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【乃木坂浪漫〜後光の陰影〜】 [転載禁止]©2ch.net

1 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/17(火) 09:25:00.64 ID:PS/zFIq00
テレビの中では正に今が旬のアイドルが煌びやかに踊っていた
俺は自宅でウィスキーを水割りで飲みながらぼんやりと複雑な気持ちでそれを眺めていた

・・・いつの間にか眠ってしまったらしい
目が覚め、反射的に時計を見上げると23時を指していた
2時間程眠っていたようだ

まだ疲れが取れていないらしく、再度そのまま眠りに着こうとした時に
「トゥルルル♪」着信音が鳴った
(誰だよこんな時間に・・・)
タイミングの悪さに辟易としながら自分でもはっきりとわかるほどの不機嫌な声で電話に出ると
脳天気な声で捲し立てる声が聞こえてきた
「あっ!今から10分くらいで行くから待っててねー」
「おーい、もう寝るから勘弁し・・・プツッ」言い終わらない内に電話は切れた


30分程経ってからエリカは俺の自宅に到着した
「あー、疲れた疲れたー」誰の許可を得る訳でもなく台所から探し出した麦茶を片手にクッキーを
齧りつつ、シングルベッドにポンッと座りながらエリカは言った

「ちゃんと見てた?」
「見てたよ」俺は言った
「やっぱり生放送は緊張する」
「あー、今日は生だったのか」言われてみれば数時間前にテレビで見た服装と全く同じだった
「あー、じゃないわよ〜、間奏部分でピースサインしたのちゃんと見た?」
「もちろん」俺は咄嗟に嘘を付いた
「コラッ!絶対忘れてたでしょ!」

こんなやりとりをしながら俺はさっきまでテレビの中にいた人間が今ここにいる感覚を不思議に思った

〜Vol1完〜

2 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/17(火) 09:25:57.46 ID:PS/zFIq00
翌朝目覚めるとエリカは既に居なかった
洗面所に行くと浴槽を使った跡が残っていた

俺は熱いシャワーを浴びて髭を剃り、軽い朝食を取った後に歯を磨いてから家を出た
平日の午前中にも関わらず恵比寿ガーデンプレイスには学生から主婦からビジネスマンまで
様々な人達が生き急いでるように俺には見えた
見るからに高そうな洋服、貴金属を纏っている輩も多くいたが、ラフな服装の俺にとっては
飾りたがる人間が不思議でならなかった
服装などいくら着飾っても自分の肩書には何の影響も及ぼさない・・・

(まあそんなことは人の勝手であって自分の問題では無い)
電車に乗りながら頭の中で当たり前のことを結論づけると山手線は目的地である目白に到着した
目白駅の東口に着くと俺は歩いて15分程の場所にあるK心療内科に向かった
山の手方面に向かう高級住宅街の一角にその心療内科はある

受付に向かうと受付の娘は明らさまに不審な表情で俺を見た
面会の意向を伝えると「307号室ですね、どうぞ」
世界一の事務的な笑顔を振り撒きながら乾いた声でそう言った
この手の人間は平日の午前中は仕事をするべきという固定観念がある

307号室をノックすると中から「どうぞー」との声が聞こえた
中に入ると本を読んでいたミオナは目線をこちらに向けて言った
「あっ!Rさん!」

5月の晴れた月曜日のことだった

〜Vol2完〜

3 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/17(火) 09:26:25.48 ID:PS/zFIq00
ミオナの部屋は日当たりの良い角部屋にあった
「調子どう?」俺が部屋にあった椅子に座りながら問い掛けるとミオナは読んでいた本を伏せながら言った
「気分も体調も良いみたい、天気も良いせいなのかなぁ・・・」
「何読んでたの?」
「華麗なるギャツビー、確かRさんが一番好きな本だって言ってたわよね?でも難しくて良くわからないなー」
「その他大勢にならない為の本だよ」魅力を語り尽くせない俺は一言で端的に表現した
「ふ〜ん、Rさんは頭が良いから私とは理解力が違うわよね・・・」

ミオナは早くステージに戻りたいらしく、担当医にその旨を頻繁に話しているらしい
復帰後の青写真を澄んだ目で語るミオナの話を聞きながら俺は人に振りかかる試練の話をした
「神様は乗り越えられない試練は与えないらしいよ?あんまり神様とか信じてないんだけどさ」
「どういうことかしら?」ミオナは聞いた
「人間の器に相応しい試練を与えるんだ、つまり大きな壁や試練にぶつかる人間はそれを克服するとそれだけ大きな物を得るってことさ」
「なんとなくわかる気がする」ミオナは言った

小1時間程他愛のない会話をしてから俺は部屋を出て担当医の元へ向かい、ミオナの病状について伺った
担当医は40才前後だろうか?心療内科の医者としてはかなりの権威らしいがそんなことはどうでも良い
ミオナの病状が快方に向かいさえすればどうでも良い肩書だった

心療内科を出てから俺は山手線を乗り継ぎ、新宿で降りた後に小田急線に乗って和泉多摩川に向かった
特に目的は無い、決して綺麗とは言えない川の畔の草むらで俺は寝ころびマルボロに火を付けながら空を見上げていた
空には1機のボーイングが飛行機雲を吐きながら羽田方面に向かっていた

〜Vol3完〜

4 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/17(火) 09:26:50.23 ID:PS/zFIq00
俺はマルボロを吸いながら釣りをする初老の男をぼんやりと見ていた
こんな汚い川に魚などいるのか甚だ疑問だったが、男は我慢強く仕掛けたウキの先を微動だにせず見ていた
ひょっとして魚を釣ることが目的では無く単に時間を持て余してるだけなのかも知れない

そう考えると人間の行動には本人にしかわからないことが多すぎると俺は思った
道を歩いている人間が振り返っただけで何通りもの可能性がある
(知り合いが通り過ぎたのか、忘れ物をしたのか、ガスの元栓を閉め忘れたのか・・・)
そんな無意味なことを考えていると電話が鳴った

着信はワカツキからだった
(こんな時間に連絡がくるのは珍しい、何の用だろう)
俺が電話を取るとワカツキは早口で言った
「何してんのよー?」
「何もしてないよ」
「何もしてないって貴方起きてるじゃない」ワカツキが電話の向こうで笑いながら言った
「起きてるよ」俺が答えると「貴方は相変わらずつまんないわね〜、今日予定が早く終わったから19時に恵比寿のJ店ね」
「今日はもう帰って家でゆっくりしようかと思ってたんだよ」
「外にいるのね?じゃあ帰り道に寄ればオッケーね」
「だから帰って寝ようと思って・・・プツッ」電話は切れた

エリカもそうだがワカツキも全く相手の意向を汲みとらない娘だった
典型的な自分中心に世界が回ってると思っているタイプだ
だが何故か全く憎めないところが共通していた

(やれやれ・・・)俺は心の中で思いながら時計を見ると15時を回っていた

何故一介の地位も名誉も無いADである俺に華やかな世界で生きる娘がコンタクトを取りたがるのか不思議でならなかった
そのことについて1回だけ聡明の代名詞のようなワカツキにそれとなく聞いてみたことがある

ワカツキは考える間も無く即答した


〜Vol4完〜

5 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/17(火) 09:27:16.72 ID:PS/zFIq00
「貴方は他人に対してあまり興味を示さないタイプだからよ」
「ごめん、多分俺の頭が悪いせいだと思うんだけど良くわからないな」
俺はワカツキの言ってることが理解できなくて無意識に首を傾げたようだ
「特別扱いしないからよ・・・さすがに意訳し過ぎたかな」
ワカツキは微笑みながら言った
「ほら、私達のようなチヤホヤされることに慣れきってる人種にとっては尚更ね」

そこまで言われて俺はようやく理解できた
なるほど俺はメンバーに対して対有名人のような態度は取っていないような気がした
「ほら、エリカなんて一番そういうのにうんざりしてるのよ、私もそうだけどね」

確かに俺は自分が何を考えてどう行動するかに一番興味があるかもしれない、と心の中で思った

「人と人とが理解し合えるのには限度がある」ワカツキは独り言のように言った
「アルセストか、確かに人間嫌いかもな・・・」
「貴方は現代版モリエールね」ワカツキは笑いながら言った


そんな会話を思い出しながら、暫くの間散策してから17時に河原を離れた
新宿方面小田急線に乗るとこの時間の車内は閑散としていた
時間もまだ十分にあることを理由に、俺は各駅でゆっくりと新宿へ向かうことにした

車内では数人の女子高生達が幸せそうに聞き慣れない俳優だか音楽グループの話を熱心にしていた
そしてアイドルグループの話になり何気なく耳を傾けると
「・・・のナナセって可愛いわよね〜」「でも一番の美人はマイでしょ」との話が聞こえてきた
この年代のファンを増やせば少なからず効果がある
何故なら最良の口コミで無料の宣伝、普及をしてくれるからだ
話題に乗り遅れることに一番の恐怖感を感じる年代、そこに宣伝のリソースを割くことは効果がある
勿論宣伝の仕掛け方、やり方には細心の注意を払わなければならないが・・・

30分程後、電車は終点の新宿駅に到着した
有数の乗降者数を誇る日本の中心部であるが、人混みが嫌いな俺には
一早く路線を増やして人々の密集を緩和して欲しいと願うだけの汚い街だった

〜Vol5完〜

6 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/17(火) 09:28:24.71 ID:PS/zFIq00
ガーデンプレイスを通り過ぎた路地裏にJ店はある
比較的静かで目立たない場所に位置している為、一見には気付かれ難い店だろう
以前来たのは1カ月程前だろうか?時刻は18:30を過ぎていた

しかし俺はどうにも店の場所が思い出せず、目的地と思われる周辺で右往左往していた
そして仕方なくワカツキに電話を掛けようと思った矢先に背後から声がした
「オニイサンマサージドーデスカー?」
俺が振り向くとワカツキが微笑みながら立っていた
「声を掛ける相手と場所がちょっと違うんじゃない?」俺が提案すると
「1時間5千円、大サービスよ」ワカツキは提案を無視して続けた

その後ワカツキは慣れた足取りでJ店までの道を先導した後に数分で俺達は目的地に着いた
「ちょっと待っててね」
ワカツキは店の40代と思しきマスターに二言三言告げると俺を手招きした
すると見るからに格を伴ったウェイターが店の一番奥の少し隔離されたテーブルに俺達を誘導した

「確か前に来たわよね」ワカツキは上着を脱ぎながら言った
「1カ月位前だっけ?」
俺は答えながら周囲を見ると如何に自分が場違いなところにいるかに気付き始めた
「なんか華のある人が多いね」
「そりゃ一見は入れない店よ、地位と肩書を持ってる人間しかいないもの」
「へー」俺が答えると確かにどこかで見た気がする人間が何人もいた
「貴方は色んな意味で世間離れし過ぎなのよ」笑いながら若月は言った

店は洒落たバーという感じなのだが居心地は悪くない、高級感はあるのだが不思議と
気を使わせない造りになっている
ワカツキは指を鳴らしウェイターを呼び、バラライカを注文した
「何にする?」
「ジントニック」俺は答えた

〜Vol6完〜

7 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/17(火) 09:29:54.43 ID:PS/zFIq00
複数の人間が想像する「良い女」を具現化した存在がワカツキであるように俺は思えた
立ち振舞いから仕草まで誰もが心を惹きつけられる何かを持っていた

俺はウェイターが運んできたピスタチオの殻を剥きながら3杯目のジントニックを飲んでいた
「昨日は何してたの?」ワカツキはマティーニを飲みながら俺に聞いた
「そんな昔のことは覚えてないな」俺は答えた
「今夜の御予定は?」
「そんな先のことはわからない」

ワカツキは一連の流れに吹き出しそうになりながら我慢強く続けた
「今日は何してたの?」
「平日の晴れた午後に多摩川で魚の生態を調べてた、真剣にね」
ワカツキは我慢できなくなったのか遂に笑い出した
「貴方って真面目な顔して冗談言うわよね」

「…ミオナのことが好きなの?」ワカツキは急に真面目な顔で聞いた
俺はナプキンで口元を拭きながら話を逸らそうとした
「あー、やっぱり貴方は秘密主義なのよね」
「他人に語るまでの大した人間じゃないからだよ」俺は答えた

「あっ、先週女の人と歩いてたでしょ?レイカから聞いたよ、あれは誰かなー?」
「撮影の打ち上げだよ、ワンクール終わったからね」
「へ〜、二人きりで打ち上げねぇ」ワカツキは興味深そうな表情で言った
これだから女の情報網は侮れない、隠し事や秘密事が露呈するのは時間の問題なのだ
「何か話したいこと無いの?私ばっかり話してるのも悪いし・・・」ワカツキは言った

〜Vol7完〜

8 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/17(火) 09:31:16.69 ID:PS/zFIq00
ワカツキはミオナの病状をある程度把握していた
目白にある例の心療内科にもマナツと一緒に何度か行っているらしい

俺は誰にも話したことは無いが、ワカツキにだけは何度かミオナについての話をしていた
「あの娘は真っ直ぐなのよ、それが良くも悪くも抱えてしまう性質なのよね」ワカツキは言った
「重圧に耐え切れなかった?」俺は問いを投げかけた
「それとも違う、可能性が広すぎることを自分で把握してると迷うのよ」
「感受性が豊かであることは全ての点においてプラスになるとは限らない」
ワカツキは続けた

ワカツキはいくら飲んでも酔わないタイプだが今夜はいつになく饒舌だった
俺は珍しいこともあるんだな、と思いながらワカツキの話を聞いていた
結局は普段のままワカツキが話し手で俺が聞き手に回る形になっていた

「貴方って悲観的?それとも楽観的?」ワカツキは聞いた
「表層では悲観的で根本的には楽観的だと思う」俺は答えた
「それが一番良いかもね、でもミオナの場合は時間が掛かるかも知れない」
「気長に待ってるよ、俺に出来ることは待つことしかない」

ワカツキは何とも言えない複雑な表情を浮かべながら俺を見て言った
「普段口数少ない貴方がこれだけ話すのは珍しいわね」
「君もそうだよ」俺は答えた

〜Vol8完〜

9 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/17(火) 09:31:48.36 ID:PS/zFIq00
22時頃まで飲んだ後に俺達は別れた
ワカツキは僅かに上気した顔でタクシーを拾い青山方面に帰っていった

俺は恵比寿にある最上階の自宅マンションに帰った
「家を探す時にたまたま近場の良物件があった」これだけの理由で決めたが
最上階しか空いてなかったのは仕方が無かった

エレベーターに乗り30Fのボタンを押し、ややふらつく足取りで俺は何となく屋上に向かった
誰もいない屋上で赤羽橋方面を眺めると東京タワーが煌々と光を放っていた
(一体俺は何をしてるんだろう)突如俺は自分に強烈な眩暈が生じその場に蹲った

「人間は過去には戻れない」当たり前のことだが俺にはやり直したい過去が何個もあった
そうやって一つしかない道を正確に選び続けられる人間がどれほどいるのだろうか?
軽い溜息をついてから俺は自室に戻り、冷蔵庫からジャックダニエルを取り出し水割りで飲み直した
テレビを付けるとワカツキがレポーターをしている番組が放送されていた

映像では明るく気さくで聡明なワカツキも現実では絶望の深淵の中にいる
それでも前に進むワカツキを俺は尊敬していた
紆余曲折、他人に頼らず全て自分で答えを出してきた強さがワカツキにはあるからだ

(やれやれ…)俺は一人で呟くと番組が終了したのを見届けてから風呂に入り1時にベッドに入った

〜Vol9完〜

10 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/17(火) 09:32:52.70 ID:PS/zFIq00
6月の初め、初夏の匂いが漂い始めた頃にエリカから電話があった
電話の内容は代々木にて18時に待っているというものだった
例の如く相手の都合を一切考えず、一方的な話口調で電話は切れた

そんな注文にも文句を言いながら受け付けてしまう俺も相当なお人好しなのだろう
俺は山手線に乗りエリカが指示した代々木のS店の前に向かった
待ち合わせ場所から結構な距離があってもエリカは直ぐに見つけられた
生まれ持った華やかな雰囲気を身に纏っていると遠方からでも目立つものだ

珍しく時間通り、というか時間前にエリカはS店の前で待っていた
ブラウンのヴィトンのサングラスを掛け、いつになく洒落た格好だった
「あのさぁ…ちょっと言いづらいんだけどさ、例の方々に見つかると面倒臭いんだけど…」
俺が言うと「大丈夫よ、私オーラ消してるしサングラス掛けてるから」エリカは言った

(全然消えてない)俺は内心思ったが指摘すると良いことが一つも無い為黙っていた
「じゃあ行こっか」エリカは俺の先に立つと歩きだした
どうやら目的地が決まってるらしい

歩いてる最中、すれ違う人間の視線を何度も感じた
当然俺に向かってでは無くエリカへの視線だった
エリカは気付いているのか否か定かでないが何事もなく歩いていた

「忙しいのに良く時間取れるね」俺が何気なく言うとエリカは言った
「時間は作るものよ」
「恐れ入りました、俺なんて無限に時間あるけどさ」
エリカは黙って微笑んでいた

〜Vol10完〜

11 :名無し46さん(仮名):2015/02/17(火) 10:31:26.76 ID:oIspaEbT0
うまいじゃん続きどうぞ

12 :名無し46さん(仮名):2015/02/17(火) 14:36:19.70 ID:oIspaEbT0
まだか

13 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/18(水) 13:27:18.06 ID:zIf+2lLe0
続きは乞うご期待

14 :名無し46さん(仮名):2015/02/18(水) 21:31:35.62 ID:DSs8Sb320
このコテ文章上手いな

15 :名無し46さん(仮名):2015/02/18(水) 21:36:31.58 ID:5YsZMX0J0
〜乃木坂浪漫【後光の陰影】〜
が変だとイジったの地味に気にしてたんだね。専板だしがんば

16 :名無し46さん(仮名):2015/02/19(木) 00:07:55.65 ID:o40VjdCr0
タイトル直しててわろたw

17 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/19(木) 00:48:01.99 ID:l5FbRtbC0
代々木の中心街から少し離れたところに目的地はあった
やや閑静な場所に位置する小綺麗なビルの前でエリカは立ち止まった
何をするんだ?と思っているとエリカは俺を最上階である10階に誘導した

入口の扉でエリカは小型のバッグから財布を取り出しカードを取り出すと
右手に位置しているセキュリティシステムに通した
「ピッ」機械音が周囲に響き渡ると同時にロックが解除されたようだ

中に入るとそこはスタジオだった
部屋の中央にグランドピアノが設置されており、音楽の収録に必要であろう
あらゆる機材が揃っていた

「これは?」俺が聞くとエリカは言った
「亡くなった伯父さんの形見よ」
どうやら音楽プロデューサーであるS氏が使用していたものであるとのことだった

S氏の名前は俺でも知っている程の著名な人間であった
そして同時にエリカがS氏の親戚であることも初めて知った
「ここが一番落ち着くのよ」
「あっ、そこの冷蔵庫に飲み物は何でもあるから勝手に飲んでね」
エリカはソファに座りながら言った

それからエリカはボルドー産の赤ワイン、俺はバドワイザーで乾杯をした
「Rさん誕生日おめでとう」エリカが言うと俺は呆気に取られた
「あー、そう言えば今日だったっけ」俺が答えるとエリカは笑いながら言った

「貴方って馬鹿なのか天才なのかわからないわよね」

〜Vol11完〜

18 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/19(木) 00:51:30.94 ID:l5FbRtbC0
エリカはハイペースでキール、マルガリータ、ギムレットを飲み干していた
そして勧められてもないのにスクリュードライバーを飲み始めた
「お〜い、そんなの飲んだらひっくりかえるぞー」俺が静止すると
「うるさ〜い!飲まなきゃやってられないんだよ〜」との答えが返ってきた
「その酒ってさ、男が女に飲ませる酒・・・」
「女殺しのお酒なんでしょ?ミサが言ってた」エリカは上気分で言った

(やれやれ…)俺はモスコミュールを飲みながら思った
モスコミュールは安価でありながら口当たりが強く、比較的酔える酒だった

「あっ、酔わない内に私からプレゼントしないとね」
「いや?何もいらないよ?俺って物欲が無い人間だからさ」
「そう言うと思った」エリカは笑いながら上着を脱ぐと、スタジオの中央にある
グランドピアノに向かった

「ちょっと暑いけど空調好きじゃないから天窓を開けるね」
エリカがリモコンのようなものを操作すると外気が入ってきた
筒抜けの天窓からは初夏の夜の綺麗な星空が見えていた

「私のソロ演奏を聞けるなんて幸せ者だぞ〜」
さっきまでのおちゃらけた雰囲気が消え、引き締った表情でエリカは椅子に座った

俺は固唾を飲んで見守った
ピアノが好きなことは知っていたが演奏を生で見るのは初めてだったからだ

〜Vol12完〜

19 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/19(木) 11:33:56.28 ID:l5FbRtbC0
エリカは全く譜面を用意することも見ることもなく鍵盤に指を置き弾き始めた
(Death on Two Legs…) 俺はイントロの数秒間でクイーンの楽曲と気付いた
それからMy melancholy blues、Love of my life、Bohemian rhapsodyという珠玉の作品を立て続けに弾いた

この時点で俺は誰にも真似できない素養を持ち合わせたエリカに驚きを隠せずにいた

続いてエリカは優雅にエルトンジョンのGoodbye Yellow Brick Road、Your Songを弾いた後で一旦手を休めて言った
「貴方確か洋楽が好きなのよね?」
「ああ、本物が好きなんだよ」
「クイーンのボーカルの人って綺麗な声してたわよね…」
「才能の極みに達して才能を100%表現した人間だよ」俺は答えた
カリスマ性はジョンレノンには達しないが純粋な才覚だけなら双璧だと俺は思っていた

「じゃあ次はこれ弾くね」
エリカはビリージョエルのShe's Got A Way、Honesty、She's Always A Womanを弾いた
いずれも俺がこよなく愛する楽曲であり、俺は目を閉じ音色を体に染み込ませた
(心地良い…)俺はエリカが奏でる旋律を逃すまいと感性のアンテナを最大限に伸ばした

まるで広大な草原の中で精神を解放された自分がいる感覚だった
そして譜面を見ることもなくほぼ完璧に弾くエリカに畏敬の念を覚えた
恍惚という表現はこのことを指すのだろう、俺は微動だにせず「このまま時が止まれば良い」と思っていた

我に返った俺がエリカを見ると額にうっすらと汗を掻いているようだった
17才のまだあどけなさが残る表情は満足感に包まれていた

「やっぱり私ピアノが好き」短くそう答えるとエリカは小休憩をしてから言った
「まだ弾いても良い?」
「もちろん」俺は即答した

〜Vol13完〜

20 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/19(木) 12:57:25.15 ID:C6WC1z5m0
全20話の予定

21 :名無し46さん(仮名):2015/02/19(木) 19:54:58.51 ID:mLPO/pKp0
晒しage

22 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/20(金) 03:22:08.99 ID:xqtsrqeb0
エリカはビートルズの範疇に留まらないIn My Lifeのピアノソロから演奏を再開した
(屈指の旋律だ…)俺は目を閉じながら思った

続いてセロニアスモンクのRound Midnight 、ビルエヴァンスのWaltz for Debby、Autumn Leavesを弾いた
歴代のジャズピアニストの中でもリバーサイド時のエヴァンスは神だと俺は長年思っていた
彼の演奏は跳ねているが全く違和感が無い、そこが真髄だ

そしてSoftly as in a Morning Sunrise、これはソニークラークバージョンだろうか?
ゆったりとしたメロディラインを王道のキーでエリカは披露した

一転して曲調が変わった
(…!!)俺はバドパウエルのCleopatra's Dreamを聴きながら驚愕していた
今まで聴いたジャムセッションでこの全編弾きっ放しの楽曲をまともに弾けた人間を見たことが無かったからだ
自分の体が硬直するのを感じながら俺はエリカから目を離せずにいた

続いてエリカはモーツァルトのトルコ行進曲、ショパンのポロネーズ6番変イ長を順番に弾いた
「ショパンには独創性が無い」そう批評する輩もいるが俺はそうは思わなかった
クラシック史上最も叙情的な旋律を残したのはショパンだからだ
そして遠い旋律では無く近い旋律、それがショパンの真骨頂だと信じて疑わなかった

俺は半ば呆然としながら演奏を聴いていた
そして我に返った時、エリカは光る額の汗と共に一心不乱にベートーヴェンのピアノソナタ、月光を弾いていた
(…!?)その時エリカの周辺の異変に気づいた

〜Vol14完〜

23 :名無し46さん(仮名):2015/02/20(金) 20:26:11.22 ID:GCrr+XVI0
続きまだ?

24 :名無し46さん(仮名):2015/02/20(金) 20:33:46.57 ID:TwVLrmQS0
早くしろよ低脳うんこやろう

25 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/20(金) 23:37:46.04 ID:I0U569nf0
1話うp予定

26 :名無し46さん(仮名):2015/02/21(土) 16:11:59.87 ID:emvFFaQH0
まだぁ?(チンチン!)

27 :名無し46さん(仮名):2015/02/23(月) 21:15:20.32 ID:gfIcVMgB0
はよ書けカス

28 :名無し46さん(仮名):2015/02/25(水) 13:27:10.97 ID:+MR+WJak0
さらっし上げ

29 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/02/27(金) 00:04:03.11 ID:dQp2/1h80
もうちょい

30 :私の名は希望 ◆4s9TKmwnAc :2015/03/01(日) 20:46:57.99 ID:gDdqzzmW0
はよ

31 :名無し46さん(仮名):2015/03/05(木) 14:51:34.34 ID:MOvqzGXe0
在りし日の思い出あげ

32 :名無し46さん(仮名):2015/03/13(金) 01:27:11.92 ID:Qs3zX9Wq0
721からの〜さらしあげ

33 :名無し46さん(仮名):2015/03/14(土) 22:43:49.18 ID:4rathUjA0
>>29
>>30
これ自演てマジ?

34 :名無し46さん(仮名):2015/03/15(日) 08:17:03.86 ID:e2oQLtDx0
これは恥ずかしいな

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