、俺は佐々木と講義の復習をしながら、コ−ヒ−をのんでいた。
 もうすぐ正午になるが、ハルヒと古泉が履修している選択科目が終了しておらず(俺達の方は休講だった)、俺と佐々木
はここでハルヒ達を待って、一緒に昼食を食べる予定を組んでいた。
 「佐々木さん」
 そんな俺達に、上級生と思しき女性が声を掛けてきた。
 「阿蘇品(あそしな)先輩」
 名前を呼ばれた佐々木が頭をさげる。
 「知り合いか?」
 「うん。同じ寮に入っている人でね。工学部の四年生。自動車の自動運転研究の第一人者・坂村教授のゼミに所属されて
いるんだ」
 佐々木と同じ寮に入居しているという、長身で細身のスタイル、そして何故か髪をポニーテールにしている上級生は、俺と
佐々木を交互のやり取りを聞いていたが、
 「ああ。君が噂のキョン君?初めまして、阿蘇品美久(あそしなみく)と言います。君がいるんだったならちょうど良かった
。頼みたいことがあったんだ」
 そういって、阿蘇品と名乗った上級生は、空いている(ハルヒと古泉が座る予定)の椅子に腰かける。
 「俺にですか?」
 いささか戸惑いながら、俺は彼女に尋ねる。
 「佐々木さんに聞いたのだけど、あ、キョン君、て呼んででいいのかな」
 それはあだ名だというのも何かめんどくさくて、俺はいいですよ、といった。
 「君の愛車はミゼットUのカーゴカスタムだと聞いたのだけど、今も乗っているのかしら?」
 「ええ。点検も怠らず、毎日というわけではありませんが、乗り回していますよ」
 「このまえ、私も乗せて寮まで送ってもらいました」
 「なるほど、状態はよさそうね」
 何故か、満足したように阿蘇品先輩は笑みを浮かべる。
 「実は君のミゼットUを譲ってほしいの。もちろんただでとは言わない。対価をきちんと払うから」
 

370 :この名無しがすごい!:2015/12/15(火) 23:07:19.66 ID:3eyio69E
>>364 ,367,素晴らしいAAです。どうやったらこんなAAを造れるようになるのでしょうか。

371 :この名無しがすごい!:2015/12/15(火) 23:54:40.17 ID:QeXOZu0L
支援
朝比奈さんの(名前が)そっくりさん?実際にこんな苗字あるんだねググッたよ
容姿や性格に類似点は今のところ見受けられないがさてはて

372 :この名無しがすごい!:2015/12/16(水) 01:16:59.93 ID:LZu7pD0r
>>369
これである意味では「全員、揃った」、ということになりますか。
物語の構造がそろそろ動きそうな予感に期待。

そして、いつもながら思うのですが、いったいどれだけの教養をお持ちなのですか。
逆立ちしたってこんなの書けない……

373 :この名無しがすごい!:2015/12/16(水) 01:18:32.35 ID:LZu7pD0r
>>364
この完璧なるフラクラ……!!
久々に素晴らしいAAを堪能させていただき、楽しいやら懐かしいやら

374 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/12/18(金) 00:26:57.53 ID:WA8CYJM5
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その58

「俺のミゼットUをですか?またなんの為に?」
 「多分、キミたちも先日講義を受けたと思うのだけど、社会公共福祉学の議題、買い物困難者の問題だったでしょう?」
 それこそ昨日の夜、バイトをやっていた時、常連客のおばあさんをみて思い出した事であり、それがまさかこの先輩の口から出た
偶然に、俺は少し驚いた。
 「あの問題の解決策としてはいくつかの方法があるのだけど、政策学的な方法、巡回バスや乗り合いタクシ―、あるいは流通業者
による格安有料送迎サ−ビス、指定移動販売事業者認定制度の普及といったマクロ的な制度整備の方法ではなくて、公費負担、所謂
税金投入、補助金支給といった要素を排除し、技術的な側面において解決できる方法があるわ。何かわかる?」
 「自動運転技術、あるいは運転支援システムの開発、無人航空機(ドローン)による配送ですか?」
 佐々木の答えを聞いて、阿蘇品さんは満足したような表情でうなずく。
 「高齢者の運転ミスによる事故の増加、あるいは少子化に伴う労働力の、特に配送関係における労働力の不足に対応する意味でも、
自動運転技術、運転補助技術(ドライブアシスト)は必要となってくるわ。トヨタやGM、VWといった自動車メ−カ−だけでなく、
グ−グルなどのIT産業――むしろこちらの方が中心で物事を進めている印象も受けるけど――も参入しているけど、世界中の大学も
その研究に取り組んでいるわ。もちろんK大も坂村教授が中心となって、国内メ−カ−と組んで研究しているの」
  「運転補助技術(ドライブアシスト)はずいぶん普及してきましたよね」
 「スバルのアイサイトとかな。他のメ−カ−も、最近の新車は結構いろいろついているよな」
 「ええ。だけど坂村教授が研究しているのは、現在あるサイズの自動車ももちろん対象だけど、超小型車(マイクロモビリティ)と
自動運転を組み合わせたシステムなのよ」
   

375 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/12/18(金) 00:30:19.09 ID:WA8CYJM5
「超小型車(マイクロモビリティ)?ああ、トヨタのコムスみたいな車ですか」
 某コンビニの配達車として この京都でもよく目につく車だ。
 「そうね。その超小型車(マイクロモビリティ)を地方自治体と組んで、将来の交通システム構築のための実験に使う動きが広まっている
わ。メーカ−が最近、超小型車(マイクロモビリティ)の開発に力を入れているのはそういう事情もあるの」
 「なるほど」
 「だけどね、超小型車(マイクロモビリティ)の利用に関して、不満の声もあるのも事実なのよ。K大と幅広い分野で提携している武田
総合メディカルグル−プに高齢者や女性に利用してもらう実験を頼んだのだけど、狭すぎるとか、積載量が少なすぎるとかいう不満が出た
わけ。特に郊外の方の高齢者は買い物とかでまとめ買いをしたりするから、超小型車(マイクロモビリティ)では難しいところもあるの」
 「そうなんですね。それでキョンのミゼットUに目を付けたわけなんですね」
 「そのとおりよ。軽自動車よりもさらに小回りが利き、ある程度の使用の多様性を確保できる車体という条件、それにはミゼットUが条件
にいちばん近い車なわけ」
 「しかし、ミゼットUは生産は中止していますけど、それなりに出回っているはず。なぜ外部から購入しないんですか?」
 「予算執行上の手続きの問題があるのよ。外部購入となると手続きが色々煩雑なの。ああ、それと一番肝心なことを言っていなかったわね。
さっき話した対価をきちんと払う、という意味は、お金ではなくて、うちの工学部が保管して整備してある車と交換するという事なんだけど」
 「車の車種は何ですか?」
 「軽のスバルR2タイプSス−パ−チャ−ジ。うちのゼミで改造して、装備も向上させたカスタムカ−なんだけど、運輸局の証明書も取得済みよ
。教授の奥様が使われていたけど、新車購入の際にうちに寄付していただいて、新システムの実験車として使用してた車で、走行距離は1万5000
キロ。車検も2か月前に終わったばかり。もしこの話をのんでくれるのなら、登録証明や保険の手続きに関してはこちらでやるわ」
 阿蘇品さんの話を聞いて、俺は少しの間考えたが、
 ”悪くない。いや、むしろすごくいい話じゃないか”
 ミゼットUは俺も気に入っている(一年以上乗り回しているからな)が、ハルヒや佐々木達を乗せていると一応二人乗りの車なのだが、いささか
狭くて、体がくっつくこともある。古泉のアクセラに載せてもらうと、広いな、と思うくらいで、軽ではあるが、ハルヒや佐々木に狭苦しい想いを
させなくてすむようにのなるのなら、この話は乗るべきだろう。

 「わかりました。その話、お願いしていいですか」
 「決断が速いね。気に入ったわ。ならば、二日後の講義終了後、工学部棟の外にある第5車庫に来てもらっていいかしら」
 「はい」
 「商談成立ね」

阿蘇品さんは取引に成功したキャリア−ウ−マンのような笑顔を浮かべ、席から腰を上げた。
 「それじゃ、二日後に、よろしくね」

376 :この名無しがすごい!:2015/12/18(金) 07:10:40.34 ID:u8yEvyqd
支援
佐々木さんは運転席とくっつかなくなって残念がるのでしょうか

377 :この名無しがすごい!:2015/12/20(日) 00:33:12.97 ID:fACWDh4x
お疲れ様です。

>ハルヒや佐々木に狭苦しい想いを
>させなくてすむようにのなるのなら、

おいこら待てキョンそれやっちゃいかん変更

378 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/12/20(日) 01:44:52.30 ID:xQTM/pkO
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その59

  それから二日後。
 受講を終えた俺は、家に戻り、ミゼットUでバイトに行くというハルヒを送り、指定があった工学部の、
第5車庫 へ向かった。
 大正初期に建てられた、いわゆる東京駅に見られるような、赤レンガの洋風建築(辰野式)を保存、改
修した工学部の建物は、K大の歴史とも相まって、なにか神殿のような威厳を感じさせる。
 第5倉庫はそこから少し外れたところにあった。
 入口の扉は空いており、ミゼットUをその中に入れて停車させる。
 「約束の時間通りだね」
 そこに阿蘇品さんと、そして何故か佐々木の姿があった。
 -------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 「いや、どんな車か興味があったのでね。キョンには悪いけど、先に見せてもらったよ」
 そういう佐々木の横には、新しい俺の愛車になるネイビーブルーメタリック(工学部の特別塗装らしい
)色のスバルR2の姿があった。
 「スバルR2タイプS。私達はK大の工学部の改造という事で、R2SKVの名称で読んでいたの。ナビとメディ
ア再生機は変えてあるわ。それと足回りも強化しているし、後、工学部の試作品だけど、高解度カメラと紫外線LED
、対人センサ−を組み合わせた警報機を積んであるの。走行速度を計算して、車間距離が一定の距離より短くなると、
警告音を出すの。他の車にももちろん搭載できるのだけど、スバルがアイサイトを出したから、商品価値に疑問符がついて、
開発をやめた代物だけど、充分使えると思うわ」
 警告するだけでも、事故に繋がる可能性を減少できるので、運転する上では大いに価値があるとは思う。
 ドアを開けて運転席に乗り込む。
 アナログな速度計などのメ−タ−は、航空機を思わせるような感じで、なるほど、この車を早く運転してみたいような感じにさせる。
 エンジンを作動させると、ナビのモニタ−が作動し、現在の位置を示した。
 このまま、試運転をさせてもらおうとしたとき、
 「僕も乗せてほしいね、キョン」
 そういって佐々木が助手席に乗り込んできた。
 「シ−トベルトを締めろよ、佐々木」
 「了解」
 佐々木がシ−トベルトを締めるのを確認して、俺は車を発進させた。
 --------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 「どうだったかしら」
 試運転を終えて、第5倉庫に戻ってきた俺達に、阿蘇品さんが声を掛けてきた。
 「いや、すごくいいです。運転しやすいし、反応もいいですし。気に入りました」
 「そう、良かった。気に入ってもらえたようでこちらも嬉しいわ。大事に使ってね」
 「はい。もちろんです」
 
 それから、俺はいくつかの書類を書き込み(R2の車両保険の会社の担当者は、偶然にも俺の担当者と一緒だったので、手続きは早く
済むということだった)、そして、ミゼットUの鍵を阿蘇品さんに渡した。

379 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2015/12/20(日) 02:59:02.55 ID:xQTM/pkO
  四条河原町にある喫茶店「フランソア」は佐々木が家庭教師をしている教え子の立花から教えてもらったお店で、
最近の佐々木のお気に入りのお店だそうだ。ただ、俺もハルヒも古泉もまだこのお店にはいった事がなかった。
 新しい車に変更しては角ドライブという事で少し長い距離を走った後、「キョン、今日は僕が奢ってあげるよ」と
言いだし、俺をここへ案内したのだ。
 和の雰囲気が通りに強く漂う通り一角の中に、白いレトロな雰囲気の、窓にステンドグラスがはめ込まれた洋風の
建物が異彩を放って、静かに、しかし確実な存在感を持ってそこにあった。
 店内に入ると、ドーム型の白い天井に、赤い天鵝絨(ビロ−ド)の椅子が目につき、控えめの照明と相まって、高級感と
静寂さを漂わせている。
 席について、佐々木はコーヒ−セットと紅茶セット、サンドイッチを頼んだ。
 程なくして注文した品が運ばれ、コーヒ−セット(これは俺)にはブル−べり−ソ−スのかかった白いレアチ−ズケ−キ、
紅茶セット(こちらは佐々木)にはタルトタタン(リンゴのタルト)がついていた。
 「いいお店じゃないか」
 「もともとこのお店は色々と歴史的な逸話の多いお店でね。創業者は文化人サロンを意識して作ったそうだよ。うちのK
大ともかかわりがあって、学者や文化人が多く集まってたそうだよ。かの洋画家・藤田嗣治(レオナルド・フジタ)は創業者
都は友人だそうでね。このメニューに描かれた踊り子の絵は彼の手によるものだそうだよ」
 いかにも京都にある喫茶店らしいエピソ−ドではある。
 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 「しかし、キョン。良かったね。新しい車が手に入って」
 「まあね。だけど、半分は佐々木のおかげだな。阿蘇品さんにミゼットUの話をしてくれていたから、いい話が舞い込んできたわけだし」
 「いや、本当に偶然なんだけどね。でも、かなり運転しやすい車だし、涼宮さんや古泉君も乗せられるようになったし、いいものを手に
入れたね」
 「まあ、ミゼットUも悪くはなかったが、佐々木やハルヒに窮屈な思いをさせてきたし、これからは楽になるかな」

 ”君と身を寄せ合う事が出来なくなるのは残念なんだけどね”

 「確かに僕もあの車気に入っていたけど、積載量の点では少し問題があったからね」
 「それと皆で出かけるときは古泉に頼りぱっなしだったからな。これで古泉にも遊びに行くときは楽させてやれる」
 -----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 「ところで、キョン。どうやら阿蘇品先輩は、キミの事を気に入ったようだよ。結構いろいろと質問されたよ」
 「別に俺は興味を持たれるようなことは何もないと思うんだがな。ところであの人、もう4年生なら就職活動で忙しいんじゃないか?」
 「もう決まっているそうだよ。自動車会社に内定していると言っていたけど」
 最近、就職活動の時期に関して色々と問題になっているようではあるが、どうやら阿蘇品さんは早々と内定をもらったらしい。
 「・・・・・・しかし、考えたら、後二年もすれば、俺達もいろいろ就職活動とかで忙しくなるんだろうな。まあ、未来の事なんざ、そう、簡単
決まらないような気はするが」
 「これから僕らがどういう未来を生きていくのかはわからないけど、その時になってみないと何とも言えないね」
 「勉強だって、まだ専門課程というわけじゃないからな。でも決断する時はすぐ来るな」
 「確かにね」

 それからしばらくの間、俺と佐々木はその店で自分達の将来について長話をしていた。
 
 
 
 

380 :この名無しがすごい!:2015/12/20(日) 07:15:47.94 ID:zG0KtzbS
支援
やっぱり寂しいのね佐々木さん>席の広さ

381 : 【1145円】 【鹿】 :2016/01/01(金) 06:47:10.49 ID:pHry5m4q
あけましておめでとうございます佐々木さん
本年もよろしくお願いいたします

382 : 【1189円】 【だん吉】 :2016/01/01(金) 06:53:20.36 ID:pHry5m4q
鹿って何だろう…

383 : 【1427円】 【大吉】 :2016/01/01(金) 06:54:05.92 ID:pHry5m4q
よいしょ

384 :この名無しがすごい!:2016/01/01(金) 13:15:16.67 ID:mI4kTAsV
あけましておめでとうございます。
今年もよろしゅう。

今年は一本ぐらいSS描きたいなあ。
前にプロットだけ書いて、
本文書けなかったのを何年も塩漬けしてしまっている

385 :この名無しがすごい!:2016/01/02(土) 15:38:40.18 ID:aPqerUgL
こんな神スレがあったとは&#8943;

386 :この名無しがすごい!:2016/01/02(土) 19:08:50.96 ID:2b5Q5Bn9
>>384
期待してまふ

>>385
よろしくお願いします
新鮮な話題提供してくれるとありがたい

387 :この名無しがすごい!:2016/01/06(水) 17:54:25.85 ID:7NBwL0MY
くっくっ

388 :この名無しがすごい!:2016/01/06(水) 19:36:27.33 ID:Zznr1KML
はちじゅういちっ

389 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2016/01/10(日) 23:35:12.01 ID:By9Jgto/
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その60

前年に続き、今年の梅雨も最近の傾向とは違い穏やかに終わるかと思っていたら、本当に終わりごろになって
豪雨に見舞われて、郊外のほうで災害が発生し、K大生を始めとする大学生連合のボランティア活動に参加した
り、学業やバイトに励んでいたら、京都の街に、祇園祭りの時期がやってきた。
 (K大生にとっては、それは同時に試験が近づいてきたことを意味しているが)千年のこの古き都の優雅な、
しかし裏にどこか狂乱にも似た熱気をはらんだ祭りを、去年と同様に試験勉強の合間に、息抜きを兼ねて、観光客
や地元の人とともに俺たちは楽しんでいた。
 
 7月の半ばごろ、鴨川沿いの木屋町通りで、俺たちは西御座:八柱御子神 (やはしらのみこがみ)の神輿巡業を
見物していた。
 「キョン」
 俺の左隣に立って巡業を見ていた佐々木が俺の体をそっとつつく。
 「?」
 佐々木が視線を向けるほうへ俺も目をやると、その先には、仲睦まじく並んだ男女のカップルの姿があった。
 ”あれは”
 薄く化粧をして、髪形も普段とは違いその長い髪をなびかせていて、服装も大人の女性を感じさせるがカジュ
アルな衣装を身に着けた阿蘇品さんの姿があった。
 隣にいる男性は長身の、俺達より五つぐらいは年上に見えるが、かなり落ち着いた雰囲気のなかなかのイケメン
だった。
 「普段も美人だと思うけど、ああやっておしゃれしていると、阿蘇品先輩は美人度が何倍もアップするんだね」
 「髪形が違っていたから、一瞬わからなかったよ」
 「社会人の彼氏かな。本人に直接聞いたことはないんだけど、先輩だった彼氏がいるとは周りから聞いたことが
あるんだ」
 「どうりで大人っぽいわけだ」
 阿蘇品さんは彼氏の腕に自分の腕を絡めて、どことなく満足したような表情で巡行を眺めている。
 ”だけど……”
 なぜかその表情に、墨を一滴落としたようなかすかな陰りを俺は感じていた。
 ---------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 

390 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2016/01/10(日) 23:36:02.80 ID:By9Jgto/
 私が家庭教師のバイトを始めて二年目になるけど、その教え子である立花香織さんも高校二年生になり、刻一刻
と受験の時は近づいてきていた。
 彼女の目標である京都工芸様式大学に合格するために彼女は実によく勉強していたが、それ以外の時は適度に息
抜きもしていて、勉強のやり方としてはよくバランスが取れている。
 彼女は私とキョンのことを気に入っていて、いろいろな所へ遊びに行きましょうと誘ってくれる。
 彼女の叔母さんに当たる立花遥子さんは、遥子さんが経営するファッションブランドのモデルに私とキョンを
起用したりと、私と彼女との付き合いはかなり深いものになっていた。
 
 祇園祭が終盤を迎えた土曜日の夜。
 私とキョンは、遥子さんに招待されて、以前に食事に来た「鳥極(とりきわ)」にやってきた。
 実は今日は遥子さんと、彼女の”親友”であり公私に渡って彼女を支えてくれている”千秋さん”が結婚する
ことになり、親しい人を集めての報告会ということだった。
 千秋さんはごく平凡な容姿をしているが穏やかな感じのする人で、遥子さんと話しているときも、優し気に彼女を
見守っているといった感じで、とても好感が持てる人だった。
 周囲から祝福されて二人はとても幸せそうだ。
 「どんどん食べてね。今日は私たちのおごりだから」
 その言葉に甘えていろいろ食べていたが、
 「どうもこういう場は、なんかこそばゆいな」
 キョンが遥子さんたちのほうを見て私にこっそりとささやいた。
 「俺がいてもいいのかね、こういう場に、という感じがするんだよな」
 「でも、キョン。遥子さんのブランドのファッションモデルを僕とともに務めたんだ。それを依頼したのは遥子
さんだし、君も十分関係者なんだよ」
 「そんなもんかね」
 
 それからあと、いろいろな人がやってきたが、その中に名古屋から来たという女性がいた。
 ”かなり若いわね”
 話を聞くと、遥子さんのお店が今年の春に新たに出店した、名古屋の松坂屋百貨店に勤めているという女性で、K
大の卒業生ということで、つまりは私たちの先輩ということになる。
 ”遥子さんと同じキャリアウ−マンて感じがする”
 「どう、仕事のほうは?」
 「おかげさまで順調です。あ、それから秋の人事異動で京都の大丸のほうに来ることになりました」
 「あら、じゃあ、ようやく彼氏君と一緒の職場になるのね」
 「はい。今まで遠距離でしたけど、また京都に住めるようになりました。立花さんにもこれまで以上にお世話に
なります」
 「今日は一緒じゃないの?」
 「少し遅れてくるとか言っていましたけど、もう来るはずです。あ、ほら、噂をすれば」
 お店の扉が開き、一人の男性が入ってきた。

 ”え?”
 
 その人の顔を見て、私とキョンは、一瞬言葉を失った。

 ”あの人は……”
 祇園祭の巡行の時、阿蘇品先輩の隣にいた男の人だった。
 
 

391 :この名無しがすごい!:2016/01/11(月) 06:54:02.60 ID:MAqWy9xR
支援
キョンも佐々木さんも目が良いな

記憶力も良いな羨ましい

392 :この名無しがすごい!:2016/01/11(月) 09:14:28.16 ID:xx/B+q7G
                                 -‐…‐-
                             : ´: : : : : : : : : : :: ` :
                       / : : : : : : : : : : : :\:. :. : :.\
                        :/ : : : : : : : : i: : : : : \:.. :. :. :
                        /: : : : : : : : : : :i: :|: : : : : : : V: i: :.‘,
                    /:/ : : : : /.:.i: : / : |\ : : : : : |:.:|i: : ‘,
                      /:/ : /: : /.:./|: / :/ ト、u\__ : i|:.:リ: : :.‘
                  /:i:|.: .:|: :_」_:/,ノイイ}:/´ ¨'‐-\从イ:.: :.: :.i:::
                    /: 从: :i| ´ W `  ノ′  芹示_.:|rマ: :.乂
                      /: /: ハ小 i ィ芹心      Vrソ .:.:.|) ソ: : i : ヽ
                      : /.: : : : :i }从 Vrソ     ::::::::: i: : : |f´: /:从 ハ}
                 i: ハ.:i: : : :.|i : : ヽ::::::::::: '  , 、_ムイ :八ノイ ノ'  '
                   八{人{Yハ从: : :ト、:...   `    >‐彡イ..)
                    ヽ/'´    ゙\{ ヾ^ ≧  イ  ト(
                 /          }\    |
. 、               /      '    L_ >≧ミ、                  そういうわけだから
  \            _/ヘwヘ_   /      辷/ 只<}}、
、   \              |     L_/   :r;:   ヽ_」:|-|::|ん\              そのあついおちんちんを僕の中に!!
 V    \          /_    /{          '.L!. Lj   ヽ
  ヽ     >     /´    V 八          }     }  }ドキ          
   、     `>、    /    _/:|  `          ノ      ヽ/_
   `、   `> \ 〈   ´ ̄\             ヽ      Y
    `、   _>  ヽヽ      \   u.        '.     }
      ヽ / >    `、..、._     \               i     ノドキ
        V / \      V  ヽ /     ヽ_           ├‐‐<
       V> ̄     ヽ  /        `、ー         ! /
       ヽ          /         '.   ` 、   / /
       「      / /〉       八       ∨ /        __
          |      〈__/ /  /      {  '.   _,. -―<_  ̄ ̄ ̄      ̄ `
          |        /  / /´ 〉、  ∧  レ'´      <           ,. '
          |        | / /_,.ノ〈 }  } ヽ__)      <            ,. '
         |        し' /-‐ ゙゚{./ / {          <       /
        |       { {し': : :,.': 八_/ くぱぁっ     <_       /
        |         ヽヽ: :/; ;ノ'´  /       u.   < {{   , '
.        !、       } }_,. '´ _,.  '´              ∠ _ヽ.,.'
、        ! ヽ、      -、´ ' ´                    <_/
.'.          '.  >―― 、                _,. < /             /
 '.  _,.  ---ヽ       \          _,. <´    ,.'            /
  〉'´三三三三ミ、          >  ..._...  -≦        , '        /
  V/      `ヽ                      /        /

393 :この名無しがすごい!:2016/01/17(日) 05:53:05.51 ID:8Iq5wXM1
>>392
ウウッやめてくれ

394 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2016/01/18(月) 00:12:02.69 ID:nKwBxETX
         カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その61

 鳥極(とりきわ)を出た時には時計の針は、寮の門限を過ぎていた。
 明日は休日というわけで、寮に戻らない学生も多いけど、管理人に連絡を入れておく必要はある。試験の時の合同学習の時と同じように、
今夜はキョンの部屋に泊めてもらうことにした。
 スバルR2SKVのLEDヘッドライトの光がすっかり暗くなった京の夜の闇を切り裂き、調整改造されたスーパーチャージャーエンジンの力強い
走りが、街を駆け抜ける。
 この前、涼宮さんと交代交代でこの車を運転させてもらったが、軽自動車でありながら加速の感触はすごくいい。キョンの以前の車、ミゼット
Uも私は好きだったが、この車はさらにいい感じで、涼宮さんも気にいったらしく、最近涼宮さんがちょくちょく借りに来るそうだ。
 「それにしても、遥子さん、幸せそうだったな」
 「そうだね。千秋さんからプロポ−ズされたときは本当に嬉しかったといっていたからね」
 「親友として付き合ってきた、でも本当は、遥子さんは千秋さんのことを一人の男性として好きだったわけだから、気持ちが通じたときはなおさらだろうな」
 「これからは、仕事上の重要なパ−トナーという意味に加えて、人生においてもパ−トナーというわけだね」
 「お互いがお互いを支えあう。ある意味において、理想の関係かもしれないな」
 どちらかが相手に依存するのではなく、お互いが助け合い、ともに高めあい、充実した人生を生きる。理想の男女の関係はなかなか存在しないけど、遥子さんたちは
きっとうまくいくだろう。それはある意味確信のようなものだった。
 ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 
 キョンの部屋にはまっすぐ戻らず、私たちは喫茶店「フランソア」によることにした。
 R2SKVを手に入れた日、キョンとここに来て以来、このお店がキョンはすっかり気に入り、私たちはよくここによるようになった。
 時間が遅かったので、メニュ-はドリンクとケ-キ類だけだったけど、鳥極で食べていたので、私たちはコ-ヒ-だけを頼んだ。
 クラシック音楽が流れるレトロな空間に、この時間にしてはお客さんも多かったけど、大声でおしゃべりをする者はおらず、店内は落ち着いた雰囲気を保っている。
 キョンと向かい合って、色々なことを取り留めもなく話していたけど、ふと話題は鳥極で見たあの男性、すなわと祇園祭りの神幸行列の時に、阿蘇品先輩の隣に
いた男性に話になった。
 「阿蘇品先輩は、あの男の人の彼女の存在を知っているんだろうか?」
 キョンは少し黙りこんだ後、口を開いた。
 「おそらく知っていると思う。それを承知で付き合っている可能性のほうが高いな」
 「どうしてそう思うんだい?」
 「祇園祭りのときの、阿蘇品さんの表情だ。あの男の人といて、阿蘇品さんは満足したような表情をしていたけど、少し陰りのようなものを感じたんだ。不安の表れだろう
な。男の人の彼女が今日言っていたよな。秋には京都の大丸に人事異動で来るから、て。そのことも知っているんだろう。男の人から聞かされているのかもな」
 キョンは(女心には超×3がつくくらい鈍いが)人の表情を読むことにたけている。わずかな表情の変化から感情を読み取ることが得意だ(高校時代に身につけたらしいけど
どうやってそんなことができるようになったのか、謎だ)。
 「阿蘇品先輩の恋愛の先行きは……あんまりいいものじゃなさそうだね」
 「正直どう転ぶかわからんが、俺の個人的意見を言わせてもらうなら、俺も佐々木と同じように思うよ。先行きなんて決まっているものじゃないけど、結末としては阿蘇品さんが
望むものになるとは到底思えない。これ以上は、な」
 「傷つかないうちに、か」
 阿蘇品先輩もわかっているのだろうけど、恋愛は理屈じゃない。人は理屈だけでは動かない、感情の生き物だ。最近、ようやく私はその意味が分かってきたような気がする。
 店内に流れていたクラシック音楽が止まる。どうやら閉店時間が来たようだ。
 「帰るか」
 キョンがそういって席を立ち、私もうなずいてそれに続く。
 お店を出ると、ほどなくして店内の照明が消えていく。
 車に乗り込み、エンジンをかけて夜の街へと走り出し、キョンの部屋へ向かう。
 開けた車窓から、夏の夜風が吹き付けてきて、私の体を通り過ぎていった。

395 :この名無しがすごい!:2016/01/18(月) 08:27:23.55 ID:tL8PuMsF
支援
これ相手の男性思い切り二股…

396 :この名無しがすごい!:2016/01/18(月) 19:01:01.07 ID:tL8PuMsF
全国的に天気が大荒れの予報で10分前行動を心がける佐々木さん

いやほんと大変なことになりそうですね
皆様大事なきようお祈りしてます

397 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2016/01/21(木) 23:26:29.68 ID:OwPwPd8I
 カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その62

 8月も半分を過ぎたころ、俺たちは試験も終わり、地元へ帰ってきていた。
 今年は俺のスバルR2SKVにハルヒと佐々木が乗って、そのあとを古泉がアクセラでついてくるという、
いささか変則的な乗り方で帰ってきた(しかも俺の車を運転したのはハルヒだった)。
 こちらに帰省して3日間が過ぎたある日の朝。
 「それじゃ行ってくる」
 「キョン君、お土産忘れないでね」
 「ああ、わかっている。追加があったら携帯にメッセ−ジ入れておけよ」
 そういってR2SKVに乗り込み、駅前に向かう。
 駅に着くと、そこにはハルヒと佐々木と古泉の姿があった。
 「待たせたな」
 「いや、ほとんど待っていませんよ。僕らも今着いたばかりですし」
 そういう古泉の傍らには中型のスーツケ−スがあったが、ハルヒと佐々木の傍らにも同じようなスーツケ
−スがあった。
 「R2に載るかな」
 俺のスーツケ−ス も載せていていささか不安だったが、他の三人の荷物も何とか荷室に詰め込み、皆が乗
り込んで車を発進させた。
 -------------------------------------------------------------------------------------------------
 ことの始まりは、まだ京都にいたころの話である。
 試験も無事に終わり、夏休みに突入する直前、ハルヒに電話がかかってきた。
 かけてきたのは鶴屋さんだった。
 「ハルにゃん、元気にしているかい?」
 それからしばらくハルヒは鶴屋さんと話していたが、そのあと、目を輝かせて俺たち(ちょうど俺の部屋で
昼食を食べていた)のほうへ向き直り、鶴屋さんから聞かされたことを話し出した。

 「九州旅行?」
 「そ。鶴屋さんの家の会社が買収したリゾ−トホテルが九州にあるんだって。それも一軒だけじゃなくて、
グル−プ企業みたいだったから、九州内にいくつもあるみたいよ。そこに行かないかい、だって。しかも宿泊費
はタダでいいって」
 「それはいい話だな」
 鶴屋財閥が買収したホテルがどの程度かはわからないが、少なくともカプセルとかビジネスとかのホテルでは
ないだろう。
 「でも、涼宮さん、どうやって九州まで行くの?」
 「それがさ、鶴屋さんの家所有のビジネスジェットで神戸空港から九州の空港まで行って、そっからレンタカ−
で九州巡りて話よ。面白そうじゃない!」
 「豪勢な話ですね。さすが鶴屋さんです」
 「まあ、面白そうな話だな。ん?待てよ、当然国木田も来るのかな」
 「たぶんそうじゃないの。鶴屋さん、そこは何も言わなかったけど」
 「それで日時はいつなんだ」
 「日時はね……」
 幸いにもその日からしばらくは全員予用事はなく(帰宅したばかりで予定も何も入れることもできていない)、
十分旅行を楽しめる時間はある。
 全員異存はなく、すぐにハルヒは鶴屋さんに連絡を入れ、俺たちは九州旅行に行くことを決定した。
 

398 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2016/01/21(木) 23:27:18.29 ID:OwPwPd8I
 -----------------------------------------------------------------------------------------------
 最新式の小型ビジネスジェット機・HondaJet(ホンダジェット)に乗り、神戸空港から離陸し(空港の客と違
ったとこから乗り込み、しかも自家用ジェットで)空の旅が始まるというのは、なんとも贅沢な気分である。
 乗客は、俺、ハルヒ、佐々木、古泉、鶴屋さん、そして国木田である。
 「最初は阿蘇熊本空港におりるっさ。そこからレンタカ−でまずは熊本市観光だね。そのあと阿蘇に向かう。
阿蘇観光の後はホテルに向かい、まず一日目はそこで終了だね」
 「ホテルはもちろん温泉付きよね?」
 「そこは抜かりないっさ。有馬も悪くないけど、うちが買収したホテルは折り紙付きだよ。なんたって九州は
温泉王国だからね」
 「まあ、確かに火山の数は、九州は近畿とは比べ物にならないですしね」
 「そういえば、k大の地球熱学研究施設、ようは 火山の研究センターなんだけど、阿蘇と別府に研究所を設け
ていたね」
 「当然別府も行くよ。まあ、そこらへんはお姉さんに任せなさい」
 そんなことを話しているうちに、飛行機の窓の外に、広い草原と噴煙を吐く雄大な山々が見えてきた。
 「まもなく当機は着陸態勢に入ります」
 飛行機は高度を下げていく。
 管制官の誘導に従い、飛行機は滑走路に入っていく。
 軽い衝撃。タッチダウン。
 俺たちは熊本に到着していた。
 
 
 
 

399 :この名無しがすごい!:2016/01/21(木) 23:52:59.03 ID:2DRkGTAI
支援
8月後半の九州とかちょっと暑そうだ
台風はどうだろう最盛期はもう少し先かな

400 :この名無しがすごい!:2016/01/22(金) 13:30:27.82 ID:9zKE0KW4
総合評価 30pt
ブックマーク登録:15件    【全作品は官能&ライトノベル&コメディー作品だよ】
71,201アクセス
【義母特別編・早漏VS遅漏】      晒し中  商社【1】 晒し中

性転換【]】                晒し中  商社【2】 晒し中
総合評価 200pt
ブックマーク登録:73件
『290,287アクセス』         【全作品は官能&ライトノベル&コメディー作品だよ】

【なろうサイト内で検索OK】       晒し中
【グーグルで検索OK】          晒し中
【ヤフーで検索OK】           晒し中
【縄奥で検索OK】               
                             
【高校生】                   晒し中
誘拐【W】                   晒し中
生まれ変わり                 晒し中
畜生!! 続編               晒し中
畜生!!                   晒し中
正月帰省                   晒し中
性転換【]T】                晒し中
義母Z【白鳥千里と息子の俊介】     晒し中
【強姦魔・杉山郡代と被害者・小池夏美】 晒し中
真行寺由真と誘拐された新田佳織    晒し中
河野博史と姉の美沙             晒し中
鮎川麻里子と達也              晒し中
中村健二と妹の美歩             晒し中
柿崎純子と沢村一樹             晒し中
大杉健三と木山順平             晒し中
お仕事                      晒し中
義母VS義息                  晒し中
性同一性障害【U】         晒し中    
性転換【]U】            晒し中
大家                  晒し中
ブラジャー【Z】           晒し中
性同一性障害            晒し中
義母【番外編】            晒し中
義母【Y】               晒し中
発端                  晒し中
心と身体は別物…          晒し中
女装男と侵入者           晒し中    
お兄ちゃんダメエェー! U     晒し中
【お兄ちゃんダメェ…】T      晒し中
本日も客足なく【サバイバル】   晒し中
お兄ちゃんダメエェー…【V】   晒し中
鬼畜の美食家【総集編】      晒し中
鬼畜の美食家【下巻】        晒し中
鬼畜の美食家【中巻】        晒し中
鬼畜の美食家            晒し中    
性転換]V              晒し中
中堅商社・島崎部長         晒し中
義母監禁そして調教・其の二   晒し中
義母の小保方晴美と俊二     晒し中
義母監禁・調教そして折檻     晒し中
性転換]U【エクストラ】      晒し中
義母監禁そして調教         晒し中
【タブー・心と身体は別物・U】   晒し中     
ザッ! 監禁そして調教      晒し中
【タブー】                晒し中

401 :この名無しがすごい!:2016/01/24(日) 07:11:57.17 ID:kRWwY6iX
⌒(゚∀゚)⌒<ユキデスヨササキサン!ユキガッセンシマショ!!


⌒(゚Д゚)⌒<ヘンジガナイ…

402 :この名無しがすごい!:2016/01/26(火) 18:01:48.28 ID:Qf6NMJbz
>>401
こんにちは

403 :この名無しがすごい!:2016/01/26(火) 18:30:34.81 ID:U8sypKUE
>>402
⌒(゚Д゚)⌒<モウシャーベットナノデス…

⌒(;∀;)⌒<グチョグチョノドロドロニナッチャウノデス…

404 :この名無しがすごい!:2016/02/02(火) 07:54:36.59 ID:bkz/kgFq
雪が降った。
俺の愛用している通学路は1面雪景色に変わり、積もった雪はきらきらと日を反射し、眩しく感じさせた。
登校中は、ハイキングコースどころか、遭難まっしぐらの冬山を登山しているような気分だぜ。
普段より三割増の辛さを感じながら登校していると、後ろから不意に声をかけられた。
「キョン!」
なんだ、と思いつつ振り返ると、飛んでくる白い塊が視界に入った。
その白い塊の正体を認識した時には既にそれは俺のおでこに命中し、
「のわっ!」
俺は情けない声をあげ、後ろへ仰け反った。
危うく尻餅をつきかける所でなんとか立て直し、それを俺めがけて投げて来た張本人を見る。
「くつくつ、キョン、こんなものも避けられないなんて、君も腕が落ちたね。」

405 :この名無しがすごい!:2016/02/07(日) 21:28:04.50 ID:j4e2ZLyr
いきなり雪玉ぶつけるとか、佐々木も随分酷いことするな。
親しき仲にも礼儀ありって知らないのか?
お返しに石入りの雪玉ぶつけられて額割られても、文句言えんぞ。

406 :この名無しがすごい!:2016/02/07(日) 21:36:07.02 ID:QVU8Iw4d
一面雪景色だからといって投げられたものが雪玉とは限らない

407 :この名無しがすごい!:2016/02/07(日) 22:05:00.39 ID:lMs4ZTXY
つまりバレンタインのホワイトチョコという可能性もあると

あと一週間ですよ佐々木さん

408 :この名無しがすごい!:2016/02/08(月) 00:59:45.46 ID:UzkgUuTj
給料三ヶ月分の石が入った雪玉ですね、わかります

409 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2016/02/09(火) 22:36:29.97 ID:ZBxm9RBl
          カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その63

 熊本に降り立った第一印象は「暑い!」の一言である。
 日本で、沖縄を除けば夏日と呼ばれる日が一番多いともいわれる土地らしいが、成程、さすがに火の国
と俗に言われるだけのことはある(京都も暑いといわれるが、熊本のほうが暑いと思う)。
 「さすがに九州は暑いですね」
 さわやかスマイルの古泉の額にも汗が浮き出ている。
 「この暑さはなかなかのもんだね。おね-さんにも少々こたえるね。早いとこ車に移動したほうがよさそ
うだね」
 空港ロビ−を出て、向かいの駐車場に行くと、そこに社員証をつけた二人組の男性がいた。
 「お待ちしていました」
 二人組は鶴屋さんの家の企業に属するレンタカー会社の社員だった。
 「長距離移動をかなりやるから、大きな車でないと疲れるっさ」
 車はトヨタ・ベルファイヤのハイブリッド車だった。これは鶴屋さんも所有し、正月に乗りまわしていた
、安心感のある車だ。
 鍵を受け取り、全員車に乗り込んだ。
 運転席に国木田。助手席に俺。後方座席の一番前に古泉。女性陣は座席を一部倒して広い席を作り、そこに
座る。
 「国木田が運転するのか?」
 東京では公共交通機関が発達し、車は運転する機会は少ないと思っていたのだが、
 「海外ボランティアで結構運転する機会は多いんだ。向こうは悪路が多くてね。トヨタのタコマとかランド
クル―ザ−とかのピックアップトラックとかSUV、それと小型バスとか運転しているよ。大型免許もいずれ
は取得する予定だけど、まあ、この手の車は運転するのは慣れている」
 しばらく会わないうちにずいぶんたくましくなったようだ。
 本日最初の行先は、九州のへそともいうべき、世界最大のカルデラ、阿蘇(空港にも名前が付けられている)
である。最初は熊本市観光を考えていたが、機内で話すうちに予定を変えて、阿蘇周辺を回ることにしたのだ。
 「そのあと、天孫降臨の地、神話の里・高千穂にいくっさ」
 「日本有数のパワ−スポットですしね。九州に来たならこの二つは抑えとかないと」
 古泉の”パワ−スポット”という言葉に、ハルヒが、高校時代に俺が見慣れた反応を示したが、とりあえず無
視しておこう。
 

410 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2016/02/09(火) 22:38:10.61 ID:ZBxm9RBl
 空港を出て左折し、さらに左折して直進すると、風車と小高い山が目に入ってくる。
 ナビを見てみると、俵山と表示されていて、風車は風力発電機のようだ。
 この山にトンネルがあり、そこを抜けると、阿蘇の外輪、南阿蘇村というところに出る。
 「へえ、いい景色じゃない」
 トンネルを抜け、少し走ると、南阿蘇の風景が車両の左手に見えてくる。
 阿蘇五山といわれる山々の麓に広がる草原と、人々が生活を営む村の景色が広がる。
 まだ少し青い稲が揺れる田んぼに交じり、畑に咲き乱れる白い花は蕎麦の花のようだ。
 阿蘇の山は現在も活動中で、火口周辺の立ち入り制限が解除されたのはつい先月のことだそうだが、噴火の煙は
よく晴れた夏空にたなびいている。マグマか三首頭の怪獣が地下にあるせいだろうが、阿蘇の活動は活発のようだ。
 「そろそろどこかトイレ休憩でもしようかね」
 ちょうど左手に道の駅らしき建物が見えてきたので、国木田はそこへハンドルを切り、駐車場に車を止めた。
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「南阿蘇道の駅 あそ望の郷 くぎの」というかなり長い名前の道の駅で、トイレを済ませた後、すぐに立ち去るつ
もりだったが、建物の裏手にある広大な芝生の広場と五山の景色に、つい心奪われ、少し休憩することにした。
 芝生の上に座って、山からの涼風に吹かれながら阿蘇の風景を眺めるというのも、なかなか乙なものである。
 ハルヒと鶴屋さん、古泉は芝生広場に隣接するドッグランにいた犬達(なにか大会でもあるのか、大型犬が多くいた)
と戯れている。
 「実に絵になる風景だね」
 俺の隣に腰かけている佐々木がそうつぶやく。
 美男美女故の三人なので、他の観光客の注目を集めており、そちらに視線を投げかけているのがわかる。
 「まあ、あの三人はどうしても目立つからね。特に涼宮さんは北高時代もいろいろ目立っていたしね。容姿だけではなく
他のことで、いろいろと」
 国木田が何か思い出したような感じで笑いながらそういった。
 「彼女は小学生の時から目立っていたよ。いづれにせよ、人の耳目を集める存在ではあるからね」
 そういや佐々木は小学生のときからハルヒを知っているんだった。
 「ところで、ここでのんびりするのもいいが、予定は大丈夫だろうな?」
 「心配ないよ。今回の旅行は予定なんかないようなものだから。最初の行先だって変更したわけだし、旅行会社のツ
ア−客じゃないんだから、僕らは。今日泊まるホテルには、夕方の5時までに着けばいいって鶴屋さんが言っていたか
ら、十分時間はあるよ」
 「そうだね。時間はまだ10時ちょっとだから、のんびり行こうよ、キョン」
 国木田と佐々木の言葉に、それもそうか、という気分になり、しばらくぼんやりとハルヒたちの遊ぶ姿と、南阿蘇の
景色を楽しむことにした。

411 :この名無しがすごい!:2016/02/09(火) 23:28:59.40 ID:XRDBWrWp
支援
阿蘇の草原は放牧されてる牛や馬の生理現象の産物を踏まないよう注意って言われた記憶がまず最初に(-_-;

412 :この名無しがすごい!:2016/02/11(木) 15:18:46.00 ID:lVtBxDYn
乙です

413 :この名無しがすごい!:2016/02/12(金) 22:00:45.85 ID:HdKCgzSv
きょこたんスレ落ちてる?

414 :この名無しがすごい!:2016/02/14(日) 15:22:02.62 ID:cTR6C/Dl
        , -‐- 、、
.      〃   ; ヽヾ
      ハミ((メノリ从))
..     _| i(| -- --|!|
    ノ\| トリ、|| ヮ||ノ!|ヽ
    \ノ| ̄ ̄○○ ̄|\
     \|_____|

この板でスレ落ちするなんてまさか思わなかったのです

415 :この名無しがすごい!:2016/02/14(日) 16:57:13.43 ID:420B9Jrd
どんまい

416 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2016/02/14(日) 23:56:04.34 ID:UCbSBnli
        カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その64

 一日目の夕方
 阿蘇・赤水温泉の一角にある、「ホテルオ−デン阿蘇赤水」の和室で、俺と古泉と国木田は荷物を
おいて、くつろいでいた。
 道の駅で休憩した後、草千里で乗馬を楽しみ、火口近くで大地のエネルギ−に圧倒され、高千穂の神社で
神話の世界を体験した後、ボ−トを漕ぎながら、溶結凝灰岩の柱状節理の峡谷に見とれ、阿蘇の火山が作り
出した自然を目いっぱい堪能した。
 「ホテルオ−デン阿蘇赤水」は、最近鶴屋さんの会社が傘下に収めたホテルグル−プに属し、阿蘇観光の
入り口の位置にある赤水温泉にその陣容を構えている。
 ハルヒご希望の露天風呂はもちろん、付属のゴルフ場もそなえており、俺達学生よりも、むしろ少し上の世代
や家族連れ、ビジネス絡みの客に使われそうな感じを受ける。
 客室は広大な日本庭園に面し、庭園委は桜の木や楓の木などが植えられ、阿蘇の山々を借景としていて、落ち
着いた雰囲気を感じさせる。
 「いいホテルですね」
 窓の外の景色を古泉は置きに召したようだ。
 「夕食前に露天風呂に入ろうか」
 「そうだな。結構汗もかいたしな。まだ食事の時間まで間があるから、今のうちに入っておくか」
 国木田の提案に俺と古泉はうなずいた。
 -------------------------------------------------------------------------------------------
 露天風呂で体の疲れを取ったあと、夕食は個室宴会場に設けられた特別席でとることになった。どうやら、
グル−プの親会社の社長令嬢である鶴屋さんへの配慮らしい。
 「さすが鶴屋さんね」
 ハルヒが感心したようにつぶやく。
 昼食は阿蘇の名物らしい、豆腐の田楽と郷土料理を高森町というところで(水がきれいなところだった)
を味わったが、夕食は阿蘇の草原で育った短角牛(赤牛)がメインらしい。
 「郷土料理も選べるのだけど、お昼に食べたからね。ここは定番らしく、ハルにゃんも好きなお肉と行こうか
ね、と思ったわけっさ」
 鶴屋さんによれば、このホテルでは値段は同じで料理を選べるようになっているそうだ。和食から洋風、中華
やイタリアンなどもあり、幅広い好みに対応しているらしい。
まずは飲み物が運ばれてくる。
 ウ−ロン茶とエビスビ−ル。全員のグラスに仲居さんがついでくれ、目の前に置かれる。
 「おおっ」
 続いて運ばれてきた料理の見事さに、思わず声が出る。
 このホテルグル−プは自社牧場や農場を持っており、そこから食材を仕入れ提供しているそうだが、「早く食
べてみたい」と思わせるような肉の艶が見て取れる(居酒屋でバイトしていると、自然、食材の良し悪しがわか
るようになってきた)。
 「それでは、皆さん。旅行第一日目、お疲れさんでした。乾杯〜!!」
 鶴屋さんが乾杯の音頭を取り、グラスを合わせ、皆が乾いたのどに流し込み、のどを潤した。
 「ぷは〜、美味いっ!!」
 勢いよくビ−ルをのどに流し込んだハルヒは、二杯目をグラスに注ぎ、実にいい飲みっぷりでそれをあおった

 「これもあけましょうかね」
 そういって古泉は今日手に入れた日本酒を取り出した。一つはこの阿蘇の地酒「れいざん」で、もう一つは高
千穂町で受け継がれてきた高千穂神社の神楽の時奉納されるという「舞」という酒だった。
 「持ち込みはいいんですか、このホテル」
 「客にもこだわりはあるだろうからね。このホテルにも地酒はそろえているけど、客の好みに合っているとは
限らないから、認めているんだわ。ホテルも客も方にはまりすぎているからね、日本の観光は。少しづつ時代に
合わせてやり方を変えていかないと」
 古泉から日本酒用のグラスに注いでもらい、俺も古泉のグラスに注いでやる。
 「キョン、僕にもいいかな」
 佐々木に頼まれ、佐々木のグラスにも注いでやる。
 「ハルヒはどうだ」
 「あたしはエビスが美味いから、まだこっちでいいわ。でも後で頂戴ね」
 古泉と佐々木のグラスに合わせ、日本酒を口に含む。酒の旨みがしっかり感じられるが、切れがよく、すぐに
次を飲みたくなるような、万人受けする味わいだ。叔父さんの居酒屋においても人気が出るだろう。
 ”長東への土産に買っていこうかな”
 

417 :この名無しがすごい!:2016/02/14(日) 23:57:03.47 ID:xZDv9kgC
ぶっちゃけ、きょこたんは驚愕から、株を下げっぱなしだからな。
キョンにもザコ扱いされたり、藤原&九曜に利用されている事にも、気づかなかった無能っぽいし。
陰謀の誘拐犯で登場した時は、クールな性格みたいに感じられたが、残念な娘になった。

418 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2016/02/14(日) 23:57:06.82 ID:UCbSBnli
 そんなことを考えていると、なぜか佐々木がエビスビ−ルの瓶を眺めて笑っている事に気づいた。
 「どうした、佐々木。もう酔ったのか」
 あんまり佐々木は酒に強いわけではない。
 「いや、ちょっと昔のことを思い出しただけだよ、キョン。ほら、国語の授業の時に、夏目漱石の『二百十日』が
題材で、君が『ほとんど会話劇だよな。そのまま秋の文化祭の朗読劇に使えるんじゃないか』とか言って、そのあと
君と僕で、文化祭の各クラスの出し物代表に選ばれそうになったことを、ね」
 過去の自分の愚行を思い出して、思わず俺は顔をしかめる。
 自分の不用意な一言をクラスの他の奴らに聞かれていて、俺と佐々木に文化祭でのクラスの代表に出そうかという
声が上がり、担任も乗り気になったが、さすがに無様な姿をさらけ出すのは(佐々木は心配ないが、俺が、な)いや
だったので、断り続け何とか免れたが。
 ただ、その小説の一説は、コント劇の様だったのでなぜか覚えている。
 『ビールはござりまっせん』
 口に小説の一部分を出してみると、佐々木が言葉を続ける。
 「ビールがない?――君ビールはないとさ。何だか日本の領地でないような気がする。情なさけない所だ』
『なければ、飲まなくっても、いいさ』
 口元が噴き出しそうになりながら、次のセリフを口にした
『ビールはござりませんばってん、恵比寿ならござります』
『ハハハハいよいよ妙になって来た。おい君ビールでない恵比寿があるって云うんだが、その恵比寿でも飲んで見るかね』
 佐々木のセリフのあと、二人同時にハルヒのほうへ視線をやり、グラスに何杯目かのエビスビ−ルを古泉に注いでもらって
て、満足した表情で肉をつまみながら飲み干す姿を見て、俺たちはおかしさがこみあげてきて(酒が入っていたせいもるだろ
うが)、大いに爆笑した。
 
 

419 :この名無しがすごい!:2016/02/15(月) 07:31:14.40 ID:3u/4ndoq
支援
日程なき日程詰め込みなような
ハルヒパワーが働いてそうな気がしてくる

>>417
クールなふりして森さんと相対した時、実は恐怖でおもらししてましたなSSがあったね
先見の明すごいw

420 :この名無しがすごい!:2016/02/20(土) 12:13:42.14 ID:Apxkegac
SSの途中で、割り込んでしまったな。申し訳ない。
それとついでに言わせてもらうと、俺はきょこたんの
「ハルヒは世界を滅ぼす危険があるから、能力を佐々木に移そう」の考えは
理解出来るし、悪いとは思わないけど、どうもその提案は賛同し難かったな。

パソコン奪われたコンピ研の部長氏や、映画撮影でハルヒにエアガンで撃たれた神主さんみたいな
ハルヒのワガママの犠牲者が言っているなら、共感できるが
以前の誘拐の件が無かったとしても、彼女も胡散臭くて怪しいとしか、感じられなかった。

だからハルヒが好き勝手振る舞う現状も、良くないけど、きょこたんの提案も、良いとは言えない微妙な気持ちだった。

421 :この名無しがすごい!:2016/02/20(土) 14:42:57.07 ID:d8OretnG
能力を全キャンセルならどうしてただろうね
たぶん歴史ごと変わるから無理かなやっぱ

422 :この名無しがすごい!:2016/02/21(日) 11:21:07.72 ID:qZrMhj6I
当の佐々木も、別にそんなのいらないと乗り気じゃなかったしね。
分裂で再会した時に「そんな顔しないでよ」なんて、キョンに発言するあたり
みくる誘拐に関しては、真摯に謝っているわけではないことが透けて見えた。

423 :この名無しがすごい!:2016/02/23(火) 19:34:50.33 ID:BoGV/dAW
にゃんぱすー

424 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2016/02/23(火) 23:43:43.37 ID:tqvXfqBC
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その65

 二日目の朝。
 昨夜の酒が少し残っていたせいか、何か頭に重いものでも乗っているような気分だったが、古泉や
国木田と朝風呂につかり、ホテルの庭園と阿蘇の山々を眺めているうちに気分もよくなり、上がる頃
には体調や思考能力も回復していた。
 「おはよう、キョン」
 朝食を食べるために女性陣三人と合流し、ビュッフェスタイルの朝食を提供するホテル内レストラン
に向かったのだが、夕べ一番飲んでいたはずのハルヒは、酔いの影響など毛頭見せず、元気いっぱい、食
べる気満々の戦闘態勢に入っていた。
 朝食はこのホテル名物、自家農場や牧場で収穫された野菜や肉を使った、自家製ハムやパンを中心とし
たドイツ料理と、和食がいいという滞在客のために用意された和食の惣菜が並べられたバイキングである。
 とりあえず自分たちの好みの品を取り皿にのせ、確保したテ−ブル席に座る。
 「……ハルヒ、お前、それ食べれるのかよ」
 一人だけ明らかに多く、山のように積まれた取り皿を見て、思わず俺はハルヒに尋ねる。
 「心配ないわよ。どうせ今日もあちこち行くんでしょう?体力つけておかないとね」
 「……昼飯も食べるんだぞ?」
 「大丈夫よ。こんなもんは序の口よ。昼食前には軽く消化を終えているわよ」
 俺の言葉を一笑に付し、ハルヒは朝食に手を付け始めた。
 ---------------------------------------------------------------------------------------------------
 ホテルをチェックアウト後、ベルファイアに乗り込んだ。今日の行先は熊本のシンボル、熊本城なのだ
が、その前に、昨夜の佐々木と俺の会話から、「二百十日」の舞台となった内牧温泉にある漱石記念館(
文豪の宿・山王閣という所にあった)を尋ねることになり、その後、この阿蘇の地を造った神様を祭る阿
蘇神社へ向かうことにした。
 「僕らも文豪になった気分だね」
 佐々木が機嫌よさそうな表情で、阿蘇神社の門前町の風景を散策している途中、そういった。
 「まあ、俺には文豪になれるような素質はないけどな。佐々木、お前なら書けるんじゃないのか?」
 俺の文才のなさは高校一年の時、実証済みだ。
 「小説は読んだほうがおもしろいよ。ただ、僕としては紀行文とか随筆とかのほうがいいかな。他人の
感性を知るという意味ではそれらはいい素材なんだよ。この前図書館でたまたま読んだ寺田寅彦の随筆は
面白かったよ」
 「物理学の随筆か?」
 「いや、『珈琲に関する哲学的考察』というものでね。もともと寺田寅彦は俳人としても随筆家としても一流の人物
だしね。とても興味ぶかく読みやすかったよ。明治の知識人は教養に優れていたんだね。彼らが書く紀行
文は面白い物が多くて、例えば、同じく明治時代の小説家・田山花袋の紀行文は当時の人々からも相当人
気を博していたそうだけど、今読んでも当時の時代の様子が鮮やかに蘇ってくるような感じを受けたね」
 「『蒲団』とか『田舎教師』とかぐらいしか知らないな、俺は」
 「まあ、あの印象が強すぎるからね。そういえば、田山花袋の父は西南戦争で戦死して、その墓参の為に
熊本県に来たことがあるそうだよ。彼の一生にはその父の死から始まる家庭環境の変化に伴う影響があると
いわれているけどね」
 「……いろいろな要素がまじりあって名作も文豪も生まれるということだな」
 そんなことを話しながら門前町を歩いていると、「水出し珈琲」の文字が書かれた暖簾が目につき、俺達
は乾いたのどを潤すために、そのお店に入った。
 
 

425 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2016/02/23(火) 23:44:25.88 ID:tqvXfqBC
------------------------------------------------------------------------------------------------
 阿蘇神社におさらばし、車を熊本城に向けて走らせることになったのだが、その途中、国木田が「寄りたい
ところがあるので寄り道していいかな」と言い出した。
 「どこに寄るんだ?」
 「熊本大学に」
 「大学に?またどうして」
 「僕が所属している海外援助のボランティア活動をしている学生団体のメンバ-がそこにいてね。今も協力して
もらっているんだけど、挨拶をしておこうと思ってね。それに今、僕らが関わっている援助プログラムの問題解決
に役立つ研究の資料がまとまったという連絡を、一昨日受けていたんで、それも受け取ってこうかと思って。三〇
分ぐらいで終わると思うけど、いいかな」
 「いいと思うよ。どうせ、この旅行は行先はそこまでしっかり決めていないんだし。国木田君の好きなようにして
いいっさ」
 「異存なしだ」
 「お昼に影響が出なければ問題ないわよ」
 「ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて」
 それから国木田はナビを操作し、案内に従い、大きな幹線道路から支線に当たる道のほうにハンドルを切った。
 

426 :この名無しがすごい!:2016/02/24(水) 07:00:16.51 ID:e6Ee+Onf
支援
文学話の時はハルヒ絶対退屈そうな顔してたろうなwフォローの古泉がんば

427 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2016/02/24(水) 22:43:18.97 ID:rXMHRWn9
カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜その66

  県道377号線という道路を走っていると、前方にいかにも大学の敷地です、というような感じの建物群が
見えてきて、事実、そこが熊本大学・黒髪キャンパスだった。
 大学の敷地に入り、駐車場に車を止めると、正面にレンガ造りの建物が見えた。
 「趣のある建物だな」
 「旧制第五高等学校・熊本大学 五高記念館と言って、この大学のシンボルみたいなものだよ。100年以上
前の建物だそうだよ」
 「立派なものだな」
 「国指定の重要文化財だと聞いているよ。ついでに言えば僕らの地元の旧県庁、現在では県公館として知られる
建物を設計した山口半六がこの建物を手掛けているそうなんだ」
 意外なところで俺たちの地元とつながっているんだな、と俺は感心する。
 「あの建物が待ち合わせの場所になっているんだ。ちょっと行ってくるね」
 そういって国木田は車を降りたのだが、
 「ちょっと待ってくれ、国木田。俺もついていっていいか?」
 好奇心が沸き起こり、よその大学のキャンパスを覗いてみたいという気になったのだ。
 「いいけど、そんなに長居はしないよ」
 「それでもいいさ。京都以外の大学に来る機会などそんなにないからな」
 「国木田君、僕も行ってみたいんだが、いいかい?」
 なぜか佐々木までが乗り気になって、国木田はちょっと首をかしげたけど、
 「いいよ。でも、用事はすぐに終わるよ」
 「それで結構だね」
 「他に行くやつはいないか?」
 俺が尋ねたが、ハルヒは首を横に振った。
 「三十分くらいなんでしょ。車の中で待っておくわ。もう日差しが強くなってきているし」
 「僕もここで皆さんをお待ちしておきます」
 「あたしも待っておくっさ。ハルにゃんとゲ-ムでもしているよ」
 古泉と鶴屋さんは残るといったため、とりあえず、俺と佐々木は国木田の後について、熊本大学にお邪魔する
ことになった。
 

428 :カルチェ・ラタンの迷い子たち キョンと佐々木とハルヒと古泉〜:2016/02/24(水) 22:44:10.47 ID:rXMHRWn9
---------------------------------------------------------------------------------------------------
 ”彼”と佐々木さんと国木田君が出て行ったあと、涼宮さんは鶴屋さんと僕を交えてカ-ドゲ-ムを始めたが、ど
こか表情がさえない感じだった。
 「どうしたんだい、ハルにゃん。なにか悩み事でもあるのかい?」
 鶴屋さんもその様子に気づいたようで、涼宮さんに声をかける。
 「悩み、て程でもないんだけど……」
 珍しく涼宮さんの歯切れが悪い。
 「どうしたんだい、遠慮なくいってごらん。おね-さんは口が堅いっさ。古泉君はいないものと思って話して
みるっさ」
 少し無理がありませんかね、鶴屋さん。
 「うん……まあ、そんなにたいしたことじゃないけどさ、キョンと佐々木さんと国木田君達、ほんと仲がいい
よね」
 その言葉で本当は涼宮さんが何を言いたいのか、僕はピンときた。
 昨日もそうだけど、キョンと佐々木さん、何か別の話で盛り上がっていたし、今朝も佐々木さんの話を熱心に
聞いていたし、今は今で三人で出て行ってしまうし……」
 ほぼ国木田君は関係ないような気がするが。
 「まあまあ、ハルにゃん。そりゃ、もともとあの三人は仲がいいっさ。中学校は一緒だったんだし。国木田君は
高校も一緒で、佐々木さんは高校は別だったけど、今じゃキョン君とハルにゃんと古泉君と一緒の大学っさね。
国木田君が言っていたけど、キョン君や佐々木さんとは波長が合うみたいなこと言っていたっさ。それにキョン君は
女性に優しいしね。おね-さんのひいき目でもなく、キョン君は女性にとっても話しやすい感じがするからね。
でも、ハルにゃん、付き合いは佐々木さんや国木田君の方が早いかもしれないけど、キョン君と一番密度の濃い時間を
過ごしてきたのはハルにゃんじゃないのかい?おね-さんは高校時代の二年間、ハルにゃん達を見てきたけど、そう思う
っさ」
 確かに鶴屋さんのいうとおりだ。”彼”と涼宮さん、それに僕と長門さん、朝比奈さんは、少し前の、でも今では幻
のように思える高校時代の時を、密度の濃い、楽しい時間を過ごしてきた。その時間の中で、”彼”と涼宮さんは強く
結ばれたのだ。
 しかし……
 「ハルにゃん、細かいことを気にしていても、いらん気苦労を背負い込むだけだよ。どんと構えてりゃ問題ないっさ」
 豪快ともいえる笑顔で鶴屋さんは涼宮さんの心のもやもやを(高校時代だったら神人が出現していたかもしれないが)
笑い飛ばし、涼宮さんもしばらくして「そうね、鶴屋さんのいう通りだわ」といってうなずき、その後ゲ―ムに熱中して
いたが、何となく、僕の心の奥底に、形容しようがない滓のようなものが残った。
 
 
 
 
 

429 :この名無しがすごい!:2016/02/24(水) 23:16:08.80 ID:e6Ee+Onf
支援
文学話はタイムリーのフォローはなかったのか
腕が落ちたな古泉

でなければ、キョンとの距離が離れるのを無意識に歓迎してたのかもと解釈してみよう

430 :この名無しがすごい!:2016/02/26(金) 00:07:34.80 ID:e8lz5cZt
支援しえん

431 :この名無しがすごい!:2016/02/26(金) 01:00:33.87 ID:GhtU763F
蒲団しか読んでないわ……レベルたけえ

432 :この名無しがすごい!:2016/02/29(月) 09:32:19.96 ID:YJ/UsxpF
支援

433 :この名無しがすごい!:2016/02/29(月) 19:45:17.09 ID:ECndlHVq
閏日ですよ佐々木さん

375 KB
新着レスの表示

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
名前: E-mail (省略可) :


read.cgi ver 05.05 2022/08/31 Walang Kapalit ★
FOX ★